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2009-05-14 マジにやばくないか?

反社会カルトとしてのホメオパシー


タイトルは釣りでも煽りでもにゃーです。読めばわかる。


トップダウン

感染パーティーは対岸の火事ではない - Skepticism is beautifulで紹介されている【感染パーティ】にゃんが、これはホメオパシーをかじった親が中途半端なホメオパシーの知識で行ったことだとか、親がホメオパシーの理論を自己流に解釈して行ったことなんかではにゃーことですにゃ。あとで引用するけれど、ホメオパシー「理論」を「啓蒙」する立場のヒトタチが実際にそういうことを言っているわけにゃんね。ホメオパシーを「啓蒙」するヒトタチは、予防接種を明確に否定していますにゃ。ここで紹介されているお母さん達の言っていることは、ホメオパシー啓蒙者のいっていることそのまんまといっていいでしょうにゃ。


なぜ、ホメオパシー言説がトップダウンなのかというと、ホメオパシーというのが一見すると学問的体裁を整えているように見えるからですにゃ。少なくともアカデミックなものを擬装していますにゃ。

日本ホメオパシー医学協会は「学術大会」を行い、学校をもっており、今年3月からは財団すら設立していますにゃ。日本ホメオパシー振興会も、やはり学校をもち、セミナーなどを積極的に行っておりますにゃ。また、書籍出版にも力をいれていますにゃ。


予防接種に否定的なホメオパシー関連の個人サイトやブログを見ると、たいていは「ホメオパシー啓蒙者」のセミナーや書籍の紹介という形をとっているようですにゃ。

具体例として、no titleなどをあげておきますにゃ。


批判するべき対象は、まず第一にホメオパシーの「啓蒙者」とその言説でしょうにゃー。


デタラメなその言説

予防接種との関連にしぼって、その言説を検討してみましょうにゃ。

まず、予防接種とホメオパシー | 日本ホメオパシー振興会をご覧くださいにゃ。どこから突っ込んでいいかわからにゃーほどデタラメ満載にゃんが、まずは予防接種についての基本的見解が述べられているところを引用しますにゃ。


予防接種のリスクについて、少しお話します。小児疾患は子どもの成長に必要なワン・ステップであるという考えが最も合理的ではないでしょうか。そのようなものを無理やりに抑制してしまうのは、何かの弊害を伴うと思われます。子どもは病気によって現存する悪いものを外に出して、さらに健康な状態になろうとしているわけです。そのような過程を経験して子どもはさらに成長するのです。これが自然の摂理に則っている成長過程です。ですから、そのような必要なものを除外してしまうこと自体が、子どもの成長にとってリスクになると考えられます。



ふむふむ、小児疾患に罹患することは自然の摂理であり、それを抑制することこそがリスクになるということにゃんな。

彼らは、例えばマラリアをどう考えているんだろか?

マラリアによる死者数、2006年は約100万人 WHO 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

「WHOは「2006年には、33億人がマラリア感染の危険にさらされ、そのうち推定2億4700万人が感染したとされている。マラリアによる死者数は約100万人で、そのほとんどが5歳以下の子ども」だとしている。」

そうなのだけれど、マラリアでガキが死にまくるような地域で患児の家族や医者を前にして「小児疾患は子どもの成長に必要なワン・ステップ」なんてことを言えるものなのでしょうかにゃ?


それにしても、予防接種で感染症が激減したということは基本的な知識だと思っていたんだけど、そのあたりはどうなってんだろか?



