「バーナード譲曰く。」を読む。

面白かった。1,2巻をまとめて。結構前から、「村上春樹をどーいうスタンスで読んだらいいか、正解がわかったよ!!」という女の子の表紙の絵は知っていて、サブカルマウンティング的な香ばしい内容なんだろうなと思って興味は持っていた。そしたら図書館で何気なく見つけてしまい、読んでみた。
絵は作者も言う通り拙いが、ほっこり可愛いこのマンガの雰囲気に合っていてそいう意味では巧いと思う。そして作者の愛する小説(和洋問わず。特にSF多し)が色んなキャラの語りを通して伝わってくる感じがいい。俺でも読んだことある本も多数出てくるので好みも近いと思う。
主人公はタイトル通りバーナード譲(ただし、作中でこの呼ばれ方をすることはほぼない。)こと町田さわ子という「周囲から読書家に見られることに異常な執念を燃やす」子で、この子のあけすけな読書論(長編じゃなく短くまとめた本の方が良い、とか)も共感できるんだが、特に神林という読書オタクの女の子の読書論、本当に面白い物語は打算的に読もうとしてもその魅力で取りこまれてしまうんだ、的な語りが熱くて胸に響いた。作者の好みは大分この子に言わせてる感じがあり、中でも、芸能人が書いたということで色眼鏡で見られがちと思われる水嶋ヒロの「KAGEROU」を「中身は薄いけど面白い話を作ろうとする作者の必死さが伝わってくる」と神林が絶妙に評価(?)してる感じとかも読書に対してフラットで好感が持てる。
他にもシャーロックホームズマニアの女の子や、話題になったベストセラー本ばかり読む男の子など色んなタイプの読書家がいて、それぞれリアルな読書観があって楽しい。本作を読んで読んでみたくなった本もいくつかできたし。
他にも、タブレットを使って風呂の中で読書するうまいやり方とか、寝ながら読書する時の一番いい姿勢は何かみたいなどうでもいいネタをゆるーく読ませてくれる。