【文徒】2014年(平成26)9月4日(第2巻168号・通巻370号)

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1)【記事】朝日新聞「T JAPAN」の配布方法に異議あり
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】朝日新聞「T JAPAN」の配布方法に異議あり

朝日新聞社集英社ニューヨーク・タイムズ社は「ザ・ニューヨーク・タイムズ・スタイル・マガジン」の日本版としてフリーマガジン「T JAPAN」を3月25日に発行する。朝日新聞は、こう書いている。
「年4回、約20万部発行し、首都圏の一部地域の朝日新聞読者や、集英社のファッション通販サイトの一部顧客に配る」
この記事では「首都圏の一部地域の朝日新聞読者」とボカして書いているが、これは「朝日新聞社の宅配データに基づいた首都圏の最富裕層エリア」ということになるのだが、つまり「最富裕層エリア」に住んでいないと、同じ購読料金を朝日新聞に支払いながらも、「T JAPAN」に掲載された知的で愉快な情報を享受できなくなるということだ。
貧乏人にはハナから知的で愉快な情報を与えないという「差別意識」がそこには潜んでいないのか。朝日新聞社格差社会に拍車をかけることを是としているのだろうか。これが有料の雑誌であれば、ブランドと縁もゆかりもない生活を送っていたとしても、書店で760円を出して、モード誌「シュプール」を買えば、しばしブランドが織りなすモードの世界を味わえるのである。
http://www.asahi.com/articles/ASG915DJLG91UCVL011.html
http://mdpr.jp/news/detail/1411800
http://www.wwdjapan.com/business/2014/09/01/00013596.html
朝日新聞社行動規範のなかには次のような一文が掲げられている。
「特定の団体、個人等を正当な理由なく一方的に利したり、害したりする報道はしません。取材・報道に当たっては人権に常に配慮します」
http://www.asahi.com/shimbun/company/platform/kihan.html
要するに人を区別することなく、誰に対しても等しく接するということなのだろうが、最富裕層エリアに絞って「T JAPAN」を配布するということは、この指針を逸脱しているのではないか。
朝日新聞の購読者であるならば、希望者全員に「T JAPAN」を配布すべきなのである。朝日新聞が自らを社会的公器と自覚しているならば、それが使命というものだろう。朝日新聞よ!民衆を貶めるなかれ!もし朝日新聞が読者=民衆の差別・選別を強行するのならば、私たちは朝日新聞に対する不買運動をもって応えようではないか。

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2)【本日の一行情報】

ソフトバンク・テクノロジー世界文化社は、協働で通販を主体としたいわば台湾版「家庭画報」を、ライフスタイル提案型会員限定通販デジタルマガジン「J-style」として、配信を開始した。
http://www.softbanktech.co.jp/corp/news/press/2014/071/

電通スポーツアジアは10月に新スタジアム「スポーツ・ハブ」で開催される日本とブラジル代表のサッカー親善試合で、食事や観戦グッズのついた200〜300席の特別席「ホスピタリティーシート」を用意するそうだ。
http://nna.jp/free/news/20140902spd005A.html

◎「CNET Japan」で林智彦は「紙+電子」の書籍市場を「総合書籍市場」と名付けたうえで次のように喝破している。
「2012年の「総合書籍」は、9343億円。そして、2013年の「総合書籍」は、9366億円になります。あれ? 増えてませんか? 増えてますよ……ね?+23億円、率にすると+0.2%ですが、確かに増えてます。出版って「不況」じゃなかったんでしょうか? 「不況」って売り上げが減ること……ではなかったですか?」
http://japan.cnet.com/sp/t_hayashi/35053097/
書籍ほど顕著でなくとも雑誌においても、ゆるやかな回復基調に入ったと言えるようだ。

◎学研グループのブックビヨンドは、ボーンデジタルの新レーベルとして、ドイツサッカー専門デジタルライブラリー「KAISER(カイザー)新書」を創刊。今春発刊したドイツサッカー専門デジタルマガジン「KAISER(カイザー)」の人気連載からセレクトし、新たなエピソードを加筆して電子書籍化した者である。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000066.000009949.html

