2012-02-21 knife-edge crease?
予報とは裏腹に、一日中気温が上がらず、体も縮こまりがち。
今日は午前中予餞会、午後は卒業式に向けての合唱指導で授業無しという予想だにしない展開。
- 安西先生、授業がしたいです…。
でも、そのおかげといっては何だが、論文をダウンロードしたり、読み比べたりとなかなか普段できないことに手間暇掛けることができた。
「学習英文法」の原稿執筆絡みで、「修飾」に関して引き続き考えていたのだが、
- L. R. Gleitman & H. Gleitman. 1970. Phrase & Paraphrase: Some Innovative Uses of Language, Norton
で、複合名詞 (compound nouns) での「語順」と意味解釈の関連性を振り返ったところ。40年以上前の論文ではあるが面白かった。「複合名詞」でどのような実験をしたのか、その一例を挙げると、被験者に、
- house-boot bird
という刺激を与えて、その語で表された「名詞」がどのような意味なのか、
- a bird that looks like bedroom slippers
- a kind of bird known as a house-boot bird
- a bird that wears house-boot
などという「反応」を記録し観察するというもの。名詞の複合パターンの分類が緻密で唸る。日本語の複合名詞で考えれば、「バナナワニ」と「ワニバナナ」だけではなくて、「ワニバナナ園」と「バナナワニ園」まで含めるくらいは誰でも思いつくだろうけれども、「実験」なので、「ワニ園バナナ」とか「バナナ園ワニ」、はたまた「園ワニバナナ」や「園バナナワニ」までを対象としている、とイメージしてもらうといいのだろうか。そして、それに対する被験者の「反応」は、当然のことながら多種多様で驚く。
ただ、“paraphrase” という用語はどうなのかな?と思って読んでいたのだが、当時の書評 (The American Journal of Psychology, Vol. 86, No. 1 (Mar., 1973)) で、D. Terence Langendoenも同様の指摘をしていた。国公大の個別試験の「英文解釈」で出てきそうな、Langendoenの文章から引く。
The careful reader will notice, in fact, that I have consistently failed to use the word ‘paraphrase’ and its close relatives in connection with what their subjects did in the experiments. Rather, I used the more natural term ‘interpret.’ This failure is a consequence of a refusal on my part to grant that paraphrasing is what they did, or better, what they were asked to do. My impression is that the subjects responded to the task as if they were being asked to define the compounds in question. If this is so, then the Gleitmans results are hardly surprising, and hardly of any bearing on linguistic theory, because as we all know even without the benefit of the relevant experiments, people differ systematically in their ability to define words, and these differences correlate with educational attainment. (p. 211)
率直な感想。
- 修飾って難しい。
- 母語話者の直感って不思議。
帰宅して、
- 『リトル・ウィングス 新世代の女子フィギュアスケーター8人の素顔』 (双葉社、2003年)
を見る。読む。写真とインタビューの収録。取り上げられているのは、当時注目されていた日本のトップスケーターたち。腰帯では選手たちの顔写真が並んでいる。
村主章枝、荒川静香、恩田美栄、中野友加里、浅田舞、安藤美紀、浅田真央らの中央に位置しているのが太田由希奈さん。ルール改正を前に、不安と期待、意欲を覗かせるインタビューにもなっている。この時点では、編集部も、荒川がトリノ五輪で金メダルを取ることも、安藤、浅田が世界チャンピオンとなることも、中野や太田が五輪代表に選ばれることなく競技から引退することも予想していなかっただろう。ファンとしては、ノスタルジアに浸ってばかりもいられない。荒川のインタビューから。
今シーズンはプログラムを滑り込むほかにも、佐藤有香さんのところで、改めて基礎的なコンパルソリーのレッスンを受けたりもしています。有香さんを見てると、なんて私はへたくそなスケーティングなんだろう、と思っちゃいますよ。スケーティングひとつひとつの伸びや緩急、ディープエッジに乗った時の粘りや押さえなど、今の私に足りないものを挙げていったらキリがありません。有香さんにはフリーレッグの向きやエッジへの乗り方など、自分で気づかないうちに癖になってしまっている細かい部分をよく指摘してもらっています。(p. 35)
基礎技術の確かさが飛躍に繋がった、というのは後出しじゃんけんでならいくらでも言えますが、トップレベルの選手がその根本から取り組み直すというのは本当に大変だっただろうと思います。
ここで荒川も指摘する、「深いエッジ」での加速は、今一番気になるところ。今シーズンの世界選手権に出るトップスケーターたちで観察して見ようと思っています。
Scotland Martにパンツを取りに行った際に店内で撮った写真が、オーナーのブログにアップされていました。(http://scotlandmart.jp/20120221/17071)
このパンツ、40代のおじさんでも、脚がスッキリと見える優れものだと実感。ただ、立ち方の癖がはっきりと出てしまっていますね。基本に返らなければ…。
本日のBGM: Deep (Jules Shear)
2012-02-20 春よ来い
月曜日は進学クラスのみ。卒業式に向けての取り組みが入ってきたので、40分の短縮授業に。慌ただしい1日とはいえ、授業は2コマ。
高1はプレゼン。玉石混淆。
同じ班での作業段階で摺り合わせが不十分だと、発表にムラが出る。他の場面を担当する、他のメンバーの「出来具合」が自分のものよりも優れている、というときに、落ち込んだり、卑屈になったりするのではなく、その取り組みから何が学べるか。また、他のメンバーの「出来具合」、そしてそれに至る「取り組み」が明らかにお粗末な場合に、「あ〜あ、こんなんじゃ、聞いた人は全然わかんないんだけどな…」と内心思うだけでなく、それを指摘し、干渉して、本番までに「このくらいだったら、自分が聞き手でも許容できる」レベルまで引き上げるべく協力することができるか。グループで学びを成り立たせるには、もっと泥臭い、面倒なやりとりが求められるはず。範囲を割り当て、自分の分担にのみ責任を持つ、というような「グループ学習」は必ずと言っていいほど破綻する。
