「twilight」 ぽんプラザホール

2024年4月14日(日)

13時~  1800円  劇団HallBrothers

作・演出  幸田真洋

タクシー運転手の渡瀬は、繁華街で偶然、中学時代の同級生を乗せる。
若気の至りで深く傷つけてしまった、いわくつきの女性。
十数年振りに再会した彼女は美しい大人の女性に成長していた。
外見的には……
彼女が告げた行き先は、周囲を深い森と鉄条網に囲まれた、小さな教会。
そこで渡瀬が見たものは―
(公式サイトより)

2007年初演の「ヘルメット・オン・ザ・ビーチ』がモチーフということ。
内容はおぼろげにしか覚えてなかったけど、あのころの幸田さんの作品は
かなり鋭く社会を風刺したものが多かったような気がする。
今回の作品はあれから17年の間に起こったいろんな事案を踏まえていても、
ラストを柔らかく着地しているようで、いい感触を持った。

新興宗教らしきコミュニティでのふるまいや説教が実にリアルで上手い。
思わず入信してしまいそうな説得力で驚く。
ホールの作品には時々こういう人が出てくる。
こういうところの教義って間違っていないんだよね~~
でも、やっぱり滉太のようにことなかれ主義に陥ってしまう。
矛盾しているけれど、つらいところだね。
滉太は結婚できたようだけど、実際にはいろんな理不尽な理由で
不幸になる人もいるのだと思う、自分がそういう立場だったら?
と自問自答してみたよ。答えは出しにくいけど考えることは大事だと思う。

今回もあやさんの演技が良かったな~今までの優しさに加えて
母親のエゴイスティックなまでの愛情もよく出ていた。
若い役者さんが増えたけど、重厚な役柄も作品には必要だ。

25周年を迎えてますます素敵な舞台を作られることを期待します。

<感想>
キャスト
飯山文乃  明田有砂
渡瀬    奥積竜太
真裕美   萩原あや
沢渡    唐島経祐
庄司    大畑慧光
ソフィー  山中海瑠
戸田    本多史佳
エマ    松下ゆき
月島    佐久間光
マザー   鳥居アオイ
菊池    宮﨑実優
滉太    宮城遼久

 

「新生!熱血ブラバン少女。」 博多座

2024年4月7日(日)

11時~  9500円  博多座25周年記念作品

作   G2
演出  加納幸和花組芝居

西北女子学園吹奏楽部は、全国大会の常連校だったが
指導者不在の上、部員の半数が退部してしまいほぼ休部状態。
そこに、なぜかスポーツ専門のメンタルコーチ城門輝勝(博多華丸)
が指導を行うことに。。。。
果たして「新生」吹奏楽部は、城門の熱血指導により本当に
全国大会へ出場できるのか?
博多座公式サイトより)

華丸さんがまた博多座へ来たよ。めんたいぴりり以来かな?
決して役者さんとして上手かというとそうは思えないのだけど、
ふるさと博多を思う気持ちがいっぱい伝わってくる。
NHKあさイチで全国区になってしまったけど、折にふれ地元愛を披露する。
先日は福岡で華大どんたくなるものをやって盛り上がったみたい。
地方出身の有名人が地元を取り上げてくれるのは本当にありがたいね。
最近は福岡在住の芸能人も増えたようで、コロナ禍でのリモート勤務など
中央にいなくても動きやすくなっているから、
東京一極集中も緩和されてきているのかな

地元の有名校、精華女子の吹奏楽部とのコラボはとても見ごたえがあった。
構成や演出など、難しい部分も多かったと思うけど、
役者さんも実際に演奏をしているように見えた。素晴らしい!
ストーリーは少し無理はあったものの、上手く最後はまとまっていて
それなりに楽しかった。
親子の愛情、友だちとの友情、そして同じ目標に向かって力を合わせていく。
これらが充分に表現されていて、ほのぼのとし元気が出る舞台だった。

