【文徒】2017年(平成29)年8月30日(第5巻163号・通巻1092号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】集英社の第76期決算について
2)【本日の一行情報】
3)【人事】集英社平成29年8月25日付人事異動
4)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2017.8.30 Shuppanjin

1)【記事】集英社の第76期決算について

客 集英社の第76期決算(平成28年6月〜同29年5月)が発表された。売上高は1175億2100万円で、前期比が95.6%だった。純利益が53億5700万円で前期91.8%。減収減益の決算となった。
主 集英社は三期連続で増益だったんだよね。
客 四期連続の増益とはならなかった。
主 売上高が前年比で4.4%減となったのは第71期(平成23年6月〜同24年5月)決算以来だ。
客 0.6%減、1.6%減、0.9%減、0.7%増と、このところ売上高はほぼ横這いで推移して来たからね。
主 決算時期が違うから単純に比較はできないけれど、2月に発表された講談社の決算における売上高は1172億8800万円で前年比100.4%。5月に発表された小学館の決算における売上高は973億0900万円で前期比101.8%。集英社は、利益は確保しているとはいえ、売上高で前年比100%を切ってしまった。もっとも純利益は減益と言っても講談社の倍も出している。
客 Web、版権、物販等からなる「その他」はグングン伸びているけれど、雑誌の落ち込みをカバーするまでにはいかなかった。雑誌の売上は576億7600万円で、前期比が84.4%なんだよね。広告が93億0500万円で前期比が94.6%。
主 集英社に限らず雑誌ビジネスが曲がり角に来ているんだよね。紙の雑誌の売上は業界全体で言えば、まだまだ減少することになるだろう。この減少をデジタルシフトとリアル事業の推進をもって補うことが大手出版社にとって最大の課題だと思うよね。
客 集英社の場合、通販事業が収入源として新たに生まれつつあるし、マンガのデジタルシフトも意欲的に進めている。
主 ここを更に加速させる必要があるのではないだろうか。通販で言えば、単にモノを売るのではなく、女性誌を母胎として培ってきた文化を踏まえながら、有料でサービスを提供するということも考えていかなければならないのかもしれない。

                                                                                                                    • -

2)【本日の一行情報】

東京海上日動火災保険が、日本初の金融オープンイノベーション拠点「FINOLAB」(The FinTech Center of Tokyo, FINOLAB)に参画する。
FINOLAB は、国際金融センターである東京・大手町エリアを拠点とする、FinTech のエコシステムの形成および新規ビジネス創出を目的としたコミュニティ&スペースであり、三菱地所電通、および電通国際情報サービスが共同運営し、国内外のスタートアップ 39 社および事業法人9社が会員として参画する。
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/170825_01.pdf
http://finolab.jp/

スマホでマンガの月額制配信サービス「まんが王国」を運営するビーグリーの2017年度12月期第2四半期の決算は、売上で44億8,300万円。営業利益が6億2,200万円。のれん償却前営業利益で7億4,500万円。経常利益で5億9,100万円。純利益が3億7,000万円。
2017年4月に6億冊ダウンロードを達成しているそうだ。
http://www.mag2.com/p/money/289332

◎Candeeが提供するソーシャルライブコマース「Live Shop!」に主婦の友社の女性ファッション誌「S Cawaii!」が参画し、メディアチャンネル「S Cawaii!チャンネル」を開設する。
http://candee.co.jp/pdf/20170828_scawaii
Candeeの古岸和樹代表取締役社長のプロフィールは次の通り。
明治大学卒業。カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(旧株式会社ツタヤオンライン)、ヤフー株式会社にて、映画、音楽といったエンタテインメントコンテンツの企画、プロデュース、ディレクション、プロモーションに従事、株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(株式会社アニマックスブロードキャスト・ジャパンへ出向)、エイベックス・グループにおいて事業責任者として音楽配信部門を担当、平行してグループのデジタル戦略及び新規事業推進を担当。
2015年に株式会社Candeeの立ち上げに携わり、タレントマネジメント事業、コーポレート部門責任者として常務執行役に従事。2016年12月より代表取締役社長 CEOに就任」
http://candee.co.jp/boardmember/

八重洲出版は創業60周年記念企画展「YAESU LIBRARY」を2017年9月8日(金)〜18日(月・祝)の11日間にわたって八丁堀の京華スクエア1F展示室で開催する。八重洲出版がこれまで発刊してきたバイク・クルマ・自転車・ラジコンなどの雑誌バックナンバーが手にとって閲覧できるという企画だ。
http://www.yaesu-net.co.jp/60th/?p=event
https://www.atpress.ne.jp/news/136280
八重洲出版は東京お台場での「キャンピングカーフェア」「旧車天国」「痛車天国」や名古屋でのスポーツサイクルの試乗&パーツ即売会「サイクルトレンド」といったイベント事業に力を入れていることで知られている。酒井雅康代表取締役は次のように述べている。
「出版業以外にも、先代創業者の酒井文人(故人)は日本の自動車レース史初となるアマチュアのための組織を結成し、 1958(昭和33)年の浅間クラブマンレースを皮切りに日本全国で本邦初となる各種のモータサイクルレースを開催し、 多くの有為な人材を育てて現在の日本モータースポーツ界の礎を築きました。
その創業者のDNAは60年後も確かに継承され、弊社での現在のイベント事業へと結実しています。 将来も多くの皆様に弊社の出版物とイベントで楽しんでいただきたい、その想いで社業をますます発展させていきたいと存じます」
http://www.yaesu-net.co.jp/60th/?p=greeting
http://www.yaesu-net.co.jp/60th/?p=now

