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2018-09-24

【文徒】2018年(平成30)8月22日(第6巻157号・通巻1331号)

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1)【記事】夏休みに読んだ三冊を紹介しよう

2)【本日の一行情報】

3)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2018.8.22 Shuppanjin

1)【記事】夏休みに読んだ三冊を紹介しよう

これは拾い物だった。山本譲司の「刑務所しか居場所がない人たち 学校では教えてくれない、障害と犯罪の話」(大月書店)だ。著者の山本は菅直人の秘書から衆議院議員にまで登りつめるが、政策秘書給与の流用疑惑による詐欺容疑で逮捕され、衆議院議員を辞職し、懲役1年6か月の実刑判決を受けた。このとき山本は刑務所で触法障害者と出会う。現在も触法障害者出所者の支援に奔走する山本が、まさに刑務所しか居場所のない触法障害者と呼ばれる人々の実態を活写しているのが本書だ。http://www.otsukishoten.co.jp/book/b357417.html

私は「刑務所しか居場所がない人たち 学校では教えてくれない、障害と犯罪の話」の存在を読売新聞書評欄で知った。

https://www.yomiuri.co.jp/life/book/review/nextweek/20180814-OYT8T50061.html

中度の知的障害を持つ男性が、車のダッシュボードに置かれていた30円を盗んだという事件の裁判の結果は、何と男性に懲役3年の実刑判決が下ってしまうのだ。朝日新聞も6月に書評で取り上げていた。

https://www.asahi.com/articles/DA3S13563413.html

見逃しちゃダメだよ!と自戒する。言い訳めいてしまうが私の場合、大月書店という名前を目にすると条件反射的に忌避する習性があるため、この本をこれまで見逃していた。

新聞の書評で初めて、その存在を知り、書店に走り、即座に読み始めて、その書物に圧倒され、自分の不明を恥じるということは、毎日のように東京堂書店三省堂書店に出向き新刊をチェックしている私にしても少なからずある。

フィリップ・フーズの「ナチスに挑戦した少年たち」(小学館)は東京新聞書評で知った。これはナチス占領下のデンマークで自分たちのグループをチャーチルクラブと呼んでレジスタンス活動を繰り広げた少年たちの活動を描いているノンフィクションなのだが、私にとってレジスタンス活動する少年がデンマークにいたということ自体が驚きであった。ジャンルとしては児童文学に分類され、大人たちの眼には入り難いのだが、どうやら戦前を生き始めた日本の大人たちこそ読むべき一冊だと私は思った。

https://www.shogakukan.co.jp/books/09290613

拾い物といえば、この3月に東大を退職した松原隆一郎が苦楽堂なる私にとっては初耳の版元から上梓した「頼介伝」もそうだった。松原は私からすると未だに「格闘技としての同時代論争 外国人横綱から自由主義まで」の著者であったのだが、岸信介同級生だったという祖父・頼介の評伝なのだが、これはノンフィクションとして傑作なのである。何しろ松原頼介が最初に起業した神戸の東出町周辺には同時期にダイエー創業者である中内功東山魁夷横溝正史、そして山口組の初代もいたのである。

文徒で岩本太郎が紹介した田代靖久もツイッターで絶賛している。しかし、「社会科学ノンフィクション」とは言い得て妙だ。

松原隆一郎さん『頼介伝』(苦楽堂)読了。期待に違わず面白かった。書き手の『書かねばならない』という執念、あるいは書き手とテーマとの結びつきの切実さは、時としてノンフィクションの作品に強い力を与えることがある。本書はまさしくそんな一冊だ」

「人生の一時期まで著者の針路を支配した祖父頼介、祖父事業の失敗を契機に、そのくびきから解き放たれた若き日の著者。自らの意志で経済学者の道を歩んだ著者は、祖父の人生を知ることを欲し、9年という年月をかけて本書を完成させたという。思いが込められ、贅沢に時間を費やされた書物は、その一事をもっても十分に魅力的だ。物語は、父の死後発見されたといういくつもの謎にみちた古い一枚の魅惑的な写真から語り始められる。写真の謎解きをきっかけに、闇に埋もれかけた祖父の人生に少しずつ光をあて解き明かしていく筆致は、学者らしく丹念で着実なのだが、思いの他スリリングだ。

松原頼介という無名の起業家の生きた個人史が、日本の近現代史および神戸史に重ね合わされ、激動の時代が甦ってくる。それは結果として『社会科学ノンフィクション』とでも呼びたくなるこの作品の、独特の硬質な感触につながっている。自分ただ一人しか書けないテーマを見事に書ききった力作だ」

https://twitter.com/EDEN_RRR/status/1029610896408993792

https://twitter.com/EDEN_RRR/status/1029611495246651392

https://twitter.com/EDEN_RRR/status/1029611967357452291

https://twitter.com/EDEN_RRR/status/1029612412943577088

付言しておくならば、この「頼介伝」や東良美季(親父は戸浦六宏である)の「デリヘルドライバー」(駒草出版)を正当に評価できないようだとノンフィクション業界に明日などあるまい。

