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In Jazz

2017-12-29

話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選

| 21:36

さて、今年もやってまいりました。話数単位で選ぶ、TVアニメ10選です。

「話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選」参加サイト一覧: 新米小僧の見習日記

毎年、放映されたTVアニメの中から話数単位で面白かった回を選ぼうという企画。

新米小僧の見習日記さんが集計されている、年末の恒例企画です。大まかなルールは以下の通り。


ルール

2017年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・順位は付けない。


ブログは7回目の参加です。なお過去の10選は以下のリンクから。

話数単位で選ぶ2011年TVアニメ10選 - In Jazz

話数単位で選ぶ2012年TVアニメ10選+α - In Jazz

話数単位で選ぶ2013年TVアニメ10選+α - In Jazz

話数単位で選ぶ、2014年TVアニメ10選+α - In Jazz

話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選 - In Jazz

話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選 - In Jazz

筆者としては「記録を残す」という点で、企画に参加してます。この年にはこんなの見てたんだなあと思い返したりも出来ますしね。また一年の総決算として、参加しやすい企画というのもあります。

筆者の10選をコメントを添えつつ、紹介していこうと思います。

なお地上波放映日も明記しています。なおスタッフ名等々は敬称略です。


《話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選》

1.つぐもも 8本目「ある日の加賀見家/モテモテフレグランス」(5/22)

つぐもも VOL.4 [Blu-ray]

つぐもも VOL.4 [Blu-ray]

脚本:倉谷涼一

絵コンテ玉川真人

演出:宇都宮正記

作画監督:横田和彦、北村友幸

総作画監督:中原清隆、桜井正明

《コメント》

サイレント日常劇と惚れ薬トラブルラブコメの二本立てエピソード

実は絵コンテ演出は3年前の話数10選で取り上げた「プピポー!」第6話と同一スタッフ。まあ自分の好みが変わってないだけかもしれないけども。先の話数ではショートアニメの短い尺の中で連続ドラマのような演出で密度の濃いエピソードを組み立てていた。今回はAパートBパートで別エピソードという構成の中で、それぞれ特色の違った演出してて興味深い作りでしたね。特にBパートのエピソードゾンビパニック的なホラー仕立ての演出にしていた妙味が面白かったなと。エロとホラーの相性がいいのもあってお見事でした。

作品自体はAIC作品調ラブコメの趣があって、気軽に楽しめたのが良かった。今年は同じく3年前に取り上げた「愛・天地無用!」に参加されていた本作の監督、倉谷涼一さんにこの話数の演出宇都宮正記さんに「亜人ちゃんは語りたい」監督、安藤良さんと注目していた方々がキャリアを積まれていたのが楽しかった一年でもありました。


2.覆面系ノイズ ♭03「どうしても、いますぐ」(4/25)

脚本:赤尾でこ

絵コンテ演出:樋口聡美

作画監督:中野圭哉

《コメント》

エモーションにエモーションがぶつかり、重なり合う。

少女漫画原作でバンドもの。となると当然、恋愛も絡んでくるのだがそれ以上にCOALTAR OF THE DEEPERSNARASAKIさんを主軸にしたバンド楽曲の質の高さに目を見張るものもあって、そちらも存分に楽しませてもらった作品でもある。同時に主人公、有栖川仁乃を演じる早見沙織さんにここまで声を歪ませ、叫びを振り絞させるのかという演奏シーンもあったり、少女の行き場のない衝動がノイジーなオルタティヴロックによってエモーショナルムーヴとなっていたのが良かった。

選出話数はクライマックスの情動のぶつかり合いに唸った。精神的なトラウマで歌うことの出来ないニノの幼馴染、ユズの「声にならない」歌にニノの力強い歌が雨の降る屋上で重なり合うドラマティックな演出が際立って良かった。この回を担当された樋口聡美さん、アニメーターとしては中堅のキャリアですが、演出家としてのキャリアはまだ浅い方なので、今後が期待されます。


3.Just Because! #01「On your marks!」(10/5)

脚本: 鴨志田一

絵コンテ小林敦

演出:須之内佑典

作画監督:吉井弘幸 中野圭哉

《コメント》

さまざまな「空気」の変化を徹底して捉えることに努めた作品だったように思う。

高校最後の冬を舞台に、登場人物たちの定まりきった「進路」へ一石投じるように転校生がなんとなく一人。物語はそんな些細な出来事を皮切りにして、繊細に動き出す。ここでいう「空気」はもちろん「空気を読む」の「空気」。画面には見えない「感情の細波」が重なって、交差する。その為に微細な表情を可能な限り描き、ロングショットで人物を捉え、画面上の言葉と動きで「人のなり」を表す。アニメという「物語と画面」に漂う空気を掴もうとした意欲的な映像だった。

