資金があったら...

お金で解決できる問題はどれくらいあるのだろうか。
オリエンテーリングのスポンサー集めを考える際に、とても重要な質問である。スポンサーから資金を集めるにはもちろん、そのスポンサーに対するどういうメリットがあるかを明確にする必要があるのだが、それ以前に、「そのお金をどういう風に使うの?そしてそれはどういう効果を期待するの?」を答える必要があるだろう。
オリエンテーリング界になんでスポンサーがつかないか、なんで集められないかの最大の理由はここにつきるだろう。良く言えば、お金がなくったってどうにでもなる。反対に言えば、お金があったとしてもその効果的な使い道が分からない。
世界選手権を例にとるととても良い。スポンサー集めは明らかに失敗している。結果として、大赤字であったが(その金額が世間一般に明らかにされないのも問題かと思うが)、でもオリエンテーリング界全体としては損失となっていない。運営の中枢であった個人個人が負担しているからだ。もちろん、それら個人が大きな負担をするということは、あってはならないことだろう。しかし意地悪な言い方をすれば、スポンサーから集めた資金の使い道は、それら個人への支払いという見方になる。
オリエンテーリング界における多くのことはこの個人の負担になりたっている。そしてそれを良しとしているし、またそれ以上のことをする必然性があまりない。これが他のお金のかかるスポーツ−たとえばスタジアムといった恒久的設備が必要なスポーツ−だったらこんなことはないのだろう。個人の力ではどうにもならない。競技者個人の負担が大きいスポーツもそうだ。アドベンチャースポーツや、モータースポーツ
では、結局オリエンテーリングは手作りのままで良いのか?そんなことはない。なぜなら、こんな手作りのスポーツでもどうしてもお金のかかることはあるからだ。そのお金のかかるところに資金をつぎ込んでいなかったことが、現在のオリエンテーリング界の低迷を招いていると言い切っても良いかもしれない。

対村越基準

更新頻度の低さもいい加減にしろという感じはするが...
最近思うのは村越真の凄さ...なのか、それとも日本男子の成長のなさ...
仮に村越が全盛期の力を維持していると考えたら、現在の日本男子トップはそのレベルをやや超えているといったことか。少なくともここ最近の数レース−インターハイ、全日本、スプリントセレクション、ミドルセレクション−これらはそのことを示している。

この結果から言えるのは(日本男子は村越以外を指す):

1)日本男子も村越のレベルも以前より上がっている>日本男子も成長しているな

2)村越は力を維持、日本男子はやや成長>まあ、昔村越が4人いれば、世界のリレーで戦えると言っていたなー...ようやくその水準に達した訳か。

3)村越は年齢相応に全盛期から力衰え、日本男子はさほど変わらず>...


これに合わせて、世界選手権の予選通過を見ると結論は明かか。
そりゃ、5年前と同じ面子がトップ集団を走っているのなら、しょうがないか。当時トップ選手はややレベルアップ、当時の若手は当時のトップに替わるレベルに。といったところか。

Winning is everything

「今回の結果、これが日本のオリエンテーリングの限界?」
僕は限界じゃないと思う。だからなおさら結果を出さなくてはいけなかった今回の大会で、この結果でがっかりしているのだが。

何が足りなかったのか?
時間?金?人的支援?選手の努力?組織力
その足りなかったことは今後埋められるの?どうすれば良いのか?

結論は明らかだと思う。
世界のトップになることを人生における優先順位のトップに掲げている人がいない/少なすぎるのである。

みんな努力はしている。でもそれは:
1)世界の#1になろうとしているか(長期的目標としても)
2)何よりも優先的にか?

