ソーシャルの実相 パクリもコピーもやりたい放題! 管理しない管理者たち

アップルのアプリダウンロードストア「iTunes」。iPhoneで成功するには、ストアの売上げランキング20位に入ることが必須です。ソフトベンダーは、この20位に入るために業者を雇って、ステマを行うほど業績を左右します。

Appleステマ業者に警告」
Apple の発表によると、アプリを App Store のチャート上位に載せるというサービスを提供する業者がいるそうなのだが、このようなサービスを使ってチャートを操作しようとした場合、開発者プログラムのメンバー資格を失う可能性がある、と警告している。
http://www.zaikei.co.jp/article/20120209/94927.html

アップルは、こうしてランキング操作に関して強い姿勢を表明したばかりですが、一方で他社ハードで出たソフトのパクリやコピーソフトには、まるで無頓着です。

iTunesで『ポケモン イエロー』が配信? でもニセモノだから気をつけて!」
販売元「ハウズ・オブ・アニメ」は2月16日から17日にかけて、「ポケモンイエロー」、「遊戯王+」、「デジモン+」の3本を配信開始。20日現在、「ポケモンイエロー」は米iTunes App Storeで有料アプリランキングの2位になっています。

1600件ほど寄せられたレビューはそのほとんどが星1つで、「詐欺だ!」「金返せ!」というもの。アプリは開きもしないそうで、パクリゲー、いやゲームとも呼べない代物のようです。
http://www.kotaku.jp/2012/02/itunes_pokemonyollow.html

任天堂ソフト「ポケモン イエロー」が「iTunes」に登場。あっと言う間にランキング2位に上り詰めました。ところがこれが、ゲーム画面のスクリーンショットが入ってるだけという、完全な詐欺ソフト。しかもスクリーンショットが見られれば良い方で、そもそも動かないことも多いときてます。アップルはソフトの審査を行っていることになっていますが、この状況を見る限り有名無実化しているのは間違いありません。
パクリどころか詐欺ソフトまで横行する混乱状態が、今もって続く「iTunes」。このままですと、アタリショックのような市場崩壊が起きるのも、遠くないと言えるでしょう。
 
グリー「ドリランド レアカード不正コピー問題」のその後
NHKまで報道したドリランドにおけるレアカード不正コピー問題。取材を受けて、「これはヤバい」と思ったのか、2月20日の夜にプレス発表が出ました。今度はトップページからいけます。日付表示もあります。(グリーニュースリリース「当社運営サービス一部機能の一時停止に関するお知らせ」http://www.gree.co.jp/news/press/2012/0220_01.html
当初、私は不正コピー技発覚が遅れたせいで、コピーカード無効は難しいと書きました。実は書かなかった理由の1つとして、カード1つ1つにシリアル番号が振られていないため、コピーカードの追跡が極めて困難ということもあったのです。
しかし予想に反して、グリーは重複アイテムを無効にすると宣言しました。

大手ソーシャルゲームプラットフォーム『GREE(グリー)』にて先日話題になった『探検ドリランド』のレアカード不正増殖バグだが、今回『GREE』では「重複アイテム回収のお知らせ」という告知を『探検ドリランド』のウェブサイトに公開した。
http://getnews.jp/archives/169871

やはり「ガチャ」システムが崩壊することを恐れたようです。しかしカード個別のシリアル番号がない状況で、こんなことをすれば、影響は全然関係ないところに及ぶものです。

GREEドリランドの複製バグの影響でこん棒を沢山もっていただけでアカ停止」
やはり私以外にも被害者はいましたか。私も不正行為を行っていないにも関わらずアカウント停止みたいです受けた人間です。
しかも、その大量カード所持はガーディアンに与えるためにトレードで購入した“こんぼう”でした。こんぼうですら大量に持っていたら不正ユーザー扱いなのですね。クソ運営にも程々呆れ返っております。
課金したものも帰ってこず、苦労して作り上げたコミュニティは管理者不在により閉鎖の危機に見舞われております。何度問い合わせてもお答え出来かねますの一点張り。やりきれない思いに苛まれております。
http://attrip.jp/36680

「こんぼう」をたくさん持ってたら、アカウント停止という悲劇であります。そりゃあ、カード個別にシリアル番号がない状況では、ログの追跡だけで対処できるわけがありません。重要なのは、こういう「こんぼうをたくさん持っている」といった人は、ソーシャルゲームの主体を構成するコアユーザーだと言うことです。無料ではなく、有料でソーシャルゲームを遊んでいる、文字通り「お客様」ですね。グリーはコピー問題を収束させようとして、コアユーザーの切捨てまで行っているわけです。
では何故こうならないよう、カードにシリアル番号がないのでしょうか?
答えは簡単。開発費が掛かるからです。昨今のソーシャルゲームが評価されるのは、その収益性にあります。開発費はだいたい数百万円から数千万円程度。これではシリアル管理のシステムなんて、できるわけがありません。しかも携帯の性能は、スマートフォンが主流になるにつれ、どんどん上がってきています。それに伴って、ソーシャルゲームの開発費も高騰し始めているのです。