転校生という「一石」が投じられたことによって、波紋が連鎖していく。そうやって重なった動きが映像となって現れた時、見た者の心に「感情」が生まれるわけだがそれが一番上手く画面に込められていたのがこの話数だと思う。「in unison」のメロディが鳴り響く中で人物たちの行動が重なる一方、一人だけ綻びがあるのも誠実な作りだと感じた。最終回を見た後だと、物語の始まりと終わりが対になっていてより「雰囲気(空気)」が変わったことに気付けるかと。


4.冴えない彼女の育てかた♭ 第10話「そして竜虎は神に挑まん」(6/16)

脚本:丸戸史明

絵コンテ亀井幹太

演出:大橋一輝

作画監督:ini、吉田優子、石田一

総作画監督高瀬智章、栗原優・福地友樹

《コメント》

斯くして相反する二人は愛ゆえにお互いの手を取る。

個人的に今年の百合指数マックスな画面はこれに尽きるかと。なんだか本筋そっちのけで、詩羽先輩と英梨々の関係を掘り下げるだけ掘り下げてくれたのに対して感謝しかないというか。仲のすこぶる悪い二人が共闘するために、お互いを認め合う(性格の相性が良くないだけで、作品はハナから評価していたけども)展開がとても良かった。冴えカノの二期は1話(※0話ではなく)から彼女たちの関係が裏テーマで扱われていた事が、10話での爆発が繋がったのなあと。

翻って、本命になれないヒロインたちの処理としてはNTRに近い形でもあるんだけど、倫也を慕っているからこそ「仕事」を選ぶ感じが二人の関係性が高まっていくようにも思えて、良さしかない。その彼女たちが立ち向かうべき「障壁」としての紅坂朱音を演じた生天目仁美さんの演技も素晴らしかった。厳しい荒波に立ち向かうがごとき冬の情景も彼女たちの感情に重なって、堪らない話数でした。


5.ネト充のススメ 第8話「一歩前へ踏み出した」(11/28)

脚本:山田由香

絵コンテ田中雄一

演出:橋口淳一郎

作画監督:南伸一郎、今橋明日菜

総作画監督:山田史

《コメント》

森子と桜井、現実とネット。お互いの存在が重なった時、改めてその先に踏み出される一歩。

17年秋クールアニメは、個人的に「作画カロリーを抑えながら、画面を演出する」作品が目立っていたという印象。本作もそういう点では非常に職人的な画面設計が印象的で、情報と作画のバランスが細部に渡って丁寧だった。全体には小品的な域を超えなかった佳作ではあったが、その食い足りなさも含めて、ライトなノリのドラマ志向で気軽に見られたのも大きな要因。なんだかんだで視聴時は続きが一番気になった作品ではあった。

いい塩梅、というに相応しい作品で下手な足し引きをせず、脚本の良さを作画が下支えしていた。行間の地味な芝居を逃げず、丁寧に表現していて「神は細部に宿る」とはこのことか、と思わされる。きちんと作品が煮含まれていて、何気ない良さだったなと。物語の方では「実は」00年代以降の物語スタンダードとなっている「電車男」の良さをシンプルに咀嚼した、小気味いいフィクションだったと思う。とかく全体の雰囲気や画面作りに匠の技を感じた作品。森子と桜井がお互いの心の隙間を埋めあっていた、という丹念な演出が光る話数だったかと。


6.プリンセス・プリンシパル 第2話「case1 Dancy Conspiracy」(7/16)

脚本:大河内一楼

絵コンテ:詩村宏明

演出:伊部勇志

作画監督:大高雄太、金丸綾子、青木昭仁

総作画監督:鶴窪久子

《コメント》

プリンセスとアンジュの邂逅にして再会。そして物語は始まった──

女子高生スパイアクションスチームパンク、という一歩間違えばバランスを崩しかねない組み立て方の作品において、一番「スパイしていた」一本。任務の緊張感と駆け引き、あるいは作品の背景説明、キャラの相関関係などなど、これらの歯車が噛み合った、二転三転する展開が面白かった話数で作品の魅力が伝わるという意味でも勝負の一本だった。その上で、イギリス王室の姫を仲間に引き入れるという展開、そのもう一段上を見せていく重ね方も面白い。

