【文徒】2016年(平成28)年12月15日(第4巻234号・通巻921号)

Index--------------------------------------------------------
1)【記事】「さわや書店フェザン店」の名前を全国区にした「文庫X」
2)【本日の一行情報】
3)【人事】マガジンハウス 12月14日付機構改編と人事
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.12.15.Shuppanjin

1)【記事】「さわや書店フェザン店」の名前を全国区にした「文庫X」

「文庫X」の正体を明かした「さわや書店フェザン店」のイベントには120人以上の読者が集まったという。「販売開始から解禁時刻までの同店の販売数は5034冊、全国での発行部数は18万部を超えるなど異例の売れ行き」(盛岡経済新聞)だったというから凄い。「文庫X」は周知のように清水潔の「殺人犯はそこにいる」(新潮文庫)である。
http://morioka.keizai.biz/headline/2239/
清水潔は次のようにツイートしている。
「『文庫X』御礼申し上げます。これまで著者Xとしてただ見守るしかありませんでした。ここに『文庫X』の長江さんの熱きメッセージを改めて紹介させて頂きます。ありがとうございました。お読み頂きました皆様にも深く感謝致します」
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/807147150261907456
私は、「殺人犯はそこにいる」に違和感を抱かざるを得ない読者のひとりだが、それでもノンフィクションの作品がこれだけ売れるのは嬉しい。これを契機にノンフィクションの読者が増えてくれれば良いんだけどね。
「さわや書店」の店員が、その年に読んだ作品からお薦め本を選ぶ「さわベス2017」も発表された。書籍部門第1位は柚月裕子の「慈雨」(集英社)。柚月は岩手県出身の作家。
http://morioka.keizai.biz/headline/2241/

                                                                                                                        • -

2)【本日の一行情報】

◎ドリフト専門月刊誌なんていうのがあるんだね。雑誌の世界は奥が深い。版元はディーズ・クラブで、タイトルは「ドリフト天国」。同誌は創刊20周年イベントとしてお台場を自慢の「ドリ車」で埋め尽くす「お台場ドリフト超天国」をクリスマスイヴに開催する。
https://www.value-press.com/pressrelease/175051
http://www.pitnavi.com/company
http://blog.livedoor.jp/jdm_doriten/

◎オーダーメイドの旅を提供する旅工房は、光文社の女性誌「HERS」1月号で掲載されたひとり旅企画“パワーみなぎる西表島”をツアー化、光文社公式通販サイト「kokode.jp」にてツアーの詳細を紹介し、12月12日(月)より販売開始した。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/life/release/detail/00035557.html

◎マガジンハウスの「ポパイ」は創刊40年イヤーの掉尾を飾るべく「中目黒 蔦屋書店」でファッション写真展を開催している。
http://top.tsite.jp/news/lifetrend/i/33669280/
マガジンハウスの雑誌と「蔦屋書店」は相性が良いようだ。

WPPグループのデジタルエージェンシー、VMLの日本法人の代表と、FICCの代表取締役を兼務する荻野英希は「小さなデジタル広告会社が大手を魅了するには?:直取引の獲得に必要な3つのスキル」(『DIGIDAY』)で次のように書いている。
「小さなデジタル広告の会社は、マスマーケティングや、ブランドマネジメントを知らないかもしれません。しかし、デジタル中心の施策であれば総合代理店よりも高いパフォーマンスを発揮します。そして、何より小規模であるがゆえの高い献身性は、間違いなくマーケターの資源となるはずです」
http://digiday.jp/agencies/three-skills-for-small-degital-agencies/

◎「東洋経済ONLINE」がITジャーナリストである本田雅一の「注意!『キュレーション』が悪いわけではない」は次のように結ばれている。
「しかし、出版社をはじめ、多くのコンテンツを保有し、またコンテンツ制作ノウハウに長けた業界がネット事業に本腰を入れ始めれば、ネットコンテンツの質が向上することも期待できる。そのときにこそ、情報・コンテンツと人を結びつけるキュレーションプラットフォームの役割が今よりも大きなものとして見直されるのかもしれない」
http://toyokeizai.net/articles/-/149282
私も出版社にとって今がデジタルシフトのチャンスだと思っている。

NHK「プロフェッショナル 私の流儀」は、自分が番組の主役になったかのようなムービーを作ることができる番組公式の動画生成アプリを本年正月にリリース、150万ダウンロードを突破した。このアプリの担当ディレクターである小国志朗による「150万DLの大ヒットアプリ、NHK『プロフェッショナル 私の流儀』はなぜウケた?」(『Forbes JAPAN』)はこう書いている。
「…アプリを使ってくれるユーザーの60%以上が10代、20代の若者だったんですね。これは今のテレビを取り巻く状況を考えるとミラクルと言ってもいい快挙でした」
http://forbesjapan.com/articles/detail/14502

