長岡野菜『かぐらなんばん』


先日訪れた「法末(ほすえ)」(現、長岡市小国町法末)で、朝食に炊きたての地元産新米に『かぐらなんばん』を味噌炒めにしたものをいただいたが、とても美味しく朝からご飯が進んでしまった。
帰りに一袋売っていただいてきたが、さっそく自宅でも作ってみた。


この『かぐらなんばん』、見た目はピーマンかあるいはパプリカそっくり。
赤と緑があるが、赤は緑のものが熟れて色がかわってきたものらしく、実際に食べてみると、緑の方がしゃきっとした風味で、赤い方はやや甘みが出ているように思えた。
写真の左のものが、ちょうど緑から赤になりつつあるもの。




じっくりみると、ヘタのあたりは唐辛子に似ているし、本体の形やつやはピーマンに、そしてちょっと肉厚なところはパプリカのよう。




形がでこぼことして、神楽のお面のようだというので『かぐらなんばん』と名がついて呼ばれているらしい。
大昔、日本に唐辛子が伝わった頃からの古い種類だそうだが、おそらく山古志のように山深い集落の中で、他種と交配せず残ってきたのではないかと思う。




ピーマン・パプリカのよう、とはいえ、れっきとした唐辛子。
小さく切って油で炒め出すと、とんでもない辛味成分が湯気とともにあがり、ガスコンロ周辺に充満してくる。
鍋に正面に向かって炒めていると、喉と鼻にむせかえるようなきつい刺激がやってくる。
切った時にふれた指先をちょっとなめただけで、舌にぴりりっと辛味が走る。
迂闊に目をこすったりするととんでもない目にあってしまう。




油が回ったら、あらかじめ酒、みりん、砂糖で味付けをしておいた味噌を入れて、さっと炒め仕上げる。




炊きたてのご飯の上にのせていただくと、最初のウチはどうしようかと思う辛さなのに、粘りつかないすっきりした辛さはだんだん快感になってきて、ついつい箸が進んでしまう。
地元では味噌炒めのほかに、たたいて水にさらして、タタキとして食べたり、揚げ物に使ったりもするという。
この辛み、とはいえタイ料理のプリッキーヌー(緑色の小粒唐辛子)ほどではないので、普段のカレーやタイカレーに入れると美味しいのではないかと思う。