Mysterious Skin (グレッグ・アラキ) ★★★★

teskere2006-06-27

 日本では「安いラリー・クラーク」という位置付けの(違うか?)日系三世アメリカ人映画監督、グレッグ・アラキ2004年作品。日本で一般公開はされてないものの、「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」で上映されたこと有り。
 8歳の頃、野球コーチに性的虐待を受けた二人の男の子のその後を描いた作品で、一人はその後男娼まがいの生活を送るようになり、そしてもう一人の少年はその間5時間の記憶を失い、自分は宇宙人に人体実験をされて記憶を消されたに違いない、と熱心なUFOマニアになっていたのだった… 
 という、いわゆる「エイリアン・アブダクション」の典型例をガチンコ・ストロングスタイルで映画化。数々のセックスシーンのリアルさ(監督もゲイ)も相まって、かなり重苦しい中々の力作。ハリウッド的なハッピーエンドでも、この手の題材にありがちな衝撃的なエンディングでもない、ある意味宙ぶらりんの終わり方にも作り手の誠実さを感じる(もちろん、ちょっと肩透かしを食らった気もするけど)。
 なんにせよ、もうグレッグ・アラキを「安いラリー・クラーク」とは言わせない…というか言わない、俺が。