さり海馬

Thoughts walk away, blog stays.

シャドウラン:ラン&ガン、出ます!

こちらではお知らせしてなかったと思うので、今更ですが。

新しく本が出ますので、よろしくお願いします。3/24 頃です(あれ、アマゾンだと3/23になってるな)。

 

 

Vehicle Control for Dummies:05a 遠隔制御・リガー制御のテストについて

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Photo by Mark König on Unsplash

はじめに

"VC4D: Vehicle Control for Dummies"はシャドウラン5th Editionでのヴィークル制御関連の説明をする記事です。

今回は05a回、つまりちょっと予定から外れてAppendix(補遺)をしたいと思います。

さて、遠隔制御とリガー制御でヴィークルの搭載武器を使う場合、そのテストで使う能力値とリミット、ボーナスについては、ルールブックの記述が不明瞭だったり、互いに矛盾していたりして、間違いなく「これが正解」と言う事が困難だという、残念な状況が現在でも続いています。

ルールで明確にされていないため、さまざまな観点(設定からの一貫性、ルール的なバランス、その他)からそれを補おうという試みがなされていますが、やはり決定的な結論には至っていません。

さすがにこのままだとリガーが不遇ですし、プレイの妨げになり、いよいよリガーをやろうという人が減ってしまいそうです。そこで、いくつかの選択肢とその理由を提示して、プレイグループの中で選んでいただけるようにしたいと思います。

異論や別の観点からのコメントなんかがありましたら、コメント欄か、ツイッターの@tsgross1111までお寄せいただけると幸いです。

結論:正解がないので自分で決めるしか

さしあたり、遠隔制御でもリガー制御でも、「プレイグループ内で話し合った上で、好きな組み合わせでテストして良い」とするのが楽だと思います。

「それではあんまり雑すぎる」というのであれば、いくつかある選択肢の中から、プレイ卓にあったものをみんなで選んでください。

それぞれ一長一短があります。それに選んだ基本能力値によってはリガーの成長計画に大きな差が出る可能性があるので、そのあたりまで考えて決断し、後から変更しないようにした方がいいでしょう。

この連載ではどうするのか?

さしあたり、遠隔制御、リガー制御とも

一律:〈砲術〉+【論理力】[センサー]

としておきます。そうでないルールを適用する方は、適宜読み替えてくださいね。

遠隔制御

遠隔制御は、専用コントローラーや、AR/VR上の仮想コンソールなどを用いた、ビデオゲームっぽい制御になると考えられます。

遠隔制御では以下のどれかを使うことになると考えられます。なお、分かりやすくするため、コムリンクの【データ処理】、VRなどの影響はこの際書かないことにします。

可能性のある選択肢は:

  • ① 一律:〈砲術〉+【敏捷力】[精度]
  • ② 一律:〈砲術〉+【論理力】[センサー]
  • ③ 制御の手段で定まる:(物理的なコントローラ、ARなど)肉体が介在するなら①、(VRのように)介在しないなら②
  • ④ 攻撃者の選択:センサーの照準支援機能を用いるのなら②、用いないなら①
  • ⑤ 攻撃者の選択:①、②のどちらでも好きな方を選んでよい

能力値

①は【敏捷力】が基本となるという考え方です。私たちがビデオゲームをやるときは、確かにそんな感じがします。ARでも、実際の視界にオーバーレイする形で表示されるコントローラーを、手などで操作するイメージなら、同じことが言えそうです。

一方、完全に肉体を離れた状態であるVRでも、肉体を細かに制御するための能力値である【敏捷力】が利いてくるというのがちょっと不自然というのも分かります。

②は【論理力】が基本となるという考え方です。これは①とは全く逆で、脳の思考力の高さが正確な制御に利いてくるというものです。肉体が介在しないような状況では、こちらの方が妥当な気もしますね。

ゲームバランスという考え方からすると、①だと【敏捷力】がリガーにとっての必須能力値になってしまうというという問題があります。②の【論理力】は、もともとヴィークルの整備・改造などでも使う能力値のため、これを求められてもリガーへの負担はあまり大きくならないという面もあります。

リミット

①は武器の【精度】が常に使用されるべきという考え方です。ヴィークルの乗員と同じテストになるので直感的で分かりやすいのが長所です。

②はヴィークルの【センサー】常に使うべきという考え方です。基本的に遠隔制御では、ヴィークルのセンサーを利用して周囲の状況を知覚しているのですから、そういう考え方も妥当かも知れません。

ゲームバランス的な観点からすると、ほとんどのヴィークルの【センサー】が武器の【精度】より低めで、センサー改造ルールがない基本ルールの範囲では、①の方が攻撃者にとって有利になることが多いでしょう。②にすると、たいていは「不利な遠隔制御よりも、直に手で撃った方がいい」ということになりそうです。

リガー制御

リガー制御では、攻撃者はヴィークルを自分の肉体のように操れる状態になります。ジャンプ・インしての制御は完全没入型のVRが前提となります。

可能性のある選択肢は:

  • ① 一律:〈砲術〉+【敏捷力】[精度]
  • ② 一律:〈砲術〉+【論理力】[センサー]
  • ③ 攻撃者の選択:センサーの照準支援機能を用いるのなら②、用いないなら①
  • ⓸ 攻撃者の選択:①、②のどちらでも好きな方を選んでよい

といったところでしょうか。

能力値

最大の論点は「完全没入したVRの状態でも、【敏捷力】って意味があるのか?」になると思います。前述した遠隔制御のロジックを踏まえると、①と③は「ある」、②は「ない」とする立場ですね。