元妻役の紅さんはかっこよかった~
宝塚出身の人は実力も華もあって輝いている人が大勢いるね。
梨央ちゃんを始め若い出演者は元気があってよかった。
そして、宇梶さん、浅野さんは舞台を締めるね。
地元の役者さんも数名出演していたけれど、もうちょっと
たくさん出してほしかったな

華丸さんがますます活躍されることを福岡県民として切に願っています。
めんたいぴりりも待っとるよ~~~~

キャスト
城戸輝勝    博多華丸
河合凛々子   紅ゆずる
河合葵     鈴木梨央
鈴江響     星野真里
橋口大吾    斉藤優(パラシュート部隊)
手塚岳斗    小林大介花組芝居
手塚杏     森保まどか
荒木唯     上西怜NMB48
岩永澪     神田朝香
橋口紬     古川あかり
岩永隆二    宇梶剛士
海羽眞弓    浅野ゆう子
精華女子高等学校吹奏楽
伊藤卯咲
柴﨑凛々子
田中杏佳
牧野ひかり
弥和
仲道和樹
下畑博史(パタパタママ
木下貴信パタパタママ
高須賀浩司
武市佳久(花組芝居
青井想
原岡梨絵子
下村結香
大野朱美

 

「オッペンハイマー」 映画

2024年3月29日(金)イオンシネマ大野城 

13時10分~  1100円

脚本・監督 クリストファー・ノーラン

第2次世界大戦中、才能にあふれた物理学者のロバート・オッペンハイマーは、
核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画において、
原爆開発プロジェクトの委員長に任命される。
しかし、実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが実戦で投下され、
恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けたオッペンハイマーは、
戦後、さらなる威力をもった水素爆弾の開発に反対するようになるが……。
(映画紹介サイトより)

公開初日だったけど、平日なのでそこまで観客は入ってなかった。
ゴジラの方が多かったような感じだった。
事実に基づいた作品だけど、その構成を原爆投下の前後で交互に
時系列通りでなく、いったりきたりする演出だった。
説明はなく、モノクロかカラーかで見分ける?役者のメイクも変えて。
一生懸命見ても完全にわかったわけではなかったけれど、
だんだん理解できるようになった。
オッペンハイマーの心の動きや、周りの彼に対する賞賛や嘲りが直接
胸に響いてきて、本当に大きなテーマを取り扱った作品なんだと思った。

淡々とした表情のオッペンハイマーは物理学者としての喜びも家族との幸せも
派手に喜ぶわけではない。そして、スパイ容疑を掛けられたり国家に責められても、
激しく悲嘆にくれるわけでもない。そして国外に逃げることを勧められても
「母国を愛している」と動くことをしない。
そして原爆を投下された日本を思い、水爆を作ることを拒否する。
自分に正直でいようとした彼は結論のでない人生に結論を出した。

圧倒的な映画だった。こういう作品が作れることが人間の証なんだと思った。
それにしても、昔の映画は「たばこ」が大きな小道具だ。
現代の映画ではそれができないのが残念なのか時代なのか。。。なんとも。

キャスト
J・ロバート・オッペンハイマー  キリアン・マーフィ
キャサリンオッペンハイマー  エミリー・ブラント
レズリー・グローヴス      マット・デイモン
ルイス・ストローズ       ロバート・ダウニー・Jr.
ジーン・タトロック       フローレンス・ピュー
アーネスト・ローレンス     ジョシュ・ハートネット
ボリス・パッシュ        ケイシー・アフレック
デヴィッド・L・ヒル       ラミ・マレック
ニールス・ボーア        ケネス・ブラナー
フランク・オッペンハイマー   ディラン・アーノルド
イジドール・ラビ        デビッド・クラムホルツ
ヴァネヴァー・ブッシュ     マシュー・モディーン
ハーコン・シュヴァリエ     ジェファーソン・ホール
エドワード・テラー       ベニー・サフディ
ウィリアム・ボーデン      デビッド・ダストマルチャン
アルベルト・アインシュタイン  トム・コンティ

 

「骨と軽蔑」博多座

2024年3月28日(日)

