最近ウォーキングがはやっている。
引っ越す前に住んでいた場所はすごかった。ある日、家から駅へいく途中に出会ったのだった。東から西に向かってわんさか歩いてくる。なんてことはない道路で、別に散歩に適している訳でもない。どうやら毎年数万人規模のウォーキング大会が開催されていて、その通り道だったらしい。

オリエンティアなら誰しも、ただ歩くだけのあのスポーツ(?)を半分馬鹿にするような気で見ているかもしれない。

ところが調布市オリエンテーリング協会は違う。自らもウォーキング大会を開催しているのだ。それどころか、ウォーキング協会に加盟しているのだ。

調布市オリエンテーリング協会のホームページ(http://hw001.gate01.com/mjx/homepage.html)を見に行くと「オリエンテーリング、ウォーキングに興味のある方」と書いてある。予定などを見ると、オリエンテーリングの協会だかウォーキングの協会だか良く分からない。

もしかして、オリエンテーリングとウォーキングはだいぶ近い存在?

ある説では昔オリエンテーリングが大ブームだった70年代前半に歩いてPCを回っていた人たちがウォーキングの方へいってしまったせいでオリエンテーリングの競技人口が減ったそうだ。

確かに「グループで手軽に軽い運動をする」という層には完全に競合している。現在のオリエンテーリング界の雰囲気でも分かるが、そこでオリエンテーリングは勝負せずに、「競技としてのオリエンテーリング」に走っていってしまった。現在の大会の形式を見れば「グループで手軽に軽い運動をする」はどこにもない。グループクラスよりも個人。手軽よりも遠くて面白いテレイン。軽い運動よりも、競技として本格さ。

自らのアイデンティティを明確にすることは悪くない。一つの戦略だ。そのあとがいけなかった。その路線を走りつつも、競技人口の裾野を広げるプロモーションとしては「グループ」「手軽に参加」「軽い運動」を使った。大学での新人勧誘や、大会での初心者へのアプローチ、一般向けの大会参加の呼びかけ方法。

このミスマッチがオリエンテーリング界の不幸だったと思う。

さて、危機的状況にあるJOAはいろいろ考えているという。その方向性はどうなのか?調布市オリエンテーリング協会のように、裾野拡大のために「グループで手軽に運動をする」人たちでも楽しめる方向を探るのか。それとも競技志向の人へアピールするプロモーションをするのか。