加害者と被害者

銀行籠城 (幻冬舎文庫)

銀行籠城 (幻冬舎文庫)

父親が教えてくれましたが、今彼が住んでいる所の近くで昔とても悲惨な籠城事件があったそうです。
銀行にライフルを持って押し入り、人質をとって立てこもり、最後は射殺されてしまったというあの事件です。
その話を聞いて、すぐにネットで調べました。
本当にこんなことがあったなんて・・・というくらいおぞましい事件です。


で、この作品ですがこの事件を参考にしているようで、何度もこの事件の名前が出てきます。
実際に同じような事件があったから、読んでいてとても怖かったです。

銀行に押し入り、拳銃で人質を支配し、自分の思いのままに人質を操るところは、人間の誰にでもある「支配欲」ではないでしょうか?
今でも独裁者なんて後を絶ちませんし、独裁的な会社経営をしているところも多いかと思います。


残酷なシーンも多いですが、作者が一番言いたかったことが、私にはいまいち伝わってこなかったのが寂しいかなー??
あと、特に必要もない説明が多いのがちょっと・・・
警察組織のことやら部隊の説明やらで、読んでいて退屈なところも多々・・・


それは置いておいて

手紙 (文春文庫)

手紙 (文春文庫)

この作品と読み比べてください。


といのは、テーマは同じなんです。
同じ立場の人が同じ境遇で今後の人生をどう生きていくのかという話なんですが、東野さんは前向きなんですね。

あまり言うとネタバレなんで控えますが、「銀行籠城」で最後に言いたかったことが私には伝わらなかったのは、たぶん東野さんのこの作品を先に読んでしまっていたことが大きいと思います。

なぜ被害者ばかりが??という本当の意味を知りたい方は、ぜひ東野さんの「手紙」をおすすめします。


犯罪者本人に直接科せられる刑が、改心するのには一番効果的だとは限らなかったりするんですよね。
ましてや死刑になりたくて人殺しをする時代ですから・・・