ゲームバランス上の観点についても、やはり遠隔制御と同じで、【敏捷力】を成長させる負担をリガーに負わせるかどうか、という点になるでしょう。

リミット

リミットについての論点は、前述の遠隔制御と同じです。

まとめ

  • 遠隔制御・リガー制御で搭載武器を使った攻撃時のテストの能力値とリミットは、ルール上はっきりしない
  • いくつかある選択肢の中から選ぶしかない
  • 特に能力値は、リガーのキャラクターのビルドに少からず影響を及ぼすので、プレイする前にきちんと決めておくべき

次回予告

一回先延ばしにしましたが、次回は「直結」についてお話したいと思います。

前回以降、少々更新間隔が空いてしまっていますが、どうか気長にお待ちいただけますよう、お願いします。

でわでわ。

Vehicle Control for Dummies:05 リガー制御

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Fanjianhua - jp.freepik.com による写真

 はじめに

"VC4D: Vehicle Control for Dummies"はシャドウラン5th Editionでのヴィークル制御関連の説明をする記事です。

今回は05回、お待たせしていたリギングのお話を始めます。今回で四種類のヴィークル制御が全部そろいますので、制御の優先順位についてもちょっと触れておきます。

いつも通り、質問、指摘事項、感想などありましたら、お気軽にコメント欄へお願いします。

リギングとは

VRなどの技術を利用してヴィークルと一体化し、ヴィークルの機体があたかも自分の肉体であるかのような状態になることを指します。

設定にもよりますが、エンジンの回転数が心臓の鼓動、タイヤの接地面のトラクションが足裏にかかる圧力、センサー入力が視覚や聴覚、ステアリングが両腕両脚みたいな置き換えが起こります。ヴィークルの機体にリガーの意識が憑依しているような状態、とも言えます。洒落た言い方をすると「人機一体」でしょうか。

これによって、更に繊細な制御が可能になります。

リギング状態に入るためのマトリックス動作を「ジャンプ・インする」、リギング状態から抜けるためのマトリックス動作を「ジャンプ・アウトする」と呼びます(→SR5, p.243『ジャンプ・インする』および『ジャンプ・アウトする』)。

そして、このリギングを行う能力を持っている人だけが、リガーと呼ばれるのです。

リギングに必要なもの

制御リグ、コムリンク、リガー・インターフェースを持つヴィークル、です。リギングはVRを前提としていますが、制御リグにはシム・モジュールが内蔵されていますので、別途シム・モジュールを用意する必要はありません(→SR5, p.269『制御リグ』)。

リギングを行うためには、対象となるヴィークルのマークを3つ以上獲得している必要があります(→ SR5, p.243『ジャンプ・インする』)。ただ、リガーはハッキングでマークを獲得できないのが普通なので、自分が所有者権限を持っているヴィークルでリギングをすることが多いでしょう。

なお、リガー制御に大きなメリットのあるリガー・コマンド・コンソール(RCC)についてはここでは説明しません。別の記事でまとめますので、もうちょっとだけお待ちください。

リガー制御

rigger control

これまでに3つ紹介してきたヴィークル制御の種類ですが、リガー制御は4つ目の種類で、リギングを用いた、リガー独自の制御方法です。

リガー制御は、すでに説明した遠隔制御の特殊な形だと考えると分かりやすいです。

あなた自身の能力値と技能でテストを行い、使用しているヴィークルやコムリンクの性能の影響を受けるところまでは同じですが、それ以外にも制御リグの性能の影響を受けます。

リガー制御中は、ジャンプ・インしているヴィークルに関わる動作はすべてマトリックス動作としてテストを行うことができます。例えばジャンプ・インしているヴィークルに対しての〈地上機操縦〉や、その搭載武器での〈砲術〉テストは、すべてマトリックス動作になります(→SR5, p.270『VRとリギング』)。

各テストの基本的な考え方は遠隔制御と同じですが、すべてのリミットに制御リグのレーティングが加算されます。

操縦:【反応力】+〈適切な操縦技能〉[(操縦値とデータ処理の低い方)+制御リグのレーティング]
武器:【論理力】+〈砲術〉[(センサーとデータ処理の低い方)+制御リグのレーティング]*1 *2
知覚:【直観力】+〈知覚〉[(センサーとデータ処理の低い方)+制御リグのレーティング]
隠密:【反応力】+〈忍び歩き*3〉[(操縦値とデータ処理の低い方)+制御リグのレーティング]

実際のテストでは、これにさらにVR状態であることに由来する(有利な)修正がかかります。修正の内容はコールドシムかホットシムかによって違ってきますので、SR5, p.270 『VRとリギング』を参照してください。あと、VRだとイニシアティブが一気に上がることもお忘れなく。

この制御に必要な機器は前に述べた通りです。

この制御を行うために必要なマーク数は3以上です(→SR5, p.243『ジャンプ・インする』)

リガー制御の利点と欠点

SR5のデザインコンセプトの一つである"Everything has a price." というセリフの通り、リガー制御にも利点と欠点があります。

利点

リガー制御の利点はいくつかありますが、おおむね以下の三点と言っていいでしょう。

  1. ヴィークルを用いるテストのリミットに制御リグのボーナスが得られる
  2. (少なくとも)制御を奪われない/奪える
  3. なんかカッコいい(大切!)