先日紹介した『中学校外国語指導事例集』には、文部省側の「所見」という、それぞれの学校での調査研究に対する講評があるのだが、そこに興味深い指摘があったので、引いておく。
まず、生徒の実態を調査するにあたって、語をつづる力を阻害しているもの、生徒の能力に応じた練習量および学習意欲の喚起に役立つものの3項目を選定しておきながら、これらの調査にすべての教師が当たらないで、分担してしまったことである。生徒の実態に関する教師の理解には、おのずから片寄りや限りがあるものである。片寄りや限りがあるからこそ、数名の教師が協力してさまざまな理解を出しあい、分析を深めていくことがたいせつなのである。せっかく初めに協力体制をつくっておきながら、調査を分担してしまっては、それらの調査結果は底の浅いものにならざるを得ないのである。 (p. 35)
「底」はどこまで深ければ許してもらえるのか、という問題が次に出てくるけれど、やはり「相互に干渉」できるチーム作りが大切。
プレゼンの「玉」の方では、日本語を頼りに解釈したり、理解の補助線を引いたりしたとしても、最後には「英語」に戻ってくることができていたのが良かった。今までに学んできた英語表現や「頭の働かせ方」がどう使われているのか、これから自分が使えるようになりたい、と思える英語表現がどのように扱われているのか。既知を確かめることで自信を深めて、未知との出会いを求めることで意欲を持続させる、それこそがこの課題の肝。
高2のライティングは、描写の続き。教材から引き出せる語彙だけでは不十分なので、項目ごとに語彙を整理したハンドアウトを作って、肉付けできるようにお膳立て。今回、参考にしたのは、
- English Vocabulary Organiser: 100 Topics for Self-Study (LTP organiser series)
アマゾンのカスタマーレビューも書いています。
さらに、顔かたちの描写・形容で、どういう英語表現を使うか、という時に、「メガネの選び方」で、どのような表現を用いているかを調べて見るというヒントを提供。 (このブログ記事だと、こちら→ http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20101209)
このクラスでも、誰かが突き抜けてくれることを期待します。
準備室で、英語だけでなく、他教科の同僚も含めて、英語の「that節」の話し。勉強になりました。
英語の辞書の話し。入門期に最適な辞書は?という流れから、類義語辞典で何が良いか?ということになったので、私の持っているものを紹介。良いものはどんどん使って下さい。
このブログで類義語を扱ったものとしては、
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20090119
から
http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20090125
までの一連のエントリーが参考になるでしょう。
帰宅途中に、裾を直してあったパンツを受け取りにScotland Martへ。
オーナーはSPICEの方に行っていて不在だったのですが、試着もバッチリで大満足。パターンと素材感の勝利といったところでしょうか。女性陣に褒められてちょっと嬉しかったです。
SPICEの方が自宅に近いので、オーナーと店長にもご挨拶。流石に履いて登場はしませんでしたけれど。
パンツ一本で春が待ち遠しくなるのですから、良いですね。
夕食は天麩羅。今日は良いものが入ったのか海老も食卓に。
晩酌はほどほどに、録画してあった、「文字認識」の開発に携わる高専の先生のドキュメンタリーを見る。この番組はUG先生もブログで言及されていたように思います。語学の「いろは」を思い出させてくれる良い番組でした。
本日のBGM: Ready or not (Loudon Wainwright)
2012-02-18 ”about the way that I feel”
金曜日は進学クラスのみ。
高1は、週明けのプレゼンに向け最終の班内摺り合わせ。
並行して、いわゆる「基本動詞」の基本義とその展開。
「コア」だ、「イメージ」だ「フィーリング」だ、と力んだところで、その頭の働かせ方、心の共鳴のさせ方は日本語による「補助線」がなければ意味をなさないので、私自身かれこれ十数年使っている例文を眺めてもらい、「出会い」をイメージして、これまでに読んできた副読本などの教材へとまた旅に戻る、という直ぐには実らない授業。
高2のライティングは、「時制」活用の96文型を通過し、「時」を司る副詞節でのトレーニングも終え、「時」の把握と「時系列」での記述描写の段階から、「空間」「位置」の関係と「形状」の記述描写へと進む。
東京にいた頃に作った、前置詞のドリル裏表でスタート。
表面は、絵を見て英文の空所を適切な前置詞で補充する単純作業。その後、ホワイトボードに貼られた正解の英文を前にして音読して覚える。自分の席に帰ってきてから必要に応じて修正。自分のワークシートに適切に前置詞が用いられている正しい英文が揃ったら確認の音読、Read& Look upで、絵と表現とのマッチング。ここからが、トレーニング。裏面には同じ絵と空所無しの英文を印刷。前置詞に関わる部分は印刷しておき、主語と動詞など、いわゆる「内容語」を、抜いておいて、適切な箇所を自分で見つけて補充して音読する練習。この段階では、正解を書き入れるのではなく、補充するべき箇所のみを確認。だって、答えは表面にあるのだから。忘れたら、絵を見て英文を作り、表面でチェック。ここまでの下準備をもとに、週明けまでの課題は、教師になってからずっと使っているJ. B. Heatonの3部作のうち、上級編からの抜粋。「窓から見える景色の描写 (= describing scenes)」。ちょっと時間がかかるので、宿題です。中途半端な時間が余ったので、来週やろうかな、と思っていた、「人物の顔かたちの描写 (= describing faces)」の入門編。6人の顔の絵が描いてあり、その描写に使うべき語彙が項目ごとに与えられていて、質問に答えていくと、描写ができるという、タスクと言うには少し大雑把な練習。6人のうち、3人分の描写は既に与えられていて、絵とのマッチング。マッチングができたら、個々の英語表現と絵の細部、facial featuresとか、complexionなどを照合して、自分で使う時の準備。残った3人を自分で描写してみるという、手順で進みます。それができたら、今度は自分の友人から一人を選んで描写する、という応用題。大雑把ながら、とりあえず致命傷にならない程度の「描写」にはなりそうです。
どんな英語なのか、一人分だけ引用します。
He has a long, angular face and a pointed nose. He has a small moustache and short black hair. His eyes are small and he wears glasses. He has a fiant scar on his left cheek. He looks very serious.
