他山の石書評雑記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-12-10 きりがない

[][][]ギデンズ社会学原書第6版発売 20:42 ギデンズ社会学原書第6版発売を含むブックマーク ギデンズ社会学原書第6版発売のブックマークコメント

Sociology

Sociology

 ギデンズ"Sociology"の原書第6版が、2009年6月3日に発売されることが分かった。第5版さえ邦訳がないのに、次が出る。而立書房には早く邦訳を出して欲しいものである。

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 お風呂から出て、寝る前に

社会学小辞典

社会学小辞典

 なんぞを適当にぱらぱらめくる。前者は事項の集積であり、後者は文献の集積である。

 社会学の定番の教科書は、実はない。

 経済学には、サミュエルソンスティグリッツマンキュー始め、邦訳ものも多数あり、他に国内で書かれたものも多い。法学は、六法法律に定番の教科書(例えば芦部憲法)があり、それを読んで司法試験公務員試験に備える。

 一方、政治学社会学には、一応「教科書」として売られているものはあるのだが、定番になってその学問を専攻している人の多くがそれを読んでいる、というテキストブックはない。

 例えば社会学学説史ならば

クロニクル社会学―人と理論の魅力を語る (有斐閣アルマ)

クロニクル社会学―人と理論の魅力を語る (有斐閣アルマ)

 があるが、学部生以上が誰もが読んでいる定番、ではないような気がする。

 社会学は、法学経済学と違い、ディシプリンを叩き込めばいい、というものではない。基本的な教科書を読んでそれで済む、ということはまずありえない。

 東大人文社会研究科のここ10年の社会学大学院入試問題を読むと、第一問は理論、第二問は学説史、第三問は社会調査法、と出るところが決まっている。ジェンダー論を専攻している上野千鶴子氏がいても、あるいは科学技術論を専攻している松本三和夫氏がいても、その種のものの各論は出ない。ギデンズの社会学教科書を手にとられたことがある方は分かるように、あんなに分厚い教科書があっても社会学のすべてを語りえていない。つまり、東大大学院の出題意図は、社会学を学んでいる人で、日本社会学を担おうとする人ならば、この程度のことは最低知っておいて欲しいというのを示している、というものである。この先誰が教員になっても出題方針は変わらないんじゃないかという気もする。

 それにしても、前出の『社会学文献事典』を読むと、ため息が出る。よくもまあ、ここまで読むべき重要文献が溢れているものかと。ちなみに、この『社会学文献事典』は現在品切れで、アマゾンマーケットプレイスでは二万円以上の価格がついている。私も持っているが、この本は人には絶対に譲れない。二度と手に入らないことは分かっているからだ。この事典が一万円以下で古書店に並んでいたら買うべきだと確信を持って言う。学部生ならばこれを買えばかなり使えるはず。私も中古で9700円で買った。

 しかし、社会学専攻というのは、因果なものである、読むべき本は多く、しかし読めども尽きない。例えば家族社会学なり社会階層論なりなんでもいいが絞っても、それでも文献は次から次へと出てくる。そして情勢は変わり続け、学んだことは常に錆び付く恐れがある。別に大学院にも行っておらず研究職にもついていない人間でさえそう思うのだから、専門の社会学者は日々研鑽を積まねばならないだろう。「古典を読め」という人もいるが、新しく「古典」に加わる文献も出てくるし、古典だけでも多数ある。デュルケムやウェーバーはじめ、ハーバーマスルーマンと、きりがない。古典だけでも『社会学文献事典』にあるのだけでも多数だ。

 結局のところ、冒頭で出てきた『社会学小辞典』のようなものが、手元に置いておいて便利なことは、確かであるとしか言いようが無く、締まらないものである。

こばこばこばこば 2008/12/11 00:55 ギディンズの本は読んでみたいですが、難しそうですね。教育学もバイブルとでも言えるようなテキストは存在しませんね。あえていうなら佐藤学氏の本かなとも考えますが。

EndEnd 2008/12/11 01:33 英語なら原著で読め、って意見に一票。>ギデンズ『社会学』第6版

tazantazan 2008/12/12 17:56 >こばこばさま
教育学の教科書は、大学の先生ご自身が書かれたものが自身の講義のみで使われるというケースが多そうです。
そういう先生は教育学に限らず多いのかもしれません。

>Endさま
そうですね。第3版は原書を持っています。

甲 2008/12/22 19:01 基本的に、版換えはギデンズの都合によるもので、訳者や日本人読者が版ごとに対応するのは馬鹿げています。そして、この類の本の著者・出版社の都合の大部分を占めるのが、中古本市場の定期的な撲滅にあるというのは、海外ではよく知れている話です(この本はかなり安い価格設定ですが)。
内容的には、訳本があるに越したことはない類の本だとは思います(それを自覚した気の利いた訳にしてほしいものですが・・・)。新版の変更点と該当箇所だけ英語でチェックして、必要に応じて読めば負担はあまりないですけど、簡単な内容の本は日本語で読むのと英語で読むのとではかなりスピードが違ってきますからね。

固有のパラダイムも膨大な暗記事項もないのだから、大量に読むわけですね。諸学を社会学の一部を特化したものにみなすこともできるのかもしれません。文献事典もそんな感じでできているようにも見えます。

ちなみに、経済学には、主に数学の不出来な人(従って体育会の連中がウヨウヨしている)を中心に「政治経済学」というものも、まだ一応あって、スティグリッツ等を「定番」と言ってしまうと、サヨクの人たちに叱られますよ。

シカシカ 2008/12/25 04:39 はじめまして、私は大学で社会学を学んでいる学生です。
いきなりで恐縮ではありますが、質問させていただけないでしょうか。
ギデンズの『社会学』を中古で購入しようと思っているのですが
改訂第3版と第4版、どちらにするべきか迷っています。
購入するなら新しいものにするべきなのでしょうか。
よろしければご意見をいただけませんか。

tazantazan 2008/12/25 14:27 >甲さま
確かに改版が頻繁なため、こちらとしても困るのですが。
そういえばサミュエルソンは最新版と日本語版にずれがあるようです。
これだけ改版が多いと、訳者も困るでしょう。

文献事典に関しては、経済学では作りえないものだと思います。

>シカさま
基本的には、4版を買うのがベターです。
普通は教科書の類は新しい方がいいと思うものですが……。

シカシカ 2008/12/26 22:59 ご意見ありがとうございます。
購入する書籍が月に十冊未満であっても、学生の身で1冊4000円弱は大きいので
中古でもより安く購入できる第3版と迷っていたのです。
ジュンク堂など大きな書店でも第4版しか置かれていなかったため、第3版との違いを比べられずにもやもやしており、質問させていただいた次第でした。
少しの追加のみで、核心に関わる変更がないならば第3版でも悪くはないのではないかなどと考えていましたので。
ありがとうございました。

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