もっとも大きいのが1.で、ヴィークル全般に関わるテストのリミットが増すことによって、使えるヒット数が増え、無茶なこと(!)がしやすくなります。

2. 制御を奪われない/奪えるというのも地味に大事なポイントです。これまで紹介した各々の制御方法には優先順位が定められていて、同じ対象に競合する制御が行われた場合、低い優先順位の制御を高い優先順位の制御で奪うことができます。詳しくは下で書きますが、リガー制御はもっとも優先順位が高い制御であるため、少なくともジャンプ・インしている間は、より高い優先順位の制御で制御を奪われることはありません。

欠点

一方、リガー制御には欠点もあります。おおむね以下の三点でしょうか。

  1. 制御しているヴィークルへのダメージが自分の肉体やコムリンクにも及ぶ(→SR5, p.270『身体ダメージ』および『マトリックス・ダメージ』)
  2. ジャンプ・アウトしないで制御を抜けると、ダンプショックを起こす
  3. 制御対象を切り替えるのに一旦「ジャンプアウトする」が必要(→SR5, p.270『ジャンプ・アウト』)なので、余分な行動が必要になるぶん、ワンテンポ遅い

最後の一つはRCCを使うと回避できますが、詳しくは別の記事に譲ります。

制御の競合と優先順位

ここで、複数の人が同じヴィークルを制御しようとした際に起こる競合と、制御方法に基づく優先順位についてお話しておきます。

ここまでで紹介してきた制御の方法は四つありました。紹介した順番に、手動制御、遠隔制御、自動制御、リガー制御です。実はこの四つの制御方法には、優先順位が定められています。

同じ機器への制御が競合した場合、優先順位の高い方が制御の権利を奪います(もちろん、それぞれの制御を行うために必要な権限などの条件を満たしている必要があります。例えば各制御に必要なマーク数については、本連載の『Vehicle Control for Dummies:02 ヴィークル制御 - さり海馬』を参照してください)。

その優先順位は以下の通り:

自動制御 < 手動制御 < 遠隔制御 < リガー制御

同じ優先順位同士の競合なら、先に制御していた方が優先されます。

例えば、以下のようなことが可能です:

  • 自動制御されていた自動車に乗り込んで、手動制御で運転する(自動制御<手動制御)
  • 手動制御で運転されている自動車に対して、遠隔制御(マトリックス動作「機器を制御する」)で制御を奪い、乗員をそのまま拉致する(手動制御<遠隔制御)
  • 遠隔制御で運転されている自動車に対してリガー制御(マトリックス動作「ジャンプ・インする」)で制御を奪い、遠隔制御していた使用者のたくらみを阻止する(遠隔制御<リガー制御)

ですから、すでにリギング制御していれば、それより優先度の高い制御方法はありませんから、優先順位で負けて制御を奪われることはないわけです。

ただ、相手がハッカーだった場合、彼らにはさまざまな攻撃手段があるため、まったく安心できません。

まとめ

  • リガー制御は遠隔制御の特殊な形
  • リガー制御の利点は
    • リミットが増す
    • 競合しても制御を奪われる恐れがない
  • リガー制御の欠点は
    • ヴィークルが受けたダメージが制御者自身にも及ぶ
    • ジャンプ・アウトしないとダンプショックを起こす
    • 制御対象の切り替えがワンテンポ遅い

次回予告

 次回は実際のランでも割と使用頻度が高く、メリットも大きい「直結」についてお話したいと思います。

でわでわ

 

*1:このテストで使う能力値については、ルールブック上の記述が曖昧で、解釈が分かれるというのが実情のようです。詳しくは別の記事でまとめたいと思います。Karmaさん、とかげマンさん、ありがとうございました。 https://twitter.com/karma_o_01/status/1366352833591746560

*2:別途、こちらの記事にまとめました:Vehicle Control for Dummies:05a 遠隔制御・リガー制御のテストについて

*3:〈隠密〉は誤記でした。とかげマンさん、ご指摘ありがとうごさいました。  https://twitter.com/tokage_otoko2/status/1366511649239298050/

Vehicle Control for Dummies:04 ノイズとジャミング

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Photo by Godfrey Nyangechi on Unsplash

 はじめに

"VC4D: Vehicle Control for Dummies"はシャドウラン5th Editionでのヴィークル制御関連の説明をする記事です。

今回は第04回、ノイズとジャミングについてお話します。マトリックス利用者を等しく悩ませるノイズについて、またそれを積極的に利用するジャミングについて、簡単に説明します。

いつも通り、質問、指摘事項、感想などありましたら、お気軽にコメント欄へお願いします。

ノイズ

ルール上の【ノイズ】は、単に電磁的な雑音という意味以外にも、通信経路上の混雑具合(ARスパム広告が多いとか)や彼我の距離からくる遅延などを含めた、総合的な「接続しにくさ・制御のしにくさ」を表す値です。

【ノイズ】は、やりとりする対象との物理的距離があるほど、電波を遮るものが多いほど、周囲に余計な電波源があるほど、そして通信経路が混雑しているほど、大きくなります。具体的な基準と修正値については、SR5, p.232『ノイズとマトリックスの使用』および『スパム・ゾーンと雑音ゾーン』の表を参照してください。なお、表中の各々の修正値は累積します。

簡単に言ってしまえば、【ノイズ】はあなたが行うマトリックス動作全般に、不利なダイスプールとして適用する値です。つまり、ダイスプールが【ノイズ】の分だけ減ると考えて良いでしょう。

【ノイズ】による修正の結果、ダイスプールが0以下になってしまったら、そのテストは振るまでもなく失敗してしまいます*1

ヴィークル制御という観点から見ると、この影響をもっとも直接的に受けるのは、マトリックス動作で継続的にヴィークルを制御する遠隔制御です。また、自動制御は最初にパイロット・プログラムに命令を与える「メッセージを送る」がマトリックス動作なので、そこだけが影響を受け、命令が届かない可能性がありますね*2

