情報社会学序説

情報社会学序説―ラストモダンの時代を生きる NTT出版ライブラリーレゾナント001

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ベキ法則に関する文献をいろいろ探している中で見つけた。先日読んだ「複雑ネットワークの科学」が物理、数学的な視点から書かれているのに対し、こちらは社会科学的視点から書かれている。でも中身はベキ法則だけではなく、オープンソース、社会変化、「智民」、コモンズなど非常に話の幅が広く、かつ深い。何より驚きなのは、著者の公文俊平先生が執筆時の年齢が７０歳近くであったと言うこと。人間いくつになっても新しいことを吸収したり、考えたりできるものですね。

あまりに話題が多岐にわたっているので、それぞれのテーマについて考えたこと（ギーク論、可視社会、もちろんベキ法則についても）は、稿を改めて書いてみたいと思うが、少しだけ。

第４章の「共の原理と領域」において、国家のガバナンス方式として民主主義の有効性を認めながらも、「共の領域」におけるネットワーク型の智業のシステムのあり方を模索している。統治倫理でも市場倫理でもない第３の原理として筆者の言う「共働行為」という考え方には共感を覚える。

現在の社会の見方として、「ポストモダン」ではなく産業化の最終局面として「ラストモダン」と言う用語を使っているのも象徴的。次の情報化による「第３次産業革命」が既に起こりつつあるとすれば、そういう面白い時代に生まれたことを感謝したい。