野球漫画

野球をテーマにした漫画には名作が多い。ブームやその時流行っているスポーツとは関係なく、コンスタントに名作が出る。というわけで最初は野球漫画について紹介することにする。なお、俺は巨人の星世代、ドカベン世代ではないのでこの辺りは外してあることをご了承下さい。

花男 (1) (Big spirits comics special) 花男 全3巻

父親とキャッチボールをした楽しい思い出がある人は、この作品を2倍、3倍と楽しむことができるだろう。俺には無かったのでちょっと損している。正確に言うとこれは野球漫画というよりは親子漫画なのだが、この作品の感動の前にはそんなジャンル分けなどなんの意味も無い。「冷たいか、茂雄。それが海だ!!」
松本大洋という人は『幸福』を漫画に描き出すことができる希有な才能を持っている。彼と同じ時代に生まれて、彼の才能に触れずにいるのは大損だと断言できる。

メイプル戦記 (1) (花とゆめCOMICS) メイプル戦記 全3巻

さっき松本大洋を“『幸福』を漫画に描き出すことができる希有な才能”と書いておいて下の根も渇かないうちに断言してしまうが、このメイプル戦記の作者の川原泉も『幸福』を漫画に描き出すことができる希有な才能である。なんかもう・・・なんかもうたまらんのだ。全然漫画評になってないが、そんな感じなので仕方が無い。ただ一つの難点は少女漫画家であるゆえか、ピッチャーのフォームが全員同じ(スリークォーター)であるところだが、それくらいは目を瞑ろう。
この“メイプル戦記”は“甲子園の空に笑え”の続編なので、そちらもおすすめである。

ダイヤモンド 1 (ビッグコミックス) ダイヤモンド 全7巻

あんまり人に知られて無いような気がして不思議に思っているのがこれ。しがらみやプライドに捕われたプロ野球選手達が、ただ一人の馬鹿(主人公)に影響されて、自分が野球が好きで好きでたまらないただの野球小僧であることを思い出し、無心にボールを追いかける子供に戻って行く。あぁ、なんだかたまらん。こういう風な話は今のところプロ野球でしかできないでいる。それだけ今のプロ野球に悪い意味でプロらしいイメージが付いているってことなのかもしれない。
個人的には主人公のエピソードよりも、早川兄弟の対決がおすすめ。

ペナントレースやまだたいちの奇蹟 1 (ジャンプコミックス) ペナントレースやまだたいちの奇蹟 全12巻

こせきこうじの漫画の代表作は一般的には“県立海高校野球部員山下たろークン”なのかもしれないが、俺はこっちを推す。
この漫画もテーマは野球バカ野球バカ野球バカである。野球漫画は必ずと言って良い程根底に野球バカの血が流れているが、この漫画のその血の濃さは尋常では無い。また例によって主人公やまだたいちに影響され、チームメイトや対戦相手が野球バカに戻って行くのだが、それを『たいち菌に感染した』として描写しているのは開き直ってるのだかなんだか分からないが、天才だと感じた。こせきこうじ先生は山下たろーに編集者や先生やらせるぐらいなら、山田太一と山田泰二の兄弟対決を書いて欲しい。
しかし何で野球バカはこんなに感動を誘うのだろうか?俺は別に野球が好きなわけじゃないのに。古本屋で立ち読みしてて泣きそうになった。

逆境ナイン 1 (少年キャプテンコミックス) 逆境ナイン 全6巻

これはもう野球とかそういう次元ではない。凄まじい!凄まじい勢い!何度も書くようだが野球がどうこうではない!島本和彦の個性が全開(良い意味でも悪い意味でも)になっているこの漫画は、島本好きなら必ず見るべきである。こういう大真面目だが全速出し過ぎてブッ飛んでしまうというタイプの漫画は、よく着地できなくて竜頭蛇尾で終わってしまう(島本作品でもよくある)が、一応着地に成功している。(一応だ) 
来年、復刊するという噂もあるので是非買ってみて欲しい。

ONE OUTS 1 (ヤングジャンプコミックス) ONE OUTS 〜12巻

おおきく振りかぶって (1) おおきく振りかぶって 〜2巻