【文徒】2016年(平成28)年11月30日(第4巻223号・通巻910号)

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1)【記事】神保町の顔「岩波ブックセンター」が倒産
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】神保町の顔「岩波ブックセンター」が倒産

帝国データバンクによれば、神保町の顔とも言うべき「岩波ブックセンター」を運営する信山社は11月25日に東京地裁へ自己破産を申請、同日同地裁より破産手続き開始決定を受けたという。岩波書店と資本関係はない。負債は債権者約28名に対し、約1億2732万円とのことである。
岩波書店と直接的な資本関係はないものの、岩波書店発行の歴史、文芸、政治、哲学、宗教、心理などの人文・社会科学系専門書を取り揃え、岩波書店が刊行する新刊本、流通している既刊本はすべて取り扱っていることを最大の強みとしていた」
http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/4233.html
11月23日より店舗営業を休業していた。
http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20161128_01.html
「店主急逝のため誠に勝手ながら、11月23日よりしばらくの間、休業させていただきます」という貼り紙が掲げられていた。
https://twitter.com/dobunko/status/802143621403144193
この貼り紙の「店主」とは、もちろん柴田信を指す。10月12日に亡くなってから1カ月半しか経っていない。如水会館柴田信の「お別れの会」が開かれたのは11月21日だった。それから1週間も経っていない。
http://blog.so-net.ne.jp/s_shin/2016-10-25
私は神保町に事務所を構えてから週に一度は岩波ブックセンターを覗くことにしていたが、以前に比べ明らかに来店者が減っていた。恐らく、この事実は神保町で出版社に勤める人間が本を買わなくなったということだろう。実は出版社社員の活字離れには深刻なものがある。書店を覗いたことのない「お偉い」さんの何と多いことか!吐き気がする…。こういう輩こそ出版業界は一日も早く「削除」すべきだと心底、私は思っている。

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2)【本日の一行情報】

◎「NEWSポストセブン」に掲載された「電通鬼十則』生みの親・吉田秀雄氏の素顔とは」は次のように書いている。
電通は長く社員手帳に掲載していた『鬼十則』を削除するという。『鬼十則』が発表されたあと日本は高度成長期を越え、経済大国になり、低成長の時代になった。社会的評価が低かった電通は押しも押されぬ一流企業となり、広告業界は若者の憧れの仕事である。そんな今の時代に吉田の言葉は時代遅れかもしれない。だが『電通100年史』を読んでいて、私は吉田の『鬼十則』を今に残したことが今回の悲劇につながったというより、『鬼十則』とともに伝えなければならないことを伝えていなかったのではないかと思った」
http://www.news-postseven.com/archives/20161127_469811.html?PAGE=1#container
しかし、博報堂社史に登場する吉田秀雄はカッコイイよな。

◎これは朝日新聞に掲載された資生堂の魚谷雅彦社長の発言だ。
電通の新入社員の過労死は非常に悲しかった。上司が『君の残業時間は会社にとって無駄』と言ったとされるが、そんな人のもとで僕だって絶対に働きたくない。協調が強みの日本で、立派な会社の上司が部下に放った言葉に、いつの間にこんな悲しい社会になったんだってショックだった」
http://www.asahi.com/articles/ASJCT4FKNJCTULFA00S.html

◎「オリーブ」元編集長の遠山こずえの発言。
「まだ駆け出しの編集者だったころ、会社(マガジンハウス)の先輩とお茶を飲んでいるときに、『雑誌にとって一番大切なことは何だと思う?』って聞かれたの。それで、その人は『スタイルだよ』って。そのとき、そうかー!って思ったのね。スタイルさえ決まっていたら、どんな題材を扱ってもいいし、どんな人に取材してもいいわけでしょ。“これはオリーブではない”ではなくて、“これもオリーブ”にしちゃえばいいのよね? 雑誌って、雑多なものが詰まった誌面のことをいうんだから、特別じゃなくてもいいのよね」
http://kurashi-to-oshare.jp/column/15187/?doing_wp_cron=1480379551.2303009033203125000000
「暮らしとおしゃれの編集室」は主婦と生活社のサイトなんだね。

晋遊舎の女性向けモノ情報誌の「LDK」は「創刊時7万部だったのが現在12万部前後まで増えて」いるそうだ。木村大介編集長が「ダ・ヴィンチニュース」に登場し、こう語っている。
「『LDK』が他の女性誌と差別化できたのは、従来の雑誌のビジネスモデルを完全に無視しているからです。クライアントのためではなく読者のための雑誌をつくりたかったので広告収入は一切あてにせず、ガチンコで比較検証して本当にいい商品だけを紹介しています。商品は、しっかり評価するためにメーカーから借りずに購入することがほとんどなので、そのコストは相当なものです。ですから正直言って『LDK』は、業界の人が思うほど儲かっていないと思います(笑)」
http://ddnavi.com/news/336550/a/

インターネットテレビ局「AbemaTV」は、サービスの利用デバイスを拡大し、新たに「Apple TV(第4世代)」に対応した。スマートフォンタブレット、PCに追加して、テレビ画面でも「AbemaTV」を視聴できる。
https://www.cyberagent.co.jp/newsinfo/press/detail/id=12966

◎「AbemaTV」は、24時間放送のニュース専門チャンネルAbemaNewsチャンネル」における2016年ニュース視聴数ランキングを発表した。
1位「熊本地震」、
2位「米大統領選挙でトランプ氏勝利」
3位「台風9号首都圏直撃」
4位「鳥取中部で震度6弱
5位「高畑淳子さん緊急会見」
6位「天皇陛下お気持ち表明」
7位「東電施設火災で都内大規模停電」
8位「史上初台風10号が東北上陸」
9位「政治資金流用問題で都議会集中審議
10位「北海道函館市震度6弱
https://www.cyberagent.co.jp/newsinfo/press/detail/id=12972

ファミコンが生まれたのは1983年7月15日のこと。既に30年以上が経過しているわけだが、ディスクシステムを含めたファミコンソフトは全1252本に及ぶ。主婦の友社から刊行された「ファミコンコンプリートガイド」は、その総てを網羅する。総320頁のまさにファミコンバイブルだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000237.000007785.html

岩手日報によれば「さわや書店フェザン店(田口幹人店長)が発案した「文庫X」の取扱店が、全国47都道府県の620書店に広がった」そうだ。これにより「初版3万部だった中身の本は18万部まで重版」したという。12月9日には「中身の謎を明かす『文庫X開き』」が開催され、著者がさわや書店フェザン店でトークイベントを実施する。
https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20161129_2

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3)【深夜の誌人語録】

辛くても、苦しくても、その仕事を楽しめるかどうかである。楽しめない仕事に人生を賭すほど馬鹿げたことはあるまい。