戦後、上下水道が完備されました。昔は下水も飲み水も同じだったわけですが、今は分かれています。それで急激に衛生状態が向上しました。これによって、病気が激減しました。その要因を一つ何か挙げるとしたら、水洗便所の普及が大きな影響を及ぼしたと言われています。


この時期は、確かに予防接種が広く行われ始めた時期と一致しています。そのため、予防接種のために健康状態が改善したとか、余命が延びたとか主張する方もいらっしゃり、私たちもそれを信じがちですが、それは間違いです。総合的な衛生状態の改善が健康状態を改善したのです。


現在でも上下水道が完備されていない地域というのはたくさんあります。そのような地域で予防接種がたくさん行われた場合もありますが、全然だめですね。それは何を意味しているのかというと、予防接種だけで寿命を延ばしたり、健康状態を改善することは不可能であることを証明しているわけです。



ふむふむ、感染症の激減は公衆衛生の向上によるものであり、予防接種が寄与しているわけではない、とのご主張ですにゃ。

天然痘の撲滅という事実はどうなっているのでしょうかにゃ?

国立感染症研究所のサイトから引用しますにゃ。


1958 年世界天然痘根絶計画が世界保健機構(WHO)総会で可決された。当時世界33 カ国に天然痘は常在し、発生数は約2,000 万人、死亡数は400万人と推計されていた。ワクチンの品質管理、接種量の確保、資金調達などが行われ、常在国での100%接種が当初の戦略として取られた。しかし、接種率のみを上げても発生数は思うように減少しなかったため、「患者を見つけ出し、患者周辺に種痘を行う」という、サーベイランスと封じ込め(surveillance and containment)に作戦が変更された。その効果は著しく、1977年ソマリアにおける患者発生を最後に地球上から天然痘は消え去り、その後2年間の監視期間を経て、1980 年5月WHO は天然痘の世界根絶宣言を行った。


403 Forbidden


「現在でも上下水道が完備されていない地域というのはたくさんあります。そのような地域で予防接種がたくさん行われた場合もありますが、全然だめですね。」というホメオパシー啓蒙者の言っていることがいかにデタラメか明らかにゃんね。

年間400万人が犠牲者となっていた天然痘は、上下水道の完備されていない地域で、種痘(予防接種)、しかも患者を見つけ出しその周囲に予防接種することにより根絶されたわけだにゃ。

他にも山のようにデタラメがあるけれど、とりあえず上記の鮮明な例だけにしておきますにゃ、キリがにゃーし。


では、3月に日本ホメオパシー財団まで設立した、日本ホメオパシー医学協会のほうはどうなっているのでしょうかにゃ?

ここの会長の由井寅子氏が「予防接種トンデモ論」という著作を2008年7月に出版していますにゃ。で、この本のアマゾンにおける書評のひとつをリンクしますにゃ。

Amazon CAPTCHA

僕が特に注目したのは、まずこの部分ですにゃ。


「風疹は感染率が比較的高いので、どんな女の子にも本物の風疹に感染する機会があります。さらに風疹は、子供の体に殆ど害を与えることがないので、風疹にかかった子供はできるだけ多くの子供が本物の風疹に感染して信頼性の高い免疫が得られるよう、学校に送り込まれることが推奨されるべきです。」(P194 より引用)



にゃんじゃこりゃああああ(松田優作風に


予防接種拒否という、二重の他者危害


まず、予防接種の拒否と、その帰結である「感染パーティ」が自分たちのガキへの虐待にあたる可能性が高いことについては、冒頭でリンクしたエントリのブクマコメでも指摘されていますにゃ。また、ホメオパシーは現代医学に対して否定的なので、医療ネグレクトという虐待につながりやすいことについては、ホメオパシーと医療ネグレクト - NATROMの日記からも明らかですにゃ。


しかしね、感染者を「学校に送り込まれることが推奨されるべきです」となると、もうこれはバイオテロだろ。風疹はそんなになめてかかれる感染症ではにゃーぞ。

しかし

病気にかかることが自然の摂理であり、予防接種を否定するホメオパシーの理路からすると、感染症をまわりにばらまくことはむしろ「善」ですらあるということになるはずなのだにゃ。冒頭にリンクした事例でも、親は水ぼうそうのガキを連れて歩き、他人(まあ、同じホメオパシー賛同者ではあるけれど)の家、しかも未感染のガキのいる家にあがりこんでいるにゃんぞ。これを善意でやっているのだにゃ。