講談社は、12月13日(火)の少女マンガの新刊「青葉くんに聞きたいこと」3巻と「黒豹と16歳」4巻の発売に合わせて、特設サイトを開設した。
http://nakayosi.kodansha.co.jp/special/m1fea/
マンガの販促ではインターネットが大活躍だ。

◎LINEの調査によれば、10代の約6割、20代の約7割が「紙の年賀状よりもLINEで新年の挨拶」を送ると回答した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000600.000001594.html

全日空商事と主婦の友社は、小さな赤ちゃんを持つママ・パパの不安を解消し、子育てをより楽しんでもらうことを目的に、ベビー向けサービスの協業を開始する。第1弾として、2歳以下の赤ちゃん連れのツーリスト限定のツアー「赤ちゃんごきげん沖縄の旅」を実施する。
http://corporate.shufunotomo.co.jp/newsrelease/10636/

スクウェア・エニックスは、スマホ向けアプリ「ドラマチックRPG 神つり」において、小学館が運営するコミックアプリ「マンガワン」に連載中のマンガ3作品とのコラボイベントを開始している。今回が第3弾となる。
http://www.4gamer.net/games/351/G035134/20161213101/

◎私学会館で保坂正康の「ナショナリズムと昭和」の出版記念会が開かれたそうだが、発起人代表として挨拶に立った文藝春秋の松井清人社長のスピーチ内容を月刊「Hanada」の編集長にして、元「週刊文春」編集長の花田紀凱が「ヤフー!ニュース」で批判している。
「…発起人代表として文藝春秋松井清人社長が挨拶したが、これが驚くべきものだった。『極右の塊である現政権をこれ以上、暴走させてはならない』。現政権、つまり安倍政権を『極右の塊』と批判したのだ。『暴走』と難じたのだ。
(中略)
むろん、保坂さんの出版記念会だから、保坂さんへのリップサービスということもあろう。しかしそうだとしても、度がすぎる」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/hanadakazuyoshi/20161213-00065447/

◎米国のフォーリン・ポリシー誌による2016年「世界の頭脳100」に電通の社員2名が選ばれた。ひとりはマーケティングソリューション局の鈴木瑛、もう一人は現在はCDCに所属している木田東吾。ともに2007年入社組だ。臓器移植の普及・啓発を訴求する「Second Life Toys」プロジェクトを手がけていることが認められたようだ。
http://dentsu-ho.com/articles/4760
鈴木は、今年のカンヌライオンズに出かけ広告マンやクリエイターたちに、会場内で突撃インタビューを行っている。
http://www.pyramidfilm.co.jp/news/cannes2016/news_264.php
木田はUCLAの出身であるようだ。当然、デジタルに強い。
https://twitter.com/togotogo?lang=ja

◎「週刊女性」によれば櫻井翔の弟が電通に内定した。
http://www.jprime.jp/articles/-/8744
妹は日テレだが、婚約で休職中と、これも「週刊女性」が伝えている。
http://www.jprime.jp/articles/-/7197

                                                                                                                        • -

3)【人事】マガジンハウス 12月14日付機構改編と人事

一、書籍出版局とムック出版局を統合し、書籍・ムック出版局を新設する
二、第一編集局は、クウネル編集部、アンドプレミアム編集部とする
三、第二編集局は、ブルータス編集部、クロワッサン編集部、ターザン編集部、カーサブルータス編集部とする
四、第三編集局は、アンアン編集部、ハナコ編集部とする
五、第四編集局は、ポパイ編集部、ギンザ編集部とする
【人事異動】
石渡健文
新:取締役
旧:執行役員第二編集局局長
鉄尾周一
新:執行役員 第一編集局局長兼書籍・ムック出版局局長兼書籍編集部編集長
旧:書籍出版局局長兼第三編集局局長兼書籍編集部編集長
西田善太
新:第二編集局局長兼ブルータス編集部編集長
旧:第四編集局局長兼ブルータス編集部編集長
北脇朝子
新:第三編集局局長兼アンアン編集部編集長
旧:アンアン編集部編集長
木下孝浩
新:第四編集局局長兼ポパイ編集部編集長
旧:ポパイ編集部編集長
西村吾郎
新:経理・製作局局長(制作管理部部長兼務を解く)
旧:経理・製作局局長兼制作管理部部長
古賀浩介
新:制作管理部部長
旧:制作管理部部長代理
戸高良彦
新:ムック編集部編集長
旧:ムック編集部
西尾洋一
新:カーサブルータス編集部副編集長
旧:カーサブルータス編集部キャップ

○村尾雅彦取締役は退任する。

                                                                                                                        • -

4)【深夜の誌人語録】

欲望なくして夢もなければ、志もあるまい。