いずれにせよ、出版業界の奥はまだまだ深いのである。その深さを知らずに出版業界の危機を騒ぎ立てることにかけては一人前という版元の人間が増えて来たと感じているのは私だけであろうか。そこの、お前だよ!本を書店で買って読むという習慣を持たないのであれば、とっとと業界から去って欲しいものである。

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2)【本日の一行情報】

江口寿史熊本県水俣市出身なんだね。熊本市内の中央区上通町の長崎書店で個展が開催されている。

https://this.kiji.is/403760511776261217?c=92619697908483575

江口の描いた女性はステキだ、好きだ、抱きしめたい。

東京新聞は8月19日付の書評欄で「歴史修正主義サブカルチャー 90年代保守言説のメディア文化」の社会学者・倉橋耕平を取り上げている。

歴史修正主義は決してネット時代の現象ではなく、一九九〇年代には仕組みがあった。ルーツの一つが『新しい歴史教科書をつくる会』。歴史の専門家ではない『アマチュア』知識人が中心を担った。右肩下がりの出版界で彼らの主張は『商品』として、論壇誌、漫画など複数のメディアを横断しながら拡散された。<『売れれば』いいという消費文化の論理で展開され、熱心な『お客様』を手放さないよう扱うなかで作られた言論>というわけだ」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/kakuhito/list/CK2018081902000183.html

私がこの記事に違和感を抱かざるを得ないのは「歴史の専門家ではない『アマチュア』知識人」という言い方である。「新しい歴史教科書をつくる会」とやらを「歴史の専門家ではない『アマチュア』知識人」が担って何が悪いのだろうか。私は「サンカ研究会」に属していたが私もまた歴史の専門家でもなく、民俗専門家でもなかったし、同じく「サンカ研究会」のメンバーでもあった朝倉喬司中川六平紀和鏡も歴史や民俗学のアマチュアであったが、「マージナル」(現代書館)を10号まで刊行した。

http://www.gendaishokan.co.jp/C1303101.htm

◎発売から1カ月足らずで累計10万部に到達し「清原和博 告白」は、西船橋の居酒屋で一歩を踏み出した企画と言って良いのかもしれない。「文春オンライン」が「覚せい剤逮捕から2年半。『清原和博 告白』はなぜ生まれたのか」を掲載している。

http://bunshun.jp/articles/-/8666

こういう本の「背景」に焦点を当てた記事は「文春オンライン」ならではのもの。本の販促にも繋がるしね。編集者や作家の顔を表に晒すのは、出版社の擁するネットメディアの重要な役割のひとつであると私は認識している。

昭文社は、ガイドブックシリーズ「ことりっぷ」の創刊10周年を記念した「ことりっぷ 10周年の10のこと」の企画のひとつとして、「ことりっぷ 旅するマルシェ」を11月3・4日の2日間、目黒駅徒歩2分の撮影スタジオ「EASE」で開催する。「日本のよいもの、かわいいもの」をテーマに、日本全国から編集部がセレクトしたお店が集まり、食品、雑貨などの販売を実施する。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000007916.html

日刊スポーツの「権力VSメディア 日本の場合/政界地獄耳」は次のように書いている。

「さて我が国はどうだろう。権力はメディアを敵と味方に分け、味方には情報を流し敵には教えない。メディアは自分の社だけが知らないのではないかと不安になり、多くが権力の顔色を見るようになる。どうやらそれでいいと思っている記者と、それは不健全だと思っている記者がいるようだが、メディアとして毅然と対峙しているとは言い難い。米メディアの状況は遠い話か、明日の我が身か」

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201808200000221.html

首相動静を見れば「メディアとして毅然と対峙しているとは言い難い」ことは明らかである。

「笹川会長、森喜朗元首相、小泉純一郎元首相、麻生太郎副総理財務相茂木敏充経済再生担当相、加藤勝信厚生労働相西村康稔官房副長官自民党岸田文雄政調会長萩生田光一幹事長代行、日枝久フジテレビ相談役らと食事」(8月15日)

https://www.asahi.com/articles/ASL8H64JHL8HUTFK013.html

空知英秋の「銀魂」が、9月15日発売の『週刊少年ジャンプ』(集英社)42号で完結することになった。コミックス第1巻から74巻までの累計発行部数は5500万部を突破している。

https://www.oricon.co.jp/news/2117854/full/

◎未来創造が運営していた小説投稿サイト「トークメーカー」は、講談社が運営元となり、「NOVEL DAYS」として生まれ変わることになった。「講談社11誌150人超の編集者と出逢える場所」として好評を博しているマッチング型マンガ投稿サイト「DAYS NEO」と、アトリエ特化型イラスト投稿サイト「ILLUST DAYS」の兄弟サイトとなる。開発・バージョンアップ・システム運営管理などは引き続き未来創造が担う。チャットノベル(キャラクター同士の掛け合いの会話形式ノベル)、コラボノベル(複数人で執筆する共著形式ノベル)も投稿できる。