  • 感染症を周りにまき散らすのが、ホメオパシーにおける善意の行動

ということになるのだにゃ。ガクブル。


「ホメオパシーを理解しないヒトタチに、感染症をまき散らすような真似はしません。しかし、自分のこどもには予防接種を受けさせません」

という反論があるでしょうにゃ。ちょっと検討してみましょうにゃ。


no title

という記事をご覧くださいにゃ。この記事で、「95%の接種率を目指すが、同年12月末で7割に達していない」とありますにゃ。なぜ95%が目標なのかというと、95%以上の接種率で麻疹(はしか)の排除が可能であるとWHOが疫学的に検討した結果だからということらしいにゃ。逆にいえば、接種率が目標に達してにゃーと、はしかは排除できにゃーわけだ。実際、日本は現在、はしかの輸出国として国際的な批判をあびているようにゃんな。

もちろん、ホメオパシーははしかの予防接種も否定にゃんね。


はしかに限らず、接種率が一定以下になると感染症が流行するということはよくおこるようですにゃ。典型は百日咳ですにゃ。詳しくはやはり感染研のサイト403 Forbiddenを参照のこと。もちろん、このあたりの情報も、ホメオパシー啓蒙者のお歴々のいっていることとはまるで矛盾していますにゃ。

つまり

予防接種を拒否するということは、集団の感染リスクを高め、感染症の根絶を妨害するということになりますにゃ。自分のガキを危険にさらすだけでなく、他者への危害になるということなのですにゃ。


カルトというべきではないのか?

カルトというコトバは、もともと反社会的な宗教団体を指していっていたけれど、最近はそれだけでもにゃーようだ。狂信的環境保護団体を「環境カルト」といったりもするようだしにゃ。Wikipedia:カルトによると、「フランスの下院(フランス国民議会)で採択された報告書『フランスにおけるセクト』は「通常の宗教か、セクト(カルト)か」を判定する国際的な指針の一つとされている」そうで、この基準からホメオパシーを見てみると

【精神の不安定化・肉体的保全の損傷・子供の囲い込み・反社会的な言説・公秩序の攪乱】あたりはあてはまっているのではにゃーのか?


先ほどリンクした、アマゾンの書評において shu氏は以下のように指摘しますにゃ


この本で注目すべきは、ホメは新たな言い訳を考案したようです。それは『ホメオパシーが効かない』のは予防接種をはじめとする、医原病が背景にあるからだという主張です。

これは霊能力者が公開実験で失敗した時に、実験環境のせいにするのと同じ、言い逃れの常套手段です。全体的な構成も霊感商法やマニュアル商法と同じく、最初に患者さんの苦痛にフォーカスし、その悲惨さ、苦しさを大きく取り上げ、それらを無根拠な言説で医原病と断じる。読者の不安を徹底的に煽った上で、それらに対する唯一のソリューションはホメオパシーだと言い切る。


このロジックもカルトの典型ではにゃーか。


予防接種という明らかに人類にとって福音といえる医療技術を否定するどころか敵として認定し、公衆衛生の妨害がその「教義」になってしまっているのだにゃ。


以下、思いつくままにホメオパシーとカルト宗教の共通点を列挙してみますにゃ。

  • 物質文明に対する疑念や批判をもつヒトがとりこまれやすい
  • 人間関係、友人関係を基盤とすることが多く、抜け出しにくい
  • 「教祖」からのトップダウン
  • 外部に敵をつくり、そこに悪の根源があるとする
  • 認知的不協和は陰謀論で回避(ホメオパシーの場合は、製薬会社や官僚の陰謀)

砂糖玉や希釈水のような安上がりの方法で万病に効果があるのだったら、各国は争ってホメオパシー医療を導入するはず。製薬会社の陰謀論をわめきちらすのもいいが、例えばマラリアでガキがごろごろ死ぬのを見ている医師ひとりひとりもみな騙されているとか陰謀に加担しているとでもいうつもりなのだろうかにゃ?