また、こうしたノイズの影響を受けないように、ヴィークルと有線で直接接続するやり方もありますが、それについてはリガーの話をしてから、別の記事でまとめたいと思います。

最後に付け加えておきます。忘れてしまいがちなのですが、【ノイズ】でダイスプールが減るのは動作を仕掛ける側だけで、防御側や抵抗テストのダイスは減りません*3。ご注意ください(→SR5, p.232『ノイズ』の最後のところ)。

ノイズ対策

ノイズを低減する手段はいくつかあります。ほとんどはRCCを使ったものになりますが、RCCの特徴とその使い方については、別途記事としてまとめたいと思います。今はこういう選択肢がある、ということだけ頭の隅に置いておいてください。

  • 衛星リンクを使う…ただし、距離による【ノイズ】のみが対象だし、相当の長距離でないと効果がない(→SR5, p.445『周辺機器』)
  • 直接接続する(→SR5, p.233『直接接続』)
  • RCC上で〔ノイズ除去〕プログラムを実行する(→SR5, p.247『一般用プログラム』およびp,273の囲み記事『リガーとサイバープログラム』)
  • RCCの【ノイズ補正】値を使う(→SR5, p.271『ノイズ補正と共有値』)
  • RCC上でノイズ補正のための〈電子戦〉テストを行う(→SR5, p.272『リガーにとっての電子戦』)

ジャミング

ジャミングとは、意図的に電波雑音をまき散らして通信を邪魔する行為を指します。ゲームのルール上は、ジャミングを行っている機器の周囲で【ノイズ】を高めます。

ノイズの影響は敵味方関係なく及びます。状況をよく考えてから使いましょう。下手をすると敵だけじゃなく味方まで不利にしてしまう恐れがあります。

ジャミングを行う方法は以下の通りです。

  • ジャマーを使う(→SR5, p.446『通信および通信妨害』の『ジャマー』)
  • マトリックス動作「ジャミングを行なう」(→SR5, p.242『ジャミングを行なう』)

まとめ

  • 【ノイズ】はマトリックス動作全般にかかる不利な修正になる
  • 【ノイズ】を減らす方法はいくつかあるが、ほとんどはRCCが必要
  • ジャミングは敵のマトリックス動作を妨害するのに有効だが、味方も巻き込まれるので要注意
  • ノイズでダイスプールが減るのは、マトリックス動作をする側のみ。防御側や抵抗時のダイス数は影響を受けない

次回予告

今回はちょっと短めでしたが、次回はいよいよ、みんな大好きリガー制御のお話をしたいと思います。

でわでわ。

*1:そういう場合でも、エッジを使えば成功の可能性はあります。→SR5, p.56『エッジの効果』の『限界突破』を参照

*2:基本的に「メッセージを送る」マトリックス動作はテスト不要なのですが、これほど【ノイズ】が高い場所では「ノイズがきつすぎて接続できない」とするルーリングも妥当だと思います。

*3:射撃戦闘で視界修正がかかるのは攻撃側だけ、というのとちょっと似ていますね

Vehicle Control for Dummies:03 センサー・テストとセンサー攻撃

 

drone sensor

Photo by Harrison Kugler on Unsplash

 はじめに

"VC4D: Vehicle Control for Dummies"はシャドウラン 5th Editionでのヴィークル制御関連の説明をする記事です。

今回は、センサーの使い方と、センサーの照準支援機能を使った攻撃(=センサー攻撃)について説明します。ドローンを本気で活用しようとするなら、この機能を理解しておく方がよいでしょう。

なお、このあたりからルールブックの参照ページがあっちこっちに行き来するようになります。分厚いルールブックをめくるのは大変かと思いますが、ご容赦ください。

また、ルールブック上の記述があいまいな箇所も増えてきます。そこらへんについては「私はこう考えます」という推測・提言をしていきますが、必ずしもその通りにするべきと主張するつもりはありません。大切なのはプレイヤーとゲームマスターの合意ですので、両者の判断で決めるようにしてください。

ヴィークルには【センサー】という能力値があります。素直に解釈すると、搭載されているセンサーの感知能力の高さを示しているように解釈できますが、実はこの能力値は:

  •  ①周囲を知覚する能力
  •  ②搭載武器の照準を支援する能力

の両方を表しています。

 

いつも通り、指摘や不明点、ご意見・ご感想などありましたら、お気軽にコメント欄の方にお願いします。コメントを頂けるとやる気に繋がりますので…。

センサー・テスト

それではまず、「①周囲を知覚する能力」について話します。

ヴィークルのセンサーを通して周囲を知覚する場合、センサー・テストを行います。テストに用いる能力値などが制御方法ごとに違っているので分かりにくいのですが、まとめるとこうなります:

手動制御:【直観力】+〈知覚〉[センサー]
遠隔制御:【直観力】+〈知覚〉[センサー]
自動制御:【パイロット】+〔鮮明化〕[センサー]

つまり、知覚を行うのがキャラクターの場合は〈知覚〉テスト、パイロット・プログラムなら【パイロット】と〔鮮明化〕を使ったテストになります。どちらもリミットは【センサー】です。

ただし、遠隔制御の場合、すべてのマトリックス動作のリミットに【データ処理】がかかってくる(→SR5, p.240 『機器を制御する』)ので、それを踏まえると実際には:

遠隔制御:【直観力】+〈知覚〉[センサーとデータ処理の低い方]