一方,このようにソーシャルゲームの市場が拡大し,また成熟するにつれ,ソーシャルゲームの開発費は順調に上昇している。
この点について田中氏は,「スマートフォン自体もどんどん高性能になるし,それに伴ってソーシャルゲームの開発費も高騰していくのは間違いない」と認めた。
しかし,「ソーシャルゲームの面白さの本質は見た目ではなく,ユーザー間のインタラクションにある。コストをかけていくにしても,見た目に全部その予算を投じるのではなく,バックエンド,サーバやデータベース,あるいはゲームデザインもより重視されなくてはならない」と語る。
http://www.4gamer.net/games/136/G013654/20110922078/

これは、東京ゲームショウ2011で行われたパネルディスカッションにおける、グリー田中社長の言葉です。
本当に言葉通りサーバやデータベースを重視していたら、去年の8月から起きていた不正コピーに気付けていたでしょうし、関係ないユーザーのアカウント停止をすることもなかったでしょう。NHKに報道されるまで、今回の問題の重さに気付かなかったように、グリーの認識の甘さが、コアユーザーへのツケとなって現れているのです。
 

「グリー、ゲーム内禁止行為の監視強化を図り、ユーザーの保護施策を新たに導入」
1. 「GREE」の各ゲーム内での禁止行為の検知機能を強化
2.ゲームの安全な利用を脅かす行為への、業界各社・団体と連携した対処
3.被害申告受付の専用窓口を設置
4.ユーザーへの啓発、注意喚起に関するページを開設
http://www.gree.co.jp/news/press/2012/0224_02.html

2月24日、グリーは今回の問題を受けて、以上の対策を発表しました。検知機能の強化が、シリアル番号発行に匹敵するとは思えませんが、一歩前進したことは確かでしょう。次が起きないことを祈りたいと思います。
 
グリーもDeNA社もパクリ放題
さて、モバゲーのDeNA社はどうなのでしょうか?
DeNA社に公正取引委員会から、独占禁止法の排除措置命令が出たのは、去年の8月のことです。グリーとDeNA社の両方に提供されているゲームを、ランキング外にしたり、圧力をかけたとされました。また、グリーの釣りゲームのシステムを模倣したとして、2月23日には2億円の賠償判決が出ています。
グリー側はさっそく勝利のニュースリリースをしましたが、実は全く人のことは言えません。

「こんなに似すぎで大丈夫? GREEのゲームが名前もイラストもポケモンにそっくり」
ネットで話題になっているゲームがある。大手ソーシャルゲームサービス会社のGREEの育成RPG「ポケダンモンスターズ」だ。話題になっている理由は、あの有名ゲームにそっくりだからだ。「ポケダンモンスターズ」はGREEに登場する前にすでにモバゲーやハンゲームでリリースされている。今回はその最新版になる。名前やイラストを見てもどうしても任天堂の有名ゲーム「ポケットモンスター」を思い出させる。
もちろんネットでは「これは露骨」「こんなに堂々とパクっていいの?」という声が大半を占めている。
http://news.livedoor.com/article/detail/6239412/

画像を見てもらえればわかりますが、明らかにユーザに錯誤を起こさせるデザインです。
もちろんアップルの詐欺ソフトは論外ですが、人のフンドシで相撲を取ろうとしていることには変わりありません。そしてこの騒ぎの後、まもなくデザインや名前は変更されました。

「サービス名称変更のお知らせ」
株式会社Synphonie(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長: 杉山全功)は、ソーシャル・ネットワーキング・サービスGREE」に 提供しているソーシャルゲームポケダンモンスターズ」を「ボクらのポケットダンジョン2」に名称変更いたします。
なお、名称変更に伴う提供しているサービス・ゲーム内容の変更はございません。
http://www.synphonie.com/news/2012/2064

まぁ、任天堂が黙って見てるわけはないですな。やってる方も、苦情が来なかったらラッキー程度の認識のように見えます。サービス開始が2012年1月30日。名称変更が2月2日。アップルと同じくソフトの審査をしているはずのグリーは、たった3日で名称変更するようなソフトを、なぜ審査で通したのでしょうか? アップルといい、グリーといい、DeNA社といい、ソーシャルゲーム市場は、こうしたブラックさが共通しています。
こんなことを続けていたら、結局は市場の衰退を早めるでしょう。管理をしない管理者の末路は、すぐそこまで来ているかもしれません。