【文徒】2018年(平成30)4月27日(第6巻78号・通巻1252号)

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1)【記事】サイトブロッキング問題 遂に裁判へ
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2018.4.27 Shuppanjin

1)【記事】サイトブロッキング問題 遂に裁判へ

文科相下村博文衆議院議員は堂々と「日本のメディアは日本国家をつぶすために存在しているのか、と最近つくづく思う」と発言している。
https://www.asahi.com/articles/ASL4S52P5L4SUTFK01C.html
こうした人物を重用する政権が海賊版サイトのブロッキングに踏み出したのである。
北海道新聞は4月25日付で社説「海賊版サイト 接続遮断は疑念拭えぬ」を掲載した。
「サイトへの接続を遮断するには、利用者の接続先をチェックしなければならず、憲法が保障する通信の秘密や検閲の禁止に抵触する恐れがある」
「これまで接続遮断は2011年から、唯一児童ポルノにのみ適用される特例措置だった。
関係省庁、事業者、有識者らが約3年かけて検討し、接続遮断を児童の人格権保護のための『緊急避難』として認め、第三者機関も加わって厳密に運用している。
海賊版サイト対策を巡っては、こうした丁寧な議論がなされた形跡がなく、唐突に打ち出された印象が否めない」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/183730?rct=c_editorial
信濃毎日新聞は4月25日付で社説「サイト遮断 NTTの説明が聞きたい」を掲載した。
「『海賊版サイト』による著作権侵害が横行している実態は深刻だが、政府の要請をいち早く受け入れたNTTの対応は疑問だ。
政府が指定した3サイトへの接続を遮断する『ブロッキング』を行うと発表した。『政府の決定に基づき、緊急措置として実施する』とした文書を出し、記者会見は開いていない」
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180425/KT180424ETI090007000.php
高知新聞は4月26日付で社説「【海賊版サイト】憲法の視点生かす議論を」を掲載している。
「出版業界や漫画家らから、緊急対策として接続遮断に賛成する声があることは理解できる。ただその一方で、多くの法学者らが、憲法に定めた『通信の秘密』を侵害すると見ている。利用者の通信履歴をチェックする必要があるためだ。
『検閲』につながりかねない対策が、政府主導で進むことを危ぶむ声も少なくない。今回のように政府が悪質と判断しただけで遮断することは、恣意的な運用を招く疑念が拭えない」
https://www.kochinews.co.jp/article/178459/
森亮二弁護士がブロッキングについてはわかりやすくまとめている。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2018/contents/dai3/siryou3.pdf
東浩紀のツイート。
「まだ続くサイトブロッキング問題。海賊版サイトが悪なのは自明だし、ブロッキングは劇薬だったけどその結果ユーザーも真剣に対案を出すようになった。みながうまく知恵を回してよかったよかったとなるはずの問題が、一部のメンツを立てるためネット界に深い傷を残す結果になり、本当に残念でならない」
https://twitter.com/hazuma/status/988784674884349957
津田大介のツイート。
「川上さんのことは好きだし、日本人離れしたスケール感の思想家であるとも思ってるし、日本のネット文化や言論状況に与えた影響も多大だと思っているけど、今回の一連のブロッキング騒動については(彼がそこに走る理由は十分わかるけど)支持できないし、とても残念な思いでいっぱいです」
https://twitter.com/tsuda/status/988950359631515648
全国地域婦人団体連絡協議会は「NTTグループ『インターネット上の海賊版サイトに対するブロッキングの実施について』に対する意見書」を発表した。
「今後,四社が実際にブロッキングを行うこととし,さらに行った場合には,他の消費者団
体等と協力して,消費者契約法上の消費者団体訴訟を提起し,行政手続法第36条の3に基
づいて総務大臣に対し電気通信事業法上の改善命令等(電気通信事業法第29条第 1 項)
を求め,電気通信事業法違反(第179条各項)の罰則に関して刑事告発を行うことも辞し
ません。
四社及びその電気通信事業に従事する者には,通信の秘密(電気通信事業法第4条第1項
及び第2項)を守る責務を有する者としての自覚を強く求めます」
http://www.chifuren.gr.jp/180425opinion2.pdf
埼玉県の中沢佑一弁護士は「海賊版サイト」の問題でNTTコミュニケーションズが、3サイトの接続遮断(ブロッキング)を実施すると発表したことについて、電気通信事業法が禁じる「通信の秘密の侵害」に当たるとして、同社に実施の差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こすという。
https://www.sankei.com/affairs/news/180426/afr1804260008-n1.html

