英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

2008年の再来なのか

 快晴。本当にきれいな青空。
 年明け以降、市場の混乱がなかなか収束しない。金曜日も全面安だった。2008年の再来なのかどうか。そうではない、という主張である。
 2008年当時との決定的な違いは、少なくとも米国の経済が良い状況にあることだ。市場の下落が金融危機につながり、そして経済全般に波及するというプロセスは当面考えにくい。
 金曜日の米国株式市場は390ポイント下げた。しかし、中国の株式市場はもっと悲惨で、年初来18パーセント下げている。原油価格は30ドルを割れた。
 今回の相場下落は、1998年のロシア債務危機か2001年のドットコムバブルの崩壊に類似している。そう考える人もいるが、それは間違っている。
 これらの危機の際、人々は抱えている債務の大きさがどの程度か、システム内に積み上げられた債務の大きさを適切に評価していなかった。しかし、今回、米国経済や金融システムが抱える債務の大きさはずっと小さい。
 ためしに家計の債務をみてみよう。家計はモーゲージ危機の震源地だった。2007年の終わりには、家計の債務は所得の130パーセントに達していた。しかし、今日その比率は103パーセントに低下している。
 大手31銀行が保有するコモンエクイティ資本は1・1兆ドルに達する。コモンエクイティ資本比率は12・5パーセントだ。ちなみに、それは2009年初めには5・5パーセントしかなかった。
 http://www.wsj.com/articles/why-this-market-meltdown-isnt-a-repeat-of-2008-1452892357
 中国政府当局の為替政策が揺れ動いている。外からみると、ミステリアスなくらいだ。しかし、これは中国政府当局が意図したものだという。
 中国人民銀行の意図としては、今年、人民元を緩やかに減価させたい。ただし、通常の通貨と同じように、その過程で相場のアップダウンは許容する、というものだ。ボラティリティを許容すると、人民元に対して仕掛けることはコストの高いものになりうる。その結果、中国から資金が引き上げることを防ぐことができる。そういう狙いがあるというのだ。
 人民元の相場はますます予見が難しくなっている。しかし、それがPBOCがまさに望んでいることなのだ。
 ただ、人民元は通常の通貨とは異なる。そして、その戦略はトリッキーであり、リスクも伴う。
 予見可能性がなくなるということは、中国の中央銀行や指導者たちが、中国の通貨や経済をうまく制御できていないとの印象を与えてしまう。
 これまで人民元は、一方向の動きをしてきた。そして長い間、投資家たちは、人民元は切り上げるしかないと考えていた。それに対し、PBOCはドルをはじめとした外貨を買い、人民元を売って、人民元が過大評価されることのないようしてきた。その結果積みあがったのが外貨準備高だ。2014年半ば現在で4兆ドルもある。
 http://www.wsj.com/articles/chinas-pboc-giving-mixed-signals-on-yuan-plans-1452773923