【文徒】2017年(平成29)年2月1日(第5巻19号・通巻948号)

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1)【記事】キュレーションメディアの新たなフェーズが始まる?(岩本太郎)
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】キュレーションメディアの新たなフェーズが始まる?(岩本太郎)

『engadget日本版』編集・記者の小口貴宏が31日付の同誌に「MERYなき今も、キュレーションアプリに夢中──20代女性が語る『トレンド収集』のイマ」と題した記事を寄稿している。20代の女性たちが、昨年末のDeNA騒動を経て『MERY』をはじめとするキュレーションメディアが次々と閉鎖に追い込まれたり、あるいは著しく評価を落としたにも関わらず、なおも日夜、手持ちのスマホなどを通じて以前と変わることなくそうしたメディアを日々のもっぱらの情報入手手段として活用している様子に迫っている。
《「雑誌よりアプリのほうが便利、好きなモデルが載っていれば雑誌も見ますけど」──そう話すのは、東京に住む29歳の女性だ。彼女は話題やトレンドの収集、暇つぶしに、LocariやTRILL(閉鎖前にはMERY)といったスマホ用の女性向けキュレーションアプリを使っている。女性誌はほとんど買っていない。》
http://japanese.engadget.com/2017/01/30/mery-20/
一連のトラブルでどんなに「パクリだ」「間違った情報ばかり乗っている」と叩かれようが、また騒動の震源地となったDeNAのメディアが軒並み閉鎖に追い込まれようが、キュレーションメディアそのものに対するユーザーからのニーズが、あれをきっかけに消滅してしまったわけではもちろんない(ましてや、そこで改めてユーザーたちが雑誌へと戻ってくるわけでもない)。
むしろ今は、市場を開拓したプレイヤーたちが続々と退場に追い込まれ、空白状態が生じたと言えるのではないか。
ある意味では過去にビデオやゲームやコミックなどが急成長を遂げていった過程で、怪しげなものを含めて草創期を支えたプレイヤーたちが淘汰された時点で、地ならしされた市場に経営体力やコンテンツ制作力、そして社会的信用を備えた大手が乗り出していったという、そうしたパターンがキュレーションメディアの世界でもそろそろ起こって、新たなフェーズへと入っていくのか?
講談社が先週、デジタルガレージとの共同で女性向けの新メディア、それも「従来のキュレーションメディアとは異なる『コンピレーションメディア』」の開発に乗り出すと発表した際にも、そうした思いが頭をよぎった次第だ。
http://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/20170126dk2.pdf

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

博報堂DYメディアパートナーズは、ラジオ局が制作した番組を無料で聴ける音声アプリ「ラジオクラウド」を開発し、1月30日よりサービス提供を開始した。スタート時点での参加放送局はTBSラジオ文化放送ニッポン放送毎日放送ラジオ大阪ラジオ関西京都放送ラジオ沖縄ラジオNIKKEITOKYO FMJ-WAVEの計11局。広告販売は3月より開始の予定。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/newsrelease/service/20170130_16988.html
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/013000285/
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1701/30/news144.html

◎日販は東北6県の書店100店を対象に、銘酒が当たるスタンプラリー「東北の日本酒と書店祭」を2月3日〜3月2日に開催する。抽選により東北地方の日本酒全14銘柄から好みの品を選べる「日本酒コース」と、1000円分の図書カードが当たる「読書コース」があるそうだ。出版、酒造業界を盛り上げる目的で今回初めて企画したとのことだ
http://www.minpo.jp/pub/topics/odekake/2017/01/post_5836.html

◎『少年ジャンプ』は来週6日発売号から新連載が6号連続で始まるらしい。
https://news.biglobe.ne.jp/entertainment/0130/ori_170130_4714238224.html

◎原作者・高井研一郎の死去に伴い『ビッグコミック』での連載が終了した『総務部総務課山口六平太』の単行本完結巻(第81集)が1月30日に発売。これを記念して、「マンガワン」で連載の第1話と傑作選3冊が同日から2月5日までの期間限定で公開されている。
http://manga-one.com/
http://www.dreamnews.jp/press/0000146490/

筑波大学クラウドファンディングサイトの「レディーフォー」と業務提携。その第一弾として、図書館の資料を購入するプロジェクトへの寄付募集を開始した。国立大とクラウドファンディング事業者との提携は国内初とのこと。
http://mainichi.jp/articles/20170129/ddl/k08/100/068000c
https://readyfor.jp/projects/tsukubauniv-lib

◎神奈川県海老名市の“TSUTAYA図書館”をめぐり、CCCとTRCへの管理者指定について市民2人が取り消しを同市の内野優市長に求めた住民訴訟で、横浜地裁は「訴えは不適法」と請求の大部分を棄却する判決を30日に言い渡した。住民側は即刻控訴の意向を表明。
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12152-228176/