                                                                                                          • -

2)【本日の一行情報】

東京堂書店2階で「現代書館50周年フェア 神保町に狼煙が上がる」が開催中だ。ここで販売中の書籍を買うと、ジャズ オリンパス!さんの「コーヒーor紅茶」チケットをプレゼント中だ。
https://twitter.com/gendaishokan/status/988258233381896193
私がかかわった本が三冊も並べられている。
「歴史はマージナル」で三浦大四郎網野善彦にインタビューしているのも、原稿を書いているのも私である。網野へのインタビュー「〝顔〟の見える『資本論』」というタイトルも私がつけた。「三角寛サンカ選集 第1巻 山窩物語」の編集は私である。そして、「三角寛『サンカ小説』の誕生」は私が書いた。
https://twitter.com/gendaishokan/status/988983470914355200
https://twitter.com/gendaishokan/status/987610725223809024
私は布施えり子の「キャバ嬢なめんな。」を購入。キャバクラユニオンの戦いの記録が生々しい。
http://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN978-4-7684-5830-3.htm

◎第22回手塚治虫文化賞が発表された。マンガ大賞野田サトルゴールデンカムイ」(集英社)。新生賞は「BEASTARS」(秋田書店)の板垣巴留、短編賞は矢部太郎の「大家さんと僕」(新潮社)、特別賞はちばてつや
https://www.asahi.com/articles/ASL4F5K3RL4FPTFC00V.html

◎「こぐまのケーキ屋さん」(小学館)の人気エピソードをボイスコミック化した第1弾「ぎんのおかね」が、YouTubeで公開された。引き続き5月、6月にも新作が公開される。
https://natalie.mu/comic/news/279555
「ZIP!」「めざましテレビ」などで特集が組まれたこともあり、単行本は20万部を突破。

白泉社は累計80万部突破のヒット絵本シリーズにとって、初の「読み物」となる「ノラネコぐんだんと海の果ての怪物」(工藤ノリコ)を刊行した。
http://www.hakusensha.co.jp/booklist/51505/
白泉社の「児童書出版」は魅力的だ。

高橋和巳の「黄昏の橋」が小学館から「P+D BOOKS」として復刻される。「黄昏の橋」は「現代の眼」に連載されていたが、未完のまま終わったんだよね。昔は新潮文庫に入っていた。今月は柏原兵三の「長い道・同級会」も刊行する。柏原兵三の息子は文藝春秋の柏原光太郎。「東京いい店うまい店」の柏原光太郎である。
「P+D BOOKS」は講談社文芸文庫と比較するとわかるのだが、安いのも魅力。「黄昏の橋」は600円だ。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09352335
https://www.shogakukan.co.jp/books/09352336

◎「ビッグコミック50周年展 ー半世紀のビッグな足跡」が、6月9日から「京都国際マンガミュージアム」で開催される。
https://www.lmaga.jp/news/2018/04/39778/

◎「さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学」(光文社)の山田真哉は印税の5000万円全額をFX投資で消滅させたのか!大したものである。「さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学」は、最近、マガジンハウスで手がけた「君たちはどう生きるか」でまたまたミリオンを記録した柿内芳文の光文社時代の仕事である。
https://smart-flash.jp/lifemoney/39386

◎宝島社の女性ファッション誌「リンネル」6月号の付録はカジュアルウェアブランド「conges payes ADIEU TRISTESSE(コンジェ ペイエ アデュートリステス)」とムーミンがコラボした「ムーミンネイルセット」。
https://gunosy.com/articles/aEXSb
宝島社の雑誌の付録は確かに魅力的である。