  • 「教祖」の発言はウソまみれ
  • 「信者」の囲い込み

この「信者囲い込み」についてはホメオパシー 体験談紹介を参照のこと。典型的なカルト宗教の囲い込みだろ、これ。


また、学問的な装いをして書籍やセミナーなどで「勉強」させていくシステムについては、「幸福の科学」と似ているのではにゃーかと思いますにゃ。ホメオパシーのほうが、より学問的体裁を整えているようにゃんが、由井氏の著作では「カルマ」とか「ノストラダムス」とか出てくるらしいので、そのあたりも幸福の科学っぽいよにゃ。


日本人は宗教に対しては警戒するヒトが多いですよにゃ。しかし、物質文明に対する疑念を持つヒトも少なからずいるわけだにゃ。まあそれ自体は健全だろ。

こうしたヒトを取り込むためには、反体制運動とオカルト - 地下生活者の手遊び で指摘した、「良き新しい科学」つまり科学を擬装したオカルトがいいんでしょうにゃ。


ホメオパシーの言説内容自体は、「シャクティーパッドで病気が治る」という馬鹿宗教(=ライフスペース)と変わるところはにゃーわけだ。シャクティーパッドだって、プラセボ効果はあるだろうしにゃ。むしろ、言説の反社会性はホメオパシーのほうがでかいというのは断言してもいいくらいだにゃ。ライフスペースはバイオテロなんて推奨してにゃーからな。それどころか、条件がそろえば、ホメオパシーの「教義」ではオウム真理教よりはるかに大量のニンゲンを抹殺しかねにゃーぞ。オウムのように「善意」でね。


カルトと見なすことの利点

ホメオパシーをカルトの一種と見なすということは、ホメオパシー「信者」の親や、結果的に虐待の対象となってしまったそのガキへの対処法に、カルトへの対応マニュアルを適用するというメリットがあると考えますにゃ。

カルトへの対処法の基本として、末端の「信者」を馬鹿にしたり非難したりすることはつつしむというのがありますにゃ。そんなことをしても意味がにゃーんだな。基本的には騙されているわけだし、非難しても聞く耳を持ってくれにゃーし。

で、親を非難はしにゃーとしても、ガキが被害にあったらとりあえずしかるべき機関が介入してガキの安全を保護するのが望ましいというところも使えるのではにゃーかと。


無論、ホメオパシーにおいては、狭義の宗教カルトや政治カルトのように個人への拘束が強いわけではにゃーことは承知していますにゃ。ホメオパシーって、西欧のアッパーミドルで流行った代替療法なので、なんとなくおしゃれでしかもエコで自然志向っぽいので、受容されているというところもありそうだからにゃ。ガチガチに入り込んだ各個人というのは、カルト宗教のように多くはにゃーだろうと思われますにゃ。


しかし、デタラメに基づいてガキを医療ネグレクト(=虐待)し、そのうえ感染症流行に寄与するような「教義」を持つ集団であることは肝に銘じる必要がありますにゃ。

もしも僕の住んでいる町で、ホメオパシー「信者」が増えた場合、ある時点から感染症が流行するリスクが高くなるということになりますからにゃ。また、母数が大きくなれば、感染したガキを学校や保育園・幼稚園に「善意」で登校・登園させるバイオテロ犯もでてくるかもしれにゃー。公衆衛生や、教育、保育、児童福祉の関係者は、それなりに注意してもよいのではにゃーだろうか?

まあ、現段階では公衆衛生に影響を与えるほどの母数ではにゃーとは思うのだけれど。


参考

ホメオパシー一般について

幻影随想: ホメオパシー・オン・トライアル―ホメオパシーは詐欺か治療か―

幻影随想: 沖縄県の小中学校にニセ科学注意報発令中―ホメオパシー汚染―


特にインフルエンザとの関連について

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