◎「週刊プレイボーイ」の創刊50週年を記念して、集英社が新宿歌舞伎町で期間限定営業している「週プレ酒場」は、9月1日(金)〜2017年9月14日(木)まで「唐揚げ食べ放題(2時間制)」キャンペーンを実施している。777円は安い!
https://www.value-press.com/pressrelease/188402

テレビ東京系金曜8時のドラマ枠は「三匹のおっさん」「釣りバカ日誌 新入社員 浜崎伝助」や「警視庁ゼロ係」などを放映してきたが、10月クールは荻原浩の「ユニバーサル広告社」シリーズ(集英社文庫)をドラマ化する。
http://www.tv-tokyo.co.jp/yomu/drama/entry/2017/014582.html

学研ホールディングスは、東北楽天ゴールデンイーグルスと2017・2018シーズンのオフィシャルスポンサー契約を締結した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001257.000002535.html

◎TOKYO FMの「三井ホーム Presents キュレーターズ〜マイスタイル×ユアスタイル〜」にモデルの黒田知永子と女性ファッション誌「VERY」(光文社)の今尾朝子編集長が4週にわたって登場する。黒田は「今尾ちゃんが編集長になると聞いたとき、“当然だろうな”と思った」そうだ。
「それは、『VERY』を経て『STORY』もずっと一緒にやってきて……表紙撮影という一番目立つものを作る現場で、今尾ちゃんのこだわりや一生懸命さを見てきたから。それは『VERY』のときからずっと変わっていない。人の話もちゃんと聞くし、仕事好きだし、本当に一生懸命、だから今尾ちゃんが編集長になると聞いたとき、私は当然だし素晴らしいなと思ったの」
http://www.tfm.co.jp/curators/index.php?catid=3085&itemid=127098
http://tfm-plus.gsj.mobi/news/JLY8OnHO4a.html?showContents=detail

幻冬舎は、オリジナル電子書籍レーベル「幻冬舎plus+」から、ラズウェル細木「晩酌パラダイス<秋編> 〜今宵も酔いし、美味し、楽し」、平林亮子「お金で損しない超基本20」をリリースした。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000324.000007254.html

KADOKAWAは、「浜辺美波写真集 voyage」の重版を発売前に決めた。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003609.000007006.html
浜辺美波は、観客動員数200万人、興行収入25億突破目前の映画「君の膵臓をたべたい」の主演女優だ。
http://kimisui.jp/#/boards/kimisui

KADOKAWAは、「フレフレ 2020」動画コンテストの公式特設サイト(https://hurehure2020.com)をオープンし、作品の募集を開始した。このプロジェクトは、内閣官房オリンピック・パラリンピック推進本部事務局の委託により、平成 29 年度オリンピック・パラリンピック基本方針推進調査として実施されるそうだ。
http://ir.kadokawa.co.jp/topics/20170829_e2bmt.pdf

堀江貴文がファウンダーとして参画し、「漫画のセレクトショップ」をコンセプトとしたアプリ「マンガトリガー」を運営するナンバーナインは総額2億円の資金調達を実施予定だ。第1弾として、フィールズを引受先とする第三者割当増資を行い、フィールズグループの持つマンガ作品の制作ノウハウやIP(知的財産)を活用し、コンテンツ力と開発体制の強化に努める。
フィールズは遊技機の販売とライツビジネスを中心とするが、円谷プロダクション角川春樹事務所を傘下に持ち、小学館クリエイティブとも共同で出版事業を展開するなどコンテンツのライツ獲得に意欲的である。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000027584.html
http://no9.co.jp/

電通ダイバーシティインクルージョン課題対応専門タスクチーム「電通ダイバーシティ・ラボ」は、顧客企業に向け「インクルーシブ・マーケティング」のサービス提供を開始した。
「インクルーシブ・マーケティング」とは、マス・マーケティングやワントゥワン・マーケティングの課題でもあった「多様な個人への目線の拡大」をさらに前進させ、「少数者への理解、支持」という長期的視野に立った企業の社会価値創出により事業成長を促進していく新たなマーケティング概念だという。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017096-0828.pdf

◎創刊20周年を迎えた白泉社の「メロディ」10月号の付録は1997年から2017年までの20年でメロディに掲載・連載された、樹なつみ獣王星」、河惣益巳「玄椿」、清水玲子「秘密 THE TOP SECRET」、成田美名子花よりも花の如く」、よしながふみ「大奥」などのイラストを収録する「メロディイラストクロニクル」だ。
http://natalie.mu/comic/news/246424

                                                                                                                    • -

3)【人事】集英社平成29年8月25日付人事異動

松本真人
新:資材部部長
旧:資材部部長代理

高野秀明
新:制作部部長
旧:制作部部長代理

                                                                                                                    • -

4)【深夜の誌人語録】

諦めたのであれば忘れろ。