トップカルチャーは「蔦屋書店 長岡新保店」を10月上旬にオープン。売り場面積は約3000平方メートル。投資額は日経によれば5億5000万円。
http://www.topculture.co.jp/company/recruit/part_0829.html
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO76462110R00C14A9L21000/?n_cid=TPRN0011

◎神保町の書泉ブックマートは10月4日、女性向けに特化した店舗に全館リニューアルオープンする。
http://www.shosen.co.jp/news/2014/09/entry_3080/

◎「少年ジャンプ+」って何?これ荒木飛呂彦の絵だよね。
http://plus.shonenjump.com/

双葉社の「モンスター文庫」は小説投稿サイト「小説家になろう」で「モンスター文庫大賞」を開催。最優秀賞の賞金は100万円だ。
http://www.futabasha.co.jp/monster/award/

◎ 「Happie nuts」編集長の森茂穂が「Popteen」の編集長に就任した。
http://mdpr.jp/gal/detail/1410838

◎京大教授の永井和が自らのブログに「読売新聞のお役に立てなかった私の論文」をアップしている。
「読売の記者は朝日新聞慰安婦問題特集を批判する材料として、私の論文に注目し、取材を申し込んできたことがわかった。
さらに、この記者が『強制連行の有無』にしか関心を寄せていないこと、つまり『慰安婦問題とは強制連行の有無の問題にすぎない』という枠組みでしか、この問題をみようとしない人物であり、かつてこのブログで『慰安所慰安婦関係の公文書の解釈と評価を、ただそれが『強制連行・強制徴集を示す証拠であるのか、ないのか』といった単一の判断基準のみでおこなおうとする傾向を、典型的なかたちで示している』と批判したサンケイ新聞古森義久記者と同じ思考をする人物であることが了解されたのであった」
http://ianhu.g.hatena.ne.jp/nagaikazu/20140901

◎このカレー、オレも喰ったよ。
http://bunkoblog.shodensha.co.jp/article/404716256.html

◎夢展望と徳間書店の業務提携によって展開しているガーリーブランド「mon Lily(モンリリィ)」の第1号店が、2014年9月5日 池袋P'PARCOにオープンする。
http://eczine.jp/news/detail/1061

トヨタは光文社の「VERY」とコラボレーションした、エスティマ特別仕様車2.4アエラスメVERY Editionモ(ベース車 : アエラス2.4L・7人乗り)を発売した。
http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/3887497/

白泉社の「AneLaLa」が9月5日発売の第6号から隔月刊化。電子版もリリースされている。電子版では第1号が無料配信、第2号と第3号が半額での配信となる。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1409/02/news028.html

Twitter Japanとドワンゴ、ヤフー、LINEの4社は今回の「内閣改造」で生放送配信やニュース記事配信、ユーザーへの告知などで連携した。
http://info.dwango.co.jp/pi/ns/2014/0901/index.html

◎LINEとソニー・ミュージックエンタテインメントが共同で実施している国内最大規模の「LINEオーディション」のユーザー投票が始まった。
http://linecorp.com/press/2014/0902807

集英社の女性ファッション誌「MORE」とToffy(キングジム)がコラボしたサバイバル雑貨!
http://www.toffy.jp/SHOP/2100032.html

リクルート・ホールディングスの上場は図書印刷共同印刷はもちろんのこと、小学館の関連会社にも恩恵をもたらすのか!
「CAC Holdingsは小学館筆頭株主システム開発会社で、1株6800円で30万株を保有している。保有株の時価は49億8900万円で含み益は29億4900万円、同社の時価総額は286億円(同)となっている」
http://biz-journal.jp/2014/09/post_5902.html

◎学研教育みらいと品川区教育委員会学研教育出版は2日、タブレットPCを利用した「品川区トータル学習システム」事業を実施することになった。
http://ict-enews.net/2014/09/03gakken/

◎元週刊朝日編集長の川村二郎の「週刊現代」における発言。
「編集担当役員の杉浦信之氏が一面に書いた文章は読むに堪えませんでした。回りくどい自己弁護ばかりで、なにが言いたいのかさっぱり頭に入ってこない。こんなに歯切れの悪い文章を『記者の頭領』が書いてはいけません」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40321

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3)【深夜の誌人語録】

先回りできないのは、怠惰である証明にほかならない。先手は王手であることを忘れてはなるまい。