おすすめ単巻読み切りコミック・新書サイズ版

bk1オタクが選びました。<コミック単巻読み切り特集>に触発されて選んだオススメ単巻コミック選の姉妹企画。そしてなまくらどもの日記さんとの連動企画です。
選定基準はおむらさんの「複数巻に渡ったシリーズものでない」「新書サイズ」「絶版も含む」にならいました(「自分の趣味フルスロットル」も)。少年漫画を増量しとこう……しかしこりゃほんとに絶版の嵐だな。bk1で買えないし。


・『七つの海』岩泉舞(絶版)
七つの海―岩泉舞短編集 (ジャンプコミックス)
卓越したストーリーセンス。印象的なシーンや台詞が多い。一番好きなのは「たとえ火の中…」の「極楽へはきっと…/いつで行けるよね…?」だけど、「七つの海」の「ユージ君 あなたは/素敵な大人になってね…」も捨てがたい。投稿作「ふろん」のとんがった青さすらいとおしい。ちなみに「短編集1」と表紙にあるが今に至るまで続きは出てない。


・『スロップマンションにお帰り』高尾滋(絶版)
スロップマンションにお帰り (花とゆめCOMICS)
生き別れの父に会うためはるばる渡英した少女が出会ったのは……。表題作は爽やかな切なさが胸に残る夏向きの逸品。同時収録の「あじさいの庭」がまたしみじみ泣ける良作。高尾滋が描く少女、というか幼女はかわいいなあ。


・『KANABALISM』田中加奈子(絶版)
Kanabalism―田中加奈子短編集 (ジャンプコミックス)
かなこの良さがいっぱいつまった初期作品集。少年誌での仕事は押さえ気味のエログロ色がいいアクセント。アイヌ神話に取材した「コタンコロカムイ」、浮世絵テイスト横溢の「洒落市」、悪女大活躍の「クリーチャーズ」が好き。


・『ひとゆり峠』山口美由紀(絶版)
ひとゆり峠 (花とゆめCOMICS)
宮部みゆきばりの時代ものが漫画で読める幸せ。人ならぬ力を持ち、過去から逃れて旅を続ける男が主人公の伝奇ふう人情活劇。それにしても山口美由紀はネームが多くて読み応えがあるね。これが気に入ったら『春告小町』もどうぞ。


・『夜の歌』藤田和日郎(絶版、文庫化)
夜の歌 (少年サンデーコミックス)
これに入ってる「からくりの君」が好きで好きで。からくり人形兵器を操る姫君と助太刀の雇われ下忍が繰り広げる戦国時代活劇。観たことないがOVA化もしたらしい。確かに動きがついたらかっこいいだろなあ。


・『Daddy Long Legs』勝田文
Daddy Long Legs (クイーンズコミックス)
表題作はウェブスター「あしながおじさん」の舞台を昭和初期の日本にそっくり移したほのぼのラブストーリー。翻案したとは信じられないほどのなじみ具合、とぼけた味わいが加わって原作よりも好きかもしれない。


・『筆神 田村吉康短編集』田村吉康(絶版)
筆神―田村吉康短編集 (ジャンプコミックス)
少年誌らしいまっすぐで熱いテーマと品のよさが魅力の初期作品集。「筆神」はのちに設定を変えて連載になりコミックスも2巻まで出たんだけど、品の良さがなくなっちゃってていまいちだった。ジャンプは新人育てるの下手だよなー。


・『初恋ロケット』タアモ
初恋ロケット (フラワーコミックス)
衝撃の(おおげさ)初単行本。田舎少女の淡い恋物語「夜汽車紀行」が忘れがたい。タアモは可愛い系やギャルよりも、ちょっと垢抜けない感じの女の子が主人公のほうが味が出ていいと思う。