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英語メディアの経済、政治記事を定点観測

マイナス金利の限界

 マイナス金利政策は魅力的だが、限界があると。
 今年、マイナス金利政策は多くの注目を集めた。その大半は批判的なものだったが。多くの投資家は彼らの預金や債券が目減りすることで、怒り狂っている。しかし、日本銀行の選択肢の中の一つは、政策のフレームワークの中で考えられているものだ。金融的な刺激の有用な携帯の一つとして、マイナス金利政策はありうる選択しだ。しかし、そのプラスとマイナスをネットした利益は国によって異なる。すべての経済において、金利をマイナス圏にどこまでできるかは、限界がある。
 今年、世界経済に関するジュネーブレポートの表題は、中央銀行はいったいなにができるのか、というものだった。それは、成長を刺激し、緩やかなインフレをもたらすために、中央銀行ができるツールの範囲を検討していた。その中には、フォワドガイダンスや、マイナス金利政策、量的緩和や、インフレ期待を高めるさまざまな手段が検討されていた。
 問題は、マイナス金利を深堀したときに、リテール預金にマイナスチャージを課すことができるかだ。銀行はそれをためらっている。最近のIMFレポートが指摘するように、マイナス金利はユーロ圏において、銀行の収益にダメージを与えることなりに、成長を促すことができるとしている。しかし、これ以上の金利深堀は、銀行の利益を脅かすと警告している。
 バーナンキ議長も最近、この点を議論をしている。将来米国経済が減速したときに、マイナス金利を排除すべきでないと主張している。アダム・ポーゼンも、マイナス金利政策は経済的に効果があり、いくつかの国々で政治的に受け入れ可能だとしている。しかし、スイスや英国のような分散的で開放的な金融システムでは受け入れ可能だが、ドイツや日本のようにより閉鎖的で銀行主導の経済では難しいだろうとしている。
 https://piie.com/blogs/realtime-economic-issues-watch/negative-interest-rates-useful-limited-tool
 上で紹介されたジュネーブレポート。
 http://www.icmb.org/
 IMFも最近、マイナス金利の限界を指摘するレポートを公表している。メインは、マイナス金利を採用してから2年が経過し、そのトラックレコード、振り返りをしている。
 結論からいうと、2年間、うまくいったという総括である。金融条件は緩和的となり、借入のコストは低下した。緩やかに貸出は拡大し、ECBによる資産買い入れのインパクトを増幅させるのに役立った。
 しかし、ECBにおいては、それ特有のチャレンジもいくつか存在する。
 2年以上前、経済の低迷を回復させるため、ECBはあらなた金融政策の手段を開発した。超過準備に手数料を課すことだ。
 マイナス金利政策はメイクセンスである。もし、超過準備に対し、中央銀行(ここではECB)がチャージすれば、銀行はより消費者や企業に貸し出すようになるだろう、という目論見がある。
 ここでの論点は、マイナス金利が進んだときに、リテール預金者がどのような行動に出るかだ。ことわざ的には、マイナス金利が進むと、人々は預金口座から現金を引き出し、ベッドの下に保管するようになると推測されていた。
 https://blog-imfdirect.imf.org/2016/08/10/the-ecbs-negative-rate-policy-has-been-effective-but-faces-limits/
 これはBISのレポート。
 http://www.bis.org/publ/qtrpdf/r_qt1603e.pdf