◎産経の「【財務次官セクハラ問題】テレビ朝日会見」は読んでおきたい。角南源五社長の発言。
「この社員は取材目的で1年半ほど前から1年ほど前にかけて数回、福田次官と一対一の夜の会食をした。会食のたびにセクハラ発言があったため、この社員は身を守るため会話を録音したこともあった。そしてセクハラ被害に遭わないよう上司と相談の上、1年ほど前から福田次官との一対一の夜の会合は避けていた」
篠塚浩報道局長の発言。
「昨日発売の週刊現代の記事に、先日当社の開いた記者会見の内容について、事前に総理官邸とすりあわせをしていたというような記述があったが、全くの事実無根であり週刊現代の編集長宛に書面で強く抗議した。抗議文の内容は当社のホームページに掲載している」
https://www.sankei.com/politics/news/180424/plt1804240035-n1.html
https://www.sankei.com/entertainments/news/180424/ent1804240010-n1.html
https://www.sankei.com/entertainments/news/180424/ent1804240012-n1.html
テレビ朝日は広報局長名義で講談社の「週刊現代」編集長に対して抗議文を発表した。
「当社は貴誌 2018 年 5 月 5・12 日合併号 54 ページから 58 ページ掲載の「なぜか安倍が『上機嫌』の理由」「テレ朝女性記者は社内でも有名な『反安倍』一派」と題する記事(以下、合わせて「本件記事」といいます)について、貴誌および貴社に対し強く抗議するとともに、直ちに訂正し謝罪するよう求めます。
本件記事では、「『福田の辞任の後にするように』と同局の幹部と打ち合わせをしていたのは菅。」(P57)、「『官邸とテレ朝の篠塚報道局長が、かなり細かく打ち合わせをしたんです。福田の辞任当日の夜、ぎりぎりで行うこと。翌日の朝刊に合わせて報道させ、効果を薄める。A子の上司がMなんだから、Mのせいにすればいい、とね』(自民党幹部)」との記載があります。
しかし、当社は 4 月 19 日未明に行った記者会見の前を含めこれまでに、菅義偉官房長官をはじめ首相官邸と、福田財務次官のセクハラ問題に関して打ち合わせを行ったことは全くありません。本件記事の記載は、何ら根拠がないものであって、明らかに事実誤認であります。
また、この記事に先立ち、貴誌から当社広報部に対し事実を確認する質問は一切ありません。
このような事実誤認による本件記事の記載は、当社の名誉も著しく棄損するものであり、断じて看過できないものです。
以上に鑑み、当社はここに貴誌および貴社に対して、本件記事内容について厳重に抗議するとともに、本件記事内容について直ちに訂正し謝罪することを求めます」
http://company.tv-asahi.co.jp/contents/press/0344/data/180424.pdf

◎LINEは損害保険ジャパン日本興亜と損害保険領域における業務提携を締結した。
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2018/2168

トランプ大統領に解任されたコミー前米連邦捜査局FBI)長官の回顧録「A Higher Loyalty: Truth, Lies, and Leadership」が、出版から1週間で60万部を売り上げた。版元のフラティロン・ブックス社はすでに100万部以上を印刷しているという。
https://jp.reuters.com/article/comey-idJPKBN1HW0DI

コアマガジン大坪ケムタのコア新書「少年ジャンプが1000円になる日~出版不況とWeb漫画の台頭~ 」を刊行した。
https://dot.asahi.com/webdoku/2018042500071.html?page=1
http://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_026.html

男性誌Safari」を擁する日之出出版は、4月27日より、日本リテールファンド投資法人が所有する商業施設MARINE & WALK YOKOHAMA施設1階にショールーム型コンセプトストア「Safari Loungeショールームストア」をオープンする。
https://www.atpress.ne.jp/news/155216

◎メルカリ傘下のソウゾウは学びのフリマアプリ「teacha」(ティーチャ)のiOS版とウェブ版の提供を開始した。オフィシャルパートナー第一弾として学研プラス、ユーキャンが参加する。
https://about.mercari.com/press/news/article/20180425_teacha/

電通が毎月一度だが週休三日制を試験的に導入する。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2018047-0416.pdf

電通は、海外本社「電通イージス・ネットワーク」を通じて、ノルウェーのメディアエージェンシー「Red Communication AS」の株式100%を取得することで合意した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2018048-0423.pdf

電通は、"人"基点の統合マーケティングフレームワーク「People Driven Marketing」の強化に向けて、テレビ広告とインターネット広告の統合プランニングを実現する「STADIA」の機能を拡張し、OOH(屋外・交通)広告も統合するツール「STADIA OOHプラス」(β版)を開発した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2018049-0425.pdf

◎C Channelは、エフエム東京産経デジタル集英社、松竹、ソフトバンク、TBS、ポニーキャニオンというパートナー企業とともに未来のスターを応援するオーディションアプリ「mysta」のサービスを開始した。
https://corp.cchan.tv/2018-04-25_mysta/

集英社がBLに進出!
https://natalie.mu/comic/news/279757

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3)【深夜の誌人語録】

愛情とは執念にほかなるまい。