もっと知りたい 田中一村 生涯と作品

 先日の、東京でのB型肝炎訴訟の国会要請行動で、北海道のB型肝炎訴訟原告団などが作った「肝炎のつらさを綴る川柳集」を貰った。各政党への要請の際にも、国会議員に配布したものだ。長い闘病生活、肝がんの恐怖、差別、経済的負担、国の不誠実な態度など、国の医療政策のミスによる被害を一身に受けながら、毎日を生きている、患者・被害者の声が綴られている。
 その中からいくつか紹介したい。

  厚労省 今日もミスター 検討中
  吾が子への 輸血もできぬ 役立たず
  履歴書の 健康状態 嘘ばかり
  B型の 今日運勢って なんだかなぁ
  ガンだって よくよく聞けば 国がガン
  注射 妻より怖い 回し打ち
  裁判長 早くしないと 死んじゃうぞ
  証拠が そんなに大事か 命より
  まず謝罪 言い訳うんざり 聞きたくない
  先のない B肝よりも 我民主
  母子手帳 持たぬわれらが 悪いのか
  毎回の エコー検査が 審判日
  引き延ばし のばしたいのは 命だけ
  妻の顔 いつでも微笑む 遺影かな
  肝炎も 出会いがあれば これもよし

もっと知りたい田中一村―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

もっと知りたい田中一村―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

 いつ見ても、田中一村はいい。我が家にある田中一村の画集は「NHK日曜美術館 田中一村作品集」(1985年8月 日本放送協会)と「田中一村作品集 新版」(2001年10月 日本放送協会)である。彼の作品集が出版されるたびに、新たな発見があり、彼の実像が少しづつ明らかになってくる。画題なども訂正されてきている。私が奄美大島にある田中一村美術館に連れ合いと行ったのは2006年4月11日。田中一村の旧家(あばら家である)にも立ち寄った。小著「孺子の牛」でも紹介した。書棚にある田中一村の評伝は、「アダンの画帖 田中一村伝」(南日本新聞社編 1986年2月) 「田中一村 豊饒の奄美」(大矢鞆音 NHK出版 2004年6月) 「絵の中の魂 評伝・田中一村」(湯原かの子 新潮社 2001年9月)
 もう一度行ってみたいものだ。