になります。この式は前回「遠隔制御」の項目で説明した各制御方法の「知覚:」欄と同じですね。

また、センサー・テストで発見しようとする対象が定まっているのなら、上記のダイスプールにはその対象のシグネチャーによる修正がかかります。具体的な基準と修正値については、SR5, p.184『シグネチャー表』を参照してください。

探知対象が隠れようとしている場合

探知対象が能動的に隠れようとしている場合、センサー・テストはその相手との対抗テストになります。この対抗テストで得られた純ヒット数がテストの結果になります。純ヒットが得られなければ探知は失敗です。

隠れる側が振るダイスは、隠れる側の制御方法によって以下のようになります*1

手動制御:【反応力】+〈忍び歩き〉[操縦値]
遠隔制御:【反応力】+〈忍び歩き〉[操縦値とデータ処理の低い方]
自動制御:【パイロット】+〔隠密〕[センサー]

この式は前回説明した制御方法の「隠密:」欄と同じですね。

※以前にも何度か書いていますが、ヴィークルで隠密行動をとる場合、〈忍び歩き〉技能のレーティングは使用するヴィークルの〈操縦〉技能のレーティングを超えられません(→SR5, p.183 『センサー攻撃』)。

煩雑になるので書きませんでしたが、〔隠密〕を含むオートソフトはヴィークルの機種ごとに固有のもので、異なる機種間の互換性はありません。運用する際にはご注意ください(→SR5, p.274 『オートソフト』)。

センサー攻撃

最初のところで触れた、センサーの「②搭載武器の照準を支援する能力」を使用した攻撃方法がこれです。

少しわかりにくいのですが、すべての制御方法で、このセンサーの照準を支援する能力を使う、使わないを指定できます。実は、センサー攻撃の方が必ずしも有利だとは限りません。使用する機器の性能(ヴィークルの【センサー】、コムリンクの【データ処理】など)によっては、使わない方がいいこともあります。ダイスプールの大きさやリミット、修正値を考慮した上で、使い分けた方が良いでしょう。

さて、センサー攻撃には、その使い方によって

・センサー攻撃(受動照準)
・センサー攻撃(能動照準)

の二つがあります。それぞれについて簡単に説明します。

センサー攻撃(受動照準)

センサー攻撃(受動照準)は、センサーの照準支援能力を使って搭載武器の照準調整を行う攻撃方法です。この照準方法を使う場合、テストは【論理力】ベースのものとなり、リミットは武器の【精度】ではなく、ヴィークルの【センサー】で決まるようになります。

手動制御:【論理力】+〈砲術〉[センサー]
遠隔制御:【論理力】+〈砲術〉[センサーとデータ処理の低い方]
自動制御:【パイロット】+〔照準〕[センサー]

また、制御方式に関係なく、上記のダイスプールには攻撃対象のシグネチャーによる修正がかかります。修正の項目と修正値については、SR5, p.184 『シグネチャー表』を参照してください。基本、デカいものほど、多くの熱を出しているものほど、狙いやすくなります。

ここで分かるように、遠隔制御時にはデフォルトで受動照準が使われていると考えられます*2

センサー攻撃(能動照準)

能動照準はさらに高度なセンサーの機能を活用し、いわゆる「ロックオン&自動追尾」を行うためのものです。手順はどの制御方法でも同じく:

  • センサー・テストを行って対象をロックオンする
  • 攻撃テストを行う

になります。センサー・テストのダイスプールの求め方は、前述の「センサー攻撃(受動照準)」と同じです。詳しい処理の内容については、SR5, p.184『能動照準』を参照してください。

能動照準のいいところは:

  • 攻撃を回避しにくい:センサー・テストでの純ヒット数が、相手の防御テストに対する不利な修正として適用される
  • ずっと続く:一度センサー・テストに成功してしまえばロックオン状態となり、相手がそのロックオンからどうにかして逃れるまでは、その相手に対するセンサー・テストは不要になり、最初に決まった不利な修正がずっと継続して適用される

というところです。

なお、ロックオンから逃れるためのテストについては、SR5, p.184『能動照準』にある『センサー防御表』にあるダイスを振ります。ただ、説明文中にある”「探知を回避する」動作”の記述がルールブックになく、その動作が簡易・単純・複雑のどれにあたるのかが分かりません。私としては、映画などではロックオンを必死に振り切ろうとするシーンがよくあることから、複雑動作にしておくのがいいかなと思います。

センサーに関わる動作の分業

センサー・テストと搭載武器の攻撃テストは操縦者以外の同乗者に任せることができます(→SR5, p.202『ヴィークル搭載/内蔵武器を撃つ』および『センサーの使用』)*3。何より操縦者の手間を減らせますし、適切な能力値と技能を持った人材を砲手として配置するというのも、それっぽいですよね。

ちなみに〈砲術〉はデフォルティング=可のヴィークル系能動技能(→SR5, p.147『砲術』)ですので、最悪、技能がなくても使えます(当たるかどうかはともかく)。技能無しで技能テストを行うデフォルティングについては、SR5, p.130『デフォルティング』を参照してください。

センサーの改造……は、もうちょっと先

ヴィークルでセンサーを介した知覚やセンサー攻撃を行う場合、ほとんどのテストのリミットが【センサー】になります。一方、ヴィークルやドローンのほとんどは【センサー】が3程度です。

センサー・テストやセンサー攻撃のヒット数もせいぜいその程度にしかなりません*4。これだと本格的な戦闘用として使うのは少し辛いです。ヴィークルやドローンの【センサー】を上げる改造ルールは存在するのですが、これが導入されるのが未訳サプリメント"Rigger 5.0" です。ロックオンした攻撃でバンバン敵をぶっ倒せるようになるのは、もう少し先になりそうです。

