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2010-06-01

『破小路ねるのと堕天列車事件』にみる「きみとぼく」のセカイ




 校舎に電車が突き刺さっている──そんなドンデモな事件を推理しようとする高校生たちの物語。それがこの『破小路ねるのと堕天列車事件』。
 タイトルやあらすじからはミステリーだと思ってしまうのですが、この作品はその他のジャンル(ラブコメ、セカイ系、SF)を混ぜあわせてライトノベル的な感性で仕上げたものとなっているのです。


 裏帯にも「ラノベ?ミステリ?それとも文芸小説……? ジャンル越境型の新感覚ノベル!」というように書かれており、この作品が様々な要素を含んでいるのだということがわかります。


 ライトノベルの越境、あるいは拡散と侵透、という現象は今に始まったことではないですが、この『破小路ねるの〜』はその混ぜ合せが多数であるという点でいろいろと思うところがありました。


 ※以下はストーリーのネタバレがありますのでご注意をば。


 『破小路ねるの〜』はどういう読者層を狙った作品だったんだろう。
 パッと見はミステリ好きを狙ったような感じなのだけど、 ステリなのかな、と思って読み始めてみるとメインとなってくるのは破小路ねるのと砂島直也の関係で、学園青春ものとして読むこともできるのです。
 そして、突飛な事件。学校の校舎に電車が一両、斜め上から突き刺さっている、という事件。
 これを破小路、砂島、そして文芸部部長の牛越瞳を加えて推理をするわけだけど……これが終盤の展開で覆されてしまう。


 事件の結論を言ってしまえば、砂島直也と破小路ねるののふたりが起こしていた、というもの。
「きみとぼく」の事象が、そのまま世界に直結して事件を起こす──まさにセカイ系といった趣。
 こう言ってしまうと、読者に推理の余地を与えないトンデモミステリになってしまうかもしれませんが、前にも書いているようにこの作品は様々なジャンルが混ざり合っているのです。
 電車を使ったミステリのようであり、コッペリアという少女を登場させてモダン・ファンタジーのようにしたり、ユングの夢判断や砂男の寓話を持ち出してみたり、ラブラブコメコメしてみたり……。


 この作品が何を狙った作品なのかは、よくわからないし、ストーリーとしても中途半端な部分が目立つが、ライトノベルの新たな可能性を提示してくれたのだと思います。


 ジャンルのミックス──ライトノベルだからこそ軽快にやってのけることができたのでしょう。
 これはライトノベルの越境と言うよりは、ライトノベルが他ジャンルを吸収・分解しているのだと思います。


 この『破小路ねるの〜』のような作品が増えてきたら、さらに「ライトノベルって何?」という疑問が膨らんでくるんだろうなぁ。でもこういった試みはもっと広がっていってほしいと感じているのです。

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