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東京のはじっこで愛を叫ぶ

2012-03-18

ソーシャルの実相 本当に必要な規制は何か

| 12:42

f:id:tenten99:20120318001743j:image:w360:leftセット価格29万5000円。画像は、ヤフーオークションにて落札されたレアカードであります。所有権もない電子データが、なにゆえ高額で取引されているのか、その背景に迫りたいと思います。

そもそもソーシャルゲームは、一人ではクリアできません。コミュニティに参加して、仲間を募り、巨大な敵を打ち倒すことに醍醐味があります。本来は。

 

■換金市場(RMT)が成立するわけ

今のグリーやモバゲーソーシャルゲームは、無課金ユーザーが何人か集まった程度では、あっと言う間に壁にぶつかってしまいます。レアカードをゲットするか、持っているユーザーと一緒に戦わないと、とても先に進めません。

そしてレアカードをゲットするために、ガチャシステムが登場します。このガチャシステムに、1回300円。総計でだいたい数万円は注ぎ込まないといけません。割合でいくと、0.001%にも満たないレベルです。

しかも、実はこの割合が常に変動しているのです。もっと言うと、新しいガチャシステムが導入されて数時間。もしくはレアカードが当たるイベント戦が始まった直後は、数%まで割合が跳ね上がります。この時を狙って、集中的にお金を投入すると、他の人より遥かに低い金額で、レアカードをゲットできるのです。運営側は、この割合とユーザーの流れを常に監視してますから、数時間で割合を変動させ、当たり難く調整してしまいます。

こうして手に入れたレアカードをヤフオクなどで即座に売ると、2万円で飛ぶように売れるわけです。数万円かけても当たるかわからないなら、ヤフオクで確実に手に入れた方がマシという感覚ですね。

 

手に入れたレアカードでそのままゲームをすることもできますが、それだけではありません。ドリランドも一応RPGの体裁を取っていますから、カードにはレベルが存在します。レベル1のままでは、レアカードが持っている能力や技が使えないのです。だいたいレベル20から30ぐらいになると、レアカードの能力や技が開放されますから、それをヤフオクなどで売ると、なんと4万円で売れるのです。

 

この能力開放済レアカードで、ゲームを先に進めることもできますが、今では頻繁に行われるイベント戦に参加すると、レアカードは威力を発揮し、クリアが物凄く早くなります。イベント戦では、最終目標の敵を倒すと、ガチャシステムでは手に入らないスーパーレアカードが手に入ります。これを即座にゲットし売払うと、なんと6万円になるのです。

 

もちろんまだレベル1では、能力が開放されていません。スーパーレアカードを育ててレベルMAXにすると、いやはや8万円で売ることができます。

こうしたレアカードをセットで売ると、12万円で売れたりします。4枚セットだと15万円で売れたりします。もちろんこれらレアカードは無駄になりません。来週から始まる新たなイベント戦で使用すると、スーパースーパーレア(SSR)カードがゲットできるのです……。

 

もうこの辺でわかったと思いますが、ひたすらインフレが続いているのですね。なにしろ元はただの電子データですから、いくらでも新レアカードを出したい放題ですし、イベント戦も設定し放題なわけです。ソーシャルゲームにはエンディングというものがありませんから、延々とこのインフレに付き合うことになります。取引されるレアカードもインフレしますから、RMT(換金市場)で、一儲けをたくらむユーザーが出てくるわけです。

 

■「コンプガチャ」という悪魔のシステム

ひたすらインフレが続きますと、当然振り落とされる人が出てきます。初心者も入りにくくなってきます。ユーザー数が減ってくると、収益に跳ね返ります。これを一気に解決するために生まれたのが、「コンプガチャ」というシステムです。

出現率がある程度高い、指定されたレアカードを、5枚とか6枚揃えると、最新のスーパーレアカードが手に入るというシステムですね。コアユーザーにとっては、ただガチャシステムをするより獲得が容易で、初心者にとっては、スーパーレアカードまで行かなくても、ある程度高いレアカードがゲットできて満足できるという、「ウィンウィンの関係」が築けるシステムです。この「ウィンウィンの関係」という言葉が、ソーシャルゲームベンダーは大好きです。

 

「コンプガチャ」では、あと1、2枚くらいまでは、わりとすぐに揃います。しかしその辺りで突然難しくなります。ユーザーはそれまでの成功体験があるので、「あと1枚」「あと1枚」と、お金を注ぎ込んでしまうわけですね。またガチャシステムは、時々前触れなく確率が上がったりします。重課金者を尻目に、超初心者がレアカードをゲットできてしまい、その成功体験によって、初心者は重課金者者の道を歩くことになります。これらガチャシステムの確率は、常に運営が監視し、ユーザー動向を踏まえて、変動させています。

 

しかし、これは本来とんでもない話です。パチンコで想像してみてください。

座った台がなかなか当たらないと、店員が出てきて、「ちょっと変えますねぇ」と出玉率調整をします。すると突然当たり始め、プレイヤーはほくほく。ところが最初の損を取り返しそうになったところで、またまた店員が出てきて、「ちょっと変えますねぇ」と出玉率調整。あれ? 急にでなくなったぞ? おかしいな? さっき当たったから、また当たりがくるかもしれないと金を注ぎ込み、結局最初の時より大負けしてしまいました。こんなこと店がしたら、店員がぶん殴られますよ。

もちろん殴る必要はありません。警察に通報すれば一発でアウトです。出玉率調整は、風適法の禁止行為。実際に逮捕される店主が出ています。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風適法

