再審

  • ●意義

事実認定の不当を救済するためにもうけられた非常救済手続(刑事訴訟法4編)。
再審請求審の審理と,再審公判の審理があり,前者には再審の理由(435条)が必要であり,後者には利益再審(452条)しか認められない。


  • ♪趣旨

誤判(無辜)救済


  • 再審理由(435条)

1 偽証拠ケース(1〜5号)
2 新証拠発見ケース(6号)
   1) 証拠の新規性
      =新たなる証拠の発見
      ≠証拠自体の新規性
   2) 証拠の明白性

★「白鳥」最決昭50・5・20
<事実>
昭和27年,札幌で白鳥警部が拳銃で射殺される事件が起こった。原確定判決は,Xを首謀者として認定し,懲役20年の言い渡しを行ったが,それは次の事実認定によるものであった。
T「XとSが白鳥警部を殺そうと計画し,そのためにXは拳銃を保管していた。僕らは射撃訓練をしていたし,Sが白鳥警部をこの拳銃で殺した。Xも『Sが殺した』と認めていた」←(裏づけ)←射撃訓練の際の弾丸と,白鳥警部の体内から検出された弾丸との同一性。
<判断>
上告棄却。
「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」とは確定判決における事実認定につき合理的な疑いを抱かせ,その認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠をいう。それは,もし当の証拠が確定判決を下した裁判所の審理中に提出されていたならば,果たして確定判決においてなされたような事実認定に到達したであろうかどうかという観点から,等の証拠と他の前証拠と総合的に評価して判断すべきである。そして,その判断に際しても「疑わしきは被告人の利益に」の鉄則の適用はある。
<整理>
これまでの判例(証拠の明白性=無罪の見込の高度の蓋然性)とは一転。

3 職務犯罪ケース(7号)

再審

  • ●意義

法定の再審事由がある場合に認められる例外的不服申し立て(民事訴訟法4編)。


○再審事由(338条1項)
1 種類
  1〜10号
2 制限
  柱但


  • ♪趣旨

当事者が攻撃・防御を精一杯尽くし,その結果判決が確定したのであれば,その判決は自己責任の下に,当事者においては,既判力が甘受されなければならない。しかし,その攻撃・防御とて,一定のルールにのっとってなされなければ当事者間に不公平が生じ,自己責任を問い得ないことになる。


  • ▲要件

確定した終局判決に対して,その既判力を受け,不服のあるものが再審原告としての当事者適格を有する。

★「再審の原告適格最判昭46・6・3百選119
<事実>
Y原告,A被告の裁判はY勝訴で終了。その後,Aから係争地の所有権を譲り受けたXが再審を請求。最高裁は,再審事由を欠くとしながらも次のように判示した。
<判断>
再審の訴えは,判決確定後に判決の欠缺が認められた場合に,法的安定性を犠牲にしたうえでも許容されるような非常手段だから,判決の既判力の不利益を受けるものが,不利益から免れるために認められるものである。そうすると,115条の承継人は,再審原告たりうる。

★「338条1項3号類推?」最判平1・11・10百選A51
<事実>
Xらは知らないうちに死後認知請求訴訟により,死亡したAの子らとされた。このため,Xらはその請求訴訟の原告=Yと被告=Xを被告として,338条1項3号類推的に根拠として再審の訴えを提起。
<判断>
再審の訴えは,確定判決の取消及び確定判決にかかる請求の再審理を目的とする一連の手続なのだから,子が当事者適格を有さない以上,再審の訴えの原告適格もない。