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2009-11-26

対談かくあるべしー『働かざるもの、飢えるべからず。』小飼弾

働かざるもの、飢えるべからず。

働かざるもの、飢えるべからず。

なんとなく著作は追いかけている小飼弾氏の新刊。Amazonで予約していたのですが佐川急便がお急ぎ便の本気を出してくれたようで昨日の夕方発送メールが着て今日の午前中に届きました。ちなみに佐川のおっちゃんはうちの患者さん。いつもありがとうございます。Amazonで先行予約キャンペーンとして本文未収録対談の映像ファイルのプレゼントをしていたようなのですがあまり告知を真面目に読んでいなかったので今気付きました。そして締め切りはしっかり過ぎていました。残念無念。

目次

はじめに

「痛くない社会」の方法序説

第一章 なぜいま、貧困があるのか

第二章 社会相続という決定弾

第三章 所有から利用へ

第四章 労働2.0

第五章 経済=物理+心理

第六章 エネルギーがパケホーダイになる日

第七章 幸せは使っても減らない

第八章 デフォルトYesの世界へ

第九章 その教育、プライスレス

第十章 安心して死のう

第十一章 ぼくらの宿題


第二部 スマナサーラ長老×小飼弾対談


あとがき


コラム

数字で見る社会相続

本当の「税率」

本当の「国民負担率」

ベーシックインカムでなくなるもの

ベーシック・キャピタル ベーシック・インカムの向こう側

社会を豊かにするために人がすりつぶされてしまうのではなく、人がより善く生きるために資する社会をどう構築していくか。そのために必要なのはより豊かな社会である。この一見逆説的とも思える主張を社会相続・ベーシックインカム・所有から利用へ・エネルギーの水道理論・尊厳生の延長としての尊厳死などをキーワードに丁寧に語っていくのが前半。キーワードの最後の2つは俺が勝手につけましたので信用しないで下さい。


氏のブログ『404 Blog Not Found』は取り上げる話題があまりに多岐にわたりまたその内容も豚骨ラーメンで言うところのベタカタなので胃弱の俺はフォローしきれていませんがそれでも本書が扱っているテーマの萌芽は過去のエントリーに見てとれます。例えばベーシックインカムについては『ベーシック・インカムに賛成するのに十分なたった一つの理由』など。博覧強記かつ過激かつお節介な氏の活動はそのWEB上でのマチズモと露出からともすれば毀誉褒貶真っ二つに分かれることもありますし俺もブログエントリーの内容に拒絶反応を示したり書評を読んで飯を吹き出すこともしばしば。しかし本書を読んで再確認したのですがかなり強い軸を持ったしなやかな知性であることは疑いようがありません。


本書の前半は傍目から見たらとっ散らかっている氏の活動のある一面の一つの精華として読みました。


実現可能性はとりあえず置いておいて個人的には氏の語るベーシック・インカム論には賛成です。その理由はとにもかくにも以下の一文。後半の対談部から少し長いですが引用です。

たぶん、ベーシック・インカムヘの反対論で、いちばん大きいのはそこだと思います。なにもしなくてもお金が入ってくるならば、皆、怠けるのではないかと。でも逆に、その程度で怠けてしまう人には、怠けていてほしいのです。

なまじそういう人たちが一生懸命に働くと、必要のないものを作り、売らなければいけない。だから、勤勉が似合わない人を無理に働かせる必要はない、というふうに思うんです。計算してみても、どう考えても、日本では半分ぐらいの人は怠けていてもらわないと、職の数というのが足りません。皆が一生懸命というのは、それはそれでけっこうやぱいことなんです。日本のやぱさの理由のひとつに、そこがありますよ。(326・327ページ)

ベーシック・インカムが保証された時に俺が怠けた方がいい側か否かはここでは放っておきますが確かに地球を世界の人口6,830,916,808人(2009年11月26日21時24分50秒現在)で全力でわいのわいのいいながらほじくり返す時期はもう過ぎつつあるのかもしれません。ましてやこの狭い日本においては国民総火の玉でやりたくもない仕事をがちゃがちゃやっていくのに無理があると思います。


