湖山真『聖剣と魔杖の多重継承』

聖剣と魔杖の多重継承 (一迅社文庫)

聖剣と魔杖の多重継承 (一迅社文庫)

 積みラノベの山が減って、多少余裕が出てきたので、新規開拓。なにやら、編集の人が、ずいぶん推しているので、興味を持った次第。男女が鎖でつながれてしまって、すったもんだ、というのは散見する設定だが、ファンタジー世界でやると新鮮に読める。
 人間と「魔族」が対立する世界。人間至上主義の教団、南十字教団に属する「勇者」である主人公は、かつての勇者と魔王の魂を宿す「双魂者」として見下されていた。ある、人間の村を破壊する命令を受け、叛逆し、要塞を転用した牢獄に投獄された。その監獄要塞が、セイレーンの騎士に襲撃され、手違いで魔法の鎖で結び付けられることになる。
 要塞からの逃避行、セイレーンと人間が共存する村での生活、その村を情け容赦なく破壊する南十字教団の歪みに直面する。最終的に、教団が派遣した勇者エセルウルフとの戦いの中で、魔王と勇者の両方の魂に目覚め、魔族と人間が共存できる社会を生み出そうと決意する。
 主人公の心の動きや、最終的にどういう社会を作りたいかという流れは説得的だし、世界観も良い。南十字教団が、転生先を望み通りにできる「転生術」で勢力を伸ばした。あるいは、魔族側の様々な種族。いろいろと魅力的。一方で、エセルウルフとの戦いの中で魔王と勇者の魂の両方に目覚める展開は、少々、唐突感があったかなと。もう少し、前段階からネタ振りがあっても良かったような。


 とりあえず、セリアさんの清楚さと一方での隙の多さが魅力的だったな。有翼種ヒロイン、良いです。

大内建二『戦時標準船入門:戦争中に急造された勝利のための量産船』

 日本の戦時標準船をメインに、アメリカのリバティー船やイギリスのエンパイア船なども紹介した本。
 第二次世界大戦では、急速建造に溶接が広く用いられているが、どこもいろいろと問題に直面しているな。アメリカでは、溶接で作られたタンカーが、寒冷下では収縮によって真っ二つに割れる。日本だと、潜水母艦大鯨の建造時のゆがみ。ドイツでも、ケーニヒスベルク軽巡の船体割れとかあるし。結局、戦後、アメリカで溶接に適した鋼材が開発されるまで、問題は解決できなかったと。
 日本の戦争準備の泥縄感はすごいな。戦時標準船にしても、昭和17年から急速建造について検討を始めているわけだから、第2次戦時標準船が、潜水艦と機動部隊の地獄の中で消えていったのも当然というか。むしろ、イギリスの要請を受けた分、リバティー船の方が早くはじまっているんだよな。陸軍参謀本部の情報関係で、アメリカを扱う部署ができたのも、戦争が始まってからだし。いろいろと、準備ができていなかったとしか。
 熟練工がいない、鋼材が足りない、急速建造体制への転換も遅い、三重苦。その結果が、二重底も省略した、浮けばいいんだろ的な第2次戦時標準船と。リバティー船と第2次戦時標準船の差が、彼我の工業力の格差を示しているな。限られた条件の中では、健闘したとも言えるが。リバティー船も、戦争が終わった時点で、700隻が工作不良として淘汰されているそうだし。戦時標準船が粗製乱造なのは、どちらも変わらないような。どちらも、未熟練の工員を大量に動員している点では同じで、鋼材の供給と自動溶接機の開発が死命を分けた感が。
 2E型小型貨物船を大量に建造した三菱重工若松造船所、播磨造船所松浦造船所、川南工業深堀造船所、東京造船東京造船所の4造船所が興味深いな。小型貨物船を大量生産するために、レイアウトに工夫が凝らされた工場。これらでの経験は、戦後、どう生きたのだろうか。

 二千七百隻以上も建造されたリバティー船は戦時中に二百三十五隻を失った。そして戦争の終結と同時に残ったリバティー船については再度不良箇所の精密一斉点検が行なわれ、工作不良で以後運行することが危険と判断された船は工作不良船と判断され、次々とスクラップ処分された。その数実に七百八十隻に達した。p.287

 なかなかすごい話だな。四分の一近くが、平時の運行は危険な水準の船だったわけだ。

蒼の彼方のフォーリズム 第1話「飛んでます、飛んでますよっ!」


 うーむ、エロゲらしいもっさり感のあるスタートだな。
 反重力靴で、みんなが普通に空を飛べている世界。で、よく分からないまま、「フライングサーカス」なるスポーツで対決に。話が分からない。スポコンものなのか?
 あと、ヒロインが完全にアホの子だな。

蒼の彼方のフォーリズム 第2話「う…ど…ん…?」


 瀬戸内かと思ったら、五島列島がネタなのか。アゴ出汁という時点で、瀬戸内らしくないなとは思ったが。
 明日香以下、女子陣が、フライングサーカス部に入って、楽しそう。一方、ゲームでは主人公だったっぽい昌也は、フライングサーカスになんかトラウマを持っていて、鬱々と。で、結局、夏の大会まで、指導を押し付けられる昌也。
 黒髪ロングのみさきさんがいいですね。私服もエロいし。