管理人:TK
2007-04-25
■読了
『症例A』 (著:多島斗志之 )
美しい少女を担当することになった精神科医師の物語。分裂病か、境界例か。非常に見極めが難しく、しかも治療法が逆ベクトルとなる両者の間で主人公が悩んでいる間は物語に惹き付けられたんだけど、中盤以降 「解離性同一性障害」の要素が出てきて焦点が分散してしまう。「解離性同一性障害」に関してはキワモノ感漂う題材ながら、ちゃんと真面目に掘り下げてはあった。
ただ、小説としてイマイチ面白味に欠けていた。主人公は過去に境界例の患者に翻弄されて離婚の憂き目に合ってるし、また物語中で相当な困難を伴う解離性同一性障害の治療に挑もうと決心をしている。だけど、なんでそこまでして治療に臨むのか、そのモチベーションが、精神医療の道を志した動機がまったく描かれていないのだ。これではどうも感情移入しにくい。
■読了
『ミミズクと夜の王』 (著:紅玉いづき)
キレイゴトだけでできた童話。だけどキレイゴトで物語を成立させるためにちゃんと手を尽くしている。
『仮面ライダークウガ』で五代君が他人の暴力を諌めた時に「五代さんの言ってることはキレイゴトじゃないですか!」と反論され、「そうだよ。でもほんとはキレイゴトがいいんだもん」と返していたのを思い出した。斜に構えて大人を気取るよりも、キレイゴトでいられるように努力することも大切。
電撃大賞受賞作でデビュー作だそうですが、確かにこういう言いたいことだけを結晶化させたような作品はデビュー作でないと書けないと思う。
■死刑
以前も死刑制度について話題にしたけど、この件に関して、煽り一切抜きで、理屈や法理すら脇に置いて、私の根本を語るなら「けじめがつかない」という気持ちだ。被害者は二度と帰らないのに、被害者の家族は二度とその被害者と会えないのに、何人も人を殺した加害者が生かされている---そういう状況に対して「けじめがついてない」と感じるのだ。理屈はいろいろあるけど、結局私の意見の根本を成すのはそういう感覚的なものだと思う。
死刑賛否の問題で「犯罪の抑止効果」がたまに争点に上がるけど、私はそれはまったく本質的な問題には思えない。私には抑止効果よりも社会としていかにけじめをつけるかの方が重要な問題だと思える。
■ヲチスレ
ほーら、面白い。
ただ、目には目を、で言っちゃうと一人なら懲役だけど二人殺せば死刑もあり、みたいな足し算の論理は破綻しませんか?
被害者感情の救済が目的なら仇討ちを法制化すべきだと思います。
もちろんTKさんが言ってるのはそういうことではないのだと思うのですが、こと生死に関わる刑罰に関しては、理屈や法理を脇においてはいけないのではないかと思います。
感情に基づいた刑罰(死刑)は国家の名を借りた殺人です。
なので、判決文に「被害者感情」なる単語が出てくることも僕は違和感があります。もっと言えば、重犯罪で改悛の情が見えるかどうかで量刑が目に見えて変化するケースも納得できません。どれほど反省しようが取り返しのつかない行為とその結果に対する処断だからこそ、死刑という取り返しのつかない刑罰が許容されているのではないかと思うのです。
だから判例主義大好きです。ドライだから。もっとも、現状にそぐわない判例にしがみついてズレた判決を下す硬直性は頂けないですが……地裁の下す斬新な判決なんて大抵ろくなもんじゃないですし。
抑止効果はワタシもあるとは思いませんが、そうすると”死刑”の必要性って何なんでしょうね? 人を殺した事への「けじめ」???
これを現実に反映させてゆくには理屈が必要だともちろん思いますが、まずは自分の意見の源泉となった感情は何かを探ってみた時に見えたのが、この「けじめ」という感覚であったということだとご理解ください。
「これが正しいから他の人も共有せよ」って主張ではないのです。
関係者によると、執行されたのは、兵庫県内でゲーム機とばくに凝った末にサラ金の借金返済に困って同僚の妻子を殺害し、健康保険証を奪うなど強盗殺人や死体遺棄をした兵庫県赤穂市の元工員名田幸作死刑囚。
香川県内のポルノショップで女性店員の応対に腹を立てて包丁で刺殺、売上金5万円を盗んだほか、91年までに徳島、東京、神奈川でも3人を殺害するなどした元工員田中(旧姓・宮下)政弘死刑囚。
福岡県内で保険金目的で男女2人を果物ナイフで刺すなどして殺害し、遺体を置いた男性の車にガソリンをかけ、放火するなどした無職小田義勝死刑囚の計3人。
06年12月25日の死刑執行では、杉浦前法相が在任中に死刑執行命令書への署名を拒否したまま任期を終えたため、執行は南野法相時代の05年9月以来1年3カ月ぶりだったが、今回はそれに続く2度目。
http://www.asahi.com/national/update/0427/TKY200704270104.html
良かったですね(^▽^)