惜しむらくはウェルメイドに進みすぎて、物語展開的には「スパイもの」として波風があまり立たなかったのが残念といえば残念。欲を言えば、魅力のある世界をもう少し掘り下げて欲しかったというのと、任務に関わる所でもう少し苦味や痛みを出して欲しかった部分もあるが、そういう辺りからも選出話数における演出の切れの良さを買いたい一本。


7.ACCA13区監察課 第8話「翼を広げた王女と友のつとめ」(2/28)

脚本:鈴木智

絵コンテ演出作画監督:小嶋慶祐

《コメント》

個人的に原作ファンとしても納得の傑作回。リアルタイム視聴してて、前の7話から原作未読視聴者の反応をニヤニヤして眺めてました。1クールで作品の終わりまで描くとなった時、物語の全容が明らかになる一番のターニングポイント回になるのは自明の理だったのもあって、どういう風に演出してくるかが楽しみだった話数でもあります。その点では見事期待に応えてくれた回、という印象。小嶋慶祐さんによる演出が良かったというのもあるけど、この回においては色彩設計もお見事だったと思う。

淡い寒色系の主線を使った過去回想のシーンなど、ノスタルジーとして語るのではなく、「在りし日の事実」を「過去」として語る色の組み立て方はこの話数が抜きん出ていたように思う。物語全体からしてもそういった色彩の使い分けと背景美術の上手さが非常にマッチしており、作品を根幹から支えていた。同時に脚色と構成も非常に巧みで、原作漫画の魅力を上手く抽出したアニメ作品のお手本という印象で映像化に恵まれた作品でもあったのかなと。音楽を担当された高橋諒さんの劇伴BGMや主題歌も良かったです。


8.魔法使いの嫁 #11「Lovers ever run before the clock.」(12/16)

脚本:高羽彩

絵コンテなかむらたかし

演出:二宮壮史

作画監督:高部光章、井川麗奈

総作画監督加藤寛崇

《コメント》

古き魔法使いリンデルから語られるエリアスの過去。それを聞いたチセは、魔法の杖を作りながら何を思うのか。

悔しいが、白旗を上げざるを得ない。むしろここまでやられてはぐうの音も出ないというか。なかむらたかしさんが自身の監督作「ファンタジックチルドレン」以来、実に13年ぶりのTVアニメ演出したのにまず驚き。それがこの作品であるということに個人的には複雑な感情が入り混じるが、4、5話の絵コンテ参加に引き続き、10、11話絵コンテと、1エピソード前後編(これはシリーズ全体の構成でもある)でたっぷりと魅せられてしまった。

4、5話の対比としての10、11話となっていて、男女の関係、ひいてはエリアスとチセの関係を掘り下げたものになっている。愛こそ極上の「狂気」であり、人はそれに束縛、支配される(4、5話)に対して、彼岸の際に立つエリアス(人でも妖精でもない中途半端なモノ)とチセ(生きる事への執着がおよそない人間)がお互いの愛を確認できるか(10、11話)、という「変化と成長」を描く物語という点においては十全過ぎるほどの演出だったかと。

とにかく自然物の動きや生活描写、情景を登場人物が込める感情へとフォーカスした非常に実の詰まった画面であり、映し出されているもの全体を捉えて物語が紡がれる密度の濃さが堪らない。特に挿入歌「イルナ エテルロ」が流れる一連のシーンのあまりに祝祭的なムードは氏の作品を見ていると感慨深いものをいやがおうにも感じさせられてしまう。そんな画面の強さにただ平伏せざるを得ない一本だった。


9.URAHARA 第10話「マルノミクィーン」(12/8)

URAHARA Blu-ray-BOX

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※全話収録BOX

URAHARA Vol.4 (豪華版)[Blu-ray]

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※単巻版Blu-ray

脚本:大草芳樹

絵コンテ:前島健一

演出:久保山英一

作画監督:松本勝次、加藤壮、福田瑞穂

総作画監督藤田まり子

《コメント》

創作を賛美しつつ、そこから叩き落して抉る容赦なさを感じた。

先に挙げた「ネト充のススメ」と同様「作画カロリーを抑えながら、画面を構成」する作品だった。とはいえ、画面の組み立て方が先の作品とは異なっていて、「気持ちよさ」よりは「ぎこちなさ」を押し出していた、と思う。言い換えれば、「居心地の良さ」より「居心地の悪い」画面を意図して組み立てていたように見えたのが本作。その「居心地の悪さ」が噛み合った時に生み出される化学反応を目指していた、はず。