賛同するしないは別として本書が普段なかなか考えることのない俺たちのための社会のありかたについて思いを巡らせてみるいい機会になることは保証します。



そして後半。後半はアルボムッレ・スマナサーラ長老との対談。ボリュームは圧巻の135ページ。しかもこれが実に読み応えのある対談で圧倒されっぱなしでした。その前にアルボムッレ・スマナサーラ長老って誰じゃいという俺のためにWikipediaより。

wikipedia:アルボムッレ・スマナサーラ

日本で活動しているスリランカの上座部仏教(テーラワーダ仏教)の僧侶であり、スリランカ上座仏教シャム派の日本大サンガ主任長老である。日本において上座部仏教の教義、およびヴィパッサナー瞑想を普及させる上で、中心的な役割を果たしている。

基本的に世の中の対談の大半は活字にして出版する価値は無いと勝手に決めつけています。特にビジネス書などに収録されているものには一切の価値を認めていません。著者とそのお友達の褒め合いがえんえんと続き読んでいてもいらいらするだけ。ここ最近でも『Twitter社会論』の勝間和代、『目立つ力』の勝間和代など読んでいても居酒屋で勝手にやれといいたくなるようなものがほとんどでとにかく対談の書籍化ほど無駄なものないと一人で鼻息を荒くしていました。

しかし本書のこれはスゴ球でした。何がどうすごいかはもうこれは読んでみるしかないのですがアルボムッレ・スマナサーラ長老の凛然たる言葉が発する緊迫感とそれを受け止めながらさらなる言葉を長老から引き出す著者。このドライブ感を味わえるなら対談もありと思えるものです。『目立つ力』の時とは大違い。対談は相手とテーマによってここまで味わいが変わるのだと蒙を啓かれました。これは必読。


だからこそキャンペーンの本文未収録対談の映像ファイルプレゼントを見逃したことが悔やまれてなりません。今夜は臍を噛みながら枕を濡らします。



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Twitter上での読書中のつぶやき(誤字脱字は修正)

小飼弾『働かざるもの、飢えるべからず。』福岡到着。佐川急便の本気を見た。休診日の今日に届けるあたり佐川のおっちゃんはよく分かっている。ありがとう。 #不働勿飢本_
posted at 16:40:22


楢山伏考→楢山節考(186ページ) #不働勿飢本_
posted at 16:55:56


「安心して生きていける社会というのは、安心して死ねる社会でなければいけない」(189ページ) #不働勿飢本_
posted at 16:57:58


「有権者も政府に賢さを求めてはいけません。賢くない政府にもできることをさせるべきです。」(194ページ)政府はアホなんだからという達観というか諦観に近い境地にいると不必要な義憤にかられることもなくなり新聞を読もうがテレビを見ようが平和な気持ちでいられる。 #不働勿飢本_
posted at 17:02:24


お互いをただひたすら褒めあう気持ちの悪い対談が多い中この緊迫感は素晴らしい。こういう対談なら読める。『目立つ力』の中の対談とは大違い。相手によるのか。 #不働勿飢本_
posted at 17:40:29


スマナサーラ「〜イエスがなにかいろんなことを言ってユダヤ人の長老たちをばかにしたでしょう。それから弟子として選んだのはいちばんダサい、社会から追い出されたり、嫌われたりした嫌な悪人のグループなんです。」(292ページ)本質を調理せずにそのまま提示したらこんなに激烈。 #不働勿飢本_
posted at 17:52:20


スマナサーラ「とにかくはじめに人間が立って歩いたときから、道は間違えているのです。いろいろな間違え方がありますが、基本的に、どこも矛盾でいっぱいなのです。そこをなんとか直そうというのがブッダの世界です。」(313ページ)仏教って俺が思っているよりも過激。 #不働勿飢本_
posted at 18:09:39


ということで読了。 #不働勿飢本_
posted at 18:26:58

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