このシリーズ、緑=入門、赤=初中級、青=中上級という三部作ですが、一番最初にでたのは『赤本』。初版は1966年。その後『緑本』が1975年に出て、『青本』は1986年。私が教師になった年です。『青本』には、これ以外にもグラフの説明や、図表を元にを英語でプレゼンする時に活躍するであろう、”cycle” や “development” も扱われていますし、“comparison” や”classification” など、ディスコースレベルの「ライティング」の練習には重宝します。センター試験のグラフ図表問題に絡めて高3の授業で使ったこともあります。『パラグラフ・ライティング指導入門』 (大修館書店) で私が紹介したナラティブの実践でも、このシリーズの『緑本』を使っていました。また、時を表す副詞節を使った例文集を作るに当たっては、『赤本』から、「帽子売りとお猿さん」でナラティブを書いてもらい、その生徒達が書きたかった表現を拾って一覧にまとめていました。全ての例文が、生徒一人一人が自分で表現活動で取り組んだpicture story素材を元に作られているので、習熟と定着には効果的だったと思っています。
ただ、残念ながら、現在流通しているのは、『緑本』のみのようです。『赤本』『青本』は、ネットで検索すると、べらぼうな値段がついていました。ちょっと食指は動きそうにないでしょう。でも、古い学校なら、英語科の書庫の奥などに眠っていたりするかもしれないし、同僚のベテランの先生や、もう退職されてしまった方ならお持ちかもしれません。定型表現のリストさえできてしまえば、あとは、生徒の習熟度・発達段階に合わせて、productionの分量をコントロールしたり、「書く相手」の設定をコントロールしたりすればいいので、学校に1セットあるといいですね。
(山口市近郊にお住まいの方であれば、私に連絡して下されば短期的にはお貸しできます。)
このような「描写」も含んだディスコースに関しての概説書は日本語でもいくつか出ているでしょうが、現場の教師が使える簡潔でいて具体的な用例も揃ったものは、というと「帯に短し襷に長し」という感じです。
- 上田明子『英語の発想 明快な英文を書く』 (岩波同時代ライブラリー、1997年)
というとても良い「ライティング」の本があるのですが、これも絶版。山口市の中央図書館にはありましたので、近郊の方は一度手に取ってみて下さい。
4コマ漫画の描写といえば、anfieldroadさんを思いつきますが、英語教材でこの “Picture Stories” を扱った入門レベルのテキストが、
- Sandra Heyer. Picture Stories for Beginning Communication, Prentice Hall
です。私の持っているのは、1989年の第2版。私がまだ駆け出しの頃に、成城学園中の関先生に教えて頂きました。
- Look &Listen で絵を見て範読を聞く
- Let’s Talk では、Q&Aの形式で、描写をしながら、「語る」
- Listen & Write では用意されたテクストのディクテーション
- Let’s Write では、”Write the story in your own words.”
と4技能をフルに活用しつつ、「棒暗記」で終わらない、優れた練習問題が16話収められていて、今こそ中高現場での需要があるように思うのですが、これも残念ながら絶版のようです。
自分の使ってきた教材が、このように、ことごとく絶版になっているというのは考えさせられますね。
明けて、土曜日は本業も開店休業。
朝から雪交じりでしたが、学校に寄って本を受け取り、その後床屋へ行ってさっぱり。
帰宅したら、大人からお子様までお客様で大賑わいでした。ガーナ出身のSさんから、チョコをいただきおやつに。
今回、職場に届いた本は、
- 文部省 『中学校外国語指導事例集 英語を書くことの指導』 (開隆堂、1966年)
です。先日、文科省から発表された「書くこと」の調査結果が気になっていたので、どこかにあるはずだと探し回った甲斐がありました。ハードカバーで300頁を越す、内容の濃い「指導事例集」です。
文部省が選んだ作成協力者の先生方。文部省側のトップは、石川二郎氏。編集には教科調査官の宍戸良平氏が当たっている。
そして、研究指定校。この「事例集」の取り扱い上の注意も。
目次を見て目を引くのが、「語のつづりに習熟させるための指導」が研究主題の一つ目であり、多くの頁が割かれていること。文字指導も含めて、この時代の指導手順とその成果、定着の度合いを振り返ることに意義があると思っています。これは、中学校の先生にとってより意味を持つ事例でしょうから、3月11日の公開研究会の時にお持ちしようと思います。
万年筆の修理が終わったという連絡を受けたので、文具店まで。元通りの姿で一安心。これまで以上に大事に使います。
本日のBGM: Must I paint you a picture (Billy Bragg)
2012-02-16 「『双六』理論」はまた後日
朝は立哨。予報よりは寒さが緩かったので助かった。
授業は今日も1年生で二コマ。
進学クラスはやり直し課題の仕上げ。
並行して、比較・程度表現や様態・比喩表現で用いられる asの用法をハンドアウトを作って概観してもらう。副読本で「物語文」を重点的に扱ったので、ほとんどが既習で身についている、というまではいかないが、既に「遭遇済み」の項目となっている。
事実の記述と印象の描写の対比、絶対的な評価や特質の記述と相対的なものとの対比、即物的・写実的な描写と情緒的な表現や誇張といったそれぞれの表現の持ち味や話者の意図を含めて解説。その後、as if へ。ifでの「現実離れ」を一回、ぐるっと巡って、「遭遇済み」のasと合体。各自へ与えた週末課題は、これまでに読んだ副読本から as if や比喩的な表現を抜き出す、というもの。
○○さん、「なんだよ、先生が読めっていうから、一冊読んだけど、一回も出てこなかったよ。」と文句を言うのではなく、自ら進んで、2冊、3冊と読み進める。「また、はずれじゃん!」と振り返りや歩みをやめてしまうのではなく、自分の取り組みに胸を張って、「ハズレくじ」を引き続けるくらいの心持ちが大事。10枚目を引いて、それでも外れてしまった時でも、そのハズレくじ10枚をまとめて、「はいっ!!」と私に差し出し、景品と交換してもらう、くらいの度量の大きさが学びには必要。
と、生徒一人を例にとって、「『ハズレくじ10枚』理論」。自分の学びを、効率の良さという物差しだけで測ってはダメ。そんなことをしていると、どんどんみみっちい、せこい学習スタイルが身についてしまうから。コクトーが生きていたら酷評されるぞ!
