「新世界より」第18話『紅い花』

日常と非常、内面と外界との間をそれぞれ行ったり来たりするコンテが素晴らしい回だった。あきらかに結界の外側で不穏な動きがあると判明しながらも、通年どおり夏祭りが開催されるという微妙な共同体の状況を、花火と爆弾という似通った現象のカットで繋ぐことで臨場感を煽り、真理亜の存在がふたたび意識に具体的にのぼってきたことで希望と不安とを同時に外界に投影してしまう早季の心の揺らぎ。それらを交互に点描することで集団と個人をも並行させるアクロバティックな演出の通底ぶりも加えて、あるいはシリーズのこれまでもっとも優れた回かもしれない。キャラクターたちの個人的な能力の特長の見せ方もセリフによる説明に頼っておらず、その事により画面から終始目を離せない力があるエピソードだった。長い矯めの積み重ねから、いよいよシリーズは急展開。ここまで視てきてよかった。