「はじまりのみち」(原恵一監督作品)

東劇

座席位置・・・真ん中中央  

評点・・・☆☆☆☆ ダンゼン優秀!

「コケてる」って聞いてたんですが、オレが観た回はソコソコ入ってました。たまたま?それとも新文芸坐でやってたらしい木下恵介特集の効果?

以下、Facebookより転載。

過日、東劇にて原恵一監督による、木下惠介生誕100周年記念作品「はじまりのみち」を観ました。これまでアニメーションの話題作、感動作を手がけてきた原恵一監督初の実写挑戦作品。

まず最初にマジで書いておきます。あまり客入りが良くないと聞いてるんですが、映画を愛する人ならば、劇場に足を運んで今観たほうが良いですよ。天才アニメ監督の、華麗なる実写デビュー作という伝説を目撃・それに立ち会ったことになる。大袈裟じゃなくて。

ダンゼン優秀!泣きました!帰り道まで泣きました。浸み渡るような感動!そして今年最も背中を押されるような人生讃歌!

話はいたってシンプル。松竹から木下惠介生誕100周年記念作品を依頼されて、恐らくいくつもあったであろう故木下惠介のエピソードから原監督から選んだのは、戦時中に国策映画「陸軍」を製作・公開するも、軍部から「女々しい」と烙印を押され木下は反発、松竹に辞表を出し、故郷へと帰る。そこで病床に伏せる母をリアカーに乗せて山越えをした。この実話に基づくエピソード。

しかし例えば木下にまつわる「木下惠介大河ドラマ」のようにせず、エピソードを絞ってこの選択にしたのが大正解。小品ながら感動的な場面に溢れた傑作となりました。

原恵一監督と言えばオレにとって特別思い入れのある監督です。彼が手がけた「河童のクゥと夏休み」(キネマ旬報のその年のベストテン入り作品)は、オレが長年住んでる東久留米市が舞台なんです。東久留米市といえば「河童のクゥと夏休み」と「めぞん一刻」とサッカー日本代表中村憲剛選手(久留米高校卒業)と決まっています。いまでも市の図書館にはこの作品の写真が展示され、それこそ僕の街にとってはジブリアニメより存在の大きい「ご当地作品」なんです。

河童のクゥと夏休み」を始めて観た時には、まるで実写のような東久留米市の再現ぶりに驚きました。監督は今回始めて実写を手掛け、製作方法の根本的な違いに戸惑ったと語ってますが、あの頃から実写監督の才能の片鱗があったようにも思います。

「陸軍」のラストシーン使用は別として、いくら何でも木下惠介作品を使用し過ぎという難点もあります。たぶんこれが無ければ80分程度の作品。でも許します!映画は長けりゃ良いってもんじゃありません!それこそかつては短い映画を二本立てで上映するという時代もあったんです。

ちなみに木下惠介作品知らなくても全然問題ありません!僕は昔の映画にはさほど詳しくないんで「二十四の瞳」しか観たことありません。それでも落涙ものの感動作品です。(ちなみに宮崎あおいさんは「二十四の瞳」の大石先生と解釈して良いんですよね?)

是非、劇場へ観に行ってください!家でDVD観賞じゃダメなんです!伝説のはじまりの瞬間を劇場で共にすべき作品なんです!戦時の映画なのに悪人が一人も出てこないのも良い!

以下、ブログに補足

監督の対談が載ってます。

高崎俊夫氏の評論、良いです。
http://eiga.com/movie/77559/critic/

川本三郎さんが連載で「はじまりのみち」に触れてます。