12時半~ 12500円  KERA CROSS

作・演出  ケラリーノ・サンドロビッチ

手練れの女優7人と一緒に辛辣なコメディを作ってみたい。
会話劇だ。会話、会話、会話。今は一応コメディと呼んでおくけれど、
作品を占める笑いは苦味の強いものばかりになるかもしれない。

公表されたビジュアルの通り、「居並ぶ墓石(の絵)を前にして
楽しそうに笑う女たち」がイメージだ。そんな不謹慎を
笑ってしまえるような舞台になるといいなあ。
今回は派手な仕掛けは使わないつもり。彼女たちの芝居が仕掛けだ。
(公式サイトより)

ケラさんの言うとおり、素敵な女優7人の会話劇だった。
シンプルなチェーホフ風な屋敷を舞台にその屋敷内外を表現していたけれど、
時々ごっちゃになるのがまた可笑しい。
ナイロン100℃の舞台は難しくよくわからん!というものが多いけれど、
今回の舞台(ケラクロス?)はとてもわかりやすいキャラクターが多くて、
各人に思い入れすることができた。
ストーリーテラーのネネの誘導ですんなり物語に入り込むと、
個性的でぎくしゃくしているマーゴ、ドミー姉妹と母親グルカの
関係性を模索していく。
世の中によくあるある家族のようで、姉妹でも敵対している感じや
親子でも信じてない感じがうっときて苦しい。
グルカと秘書のソフィーは夫が亡くなる前と後ではがらっと関係が変わって、
なんだ?という感じ。一番わからなかったのがソフィーかな。
ミロンガは沈着冷静なイメージだけど虫wもやる。
この虫の意味するところ、最後までわからなかったww
ナッツ!もう可愛くて抱きしめたい。もともと小池栄子は好きな女優さん。
衣装もセリフもいいし、マーゴ大好きな様子が愛しくて健気。
宮沢りえのマーゴは圧巻だったな。野田さんの舞台のりえちゃんも素敵だけど。

北九州でなく博多座に来てくれて本当に嬉しかった。

キャスト
マーゴ   宮沢りえ
ドミー   鈴木杏
ネネ    犬山イヌコ
ミロンガ  堀内敬子
ソフィー  水川あさみ
グルカ   峯村リエ
ナッツ   小池栄子

 

「極付 国定忠治」 福岡市立博多市民センター

2024年3月21日(木)

19時~ 演劇の映像を観る会  

新国劇「極付 国定忠治」 (作:行友李風、1980年、1時間25分)
「赤城の山も今宵を限り」― 昭和期に圧倒的な人気を博した
大衆劇団「新国劇」の代表作。
出演
国定忠治辰巳柳太郎 川田屋惣次:島田正吾 山形屋藤造:緒形拳 ほか
(薙野さんのレジュメより)

前回の演劇書で読んだ「ふり蛙」著者島田正吾氏出演の「国定忠治」を見た。
時代劇はあまり見ないので40年前の作品ながら新鮮な感じで観れた。
画質は別として、殺陣などの動きは現代の時代劇とも変わらない感じだ。
それにしてもやっぱり迫力がすごい。メイクも力が入ってる。
大衆劇団というから、そんなにお金持ちでなくても楽しめる、
一般大衆向けの娯楽だったんだろうか。

主役の辰巳柳太郎はすごくかっこよかった。島田正吾緒形拳なども
本で読んでいたせいか、当時の新国劇の隆盛を感じさせる。
タイトルに「極付」がついているのはなぜだろうか?


演劇の映像を観る会は、奇数月の第3木曜日に開催しています。

 

「三途の川のクチコミ」福岡市美術館ミュージアムホール

2024年3月17日(日)

13時~ 3800円(ペア券 1人分)万能グローブガラパゴスダイナモ

作・演出  川口大

言わずと知れた三途の川、亡くなった人が渡るというアレ。
そこに集まった現代人は口コミがないと川など渡れない!
そこで、天国の天女やら地獄の鬼たちが口コミを集めてまわる。
初めてのスマホSNSに振り回される鬼たち。
最後には一番大事なことに気が付く、という笑って泣けるコメディ。
さすが川口さん!

