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主に映画の感想文を書いています

モノクロで観る「後味の悪い映画」3選

昔の映画、と油断して観ていると、びっくりするくらい後味の悪い映画に出会うことがあります。後味=ネタバレに直結するためこれといって深いことは書けないのがアレですが、観終わって「わーお」となりたい時にぜひどうぞ。

狂った果実(1956)

石原慎太郎原作の、石原裕次郎主演作品。裕次郎はこれがデビュー作らしいです。今回挙げる3作の中ではいちばん後味が悪いかも。とはいえ、本編の大半はお気楽に見れる内容となってます。本筋以外の見どころとしては、のちに裕次郎夫人となる北原三枝のエロさ(※ジャケットから期待するほどのことは起きません)。二度見三度見するくらいイケメンな若き日の岡田眞澄。主人公たちの滑舌の悪さ!

この作品、ジェームズ・ディーンの「理由なき反抗(1955)」にいろいろ似てるなあと個人的には感じます。しかも、当時の予告編に「理由なきが故に 恐れを知らぬ反抗」という字が出てくるのですよ。興味が深いです。

悪い奴ほどよく眠る(1960)

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三船敏郎主演の黒澤明作品。はじめての黒澤明でした。テレビドラマ「ハロー張りネズミ(2017)」で、山口智子演じる人物がこの映画を挙げてから「黒澤明くらい見とけバーカ」と吐き捨てるシーンがあり、(失礼ながら)山口智子があまり好きではないわたしはイラッときて「観てやるわバーカ!」とTSUTAYAに走ったというエピソードつき(笑) これ、めちゃくちゃ面白いです。今では山口智子さんに感謝しています。

汚職系の話で、「アウトレイジ」とか好きな人はすんなり入れるやつだと思います。のちに「ゴッドファーザー(1972)」でオマージュされたという冒頭の結婚式シーンも必見です(あのケーキは、ゾクッとくる…!)。そしてもちろん後味の悪さ。最高なので、ぜひ観終わってから「うーわー(笑)」と笑っていただきたく。イチオシ!

噂の二人(1961)

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オードリー・ヘプバーンシャーリー・マクレーンW主演の作品。当時としては珍しい、同性愛をテーマにした作品です。わたしとしては、ただ単に好きな女優ふたりをいっぺんに見れる!ということで手に取ったのですが、いやはや、これはなかなかの後味。どうぞご覧ください(乱暴)。

後味もさることながら、じつのところこの映画でいちばんの見どころは「小憎たらしいどころじゃなく憎たらしい少女メアリー」かもしれません。この歳の子役にこんな役を与えてしまって、今後の女優人生やいかに…と心配してしまうほど、愛すべきポイントの見つからない完璧な悪役少女を演じています。ヘプバーンの「暗くなるまで待って(1967)」にも憎たらしい少女が出てきますが、あんな比ではないです。

そんな問題作ではあれど、わたしの大好物「コートのポケットに手を突っ込み塩対応なヘプバーン」など、正統派の堪能ポイントもございます。めっちゃ好きなんですよ、ヘプバーンのカジュアルなコート姿。シャーリー・マクレーンも、モノクロなのでお美しいです(カラーだと、あの赤毛が苦手なのです…)。


昔の映画はエンドロールがないので、衝撃的ラストの余韻があまりにも強烈に残ってしまったりするのですが、それがまたよいとも言えますね。以上、2017年11月の気分で選ぶ【モノクロで観る「後味の悪い映画」3選】でした。