フランソワーズ・デポルト『中世のパン』読了

中世のパン

中世のパン



中世フランスのパンについての概説書。生産・生産者・組織・価格など、基本的な情報が網羅されている。
が、どうにもイメージが違う。
本書では、小麦の生産の拡大、小麦の食料としての重要性が、強調されている。
しかし、近世低地地方の農業について、ほんの少しとは言え、かじった身ではどうにも納得できないものがある。
低地地方の農業生産からすれば、ライ麦の重要性はかなり大きかったはずだと思う。
フランスと低地地方の気候風土の違いのせいなのかも知れないが。


また、先に読んだ舟田詠子の『パンの文化史』が描く世界との違いも気になる。
これは農村部のフィールドワークと都市部の中世文書という、元になった資料の差が大きいのだろうとは思うのだが。
本書でも多様性は指摘されているのだが、舟田の書のような多様性がある世界にはたどり着いていないように思う。
中世の都市の史料を利用するかぎりは、どうしてもそうならざるを得ないのだが、そこを突き抜ける手立ては何かないのだろうか。そこが問題だ。
考古学的な成果からは何が読みとれるのか、そこ重要になると思うのだが。

加藤政洋『花街』読了

花街 異空間の都市史 (朝日選書785)

花街 異空間の都市史 (朝日選書785)



日本の都市の近代化と、それに伴う遊興空間の変遷を扱った書物。
芸妓と娼妓が分離する現在の花街の姿は、一部江戸時代の遊郭を引き継ぎつつ、近代に形成されたものであること。
城下町の施設の再開発、都市人口の増加に伴う市街地の拡大に伴ってできた新しい町の発展のために花街が設置される、「町のインキュベーター」としての性格の2点が強調され、基調とされる。
前半は概観・類型化、後半は東京・神戸・大阪・鹿児島の実例が紹介される。
本書は、花街を地理学の空間論の視点から検討したものであり、その点、少々その癖に慣れていないと読みにくい。三日ほどで読めるかと思ったが、一週間近くかかってしまった。
だが、それだけの価値のある興味深い本であった。

「iPodがMDの代替機器として普及」私的録音補償金管理協会が調査報告(情報元:カトゆー家断絶さん)

internet.watch.impress.co.jp
とりあえず、情報待ち。
しかし、調査主体が調査主体だけに、読まなくても結論分かってるって感じだな。
利権ゴロは滅びよ。