川上弘美「センセイの鞄」、「パレード」、「あるようなないような」

ここのところお気に入りの北村薫さんに加えてまた新たなお気に入りが。
川上弘美さんです。もともとは奥さんが古本屋で大量に仕入れて置いてあった本なのですが、R25で読んだエッセイがなんというか独特のユーモラスな文章で、興味を持って「センセイの鞄」から読んでみました。

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センセイの鞄 (文春文庫)

センセイの鞄 (文春文庫)

高校時代の恩師(というほどの関係でもなかったけれどちなみに男性)と居酒屋で再会した三十代後半の主人公(女性)とのほっこりした邂逅を描いた作品です。読み進めるうちとても温かい気分になってきました。
ラスト、主人公とセンセイの間の関係がどうなって行くのか、結末についてはぼくは納得できたわけではありませんが、これは男性と女性の感じ取り方の違いなのかもしれませんね。


で、つぎに「センセイの鞄」のスピンオフともいえる「パレード」を読んでみました。

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パレード

パレード

チャラっと読めば20分ほどで読めてしまう小品ですが、ストーリーも独立していますし、センセイは聞き役として登場するだけです。でも引き続き温かい世界が展開されて、ここにいたって、主人公とセンセイの関係は「センセイの鞄」で描かれるようでなければならなかったのだ、と思い至りました。

で、最後が、エッセイ「あるようなないような」。

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あるようなないような (中公文庫)

あるようなないような (中公文庫)

この人の書く「嘘エッセイ」は、稲垣足穂の「一千一秒物語」のように不思議なモヤのかかった世界ですね。
ユーモラスであり、親近感が沸き、この人の頭の中はどうなっているんだろう、と不思議に思ってしまいます。
稲垣足穂澁澤龍彦の好きな人にはオススメですよ。