読了本

夜の写本師

夜の写本師

夜の写本師/乾石智子
おっもしろかったわーーーー。何で今まで読まなかったのか! と自分を責めたい。それは国産ハイファンタジーにやや苦手意識があったからなんだけど(固有名詞のゴロの悪さとか……)乾石作品ではそういうのが気にならない。文章もシンプルで分かりやすいのに、行間にひそませたものがめっちゃ膨大というか深遠というかで圧倒される。それだけ世界観を緻密に組み立ててあるのだろう。さまざまな魔術が登場するが、主人公が使うわざにはさらにひとひねりあるのも面白かった。

わけありの方、歓迎します。 斎藤さん家の五ツ星アパート/宇佐見秋伸
斎藤ハイツがなぜ来る者拒まずになったのか、理由が説明されるのかなと思ったのだが……。でなきゃ大家が女所帯なのに物騒すぎるよ。時代が徐々に遡っていくが、その時代の空気感が薄すぎて仕掛けとしては微妙。最終話に少し活かされてたけど……。あと他人の大金をロクでもないと決めつけて勝手に使うってどうよ、などなど、全体的に痒いところに手が届かない感じで残念だった。