人力飛行機主翼設計についての雑感その0

0.はじめに
 昨年(2016年)夏のHPA交流会で「チームあざみ野(仮)」から出した交流会資料内で、「人力飛行機主翼設計についての雑感」という記事を書きました。この記事は、「交流会資料の内容を手直しして、さらに春交流会に向けて増補し、諸々を学生の間に残しておいて、それから就職したいなぁ」、という動機で書かれています。
 2017年の鳥人間コンテストからTT機部門(片道500mの往復にかかる時間を競う競技)がなくなってしまいましたが、TT機に関する記述は残しておきます(速度世界記録挑戦などがありますので)。また、私が設計をやっていたのはもう3年も前なので、頑張って正確に思い出して確認もとりますが、若干不正確なところがあるかもしれませんので、ご容赦ください。

1.ねらい
 本連載では、銀本などで航空力学の標準的な部分を押さえた後に、「じゃぁ設計ってどうやるの?」ということを扱います。標準的な部分だけをおさえて設計しても、出来はすると思います。しかし、「もっと良くしたい!」と考えるのであれば、それは時間・知識・経験のすべてが限定される学部生でも可能だと思います。
 一方で、基礎的な航空力学の知識を欠いたまま機体をとばそうとして、残念ながら惨憺たる結果を招いてしまったチームの事例を耳にしてきました。そうしたことは、チームの一年の努力(とお金)が水の泡となるだけでなく、大変危険なことだと思います。そこで、そういった方には次に掲げるような基礎的な本を一冊、きちんと頭に入れたうえで、次の段階に進むことをお勧めします。

飛行機設計入門―飛行機はどのように設計するのか

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図解入門 よくわかる 航空力学の基本[第2版]

図解入門 よくわかる 航空力学の基本[第2版]

 本連載では人力飛行機の「概念設計」と「主翼平面形設計」「桁設計」の順で方法論を考えていこうと思います。なお、ここで述べる方法はあくまで「私が良いと思っている」方法です。チーム毎に置かれている状況は異なりますし、違う方法が向いているチームもあるかもしれません。
 また、質問等はいつでもお受けしているので、Twitter(@titechokb)やmail(k0suke93OO@gmail.com 0をoに、Oを0に置き換えてください)にお寄せください。