一方の商業科は、ユーロの続き。週の最後の授業で、キリの良いところまで進んで安心してしまうと、週明けの授業までの4日間のインターバルで忘れてしまうことが多いので、どこまで加速させるか悩ましいところ。
前時には、「スイスが例外」として、
- Even so, you can use them in many European countries.
の "many" の説明をして、 ユーロ圏十数か国の硬貨の片面の写真とスイスフラン硬貨の裏表の写真を配置して印刷配布済み。
そのユーロ硬貨の写真を見て、「絵柄が違う」ということを英語で表現し、さらには「違う国のユーロでもユーロ圏では使える」ことにスポットライトを当てた表現を作る練習。全然、自己表現ではありませんが、
- A is different from B.
- But you can use the C euro in D.
という「型」にはめた英語表現の練習。
その中で、「国名を表す名詞と、それに対応する形容詞」を繰り返し繰り返し口にすることも狙いとしています。
辞書には欧州の地図も載っているので、それも活用して、カタカナの国名から、英語での国名、そして対応する形容詞へ。
FranceとFrenchくらいはカタカナとの違いがそれほど大きくないからスムーズに出てきても、Italianという形容詞と名詞の Italyの対応の規則性など、まず初学者には分からないし、語源とか英語史的な説明を施しても無駄。それよりは、上述の枠組みの中で繰り返し使うことで、「慣れ」てもらうくらいが良い落としどころでしょう。授業でも、
- 日本語のカタカナでも、「フレンチ」とか「イタリアン」とか、料理で使っているね。
と言ってはおきましたが、日本語で定着しているのは、「フレンチの巨匠」とか「イタリアンの鉄人」など、むしろその形容詞そのものを「名詞化」して「フランス料理」とか「イタリア料理」となったものでしょう。カタカナを使うとはいっても、日本語では「フレンチ料理」とはあまり言わないでしょうから。
ドイツとGermanyとGermanだと、「最後が -manで終わっているのに、名詞じゃない」と違和感を覚えていた自分の中学生の頃の思いを忘れてはいません。さらに、オランダがHollandまでは許せても、なぜ形容詞はDutchなのか、納得するには、世界史の授業で頑張ってもらうしかないでしょう。最近、巷でよく聞かれる、「フィンランド式」「フィンランド型」などという形容も、英語で言えば「形容詞」を選択するわけですから、Finlandに対する、Finnishではnが二つ並ぶのに、SpainとSpanishではnは一つ。大変なんですよ、本当に。
ここからは個人差が物凄く出てくるところ。英語表現を板書し、空所に適切な国名と形容詞を入れて、文を完成し、口慣らし。各国を取り上げ、いろいろな組み合わせでスラスラ言えるようになったら、裏面に書く。自信を持って言えるようになったら、ペアで、一人は前半部分を言って、その情報を聞いた上で、もう一人は But 以下の文を作って反応する、というのが私の描いた「絵図」です。来週のお楽しみ。
職員会議を経て帰路。
帰宅途中で、『英語教育』と『新英語教育』の3月号を購入。『英語教育』では、3月11日 (日曜日) のELECライティング研究部会・公開研究会の告知も出ていた。
また寒気が入ってきたような感じ。
夕飯は、ペペロンチーノで大蒜を利かせてもらった。
晩酌も少々。引き続き、「義侠」と「勝駒」。
今日は妻も一口飲み比べて、「これは『勝駒』の勝ち!」と宣言。
確かに精米歩合の差もありますが、今年の「勝駒」の出来は例年以上に良いと思います。
- 林竹二・竹内敏晴 『からだ=魂のドラマ 「生きる力」がめざめるために』 (藤原書店、2003年)
を再読。学級文庫に入れておこうと思う。
本日のBGM: King Horse (Elvis Costello)
2012-02-15 fine tuning
今日は3コマ、2限・進学クラス,3限・商業科,7限・進学クラスという三段跳びです。切り替えが大変。
進学クラスの方は、やり直し課題の精度を高めるために、表現を比較する、という時の「目の付け所」を解説するハンドアウトを作成・配布。英語表現の実例は、これまでに読んできた副読本の中からそのまま抜粋したり、その物語の中で特に記憶に残っているであろう場面をイメージして私が書いたりしていますが、当然、解説は日本語です。
商業科は、前時に前半部分の内容理解、語順・意味順での構造確認、音読が済んだことを踏まえて、日→英の復元から。週3コマしかない授業だったら、月・水・金で入っていてくれればどれだけ楽かと思うこともままありますが、連続しているなら連続しているで、そこで充分に加速させればいいことです。
- So, they have a note which has its picture on it.
では、指示語の指す具体的な内容を、日本語訳ではなく英語で確認する問いを発します。ここは意外に難しいのですよ。 “they”の指す、具体的な複数形の名詞はその前に書かれていませんから、「意味」を考えないとダメ。関係詞の処理でまごまごしていると、”its picture on it”のitがよく分からなくなる。その前に書かれている、”a picture of the kiwi, the national bird” を確認し、お手本として、まずは、”its picture” から。
- a picture of the Sphinx
という「解凍」が自分でできたら、「崖の上のポニョ」。
- 「ポニョの上のポニョ」とか「崖の上の崖」とか「坂の上の坂」じゃ変でしょ?