まとめ

  • ヴィークルの能力値【センサー】は、①センサーを通して周囲を知覚する能力と、②センサーを使った搭載武器の照準を支援する能力、の両方を表している
  • センサーの照準支援には、受動照準と能動照準(ロックオン)がある
  • センサー攻撃はあまり有効でないこともある

次回予告

 次回はノイズについて簡単に触れてみたいと思います。その次はいよいよリガー的なお話に入っていく予定です。

でわでわ。

 

 

*1:SR5, p.184 『センサー攻撃』および『センサー防御表』には、ヴィークルとドローンで違うテストを行うように書いてあります。実のところ、これはヴィークルとドローンの違いではなく、直接制御と自動制御の違いだと考えるのが自然だと思います(でないと、ヴィークルが自動制御されているときにも「ヴィークル」の欄にあるダイスを振ることになり、誰の【反応力】を使うのか?、ということになってしまうためです)。ですので、本記事ではこのように取り扱うことにします。ご了承ください。

*2:「遠隔制御でセンサーの照準支援を使わなかったらどうなるのか?」という疑問について。(搭載武器の【精度】とヴィークルの【センサー】次第では、その方が有利になる場合もあるでしょう)。ルーリングとしては、①それはできない、②【敏捷力】+〈砲術〉[センサー]を使う、の二通りが考えられます。ルールブック上はできるともできないとも書いていないので、PLとの話し合いの上で、GMが適宜判断するべきでしょう。

*3:制御の優先権(→SR5, p.269『制御の優先権』)の都合上、これができるのは手動制御に限られると解釈するのが妥当なんじゃないかと私は思いますが、ルールブックにはできるともできないとも書いてないので、遠隔制御での分業を許すかどうかは、PLとGMで話し合って決めてください

*4:リガーがジャンプインして使うと、もう少し良くなるのですが、それはともかく

Vehicle Control for Dummies:02 ヴィークル制御

control

Photo by Kammerin Hunt on Unsplash

 初めに

"VC4D: Vehicle Control for Dummies"はシャドウラン 5th Editionでのヴィークル制御関連の説明をする記事です。

今回は第02回ということで、ヴィークル制御の三つの種類について説明していきます。いよいよリガーっぽい雰囲気が漂ってきていますが、実はこの部分はリガーじゃない人も普通に使います。「俺はリガーやらないからいいや」という人も、ちょっとヴィークルを使いたい(でないと命にかかわる事態だ)みたいな時のために、覚えておくといろいろと便利です。

なお、今回は少しルールについて詳しめに書いています。必要な情報がルールブックのあちこちに散らばっているため、ただ「~参照」と書くだけではわかりにくいと考えたためです。ルールブックを持っている方を前提としている点は変わりませんが、あらかじめご承知おきください。

質問、指摘事項などありましたら、コメント欄へお願いします。

ヴィークルの制御

ヴィークル(以降、特にドローンに言及する必要がある場合を除いて、ヴィークルとだけ表記します)を制御する方法には3つの種類があります。それぞれについて簡単に説明します(→SR5, p.269 『完全なコントロール』)。

  • 手動制御
  • 遠隔制御
  • 自動制御

実はもう一種類ありますが、それについてはまだここでは触れません。まずは基本となるこの三つについての説明をして、それとの差異を示す形で別途記事にする予定です。

手動制御

manual control

Photo by why kei on Unsplash

manual control


手動制御は昔ながらの、あなた自身がヴィークルに乗り込み、そのハンドル(だか操縦桿だか)を操って操縦するやり方です。搭載武器を用いる場合は、実際にその武器を直に操作することになります。

当然ですが、ヴィークルはあなたの行動手番で動きます。

基本的にあなた自身の能力値と技能でテストを行いますが、ヴィークルの性能の影響を受けます。
操縦:【反応力】+〈適切な操縦技能〉[操縦値]
武器:【敏捷力】+〈砲術〉[武器の精度]
知覚:【直観力】+〈知覚〉[精神]
隠密:【反応力】+〈忍び歩き〉[操縦値]

※なお、ヴィークルで隠密行動をとる場合、〈忍び歩き〉技能のレーティングは使用するヴィークルの〈操縦〉技能のレーティングを超えられません(→SR5, p.183 『センサー攻撃』)。

上記の「武器:」部分のテストは、本人の能力だけで搭載武器を使う場合のものです。これとは別に、ヴィークルのセンサーが備えている照準支援機能を使って攻撃することもできます。これを「センサー攻撃」と呼びますが、これについては別途まとめます。気になる方は SR5, p183 『センサー攻撃』を参照してください。

必要な機器は、ヴィークル以外には特にありません。

これを行うために必要な権限は特にないと思いますが、ヴィークルに乗って動かすには、きっと我々が言うところのカギに相当する認証権限(たぶん、所有者かパワーユーザー)が必要と考えるのが妥当でしょう。

ルール上、明確には定められていないので、そうした状況(盗んだバイクで走り出すととか)では必要に応じてGMが判断してください。

遠隔制御

remote control

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remote control


遠隔制御はコムリンクを通じて行うマトリックス経由のリモコンのようなものです。あなたはARやVRでセンサー越しにそのヴィークルの周囲の状況を見ながら、手元の操縦手段(たいていはAR/VR上の仮想コンソールか何かですが、物理的なゲーム・コントローラーでも構わないでしょう)でヴィークルを制御します。