このことは昔から海外のトップ選手が来たときから言われていたことである。

トップになるために何が一番大事か?
オリエンテーリングじゃない。オリエンテーリング以外をどうすかだ。
それとビジョンだ。自分が世界の#1になることをイメージできるか。
もしオリエンテーリング以外のことを整理できないのなら、それ相応の目標を設定するべきだ。

つまり、日本のオリエンテーリングはそれ相応の目標になっているんだと思う。
そしてそれは結果としてそれ相応の結果になっているのだ。

日本のオリエンテーリングがトップの国々と戦うためには、世界で#1になることを人生の優先順位でトップにする選手を数多く育成することが必須だ。それしか方法はないと思う。
だから強化部としては、人生においてこのような選択をする選手を積極的に支援する必要がある。それを優先順位の最も上に置いて良いぐらいである。代表選手を公平に扱うのではなく、こういうコミットメントをした選手に特に金銭的、人的支援をするべきである。それが、そういうコミットメント−たとえば安定的な収入を捨ててでも世界のトップを目指したい−をする選手を増やすきっかけになる。今、そういう人たちが何人いるのか?=日本の競技レベルなのである。

あえて辛口 世界選手権 だらだらと2

別に個人の努力について、批判したい訳ではない。皆、がんばっている、その努力は誰しも認める。
かといって、スポーツ団体として考えた場合、「皆、がんばっている」、だから結果についてあまり求めすぎるべきではない、なんて言えるだろうか?少なくとも世間一般にオリエンテーリングをスポーツとして認められたいと思っていたら、そんなことは言えないはずだ。
僕はオリエンテーリングのファンとして、もっと多くを日本代表に求めたい。

あえて辛口 世界選手権 だらだらと

久しぶりに書くことになる。世界選手権が終わり多少文章を書きたくなった。

今回の結果を見た人たちはどう感じているだろうか?おおむね、女子は大成功、男子は厳しい、といったところだろうか。はっきり言ってしまえば今回の世界選手権、競技の面で言えば敗北と言い切れる。仮にメジャーな競技であればコーチ陣/強化部総退陣である。誰もそんなことは口にしないだろうが。人材不足の中、今の強化部の努力は尋常ではなく、それはそれで評価するべきことだからだろう。しかし、結果として方針は間違っていたと受け止めるべきだろう...もちろん、ここ一年の成果−特に女子−はすばらしいものだったが、too little too lateだったのだ。

ここ一年間程度の成果から判断するならば今回の結果は良いと言えよう。特に女子に関しては。だが、2000年、日本開催が決まった時点で、この結果が見えたらどう思っただろうか。特に男子に関しては、当時から世界と比較してレベルアップしているのだろうか?2000年から見た5年間に渡る強化という点では今回の結果は遥かに期待を下回っていると言わざるを得ない。
もちろん、女子は個人では予選通過者を多数出した。しかし、結果は決勝の成績で決まり評価されるのである。予選通過はようやく評価の対象になったにすぎない。その結果に関しては、一人たりとも入賞争いさえもしていないのである。日本人の過去最高の順位さえ更新できていないのである。リレーでも入賞からはほど遠い。予選通過者を大量に出すのは昨年の目標であり、今年は結果−順位−を出す年ではなかったのか?
個々人に関しては十分努力して成果を出したと言えよう。過去の結果から見てもすばらしい力を発揮している選手は多い。だが、個人の自己満足は過去の話である。日本代表ということで見れば、単純に個々人が過去最高の結果を出すのでは済まないはずだ。それは、我々が観客、応援としてヘルシンキ世界陸上での日本メダル二枚に落胆するのと同じである。個々人で自己ベストを出した人も多かっただろう。しかし、「知らない」人たちがその競技を判断するのはメダルだとか、入賞者、せいぜい代表としての過去最高という結果である。そいうい意味では我々の結果は、スポンサーに持ち帰って、胸をはれるものではなかろう。

では、何が問題だったのか。目標が低すぎたように思える。
ちなみに、目標が何だったのか今強化部ウェブページで確認しようと思ったが、書いていない。しっかり公表していなかったのか?
いずれにしろ、日本のオリエンティアに夢を持たせるような、高い目標ではなかったと思う。
女子は直前で変わったのか?やはり、宮内がロング決勝前、そしてリレーの前「入賞しますよ」と言っていたのは、興奮した。本当に狙っているんだと。もちろん可能性数%もあるか、いやもしかしたら1%かもしれない。でも、観客としては「過去最高を目指しますよ」と言われるよりかは入賞を目指すと言われた方が応援をしたくなるものだ。もしかしたら番狂わせがあるかもしれない、とわくわく出来る。
そういう意味で、日本代表が大分早い段階でかなり冷静、現実的な目標を設定していたのはかなり残念だったと思ってしまう。