と「四角化ドリル」での<名詞+前置詞+名詞>のシリーズを思い起こさせて、最後の ””it” が決してpictureではないことを実感してもらう。それより前にある「単数形の名詞」を探す時に、四角化は便利だな、と一人でも気づけばそれは豊かな収穫になります。他人のを写して誤魔化すのではなく、自分の頭で処理することが不可欠。
読み取りは、いよいよ後半へ。範読を聞いて、記号付けの確認。限られた語彙の知識と並べ方・形あわせのレベルでの「頭の働かせ方」を活用して、自分で実感が持てるように。今日は、Howeverでの論理展開を重点的に。<A → However, → B>という流れの中で、Aに来る内容を「きちんと」読むことで、Bに来るであろう内容を予測でき、その自分の予測を確かめるためにも、今度はBを「きちんと」読むのです、という授業展開。キーワードをもとに対照するだけなら、英語が苦手な生徒でもだいたい予測ができますが、そのキーワードだけでは「文」にはならないので、<英語としての並べ方と形合わせ>がどうなっているか、実際に読んで確認。範読を聞いて、語順通りに理解の確認。裏面の<順送りフレーズ訳>を利用しての日→英→日→英、行ったり来たりで終了。
今回、生徒には斉唱も個人読みもやらせていません。後半部分に入ってからは「記号付け」の際に2回、Howeverの論理展開を確認した後に2回、最後に通して2回と合計6回、範読していますが、最後の2回での生徒の聞く「集中力」が増していることは、教室の空気で直ぐに分かります。「内容理解・意味が伴った音読を」というのはよく言われますが、教師による「範読」を「きちんと」聞くことだって、意味の理解を伴って初めてできる学習者も多いのです。
7限は再度進学クラス。
「表現」での目の付け所を経て、「語義・定義・パラフレーズ」の話し。
ここでは、『オリバー・ツイスト』で扱った
- Shivering with fear, Oliver walked the length of the room.
という1文から、”shiver” という動詞を取り上げ、語義の確認。英和辞典では訳語が直ぐに手にはいるけれど、それで安心してはダメ。英英辞典の記述を見る。
ISED (開拓社、1941) を引くと、
- tremble
とある。が、そこまで。で、次にtrembleを引く。
- shake; shiver
とある。「振り出しに戻ったね」、とクラスに投げかけ、別な辞書との比較対照へ。
shiverに絞って、
- (to) shake with cold or fear (学習英語辞典、令文社、1962年)
- make quick shaking motion of body, specially as effect of cold, fear etc (The General Basic English Dictionary, 北星堂、1960年)
といった絶版の辞書からの定義を板書し、「では、語で置き換える時に、shiver, tremble, shakeの3つの語のうちどれが一番易しくてよく使われるのか、『エースクラウン』の扱いを見てみよう。」と3語の引き比べ。色文字とフォントの大きさで比較すると、shake > tremble > shiver の順。流石は投野先生の作った21世紀の辞書。
辞書の語彙項目として、「語」のエントリーでの頻度や重要度は現代コーパスでよく分かるのだが、「品詞」や「意味・語義」での重要度は?というと結構難しい。
私が教材研究でいつも使っている、
- Cambridge English Lexicon (1980)
で、語義による重要度・基本語表記を見てみると、
- 3 shake 5 v. tremble: her voice shook with emotion (p. 133)
- 4 tremble 4 v. shake involuntarily: he trembled with excitement (p.156)
という記述があり、1970年代までの使用実態を伺うことができる。shiverは予想通り扱い自体が無し。ただ、意外にも、この語義では、trembleの方が重要度が高かった。
教室に置かれている数多の辞書の中から、英英辞典を取り上げ、補足追加。
- shake because you are cold or afraid (Longman Basic Dictionary)
- shake because you are cold, frightened or ill (Oxford Elementary Dictionary)
といった、子供用の薄い辞書からもヒントは得られる。with emotionとかwith excitementなどの<前置詞+名詞>による「副詞句」を使いこなすことが難しければ、生徒には意外かも知れないが<接続詞+SV>という「副詞節」を使えばいい。その中で、frightenedという自分の呼吸が苦しくなるような語ではなく、afraidに置き換えれば少しは楽になるだろう。
- When you shiver, your body shakes slightly because you are cold or frightened. (COBUILD)
のように文脈ごと移し替えることで説明することも可能、というところまで、巡り巡って、自分の課題の見直しへ。
大事なのは、
- 理解したことを表すには、日本語訳ではなく、定義・言い換えが大事。それは確か。でも、その言い換えで、自分が使える語句・表現は、いったいいつ身につけるのか?
ということ。
そこを踏まえておかないと、名詞としてのshiverの、
- a sudden shaking movement of your body because you are cold, ill, frightened or excited (Oxford Learner's Thesaurus)
という定義も有難味はないし、その類語である、tremble, shaking, quiverなどとの共通点を括りだしてくれている、
- These are all words for a continuous or sudden shaking movement or feeling, especially one that you cannot control.
という「上手な」説明を受けても実感は湧かないだろうと思う。
「パラフレーズ」はその前段階の指導と定着こそが肝。
職員会議を経て、帰宅。
水曜日は『相棒』の日。
ミッチーの過去が少しずつ明らかに。
ほどほどに晩酌。
ほどほどに睡魔。
本日の晩酌:
義侠・純米・生・滓がらみ・山田錦 60% 精米 (愛知県)
勝駒・新酒生酒・純米・五百万石 50% 精米 (富山県)
本日のBGM: Pastorinhas (Baden Powell)
教材研究の友、定義の味方。下段の右から2番目が『学習英語辞典』 (令文社) です。こうしてあらためてみてみると全て絶版ですね。
紙と活字の辞書にも「ならでは」の良さがあります。
友を呼ぶ類。
2012-02-14 MSV
今日も雨。
授業は2コマのみ。
進学クラスは、副詞節関連の総復習音読シリーズの後で、
- では、この文そのものは、どういう文脈で用いられるのか?例えば、どういう文を受けて発せられるのか?疑問文を考えるとしたら、どんな疑問文になるか考えなさい。
と問うて、2文を取り出し考えてもらう。
こちらの目論見としては、今後「教師が発問するのではなく、生徒に問いを作らせる」というところへ向かう伏線でもあるのだが、そんなことは当然言わない。ただ、
- こういう意識が、「その英文を自分で生き直す」「閉じたことばに命を吹き込む」ということに繋がる。
とは言っています。
こちらとしては通過しやすいと思って問いを立てたのだが、いきなり難儀したのが、
- Boil the macaroni in salted water until it is tender.