ほぼどこででもマトリックスが使えるこの世界ならではの制御方法ですが、ルール的にも考慮すべき要素がもっとも多い、少し注意を要する方式です。がんばりましょう。

ゲームのルール上、この制御はマトリックス動作「機器を制御する」として取り扱います。ヴィークルはあなたの行動手番で動きます。

基本的にあなた自身の能力値と技能でテストを行いますが、使用しているコムリンクとヴィークルの性能の影響を受けます。

特に大事なのがコムリンクの【データ処理】です。【データ処理】は遠隔処理で行うマトリックス動作すべてのリミットの上限*1になります(→SR5, p.240 『機器を制御する』)。

また、本来のリミットが【データ処理】より低い場合は、低い方を適用します(要するに、どちらか低い方の値がリミットになります)。

操縦:【反応力】+〈適切な操縦技能〉[操縦値とデータ処理の低い方]
武器:【論理力】+〈砲術〉[武器の精度とデータ処理の低い方]*2
知覚:【直観力】+〈知覚〉[センサーとデータ処理の低い方]
隠密:【反応力】+〈忍び歩き〉[操縦値とデータ処理の低い方]

※手動制御と同じく、ヴィークルで隠密行動をとる場合、〈忍び歩き〉技能のレーティングは使用するヴィークルの〈操縦〉技能のレーティングを超えられません。

この制御方法でもヴィークルのセンサーの支援を受けた「センサー攻撃」が可能です。これについては別途まとめます。気になる方は SR5, p183 『センサー攻撃』を参照してください。

必要な機器は、コムリンク、AR/VR機材、ヴィークルといったところでしょうか。

この制御を行うために必要なマーク数は、おおむね3だと考えてください。細かいことを言うといろいろありますが、普通の道を普通に走らせる以上のことをしたければ、この程度のマーク数が必要です。

マトリックス経由での操作になることから、【ノイズ】の影響を強く受けます。詳しくは別の記事でまとめたいと思いますが、周囲のノイズが強いほど、ダイスプールに不利な修正がかかる、とだけ覚えておいていただければ良いかと思います。

自動制御

automatic control

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automatic control


自動制御では、あなたは直接ヴィークルを制御しません。あなたはヴィークルのパイロット・プログラムに命令を与えて、あとはそのパイロット・プログラムが行動します。ヴィークルがあなたの意図をどの程度うまく行動に反映できるかは、あなたの命令の仕方と、パイロットプログラムのレーティング次第です。レーティングの高いパイロット・プログラムほど賢い事になっています。当然ですが、パイロット・プログラムを持たないヴィークルに対してはこの制御はできません。

ゲームのルール上、パイロット・プログラムに命令を与える行為はマトリックス動作「メッセージを送る」として扱います。

命令:テストなし

ヴィークルは基本的にパイロット・プログラムと、ヴィークルの技能に相当するオートソフトのレーティングでテストを行います。ヴィークルが行動するのは、あなたの命令を受けた後の、パイロット・プログラムの行動手番*3になります。

操縦:【パイロット】+〔機動〕[操縦値]
武器:【パイロット】+〔照準〕[武器の精度]
知覚:【パイロット】+〔鮮明化〕[センサー]
隠密:【パイロット】+〔隠密〕[操縦値]

煩雑になるので書きませんでしたが、上記のオートソフトはいずれもヴィークルの機種あるいは搭載武器の種類ごとに固有のもので、異なる機種・武器種の間の互換性はありません。運用する際にはご注意ください(→SR5, p.274 『オートソフト』)。

さて、テストの内容を見ると分かると思いますが、遠隔制御と違い、コムリンクの【データ処理】がリミットにかかっていません。このため、ヴィークルのパイロット・プログラムとオートソフトのレーティングが十分に高い場合、遠隔制御よりも自動制御の方が有利になることもあります。

この制御方法でもヴィークルのセンサーの支援を受けた「センサー攻撃」が可能です。これについては別途まとめます。気になる方は SR5, p183 『センサー攻撃』を参照してください。

必要な機材は、コムリンクとヴィークルだけです。マトリックス動作「メッセージを送る」ができれば最低限命令を与えることはできますが、実際にはヴィークルからの映像フィードを見るためのゴーグルなどもあった方が良いでしょう。サイバーアイの映像リンクで見るってのもアリですね。

マトリックス動作「メッセージを送る」自体はマークなしでも可能ですが、パイロット・プログラムに命令を受け付けさせるには(当然)マーク3つが必要になります。

なお、この制御方法は敵からのマトリックス動作「偽命令を与える」に弱いので、注意が必要です。ハッカーからの攻撃への対抗策については、後ほど別の章で触れます。それまでは、ちょっとだけ頭の隅に置いておいてください。

まとめ

  • ヴィークルの制御方法は、手動制御、遠隔制御、自動制御、の3種類がある
  • 手動制御は自分で乗って操縦する。あなたの腕前次第。
  • 遠隔制御はマトリックス経由のリモコン。あなたの技能とコムリンクの【データ処理】が重要だけど、【ノイズ】にもご用心
  • 自動制御は命令を与えるだけのお任せ。ヴィークルの【パイロット】とオートソフトが重要。

次回予告

次回は、今回先送りにしたセンサーを介しての知覚と、センサーを用いた攻撃についてお話しようと思います。次回もまたリガーならではの項目ではないのですが、もう少しお付き合いください。

でわでわ。

 