作品テーマはダイレクトに「創作」でクールの折り返しを機に、主役である少女たち三人の創作に対する向き合い方がダークサイドへと踏み入れた展開をいったん清算してから、さらに「無邪気な悪意」で冷や水をぶっ掛けるこの話数の展開になにか女性らしい非情さに感じ取って、打ち震えた。作品の可愛らしい雰囲気に表裏一体で潜む優しさと残酷さによって「クリエイターとしての女性」が浮き彫りになっていた。百合描写の糖度も中々のもの。

惜しいのは本作で用いられた手法が物語へとあまり機能していなかったので、化学反応が期待値より下回ってしまったことか。しかしその鈍い画面が返って生々しさを伝えていたのも事実で、避けて通れない力のある興味深い一本だった。監督の久保亜美香さんと演出主任の荒川眞嗣さんが主導しただろう、画面分割演出の多用もなにかアートの味わいを感じるのも印象深い。

  

10.THE REFLECTION EPISODE.12「ザ・リフレクション」(10/7)

脚本: 鈴木やすゆき

絵コンテ伊勢昌弘、藤原良二

演出:伊勢昌弘、浅見松雄、加藤顕、そ〜とめこういちろう

作画監督小林一三佐藤浩一、小田真弓、大塚八愛、小林利充

総作画監督:山田正樹

《コメント》

なんだかんだで「時代の空気」を掴んだ作品だった、という印象。

アメコミ界の巨匠、スタン・リーを迎えて、彼の作ったマーヴェル・ヒーローズの亜種的なヒーローたちが「アべンジャーズ」的物語を繰り広げている作品ではあったが、「力を持つ者たちが被差別者かつ忌避される存在」という現実的な視点が一枚加わっている事で、現代社会を突いていたと思う。「不寛容」が蔓延する社会が露わになっていく毎に物語の面白さが尻上がりに良くなっていったので、その点についてはシナリオとプロット勝利だろう。

なおかつ群像劇的な物語でもあったので、選出した最終話における各人物たちの倒すべき悪へと一点に集中した時の相乗効果も強かった。社会が不寛容を求めるのならば、オセロの表裏をひっくり返せばいいという敵に対して、共存する道を模索すべきという答えを導くヒーローの対立構造にはなんだかんだで現代的なニュアンスを感じ取る。白黒がはっきりと分かれるのではない、人間的な構図が本作の主役、エクスオンやエレノアヴィランたちにも背負わされているのが作品らしい特徴だなと思えた。長濱監督から二期製作の宣言もあったので、素直に続編を待ちたいと思わせる作品でした。


以下は次点作品。

<次点作品>

魔法つかいプリキュア! #49「さよなら…魔法つかい!奇跡の魔法よ、もう一度!」(1/22)

キラキラ☆プリキュアアラモード #25「電撃結婚!?プリンセスゆかり!」(7/30)

ID-0 DIG 10「縮退履歴 COMPRESSED SIN」(6/11)

戦姫絶唱シンフォギアAXZ EPISODE 1 「バルベルデ地獄変」(7/2)

BanG Dream! #4「怒っちゃった!」(2/11)

亜人ちゃんは語りたい 第1話 「高橋鉄男は語りたい」(1/8)

恋と嘘 第1話「初恋」(7/4)

ナイツ&マジック 第2章「Hero & Beast」(7/9)

THE REFLECTION EPISODE.05「ヴィーとマイケル」(8/19)

        EPISODE.07「チーム・アイガイ」(9/2)

URAHARA 第2話「ポップコーンパニック」(10/12)

第7話「サクラモチブルー」(11/16)

つうかあ #04「Swap Meet」(10/31)

     #08「Engage」(11/28)

     #12「Ladies, Start Your Engines!」(12/25)

魔法使いの嫁 #05「Love conquers all」(11/5)

  

2017年の総括》

2017年はどういう年だったか。

良くも悪くも激動の年であった、2016年と比べると世界を揺るがすような大きな出来事は多くはなかった。いやもちろんもっと精査していけば、あらゆる所で様々な動きがあったとは思う。世界情勢や国内の動向はTVに限らずSNSなどをそれとなく眺めていれば、流れてくるニュースや情報で知ることは可能だ。が、ここはそういう話題を語る場でもないのでざっくりと触れるだけに留めておくが、時代の空気はなにかしら「淀み」を帯びたものになってきているように感じてしまう。

個人的に今年の一年は「多様性」に潜む「不寛容」が見えた年だった。そしてこの「不寛容」こそが2017年という一年を象徴するテーマだったのだと今振り返ってみれば、興味深い。