という文。untilの従属節のまとまりは、例えば、”for about twelve minutes” などと置き換えられる「副詞節」であるという実感 (用語の理解ではなく) があれば、”How long …?” までは出てくるのだろうが、次に、用いる疑問文での操作、助動詞の選択は、
- “…do I boil …” ではまずいのだろうなぁ…。
とは思うようだが、その疑問文の「意味」や「働き」、お互いのやりとりの目的が実感できないと難しいようだ。ここで、「レシピは一般的に、instructionのテクスト、ディスコースなのだから、質疑応答を設定するのは不自然」とか、「やりとりの多くはチャンクの受け渡しや、相手の出したチャンクを引き取って、こちらが補完するものなので、一人の話者が1文を完結させる、というタスクは不自然」という、もっともらしい理屈付けは考えない。これは、教室という不自然な言語交渉の場で行われる「授業」なのだから。
一方の商業科は、1レッスンの前半の7文の音読。
一人一文、七人一組。誰かが間違えたり、つっかえたり、聞こえなかったりしたら一人目まで戻ってやり直し。40人を超えるクラスサイズですが、意図的に2回やらせる生徒もいるので、相当に時間がかかります。2分間の個人練習の後、スタート。途中でダメだしの連続。他の生徒のミスでやり直しがでるとふてくされる生徒はよくいるけれど、自分のミスでやり直しになりふてくされる生徒もいる。当然どちらも喝。「7人一組」なのに、自分の番が回ってきた時のことを考えて、それまでに読んでいる文を聞いていないと、流れができず、リズムも揃わないので、音に意味が上手く乗らない。たとえ、その一組7人以外の30人以上の生徒たちが聞いていなくても、自分以外の6人は聞いている、という意識があれば、自分の読む声は行き場所を見つけるのだと思っています。
以前の勤務校だと、歌を取り扱った授業で、歌詞を一人一文ずつとか一行ずつ音読させていたけれど、肝は同じこと。問題があるとすれば、「そうまでして、音読する価値のある文なのか?」という点。そういう意味では、この教科書は落第点ですね。
残り時間10分のところで音読は終了。ワークシートの裏面の、フレーズ順送り訳を使って、日→英での復元をやって本日終了。
高英研の部会が勤務校で行われていたので、放課後に主任から状況を聞く。いろいろ問題は多い。全英連大会もライティングの分科会で良いのなら、私がやりますけど、「今風」にはならないですよ。指導助言者を大学の先生とする慣行も、そろそろ見直した方が良いように感じます。
このところ、英語教育関連での書籍ばかり紹介していたので、目の保養を。
- 『フィギュアスケート 美のテクニック』 (新書館、2011年)
樋口豊氏の監修。モデルは太田由希奈さんです。
基本技術の解説を丁寧に行っていますので、普段、TV放映などでの「用語」に戸惑っている人も、少し実際の技術が分かってきて、ステップやジャンプを見る目が変わってくるのではないかと思います。
来る世界選手権に向け、是非!
出版社の特設サイトでは、ジャンプ6種類の動画も公開されていて、太田さんのスケーティングの一端を見ることができます。
http://www.shinshokan.co.jp/figure/binotechnique/
この競技を愛する者としては、この本にはDVDをつけて欲しかった。今からでも遅くないと思いますので宜しくお願いします。
表紙です。
世界一美しいと私が思うスパイラルの一瞬。
1コマ目、この股関節での捉えが美しい!
本日のBGM: You and clouds will still be beautiful (XTC)
2012-02-13 なくてななくせ
日曜日は思いの外冷え込んだ。
先般行われた勤務校の入試で合格した保護者対象の説明会の様子をちょっと覗いて、準備室で3月のライティング研究部会に向けてのミーティングの準備。
新幹線の時間を見て、駅までお迎えに。K先生に山口までご足労願いました。昼食は最近気に入っているラーメン屋へ。とんこつと鶏ガラを合わせたスープで私でもスープを最後まで飲める位にあっさりしています。
腹ごしらえを済ませて、高校の準備室に移動。「ライティング」話をあれこれと。K先生は大学関係の仕事でケンブリッジに行ってきたばかりということで、CEFRに関して、さらには日本の学習者の書いたライティングに関して、McCarthy氏とのやりとりなどなどケンブリッジでの興味深いエピソードがいくつも。K先生のD論も拝見させて頂く。月日の経つのは早いなぁ。今回の打ち合わせを元にたたき台を作って、田地野先生、奥住先生との調整に入ります。シンポジウム本番まで、1ヵ月を切りました。楽しみです。K先生、お忙しい中有り難うございました。
帰宅後はフィギュアの4大陸選手権。
意外といっては失礼だが、米国のワグナー選手の逆転優勝で幕を閉じた。浅田選手は、フリーでの3+はクリーンな着氷だったものの、ジャンプの軸がちょっと太めで、後半ちょっと集中力が薄れたのか、サルコウが2回転に。滑らかで柔らかな良い演技にまとめてはいたが、本人も満足はしていないだろうと思う。村上選手は、セカンドがことごとく跳びきれずに不本意な結果に。演技後の挨拶で膝が曲げられないほど疲れた様子だった。
週明け、月曜日の授業は進学クラスのみ。
それぞれ、課題の続き。それぞれに「喝」を入れて終了。明日以降のミッション遂行に期待。
さて、
前回のエントリーで、「文字指導」についていくつか資料を示したのですが、言いっぱなしでは発展性、生産性がないので、文科省の担当部局にお問い合わせのメールを出しておきました。回答が来るかどうか、気長に待ちます。
ブログをお読みになった方から、いくつか質問もいただいたので、補足も兼ねて、「指導」にあたっての留意点とさらなる参考資料を載せて本日は終了。
『中学英語事典』 (三省堂、1966年) より抜粋。この項は堀口俊一氏の執筆担当。戦後の試案だった当時の指導要領からの引用 (英文) が参考になる。
同上。ここでの小文字の指導では、「四線」の指導。次の篠田のものと比較されたし。
『新英語教育講座 第三巻』(研究社、1950年) より、篠田治夫「英習字」の項。現在一般的な「四線」ではなく、「三線」の指導。middle lineはbaseline (基線) とtoplineの中間ではなく、上下の比率を変えていることに注意されたし。
同上。基線の下に出る長さに注目。
Rosemary Sassoon. 2003. Handwriting the way to teach it. 2nd. Paul Chapman Publishing より。手書きの「お手本の字体」についての考え方。
同上。文字のサイズとプロポーションについて。「四線」ですが、その割合に注目。篠田と同様の指摘と配慮があります。
文字の各部分の「名前」について。
同じRosemary Sassoonの Handwriting problems in the secondary schoolより。適切な「間隔」をあけることの難しさについて。こちらは2006年刊で、この「間隔」の他にも「筆記用具」や「姿勢」「持ち方」「文字の大きさ・形」などなど教室での指導に当たって考えておくべきことが具体的に書かれています。
今回紹介した書籍類はこちら↓。
今日は自宅に持ち帰りましたが、普段は職場の書棚に置いてあり、いつでも手に取れるようにしてあります。
本日のBGM: Maybe I’m doing it wrong (Randy Newman)
2012-02-11 Do I have to draw you a diagram?
