「暗いところからやってくる」 大野城まどかぴあ大ホール舞台上舞台

teru10162014-08-10


14時〜 1600円(友の会割引) 平成26年度公共ホール演劇ネットワーク事業

作:前川知大 演出:小川絵梨子

最初はぱっとちらしを見て「こども向けかぁ」と思っていた。
よくよく見たら、前川知大さんの作品で出演がほとんどイキウメのメンバーなので、これは観たい!
再演のようだ。 小川さんの演出を見るのは2回目かな?

いつものSFな色調をどのようにこどもへ向けるか。
ミュージカルだと「夢から醒めた夢」みたいに感動ものにつなげられるのだが。。

小柄で童顔な大窪人衛さんが無理なくいい感じで中学生役を演じていた。
伊勢佳世さんの女子大生もセーフだw そして浜田信也さん、かっこいいなぁ。

舞台は輝夫の部屋、中央にベッド、まわりには段ボールがちらばり、漫画やおもちゃ、服などが積み重なっている。
この舞台をはさんで前後に3〜5列の観客席があり、開演前にはこれらのものを見たり触ったりできるようにしてあった。
ラクタを宝物のように見てまわる小学生たちがたくさんいた。

亡くなったおばあちゃんの家に引っ越してきた中学生の輝夫、薄暗くて古い一軒家はちょっとした物音でも恐く感じる。
実は暗闇に住む者たちが原因なのだ。たいていは「気のせいだ」で済まされるのだが、新人がどじで、その存在を輝夫に知られてしまう。
なぜか地球を侵略に来た、絶対しゃべるな、と言う新人に驚いた輝夫は、姉や母に筆談で早く逃げるように指示するが逆に病気と思われてしまう。
最初はおばあちゃんの幽霊かと思っていた輝夫は秘密にしてきたことを家族に訴えて泣く。。。

輝夫たち3人の日常と、暗闇に住む者3人の非日常の対照がすごく面白くて見入ってしまった。
特に輝夫と新人のやりとりが絶妙だったな、こどものときにしか見えないものって確かにあった。
もう、今ではその記憶も薄れているけれど、「あれは気のせいだった」と。
だからこどもをあなどってはいけないのだ、大人はみんなこどものときを忘れている。なんでだろうなぁ

おばあちゃんを心配しつつもちょっと疎んじている母と姉とか、魔がさしてつり銭を盗むとか、そういえばあるあるある。
そして闇に住む者、新人、先輩、監督の3人の衣装や髪形がぶっ飛んでいて最高だった。 こどもってこういうビジュアル大好きだよね。

お隣にまどかぴあ館長の林田スマさんがお座りになられたのでちょっとお話しかけて、「いい作品の招致ありがとうございます」と言ったら、
「若い方たちが頑張ってくださってます」と嬉しそうに話されていた。
全国公演中で、次は北九州、きっとたくさんのこどもたちが喜ぶだろう。

「ホーリーズナイト」 シゲキバ

18時〜 1500円(2枚きっぷ 一人分) hen house

作・演出 今村映子


素敵な空間を演出するhen house 
今回の舞台は bar Holy'sとその仲間たちって感じかな。
舞台は生ビールサーバーがあるバーのカウンター。
オーナーの堀(梶川竜也)と従業員の千絵(永幡桂子)を中心にして、常連客や出入りの酒屋、一見のおとこ、などなど。。
6階にあってエレベーターが故障しているとあって、客たちはぶーぶー。それでもここに集うのだから居心地がいいのだろう。

初っ端はシャドーボクシングを披露する因幡(立石義江)
作り話だと言って、ジム通いの話を適当にあしらう連れの吉川(野田麻衣)
和服姿も凛々しい遠藤ママ(岩城朋子)城島(篠田昌人)とその彼女みずほ(野中双葉)
それぞれのエピソードが小出しにされていろいろ想像してしまう。
こういう話の作り方って絶妙だな。 
そして落ち着かない様子のおとこ(ましゅう)が飛び込んでくる。
店の前ではパトカーがいて何か事件があった模様。。まさかね。。

開演前からカウンターでは堀、智恵、因幡、吉川の4人でなにやら雑誌を覗きこんで談笑している。
こういう場面って緊張しないのが俳優なんだな〜 あまりに自然過ぎてつい声をかけそうになったよ。

因幡の素直なキャラもおもしろかったけど、みずほのがらっとかわる口調と態度がかなり面白かった。
そして、ママは強烈だったな〜〜 発声や細かい表情が大胆であり繊細であり。こんな役は岩城さんでないとできないだろう。
そして偶然だろうけど、堀、城島、おとこ、三人ともちょっとなよなよっとした頼り無い感じが現代の男を象徴してるようだった。

あーそういうことかと気がついたのがかなりあとのほうで、私の想像力もたいしたことないと再認識。

作・演出の今村さん、出番は少ないものの重要な役で出演もされていて女優としても素敵だな。
hen house、ますます好きになりました(^^)

あ、そういえばグラスが全部不透明なグレーだったんだけど、あれは作り物だったのかな。。