「ものすごくうるさくて,ありえないほど近い」を見たよ

[あらすじ from goo映画]
9.11同時多発テロで最愛の父トーマスを亡くした少年オスカー。その死に納得できないまま一年が経ったある日、父のクローゼットで見覚えのない一本の鍵を見つけると、その鍵で開けるべき鍵穴を探す計画を立てる。かつて父と楽しんだ“調査探索ゲーム”のように。悲しみで抜け殻のようになった母に失望したオスカーは、父が遺したはずのメッセージを求めて、祖母のアパートに間借りする老人を道連れに旅に出る。

以前WOWOWでやってたものを撮りっぱなしだった
トム・ハンクスサンドラ・ブロック等出演,スティーブン・ダルドリー監督の
『ものすごくうるさくて,ありえないほど近い』を見ました。
 [どこで?]家で 
 [誰と?] ひとりで

原作小説がとっても良かったので,評判を聞きつつ恐る恐る見てみたといったところです。
まぁね,子持ちとなるともうね正直ぐいっと来てしまうところがございますよ。
条件反射的に泣いてしまうものなのです。
まぁそれはさておき。


原作を読んでだいぶ時間がたっているので記憶がおぼろげだけど,映画と小説では何点か異なるところがありました。
そもそもエンターテイメントであることとしては同類であっても,映画と小説では表現の枠というか楽しみ方というか,その範囲が全く異なるので違ってくるのは当然なんだけれども。
小説には当然ながら絵が無いので(例外もあるけど*1),そこに描写されているもの以外は自分で汲み取る事が必要。それは暗喩だったり自分の空想だったり,いわゆる行間を読むってことになるのかもしれないけど,それが小説の楽しみでもあって。
良い小説に出会うと,本を読みながら,自分の中に出来上がった世界で登場人物達が踊りだす。そんな経験ができるのが小説だと思う。
それに対して映画は絵と言葉での表現になるから,主体的に動いている物事の背景も表現することになる。当然そうじゃない表現方法を取る映画があるのはここではさて置き。
だから原作があっての映画を見る(原作を読んでしまってから映画を見る)時には,この映画は監督の原作に対する読書感想映画なんだと思ってからいつも見ています。
じゃないとあそこが違うとかここが違うとか気になって気になって。


それでもやっぱり言いたくなるのが人心。
大きく違うところとしては
1.オスカー君の心の傷がよりクローズアップされている(小説だともっとポップさもあった気がする。)
2.間借り人とおばあちゃんの話の省略
3.ラストの追加

この映画では「喪失と回復」により着目されているところがある気がします。
だからこその1だし3なんだと思う。あの事件がNYの人たちに与えた影響はそれだけに大きく,だからこそ3を足してでも,伝えたいことがあったんじゃないのかな,もしくはこの映画を観る人に近づけると考えたんじゃないのかなと思います。
まぁ多分に直接的だとは思うのだけれども。

2についてはまぁね。尺もあるし,あのくだり*2を映像化するのは予算的にもちょっとね。
二人の関係性をほのめかすから,原作読んでない人には気になるのかもだけど。


にしても「間借り人」とオスカー君が一緒に出てくる場面が本当に良かった。
場面場面の絵にドキッとさせらせるし,リズムが良くて。
マックス・フォン・シドー。これまでほとんど印象なかったけど,いい役者さんだなぁ。

あらためて原作小説を読んでみたいと思います。
そんなことを思いました。

★★★☆(3.5/5.0)

*1:原作は写真をとても効果的に使ってました。

*2:ドレスデン爆撃なんか