「呟き」の方で少し指摘しておいたのですが、文科省から発表となった、中学校段階の英語で「書くこと」の調査結果がどうにも気になっています。http://www.nier.go.jp/kaihatsu/tokutei_eigo_2/index.html
委員の名簿を見る限りでは、千葉大の大井先生も、外語大の根岸先生も入っているので、しっかりとした議論がなされた上での調査・研究だと思っています。
それであればこそ、次のような点は、どのような議論があったのか、またなかったのか、知りたいのです。
例えば、「符号」に関して、
- What are you reading, Tomoko?
は、誰がいつTomokoに向け「書く」英文でしょうか?
しかも、この設問では、What are you reading (空所) Tomoko (空所) のように、2カ所に空所を設けておいて、その空所に適切な句読点を記入できるかを問うことによって、句読点の使い方が身についているかを「測る」問題となっています。この問題、
- What are you reading (空所)
で最後に適切な句読点を求めるのであれば、かなり正答率は高かったと思うのです。
ところが、cueとなる英文に、「聞き手への呼びかけの言葉」である Tomokoがつけられたが為に、混乱してしまった生徒が多かったと思われます。もし、このcueとなる英文が、
- Tomoko (空所) what are you reading (空所)
だったら、結果はどうなっていたでしょうか?
中学校段階の教材の多くが、必要以上に「対話文」になっていることが、マイナスに働いたとは考えられないでしょうか。
- 「ライティング」の指導は文字指導から。
と言い続けている私としては、看過できない出題例でした。
この「符号」に関わる出題では、「引用符」の「形」の「正しさ」を問うものがあって困惑しました。「指導」と「定着」の間にはギャップは付き物ですが、この「符号」はその最たるものでしょう。母語か第二言語かを問わず「大人」や「教師」が参考にする書籍や教材でさえ、いわゆる「パンクチュエイション」の「ルール」が説かれていることの意味をよく考えてみて欲しいと思います。
日本の英語教育の世界では、「ハンドライティング」の指導にそれほど関心がないのか、まとまった概説書があまりありません。
以上、私は、書写・印刷の両時代を通じ、書法と最も深い関係を持つローマン字体の歴史のあらましを辿って、現代のイギリスに及んだ。現場で英習字を教える人たちにとっては、無用の知識とも考えられるかも知れないが、こうした知識が、わが国のこれまでの英語教育でほとんど供給されてこなかった実情にかんがみ、私は最小限度このくらいのことを常識としておいてほしいと思う。 (中略) あとはさしえの図版を参考にして各自くふうし、また末尾にかかげた参考書目によって、知識を深めていただきたい。
これは、寿岳文章氏の「英習字」 (p.248、『語学的指導の基礎 (中)』、研究社、1959年) からの抜粋。この指摘、啓蒙から既に50年が経っているのですが、今回の「最新の調査結果」を見る限り、ほとんど改善されていないように思えて仕方がありません。
「外国では」とか「本場では」という、事例の取り上げ方は、私が最も忌み嫌うものの一つですが、寿岳の言うように、「こうした知識が、わが国のこれまでの英語教育でほとんど供給されてこなかった実情にかんがみ」英国での「教則本」や英米の「研究者」などからいくつか、実例を見ておこうと思います。
まず、Alfred Fairbankの The Story of Handwriting Origins and Development (1970年) より、Fairbank自身も編者となって作成したBeacon Writing Booksのシリーズ (1958-61年) での「イタリックハンド (= Italic Hand) のお手本」から。(DLされる方はこちら→Fairbank, Storyより、Beacon.jpg
)
左頁下のFig. 17を見ると、Fairbankが規範とする「イタリックハンド」での「引用符」がよく分かるでしょう。右頁では、実際の手紙形式で「引用符」が使われている様子がわかります。
では、「規範」はともかく、当時の一般的な書き方はどうだったのでしょうか?
書家であるReginald Piggottは、Handwriting A National Survey (1958年) で前年に英国で行った広汎なhandwritingの調査結果をまとめています。その中で興味深い引用が、Marion Richardson女史の Writing & Writing Patterns (1935年) の説く書き方に従って当時の人が書いた実例です。
(National SurveyよりRichardson_style.jpg
)
下段の手書きでは、5行目に “Violin” という語を引用符で囲った例が見て取れます。実際の手書きでは、「はじめ; 起こし (=opening)」は左上から右下へ、「終わり; 受け (= closing)」は右上から左下へ、という運筆だったことが窺えます。
では、大家の直筆は実際にはどうだったのか?またFairbankから見てみます。
- A Handwriitng Manual. Faber & Faber
私の手元にあるものは、1975年の改訂版です。
米国を代表する書家と寿岳氏も言うJames Hayesの直筆。(Fairbank, ManualよりJames Hayes.jpg
)
- “straight off.”