結果的に今年のTVアニメ最大のヒット作となった「けものフレンズ」にまつわる一連の出来事はまさしく、この「多様性」と「不寛容」を象徴するものだったようにも思えるし、「多様性」が一種の社会理想論として持て囃される一方でその実、それが「不寛容」なくして成立し得ないという張子の虎のような言説であったというのが白日の下にさらされていく。件の「けものフレンズ」でなくても、この「多様性不寛容」は社会のさまざまな場所で発生しえる事象だろうと思う。現にSNS界隈では日常茶飯事のように「多様性」が承認され、「不寛容」によって否定されていく。スイッチがON/OFFに切り替わるように。「多様性」をあるべき姿であると言いつつ、受け入れないものについては「不寛容」を貫く。そういった図式や構図がドラスティックに氾濫し、大小さまざまな方面で「不寛容」が強調され、混乱していった、そんな一年だったように思える。

今年の10選は「不寛容」が氾濫し、内憂外患が絶えない状況を孕んだ作品とそういった現代において「普遍的なもの」を描いた作品の二極端に分かれたようにも思う。個人的な観測範囲で恐縮ではあるが、スパイものや権謀術数な展開に進む物語が印象的であった一方で、男女の関係や人間関係を真正面に描く話が同じ年の10選でピックアップ出来た事に面白い符号を見出してしまう。

社会というシステムに渦巻く「思惑」があちこちに淀んでいき、得体の知れないものと化していく一方で、個人は情報発信源となって、浅い繋がりや卑近な関係性を強めていく。現代において、「確かなもの」を考えた場合、それが社会ではなく個人間の関係性であるという帰結は良くも悪くもありがちな、あるいは安直さはあるが、やはり危うさも否定はできないだろう。現にそれを国家レベルで言い換えるなら、民族主義であったりアメリカ第一主義だったりに飛躍して考えることもできなくはないし、気持ち悪い連帯感や同調圧力へと変わっていったりもする。要は「不寛容」な空気に囚われることに他ならないだろうと思う。

SNSの発達による、かつてない膨大かつ多様な情報の氾濫。それによって社会全体に蔓延する「不寛容」をどう対処するか、という課題が出たことが2017年という一年を象徴しているのではないだろうか。その背景に「多様性」があり、そのカウンターとして出てきていることからも鑑みて、何かしらの「線引き」があって然るべきとなるのか、とことん排他的な方向へ進んでいくのかはまだわからないが、日本においてはまもなく「平成」という一時代が終わりを迎える。この情勢は「時代の変わり目」によるものなのか、その判断は時間の経過が必要となりそうだ。嵐の前の静けさなのか、時代の曲がり角なのか。それはまだ誰にもわからない。

《最後に》

さて、ここまで書くといよいよ今年もあと少しって気分になりますね。

今年は各クールに自分の見れる作品があったので楽しめた一年でしたかね。あと個人的には映画を結構楽しんで見ていた一年だったなあと。自分は各クール全作チェックなんて面倒くさいことはせず、アンテナに引っかかったものだけ見るという視聴スタイルなので好みが合わなければ話題作も見ません(今年はなんとなしにがんばって視聴したものもありますがそれはそれとして)。最初にも書いたように、「今年の視聴履歴」的な側面が強い中での選出なのでそういった部分で自分の好みの部分が出ていれば、参加する意味はあるのかなと思ってます。

まあ、なんにせよ。終わってみれば今年は「けものフレンズ」に始まり、「宝石の国」で終わるという3DCGアニメ作品の隆盛を見た一年だったのは間違いないので、今後その流れがどうなっていくのか。またNETFLIXという黒船アニメ攻勢がどう影響を及ぼすのか、というところが来年以降の展望でしょうかね。面白い作品が出てきて、楽しめればそれに越したことはないわけですが、どうなっていくのか注目です。

個人的に来年は「とある作品」に集中して追っかけることになりそうなので、そこが楽しみでもあり。話数10選は昨年も言ったように発表される作品次第です。ただストリーミング配信オンリーの作品も出てきそうですし、いよいよ「TVアニメ」という言葉が形を変えていくことにもなりそうですし、いろいろな転換点が押し迫ってきていることは確かですね。今年、国産アニメは100周年を迎え、来年は次の100年に向かうスタートの年。そして実質「平成」の最終年です。いろいろな節目がやってくる中、自分も何かやれたらいいなと思う次第。もちろん話数10選も。

とまあそんな所で。以上が「話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選」でした。自分と関わりになった方々には本年もお世話になりありがとうございました。来年もまたお付き合いいただければ幸いです。

それでは今年も残りわずかですが、よいお年を。

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