SNSに振り回される前に疲れ切って、最近はスマホはLINE、
PCはブログアップだけで開いているような。。。。
FBもXもインスタもたまに見るだけ。昔はもっとやっていたのにな~
しかし、今回の作品を見るにつけて、みんなそう思っているのかなと。
口コミとかフォロワーの数とかいいねの数とか。

「選択肢が多すぎる!と思いません?」という問いかけには
そうだっけ?とは思うのだけど。
失敗も必要だと思うから、何でも口コミより勘で選ぶことが多いかも。

それにしてもいつもながらの楽しいキャラクター達だった。
それぞれの面白さが際立っている。
アンケートにも書いたけど、かなわともみじのやり取りが一番心に残った。
実に可愛い二人の揺れ動く心が泣けたし笑えた。友達って最高だね。
椎木パパも実年齢はまだ若いのに、娘や息子を思うさまに感動したよ~~
準レギュラーの英さんもいい役柄だけでなく、陰での舞台操作を
頑張っていたとは!ほんとにえらい!

生コメを見ながら大笑いした。生コメは楽しいがここで川口さんが
見れるのが一番うれしい。
そして、ゲストは以前出演していた中村豪志さん。
ちょーかっこいい
9月の公演のチケットも購入「月ろけっと」再演。楽しみ~~♪


キャスト
薫     椎木樹人
天女    石井実可子
あまの先輩 西山明宏
人間    澤栁省吾
帆村果実  つじむらかほ ←アナグラムだ!今気がついた
八千代   千代田佑李
閻魔ご   青野大輔
もみじ   富永真由
かなわ   樅山幸音
人美    杉山英美

 

「御菓子司 亀屋権太楼」北九州芸術劇場小劇場

2024年3月16日(土)

13時~ 3500円  MONO

作・演出  土田英生

江戸時代から続いてきたらしい和菓子屋「亀屋権太楼」が、
経歴の捏造に端を発した騒ぎで存続の危機に立たされる。
新しい社長は評判の人格者。彼なら道を誤らないはずだ。
店、家族、そこに関わる人たちの10年間。
(公式サイトより)

私はサラリーマンの家系なので、自営とか経営者とかいう方たちの
苦労がわからない。ニュースでみる、後継者問題も大変なんだろうなと思う。
和菓子屋の10年間、先代が引退して後を継ぐ→経歴詐称の問題が発覚→
新発売のお菓子が売れる→カフェも併設してますます好調→売れ行きが落ちる→
閉店する。
まるでジェットコースターのようにあがったり下がったりするのは
現実味のある話だ。
経営者の手腕だけで解決するわけではないし、舞台には出てこなかった
先代の人となりも、なんだか悪いこともするけどいい人にも思えるし。
誇りを持った従業員たちもそれぞれに苦悩している。
他人でもそうなのに、血のつながった親子や兄弟の問題になればなおさら
苦しい思いを抱える。
一攫千金を夢見た若者は悪いやつに騙される。
切なく苦しい展開を超えて、それでも人間は生きていくんだという
前向きなメッセージなんだろうか。

それでも4年ぶりのMONOを楽しんだ、「わち、わち」と土田弁がおもしろい。
舞台のセットがコンパクトだけど凝っていて、椅子が壁から出てくるのがゆかい。
場転の手順、大変だっただろうな。
土田さんはいつも悪者か情けない人役w  それでも出演してくれてうれしい♪
ロビーで売っていた「はしけやし」やっぱり買えばよかった~~
初MONOの友達を誘って観にいった。気にいってくれたら嬉しいな。

キャスト
田代祐吉   尾方宣久
田代吉文   水沼 健
田代早紀   立川 茜
道場俊    金替康博
青山和真   奥村泰彦
奈良原瞳   高橋明日香
北川泰生   渡辺啓
佐倉玄    土田英生