第9条第十(著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準)

遊技の公正を害する調整を行うことができる性能を有する遊技機であること

遊技の結果が偶然若しくは客以外の者の意図により決定されるおそれが著しい遊技機であること


そもそもですね。警戒してる相手を小額で勝たせ続け、調子に乗って大金を掛けたところを一気に巻き上げるというのは、イカサマ博打の常套手段です。それこそ日本では「丁半博打」のころからある、古ーい手法ですよ。そんなもの違法に決まってるじゃないですか。

人の出入りを監視し、逃げられないように確率を調整する。「生かさず、殺さず」でカラカラになるまで絞り取る。それをソーシャルゲームの皮をかぶせるだけで、「新しい産業だ」「次代の旗手だ」ともて囃すのは、はたして正しいことなのか。

グリーやDeNA社 は、これを「ウィンウィンの関係」だと言います。成功体験を提供するサービス業だと言います。まぁ確かにコンプガチャでレアカードが手に入れば嬉しいですよね。あと1枚なのに、全然当たらなくなるとプレッシャーが掛かります。実際お金が掛かっているんだから、凄いプレッシャーです。そして最後に当たりを引き当てると、それまでのプレッシャーから開放されて、素晴らしい満足感、達成感が得られます。さらに運営から、あなたは何百万人中の何位だとお知らせが来て、優越感も得られます。そしてすぐに次のお誘いメールがやってきます。「来週、新たなイベントが始まります。是非、次も成功してください」……。 

しかも、お誘いメールは、運営からだけではありません。強いカードを持っていることで、他のユーザーからもお誘いメールがやって来ます。メールがたくさん来れば来るだけ、「自分は頼られている」と生き甲斐すらも感じることができるのです。 ハマってしまうゲームユーザーが出る仕組みです。

まぁ本来「賭博罪」は、当事者双方が危険を負担していないと成立しません。ガチャシステムのように、当事者一方が完全に勝敗を支配している場合には、「詐欺罪」ですわね。所有権がない電子データであり、法整備もされていないおかげで、「ゲームのバランス調整である」という主張が通ってしまっていますが、本当にそれが正しいことなのか、もう一度考えたほうがいいと思います。

 

出会い系サイトと化している側面も

最後にコミュニティを利用して、出会い系代わりに使うユーザーがいます。もちろんグリーもDeNA社も異性との出会い目的行為を禁止しています。とはいえソーシャルサービスというのは、他人と交流してナンボのサービスですから、規制なんかそもそも無理なのです。グリーで出会い目的のしつこいユーザーを運営に通報しても、その人のIDが禁止されたという話は、ほとんど聞かないくらいですしね。

もちろん、ただの出会い系で済まない事件が起きているのも、報道のとおりです。

「18歳未満の少女に売春させた容疑 府警、組員ら逮捕 大阪

逮捕容疑は、今年5月、大阪市内の少女が18歳未満だと知りながら、寝屋川市内のホテルで男性客に売春させたとしている。

同課によると、両容疑者インターネットの大手コミュニティーサイト「GREE」を通じて少女と知り合い、客から受け取った金は少女と分け合っていたという。

http://sankei.jp.msn.com/region/news/111013/osk11101302070004-n1.htm

普通は、そう簡単に暴力団と関係なんてしませんよ。しかし携帯が高性能化し、親の目の届かない交流が拡大すると、こういう形で足を踏み外す場合が出てくるわけですね。誰も訴えない。規制する法も無い。まだ警戒心の弱い未成年もウジャウジャ。プロフィールには簡単に自分の写真を載せる人もいるくらいとなれば、暴力団が手を出さないわけがありません。

 

モバゲー、グリーは、世界でも特殊

3月5日から9日までアメリカで開かれていた「GDC」(Game Developers Conference)において、世界のソーシャルビジネス動向が発表されました。そこで改めて明らかになったのは、世界のソーシャルビジネスの収益鈍化と、モバゲー、グリーのガチャシステムによる高収益の特殊さです。

クラウド化で環境一変 ソーシャルゲームが競う世界展開」

日本ではDeNAとグリーの2社が、携帯電話を中心にソーシャルゲーム市場で圧倒的な寡占状態を作り上げている。しかし好まれるゲームのタイプが違いすぎるため、日本のゲームを他の地域に持ち込んでも成功は容易ではないという印象が強い。同様の理由で他の地域のゲームを日本に持ち込んでも成功させることが難しいだろう。これが国単位かつ世界レベルで起こりつつある。

(中略)

しかもどのゲームもユーザーが遊び始めた当初にはコストがかからない「F2P(フリートゥープレイ)」 と呼ばれるフリーミアムモデルが前提のため、莫大な収益に結びつきにくい。日本の2社が大きな収益を得ているケースは、世界でもかなり例外的なものととらえられていた。

http://www.nikkei.com/tech/personal/article/g=96958A88889DE1EBE7E7E5EAE5E2E3E1E2E1E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2;p=9694E3EAE3E0E0E2E2EBE0E4E2E7

海外には7億人という途方もないユーザーを持つ「フェイスブック」と、パソコン向けゲーム配信サイト「ジンガ」がありますが、収益自体に目を向けると、上の記事にあるように、モバゲー、グリーより低いのです。

それだけガチャシステムという代物が特殊なのですね。海外で「オンライン賭博規制法」によって運用できないこのシステムが、莫大な利益を生んでいることに、「ガチャシステムっておかしくね?」って疑問を感じる時期に来ているのではないでしょうか?


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