「江南の鐘」

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江南の鐘 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1816)

江南の鐘 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1816)

 大阪での裁判の傍聴に行った際、持参したのがロバート・ファン・ヒューリックの「江南の鐘」。原著名は「THE CHINESE BELL MURDUERS」。
 中国語訳では「銅鐘案(淫僧記)」となっている。簡単にあらすじが紹介されている。「半月街の精肉業をしている肖の娘の純玉がむごい殺し方をされた、純玉の恋人は裁判にかけられた。霊徳堂の普慈寺ではしばしばみだらなことが起こっている。林家と梁家のあいだには和解しがたい代々の仇がある。両家の仇を解決しようとする狄判事とその側近はだまし打ちに出会い、一同は鐘の下にすっぽりと入れられてしまった。」
 本書は1958年に書かれている。最初は「中国梵鐘殺人事件」と題して三省堂から松平いを子訳で出版された。
 本書では、3つの事件が取り上げられているが、著者によれば「仏寺の秘事」は明代の学者馮夢龍「醒世恒言」の「汪知事宝蓮寺を焼く」から取ったという。「半月小路暴行殺人事件」は「龍図公案」から、「鐘の下の白骨死体」は「九命奇怨」から材を取ったと書いている。それぞれ、古書店でも歩きまわったら見つかるのだろうか。
 今回も、訳者あとがきは勉強になる。中国人の家の考え方、城市(まち)・院子(なかにわ)・仏教・席次と官職・鐘など、訳者は大変である。



 上の写真は、宮内フサ(1985年102歳で死去)作品を版画にしたもの。

俚謡 (湯朝竹山人 辰文館 大正2年刊 1913年)から
  ●梅と桃との 色香を競(くら)べ 中に澄した 糸柳
  ●白露や無分別でも 草葉がたより 恋の憂き身の 置き所
  ●恋の所分も 白歯の娘 思ひあり気な 手毬唄