◎通信教育の「Z会」を運営する増進会出版社で、教材や申し込み書類の送付に関わるシステムに障害が発生。通信教育講座の一部申し込みができなくなるなど、最大で10万人に影響が及ぶ恐れが出てきているという。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ30I6C_Q7A130C1TJC000/

◎1960年代まで農山漁村の通信手段として重宝された有線放送電話は、その後の固定電話の普及に伴い急速に撤退や廃止に追い込まれていったものの、今でもコミュニティ内での情報手段として有効活用されている地域もあるらしい。秋田県潟上市の有線放送電話事業者は今でも黒字経営を維持し、固定電話での執拗な営業や詐欺を恐れた老夫婦が有線電話に切り替えるなどの新規加入例もあるとか。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO12222710X20C17A1ML0000/

◎お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣が、自身の絵本「えんとつ町のプペル」をネット上で無料公開したことをめぐって“炎上商法”などと批判されていることに反論。ブログで得た広告収入を「被災地の子供の教育を支援するNPOに全額寄付する」などと宣言したとか。
http://mainichi.jp/articles/20170129/dyo/00m/200/024000c

◎かつて『men’s egg(メンズエッグ)』に代表される渋谷系ストリート誌の誌面に登場し、“メンエグ”とも呼ばれてカリスマ的な人気を誇った男性読者モデルたちの現状を『日刊SPA!』がレポートしている。
https://nikkan-spa.jp/1279836

電通出身のブロガー&作家の「はあちゅう」が、電通の先輩に《CMは偏差値40の人にも理解できるものじゃなきゃダメ。この会社にいる時点で普通ではないと自覚しろ。世間にはおそるべき量のおそるべきバカがいる。そしてそれが日本の『普通の人』だ》と言われたことを1月30日にツイートしたところ、さっそく炎上。《成る程、電通の上から目線感がよく分かりますね》などと反響ツイートが殺到し、茂木健一郎も《うわあ、偏差値なんてことを言ってはいかんぜよ》と批判。「はあちゅう」は翌日にブログで《この話にこれ以上の意図はないので、この辺で》と表明。
https://twitter.com/ha_chu/status/825955207485874176
http://getnews.jp/archives/1613948
https://twitter.com/kenichiromogi/status/826203099375161344
http://lineblog.me/ha_chu/archives/67278026.html

京都府電通に対する発注事業の入札への参加を停止。期間は1月30日より1ヵ月間。
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20170130000173
共同通信が30日までに調べたところによると、電通が起訴された場合、東京や愛知、大阪など10都府県が入札参加停止処分の実施の是非を検討するとのことだ。
https://this.kiji.is/198717155599369718?c=39546741839462401

◎『高利金融−貸金ビジネスの罠』『その印鑑、押してはいけない!』など、経済問題や労働問題を中心に執筆しているジャーナリストの北健一が、新刊『電通事件 (なぜ死ぬまで働かなければならないのか)』を1月25日に旬報社より上梓した。
http://www.junposha.com/catalog/product_info.php/products_id/1149
http://www.sankei.com/life/news/170129/lif1701290025-n1.html

◎警察問題を中心に追い続けているジャーナリストの寺澤有は、今国会で審議が始まろうとしている「共謀罪」法案に関連したインタビュー集『共謀罪を語る』を、自らの個人版元である「インシデンツ」より、kindle版で1月28日に発売した。約10年前、やはり「共謀罪」法案が国会で審議されていた時期に収録された証言録が中心だが、こうした個人メディアならではの発信力や機動力こそ寺澤の真骨頂だろう。
https://twitter.com/Yu_TERASAWA/status/825576061677166592
http://amzn.to/2kmhQj7

クラウドソーシングサイト「クラウドワークス」に「★急募★」と題して「書評」の作成依頼がなされていた。池上彰『伝える力』(PHPビジネス新書)の書評で、既に終了したが1月30日に募集を開始して当日締切。文字数は2500〜3000字。ギャラは5000〜1000円(文字単価1.7〜2.0円)とのことだった。“書評家”のハードルもずいぶん下がってきたらしい。
https://crowdworks.jp/public/jobs/1056361

◎先月10日に講談社の社員が殺人容疑で警視庁に逮捕された事件で、東京地検は31日に同社員を殺人の罪で起訴した。
http://www.asahi.com/articles/ASK103TC6K10UTIL018.html
http://mainichi.jp/articles/20170131/k00/00e/040/229000c
http://www.sankei.com/affairs/news/170131/afr1701310015-n1.html
講談社広報室は同日、以下のコメントを発表した。
《弊社社員が起訴されたことにつきまして、社として重く受け止めております。本人は無実を主張しており、公判の推移を見守りつつ、慎重に対処してまいります》
http://www.kodansha.co.jp/news.html#news48679

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3)【深夜の誌人語録】(岩本太郎)

見知らぬ街で地元の人から「こんにちは」と3回も挨拶されると、多くの泥棒は何も盗めず帰っていくものだ。