つづく

正直、今回のトレーニングキャンプで海外の選手が来日するまで、それなりの地があるだろうと考えていた。もちろん、ビョルナー来日したときからトップ選手はそれなりにすんなり順応するであろうことが予想された。しかし、その下の層や、中堅国の選手はそれなりに苦労するかもしれないとは思っていた。イギリスが昨年11月に来ていたときも、エースのジェイミーはほぼ問題なく走っていたが、二番手、三番手のジョンやダニエルは手こずっていた。
日本男子が2005年で著しい結果を出すチャンスがあるとすれば、そこにあると思えた。トップはそれなりに走るが、入賞争いをするレベルのチームは、一人は大きく足をひっぱるかもしれないと。だとしたら、日本がしっかりと三人がベストに近いレースをすれば、もしかしたら入賞できるのではないかと。少なくとも入賞争いはできるのではないかと思っていた。
レーニングキャンプでの外国選手の走りの前に、そんな淡い期待は崩れ去った。いや、もしかしたらそれは日本人選手のふがいなさなのか。いずれにしろ、日本と世界の差は意味があるほど縮まっていたとは言い難い。
北欧4カ国とスイスの主力選手、イギリス、フランス、ニュージーランド、オーストラリア、の一部が集まっていたのだが、確かに苦労していた選手もいたが思っていたほどでもない。
レーニングのリレーの結果はかなりがっかりする内容だ。外国人選手はのきなみ40分前後で走っているのに、日本人は松澤、高橋の44分がやっとである。何よりも、その日本人ベストのタイムより遅い海外選手は一人しかいないというのはショックである。ミス設置があったらしいということや、比較的簡単な亀山城趾であることを考慮したとしても、希望をなくしかねない結果である。ましてや、日本人は何度も走っているテレインなのである。
唯一の明るい点は山口が途中までトップと僅かの差で走っていることである。

日本代表は2005年の世界選手権で著しい成績を上げることができるのか。ここ数年の世界選手権の結果をみれば、それはあり得ないと言わざるを得ない。なぜなら、対世界比での成績が全く変化していないからである。
全体的にレベルがあがっているという声はある。確かに一昔前と比較すると国内でのレベルは上昇しているように思える。仮に村越を基準として比較をしたら、数年前は鹿島田しか勝てる選手はいなかった。現在は村越に勝てる選手は何人もいる。村越が年齢的に衰えてきていることを考慮しても、かつての力の差を考えれば、全体的にレベルアップしている。
それともしているのだろうか?国内においてもっとも重要である全日本選手権を考えると、未だに村越にまともに勝っているのは松澤と数年前の鹿島田しかいないではないか。世界選手権においても、そうそう村越に勝てている訳ではない。だとすれば、体力の衰えを考慮すれば、村越を基準とした国内基準でも日本の選手はレベルアップしていると言えないかもしれない。
確かに、全日本選手権以外では完全に村越との他のトップ選手の力は逆転しているが、国内においてもっとも重要なレースでそれが証明されていなければなんの意味があろう?
実際問題として、村越が2005年の世界選手権代表になり得ないことについて「残念」と思っている人は多いだろう。村越が日本オリエンテーリングの競技面における最功労者であるという意味からだけではなく、純粋に村越が代表選手であったほうが良い結果が出ると考えているからである。
もちろん純粋な(純粋なという見方があり得るとすれば)実力、つまりトップパフォーマンスのポテンシャルという意味で村越が現在も日本人ナンバーワンと思っている人はほとんどいないであろうが、結果を出すという意味では村越がナンバーワンと思っている人は多いであろう。実際の全日本選手権という結果がそう表しているのだから、当然である。