*1:変な言いまわしですが、ご容赦ください

*2:SR5, p.183 『砲術』には、【論理力】+〈砲術〉[精度]とありますが、前述した SR5, p.240『機器を制御する』の記述から、このリミットにも【データ処理】があるのが妥当だろうと判断しました。ご承知おきください。ご指摘ありがとうございました>とかげマンさん https://twitter.com/tokage_otoko2/status/1360212126455930883/

*3:戦闘フェイズの途中からパイロット・プログラムが参加する場合の処理は、SR5, p.160 『イニシアティブの変更』の、最後のあたりを参照してください

Vehicle Control for Dummies:01 機器と認証

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Photo by Alina Grubnyak on Unsplash

はじめに

"VC4D: Vehicle Control for Dummies"はシャドウラン 5th Editionでのヴィークル制御関連の説明をする記事です。

今回は第01回ということで、マトリックス機器と認証について説明します。ヴィークルの制御とかそういうリガーっぽい話をする前に、まずはその基礎となるお話をさせてください。「そんなの知ってるよ!」という方も、軽くおさらいだけしときましょう。

質問、指摘事項などありましたら、コメント欄へお願いします。

マトリックス機器と認証

マトリックス上に存在する機器は、その機能を使おうとするユーザーに対して、何らかの形で認証(=相手が何者なのかを確認すること)をします。

2075年の世界では、ほとんどのヴィークルやドローンもワイアレス接続機能を持っていてマトリックスに繋げられるので、この「マトリックス上に存在する機器」に該当します。

マトリックス上の機器は、各々が認証したユーザーの権限に基づいて機能の一部または全部を提供します。必要な権限を持たないユーザーには使えない機能(≒できないマトリックス動作)があります。

認証と権限とマーク

ある機器で認証を行ったユーザーは、その機器上に権限の強さを表すマーク(MARK:Matrix Authentication Recognition Key)を1個~3個持ちます。数が多い方が強い権限です(→SR5, p. 237『マトリックス識別キー(マーク)』)。

また、マークで得られる権限とは別に、機器の所有者が持つ所有者権限というものがあります。これはもっとも強い権限で、マークで言うなら4個相当になります。

この持っている個数に応じて、できることとできないことが決まってきます。いろいろと細かい設定はあるのですが、大まかに言って重要なのは、4個相当、3個、2個以下という区分になります。下位の権限でできることは上位の権限でもできます。

このテキストでは、おおざっぱに以下のように権限を分けます。

  • 所有者権限 (マーク4個相当)
  • パワーユーザー権限(マーク3個)
  • それ以下の権限(マーク2個以下)

 それぞれについて、以下で説明します。

所有者権限(マーク4個相当)

その機器の所有者であり、その機器でできることなら何でもできます。ある機器の所有者権限を持てるのは一人だけです。

所有者は、自身が持つ所有者権限を自分の意志で別の誰かに譲ることができます。譲った相手が新しい所有者となり、自分は所有者権限を失います。この作業には分単位の時間がかかりますが、特に工具などは必要ありません(→SR5, p.238『オーナー』)。

その機器が手元にあり、必要な工具が揃っている場合、所有者でない者がハードウェア的な手段でその機器の所有者権限を書き換えることができます。この作業は〈ハードウェア〉の継続テストになり、時間単位の比較的長い時間を要します(し、当然違法です)(→同上)。

前に言ったように、所有者権限はマークではありません。あくまでそれ相当の高い権限だというだけです。機器を再起動すると消えてしまうマークとは違い、所有者権限は再起動しても消えたりしません。

ルールでは定められていませんが、通常の手段で入手する場合、機器の所有者権限の書き換えはその買った場所でやってもらえるものと考えてよいでしょう。盗品を買うなどの不正な手段の場合は必ずしもそれが保証されそうにありませんが、そのあたりはGMと相談して決めてください。

パワーユーザー権限(マーク3個)

※注意:「パワーユーザー」という用語はルールブックにはありません。説明の都合上、私が勝手にそう呼んでるだけです。ご注意ください。

所有者に次ぐ高さの権限を持つユーザーです。その機器でたいていのことはできます。その機器で複雑な動作をしようとすれば、この権限が必要になります。リガーのジャンプインなどにもこれが必要です。(→SR5, p.238 『マトリックス動作』)。

この権限を得るためには、所有者から「マークを招待する」のマトリックス動作で必要な数のマークを付けさせてもらうか、ハッキングなどの不正な手段でマークを獲得するか、どちらかの方法をとることになります。

(ただ、もしあなたがハッカーでないなら、ハッキングでマークを獲得するのは事実上ムリだと考えるべきでしょう)

なお、所有者権限とは異なり、マークを他者に譲ったり、ハードウェア的な手段で書き換えることはできません。また、一度付けたマークは、その機器が再起動すると消えてしまいます(→SR5, p. 237『マトリックス識別キー(マーク)』のp.238)。

それ以下のユーザー権限(マーク2個以下)

おおざっぱな言い方ですみませんが、あまり大したことのできない権限です。全く無意味という訳ではありませんが、できることが相当に制限されます。何ができるかを知りたければ、SR5 の p.238 『マトリックス動作』をざっと眺めてみてください。

この権限を得る方法も、前述のパワーユーザー権限と同様です。

まとめ

  • ヴィークルもドローンも機器である
  • 機器を使うには権限がいる
  • 権限には強弱があり、それによってできることも違う
  • 管理者権限は最強で特別>パワーユーザー>それ以下

次回予告

次回は、今回説明した内容を踏まえて、もうちょっとリガー寄り(でもまだリガーの話にはならないのですが)の、ヴィークルを制御する方法の違いについて説明する予定です。

 でわでわ。