ずれた論点と悪意ある混同(追記あり)

十字軍はバカに勝てるか - モジモジ君のブログ。みたいな。というエントリに問題がいくつかあると考えるので、簡単にまとめてみますにゃ。ブクマコメントもいれたけど、簡単ではあってもある程度まとまった文章で反論しておきたい。


ニセ科学批判の正当性というのは、

  • 科学ではないのに科学を僭称されたのだから、科学側からの反撃は正しい
  • ニセ科学は他者危害を伴うことが多い(特に代替医療)ので、他者危害の排除は正しい

この2点の正しさではにゃーかと考えますにゃ。


リンク先では2008-05-16が例として挙げられているけれど、NATROMが問題としているのはネグレクトという虐待行為であって、母親の馬鹿さ加減ではにゃー。ところが、具体的な虐待行為を扱ったエントリが、ニセ科学信者の馬鹿さ加減の問題にすりかわってしまっているのではにゃーのか?


ある言動が馬鹿か馬鹿でにゃーかは、最終的には趣味の問題だにゃ。自由民主主義社会では愚行権が認められるべきであり、何が愚行であるかは立場や経験などによっていくらでも変わりえる。もちろん、批判の自由もあるので、自分の気に食わない言動を馬鹿だとののしるのも、やり返されることを前提にすれば、好きにすればいいのだにゃ*1。お互いに心ゆくまで「ばーか」「ばーーーーーか」「ばーーーーーーーーーか」と言い合えばよろしい。罵倒合戦を僕も嫌いではにゃー。
ただし、何度でもいうけどこれは趣味の問題。正当性なんてものがあるわけではにゃーんだよ。


だから、相手を馬鹿とののしることにおいて、自然科学という大樹によりそって他者を馬鹿呼ばわりすることを嫌悪するということは理解できますにゃ。
それは確かに教条的で、上から目線で、抑圧的で、卑劣ですらあると僕も思う。
で、こういうニセ科学批判きどりクンというのは確かにいるだろうにゃ。どんな立場にも馬鹿や卑劣漢はごろごろしてるものだにゃ。


しかし、ニセ科学批判とは馬鹿批判ではにゃー。
十字軍はバカに勝てるか - モジモジ君のブログ。みたいな。は、ニセ科学批判=馬鹿批判、というずれた論点にたってしまっている(何度でもいうが、そういうニセ科学批判きどりはいるだろうが、低レベルを基準にするのはいかがなものか)ので、表層的なレトリックの遊びに終始することになってしまっていると考えますにゃ。


あと、気になったとこにゃんが


しかし、それ以上に問題に見えるのは、「死者を冒涜するな」とか、「子どもはいかんだろ」とか、でしょうか。その単独の文言としては至極もっともに聞こえますけども。でも、死者は便利ですよね。「あのぉ、私は冒涜されてるわけではないんですけど……」とか異議申し立てしたりしませんし。靖国とか、そういう仕組みで成り立ってるものですよね。あと、子ども。子どもも、やはり、ほぼ異議申し立てしない。そういう、異議申し立てしない第三者に依拠して怒りを爆発させるのって、どうなんでしょうね。それはあなたの本心なんでしょうけれど、そういう素朴な代弁が孕む暴力について、一体どれほどまじめに考えているのでしょうか、大変心配です。

 ある種の問題を自分とは無関係な外部の問題として切り離した上で、さらにそれを叩く理由として、異議申し立てをしない第三者を持ち出す。こういう話は昨今の人文系では周知の論点だと思いますけれども、自然科学系の似非科学批判者におかれましては、そういう議論を露ほども念頭に置いてないんじゃないか、という記述がチラホラ見えますね。それって疑似「人文」科学と呼んでもよろしいでしょうか?

 


NATROMは「しんじゃうよー!いたいよー!もうだめだー!口があかないよー!しゃべれないよー!」と異議申し立てをしている子供の側にいるとしか思えにゃーのだが。
「死者」はともかくとして、ニセ科学における子供の被害は具体的なものであることがなぜ読み取れにゃーのか理解できにゃー。「死者」と「子供」を「異議申し立てしない第三者」とひとくくりにする論法には悪意すら感じるにゃ。それが「人文系では周知の論法」であるがゆえに、この悪意としか思えにゃー粗雑さは許しがたい。
人文系を貶めるマネはやめてくんにゃーかな。

  • 追記 5/24 14:40

ブクマコメント欄の以下の意見に対する反論


cometori
あの母親に悪意はなく、特異とはいえ信条に基づく行動であることを了解した上で、NATROM氏は「虐待」例として挙げ批難した。危険行為に対する批判・注意喚起以上の過重な難詰と私には見えた。論点ずれとは思わない


医療ネグレクトという具体的な虐待を話題にするためには、母親の「愚行」に触れざるをえにゃー。NATROMのブログの書き方では「馬鹿」に触れるのは必要な手段であり、目的は具体的な他者危害を話題にすることですにゃ。この危害が、子供にとって一生ものである難聴などのリスクがある重大なものだから、母親の馬鹿ぶりはいっそう際立っているけれど、それでもやはり馬鹿を叩くのが目的ではにゃーと読める。
たとえ「過重な難詰と私には見えた」としても、エントリの軸足が「子に必要な医療を受けさせない「医療ネグレクト」である。児童虐待だ。」という太字の部分にあることも明らかだにゃ。


しかし、mojimoji氏のエントリでは、「バカ」の多用によるレトリックに耽溺し、他者危害の論点がまるでにゃーわけだ。
したがって、改めて論点ずれであると確認いたしますにゃ。

*1:マジョリティからマイノリティに向けられる暴力的言動は問題だが。ここではおたがいに対等な立場という前提で