だからスポーツ新聞はダメなんだよ!渡辺会長の大放言をそのまま掲載のテイタラク!

スポーツ新聞消滅。これはあり得るな。朝日新聞讀賣巨人軍の巨額契約金問題をスクープして以降のスポーツ新聞を読んでいると、そう思う。朝日新聞を批判するでなし、讀賣巨人軍や親会社の讀賣新聞を批判するでなし、ただ流されているだけなのだもの。いつものパターン。もともと新聞記者であったこともあって、新聞記者に対してサービス心が旺盛な渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長にして球団会長)に群がって、その一方的な、日刊スポーツによれば「口撃」をそのまま無批判に紙面に掲載する。それが大本営発表ジャーナリズムの典型であることに何の恥じらいもない。

新人選手の契約金問題を朝日新聞に報じられた巨人の渡辺恒雄球団会長(85=読売新聞グループ本社会長)が19日、ついに沈黙を破った。都内のホテルで会食後に報道陣に対応。謝罪の要求にも応じなかったライバル社を「朝日の品格が下がった」と痛烈に批判し、法廷闘争も辞さない強気な構えを見せた。また、内部文書を流出させた人物については「泥棒だな。1人しかいない」と、前球団代表の清武英利氏(61)と決め付けた。

これは日刊スポーツの記事だが、朝日新聞がスクープした巨額契約金について日刊スポーツの記者をはじめ、その場にいたスポーツ新聞の記者諸君は一切問い質さなかったのだろうか。読売新聞+巨人軍のいわば身内にあたる報知新聞であればまだしも日刊スポーツにしてからが、このテイタラクなのである。彼らが渡辺に質したのは朝日新聞に対する今後の対応に関してだけであった。要するに「御用聞き」と同じレベルなのである。こちらはスポーツニッポン

小さくても怒気を含んだ声が、地下駐車場に響いた。都内ホテルで会食を終えて、帰りの車の前で足を止めた渡辺会長。朝日新聞への今後の対応について聞かれると、声が一段と強くなった。
「法的措置?こっちはもっと迫力のあることをやるつもりだ。法的措置ってのは民事だよな。刑事もありうる。それを調べている」。内部文書の流出を、刑事事件として扱う。まさに一歩も引かない強硬姿勢だ。

こうした記事が当然のごとく罷り通るのは、わが国のスポーツ新聞の歴史が歪んでいたからにほかなるまい。どの新聞も所詮は読売巨人軍のPR紙、広報紙の域を出ない報道を是として積み重ねてきた結果なのである。わが国におけるプロスポーツは野球を中心とし発展し、そのプロ野球ビジネスは読売巨人軍を中心にしていた。スポーツ新聞も報道はプロ野球に偏っていたし、プロ野球に偏っていたということは読売巨人軍に偏って報道してきたのである。スポーツ新聞のビジネスは巨人に寄生することなしには発展できなかったのである。現在でも、スポーツ文化が以前よりも遥かに多様化したとはいえ、スポーツ新聞はそうした寄生ジャーナリズムの歪みを克服することなく現在に至っている。読売巨人軍の内部文書を流出した人物が何故に朝日新聞に持ち込んだのか、また渡辺によれば「大新聞のやることじゃない」スクープに朝日新聞が報じたかと言えば、穿った見方をするならば、スポーツ新聞のテイタラクを反映しているのである。
そもそも今回の読売巨人軍の巨額契約金問題からして、こうした歪みとは無縁の問題ではあるまい。当時、ドラフトで逆指名制度を導入したのは、勝てない巨人の焦りだろう。プロ野球がビジネスとして読売巨人軍に言葉は悪いが寄生するような形でしか発展できなかったため、巨人が強くなければプロ野球自体が滅んでしまうという危機感が間違いなく存在し、その焦りが逆指名制度に結実したということだ。そして有望な新人から逆指名を受けるためには巨額契約金が必要であったし、一方、経済的な自立をはかれない他球団からすれば、新人獲得の予算を抑えるために、読売巨人軍の立場からすれば「最高標準額」など必要なかったが、たとえ「緩やかな目安」であったとしても導入してあげたのである。こう考えるのが最も妥当であろう。今回、朝日新聞の振りかざした「正義感」は、プロ野球の側からすれば、余計なことであったし、スポーツ新聞もまたプロ野球の側の住人にしか過ぎないのだ。こうした構造がプロ野球ファンにも、スポーツ新聞の読者にも見えてしまっている。だから、朝日新聞にも、読売新聞にも、数多あるスポーツ新聞にも、今回の件では嫌気がさしているのである。何かこう、もやもやが晴れない。そんな毎日がプロ野球開幕までつづくのだろう。