「修道女たち」 北九州芸術劇場 中劇場

teru10162018-12-02


13時〜 7000円 KERA-MAP

作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ

どこかはわからないが、ヨーロッパを思わせる山の麓に建つ山荘。
その石造りの山荘は半世紀程前、かつて祠だった場所に建てられた。
100年前、村の長老が病に倒れたため、ある修道院から修道院長が呼ばれたが、
山中で豪雪に襲われ、彼女(聖女アナコラーダ)は祈りを捧げながら息絶えてしまった。
すると驚くべきことに長老は元気を取り戻し、150歳過ぎまで長生きしたという。
長老は命と引き換えに自分を生かしてくれた彼女のために祠を建てるよう、村人に命じたのだった。
それから毎年、寒さの厳しい時期に修道女たちがこの山荘を訪れ、巡礼の儀式を行うのが定例となっていたー。
(チラシより)

ケラさんのナイロン100℃の作品は北九州によく来ていたのだけど、
内容的にちょっと受け入れにくいな〜という作品が続いていたので観劇をお休みしていた。
そろそろ観ようかなと再開したこの作品は、もうもうめちゃくちゃ面白かった!
うわ〜〜刺激的だ! 鳥肌がたつほど気持ち悪い部分もあるのに目が離せない。
しかも、なぜか随所で笑わせてくれる。 あれー??

キリスト教でいう、「アーメン」が「ギッチョラ」?しかも十字でなく碇みたいな感じの手の動き。
そして顔が白塗りでゾンビか、はたまたピエロか? これも演出なのか。
最初は吹き出したけどだんだん真面目に観てしまう。
シスターの衣装は極々普通のものだったので、真面目なのか不真面目なのか。
宗教も信仰も金しだい。危ない橋を渡るか渡らないか。やけくそか理性的か。
シスター・ノイ(犬山イヌコ)とシスター・マーロウ(伊勢志摩)の掛け合いが面白すぎる。
オーネジー鈴木杏)とニンニ(緒川たまき)の愛情がすごく可愛らしい。
堂々と「白痴」と言ってのけるのも演劇ならでは。

5つのステンドグラスに映し出す、プロジェクションマッピングや数々の音楽が美しく効果的だった。
最初は区別のつかない修道女たちだったけど、その個性と細かい演技ではっきりと区別できるようになった。
2階席中央ブロックからの舞台は非常に観やすくて最高だった。

宗教は元々禁欲的なものだろうけれど、それは非常に演劇的で面白い題材となる。
行動と気持ちが裏腹なんて聖職者じゃなくてもありえることだ。
大好きなニンニといるためだけに修道女になりたいというオーネジーが愛おしい。

時々起る不思議な現象もあってもおかしくないと思わせる演出で興味をかきたてる。
ラストのシーンは銀河鉄道だったり、止まれない12人だったり、いろんな演劇の似ているシーンを思い出した。

あっという間の3時間15分だった。は〜〜良かった。

キャスト

鈴木杏 緒川たまき 鈴木浩介 伊勢志摩 伊藤梨沙子 松永玲子
みのすけ 犬山イヌコ 高橋ひとみ