https://talkmaker.com/info/713.html

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001830.000001719.html

安室奈美恵がゲスト出演するラジオ特別番組「WE LOVE RADIO, WE LOVE AMURO NAMIE」が、9月8日(土)より民放連加盟101局にてオンエアされることになった。

https://www.barks.jp/news/?id=1000158918

◎「日刊スポーツ」が「村上春樹氏の初ラジオ番組がシェア83・8%」を掲載している。

「作家の村上春樹氏(69)がDJ(ディスクジョッキー)に初挑戦し、TOKYO FMで5日午後7時から放送された番組『村上RADIO〜RUN&SONGS〜』が、パソコンやスマートフォンラジオを聴くことができるサービス『radiko』の過去1週間以内の放送を聴くことができるタイムフリー聴取で、在京ラジオ同時間帯平均で83・8%のシェアを獲得した。20日、同局が発表した」

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201808200000416.html

◎「NEWSポストセブン」が「富田林署逃走事件、大迷惑だったテレビクルーの大追跡」を掲載した。「週刊ポスト」の記事である。

「特に問題となったのがTBS取材スタッフだった。事情を知るTBS関係者はこう話す。

『最近の長丁場の現場では各局の報道クルーの車がWi-Fi(無線の電波インターネット接続ができる)設備があるコンビニの駐車場を“拠点”としてよく利用するんです。店側から苦情があれば謝罪して対応するのが筋ですが、今回、TBS報道スタッフがコンビニ店員とやり取りするなかで、駐車問題について言われると“でも、売り上げも上がったでしょう”という反論をしたようです。さすがにそうした対応などについて、コンビニ側から局に直接苦情が来ました』」

https://www.news-postseven.com/archives/20180819_742615.html?PAGE=1#container

白石麻衣(乃木坂46)の写真集「パスポート』(講談社)が、21度目の重版で1万部を増刷し、累計発行部数が32万部を突破した。発売して1年半も経つのに、これだけの勢いがあるとは!

https://mdpr.jp/news/detail/1787189

白石小学館の女性ファッション誌「Oggi」10月号(小学館)で、初登場にして表紙を飾る。

https://www.oricon.co.jp/news/2117944/full/

大日本印刷紀伊國屋書店および、大日本印刷グループの丸善ジュンク堂書店は、書店のコミック売り場で人気コミック作品のキャラクターやその一場面等の「プレミアムブロマイド」の販売を展開している。2018年1月4日から紀伊國屋書店新宿本店をはじめ、札幌本店、グランフロント大阪店、福岡本店、前橋店で展開を開始。また、7月1日からジュンク堂書店三宮店、7月11日からジュンク堂書店池袋本店に拡げ、全国で7店舗となった。

https://www.dnp.co.jp/news/detail/1190232_1587.html

小学館の園児の知育雑誌「幼稚園」9月号の付録は、回転ずしチェーン「無添くら寿司」とコラボした「かいてんずし つかみゲーム」。こういう手もあるのか。この企画を考えついた広告人は偉い!

https://netatopi.jp/article/1138769.html

クックパッドが監修する月刊誌cookpad plus」はセブン&アイ出版より、9月1日(土)に創刊される。「リサ・ラーソン」のマイキーとベイビーマイキーをあしらった多機能おでかけポシェットが付録となる。880円(税込み)。18万部の発行というが、付録からしても完売は間違いあるまい。

https://info.cookpad.com/pr/news/press_2018_0821

◎「AERA dot.」が「シリアで凶弾に倒れた山本美香さん七回忌 パートナーが語る戦場の真実『安田純平さん問題は自己責任政府の逃げ道に』」を掲載している。

「戦場取材の原点は「怒り」だと佐藤さん。戦争という不条理に対する『冗談じゃない』という強い気持ちが山本さんを突き動かした。山本さんが伝える映像は凛としたまなざしで女性や子どもに寄り添うものも多かったが、2003年のイラク戦争ジャーナリストの拠点となっていたパレスチナホテル米軍に攻撃されたときの記録には彼女の怒りが強く刻まれている。その砲撃により、ともに戦場を取材していたロイター通信のカメラマンが死亡。悔しさから思わず発した『ちくしょう』という山本さんの言葉は、日本のメディアでも取り上げられた。この言葉こそ、不条理への怒りそのものだった」

https://dot.asahi.com/dot/2018081800012.html?page=1

◎昨日の文徒で紹介した「マガジン航」の「出版流通はなんでもありの変革期を迎えた」(湯浅誠)が「NewsPicks」に取り上げられた。湯浅が提案した委託制度の廃止については毎日新聞小川一取締役が「真摯に検討する必要がある」と応じている。また「月刊FACTA」の宮嶋巌も「取次に搾取されるビジネスモデルなんか糞くらえ!」と吠えているし、元トーハン、元明屋書店の小島俊一も次のように書きこんでいる。

「読むに値する出版界からの考察です」

https://newspicks.com/news/3256860/?ref=business

https://magazine-k.jp/2018/08/20/revolution-in-book-distribustion/

湯浅はTAC出版で営業部に属している。

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3)【深夜の誌人語録】

失敗とは希望を捨ててしまうことである。

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