「観察の練習」を読む。

「目の見えないアスリートの身体論」がすごく面白かった伊藤亜紗氏と交流がある人で、cakesでも紹介されていた(https://cakes.mu/posts/19151)の著書ということで読んでみた。内容は、東京の何気ない景色の写真をまず映し、それを観察して何を得られるかを問うというもの。うん、本人も認めている通り、良くも悪くもVowっぽい感じ。悪く言うと木村祐一の「写術」っぽい。もう少し社会性とか事象の背景を掘り下げると都築響一っぽい感じが出ると思うんだけど…。装丁やフォント、問いと回答という構成などは凄く拘ってると思うんだけど、ちょっと本書だと内容の割りに高いかなという感じ。30分くらいで読めるし。
ただ、写真は確かにきちんとしたロジックを基にセレクトされていて、面白いなぁと感じた。特に面白かったのが、駅構内の何気ない配管を赤と黄色で着色すると、途端にマヨネーズとマスタードが流れてるようにしか見えなくなるというもの。言われてみるとホントそうとしか見えなくなって、自分の脳の錯覚具合もきちんと機能してるんだなぁと感心した。後、コンビニのコーヒーメーカーのサイズが「普通」と「大」という二択の表記しかなく、後付けで「普通」の方に「小」と言う張り紙を張っていた写真。SIMI LABOの「UNCOMMON」じゃないけど、「普通って何?」という疑問に溢れるデザインだ。「小」と表記すると売れないと考えたんだろうか?こんな感じで人間の認知能力に揺さぶりをかける面白い写真が楽しめました。