でかなり「個性的」な「はじめ」の引用符を書いています。
1970年代の終わりから、国内で人気を博し、英国ナショナルカリキュラムにも影響を与えたとされる、Thomas Barnardの直筆。(Fairbank, Manualより Thomas Barnard.jpg
)
- “silent majority”
での「美しく」て「正確な」引用符がおわかりでしょう。
それでは、現代の「教則本」では?というと、やはり『ネルソン』でしょう。Book 4になると、「引用」がもっともらしく思えるレベルの「文章」で視写の課題が出てきます。(ネルソンのBook 4.jpg
)
形はよくわかるのですが、「はじめ」の運筆に関しては、この「テキスト」自体には何も解説やガイドラインがありません。
私がこの長話をする契機となった、今回の「調査結果」で、「不正確」とされた「符号」のどこに問題があったか、考える材料は提供できたと思っています。概説書などの写真も載せておきますので、参考にして下さい。
一番左がA National Survey。Sassoonもよく引用しています。一番右は、John Jacksonによる19世紀末の米国の概説書の復刻本。
手に入り易いのはSassoonでしょうね。Sassoonは個人的には好きな書体ですが、書体以上に、Rosemary Sassoonがこれまでにまとめてきたhandwritingの分析・考察が素晴らしいと思います。ちなみに、Sassoon はHandwriting of the Twentieth Century. 1999. Routledgeで次のようにMarion Richardson女史を評価しています。
In retrospect it could well be argued that Marion Richardson made the most significant contribution to the development of handwriting in the twentieth century.
(中略)
Marion Richardson’s letterforms were, however, attacked by those promoting a more sophisticated italic hand. They failed to understand the advantages of a beginner’s model with slightly rounded strokes, making it easier for young children, and helping them to joint letters at an early age. Her copy books were carefully graded leading pupils on to the broad-edged nib and narrower slanting letters. Richardson considered that: ‘A child needs a model not only when he first learns to write by but also to protect him from slovenliness and affectation while his writing is forming’. (p. 78)
慧眼だと思います。
立てかけてある左奥の新書が寿岳氏も書いている『語学的…』。真ん中は某学校の教則本というか練習帳。一番右は大正時代の雑誌『ABC』(研究社)。平置きが『ネルソン』のシリーズ (Books 1-4)。
他にもまだいくつか、職場にありますので後日ご紹介を。
さて、
フィギュアスケートは四大陸選手権。
銀河も越える点数で優勝してしまう選手のいる興醒めの男子シングルは放っておいて、女子の活躍に期待したいと思います。
本日のBGM: Human Hands (Elvis Costello)
2012-02-10 “You’re what you don’t read about.”
連日の冷え込みのおかげか、穏やかさを感じるくらいの天候で、進学クラスのみの授業が終了。
高2のライティングは、日記で時系列に沿った処理をするために必要不可欠な「副詞節」へ舞い戻る。重ね塗りか紙漉か。週末はセンター模試とのことだが、特に対策などはせず。これまでにやってきたことを地道に。
高1は、『魔法使い』と『アルプスの少女』のグループワーク。どのように比較検討するかというお手本で、『オリバー・ツイスト』を扱ったわけだが、もう一つの例として、『イソップ寓話』から、「ウサギとカメ」の比較対照をハンドアウトにして解説。(The Hare and the Tortoise.doc
)
それも参考にして、グループに割り当てられた作品で、それぞれの理解の摺り合わせ。日本語に訳して終わりではなく、言葉を読み込む作業。生徒が調べたり相談したりしている間、圧倒的に手持ち無沙汰なので、「学級文庫」の整理。英語の本ではなく、日本語の本の棚を写しておいたので最後に紹介しておきます。
7限を終えて一端帰宅。
妻に送ってもらい、職場の英語科の先生方で集まって「食事会」。
先日の高校入試では、非常勤講師の方達にも採点業務などかなり無理を言って協力してもらいましたので、そのご苦労さん会も兼ねています。みなさん、楽しい夕餉を有り難うございます。地酒も味わい重視の良い品揃えだったので、私は山口の地酒「東洋美人」をお代わりしつつ、最後は「出羽桜」で。その後、主任と二次会へ。こちらでは、牡蠣や鮟肝などに合わせて体幹の強い「貴」を。呑まれないうちにお開きにして、私も帰宅。
本日のBGM: pulling mussels from the shell (squeeze)
日本語について考える契機に。数学や論理も。
演劇や講談、漫才、歌舞伎の世界など多種多様な「言葉」を操る人の言葉に触れる。平田オリザと後2冊くらいが貸し出し中の模様。
詩と書・文字。
作文・小論文。そして小説関連。亡びてたまるか!
短編や時代小説も。文学を考える契機に。
翻訳・JJ・河童。随筆も含めて文体の意識を揺すぶる。
自己との対話もことばの仕事。斎藤喜博や河合隼雄、森毅など、この棚は貸し出しが多いようです。
リテラシー。
棚からはみ出したことばたち。『高ため・三部作』も。
サイズの合わない本はこちらへ。
2012-02-08 「なんです山脈」を仰ぐ
立春を過ぎたというのに、またしても寒波。
雪がまだそれほど降っていないうちに出校。
朝から立哨で生徒指導。口で言うほど簡単じゃないんだってば。
授業は淡々と。
進学クラスは2コマあったので、読み比べと、読み直しと、課題のやり直しと、新たな課題の提示。
『オズの魔法使い』と『ハイジ』とにグループ分けして、私が『オリバー・ツイスト』でやって見せたものをお手本にして、異なる複数の本から同じ場面を抜き出し、比較検討してプレゼンの予定。まずは、取り上げるに足る同じ場面を確定することから。あとどのくらい読み込んだら、「分詞構文」とか「付帯状況」とかラベルを貼らなくても、読み聞きしたことばの実物で処理できるようになるでしょうかね。
商業科1年は、例によって「仕込み」の復習で日→英から。今日も昨日と同じ箇所なので、一番遅い者でも、3分22秒で確認終了。こうやって授業が続いている時は良いんだよね。
続いて、前時に「スラスラ感」を得ることに成功した2つの英文の音読、Read & Look up。ちゃんと、自分の頭に入っていることを確認して、「無冠詞・複数・一般論」の原則を徹底。主題が絞り込まれて、読者の側に歩み寄った具体的な記述が出てくるまで、我慢して筆者に付き合うことを要求。
その流れで、新たに1文だけを読み進め、昨日の2文と合わせて、3文をまとめて音読。一般論の流れを実感。今日進んだのは、この”Each picture ….” を含めて結局4文。でも、昨日の倍ですね。
- Each picture tells us something about a country or place. For example, some New Zealand coins have a picture of the kiwi, the national bird. Egypt is famous for the Sphinx. So, they have a note which has its picture on it.
本日の読み取りでは、「非連続テキストの読み」に言及。商業科なので、「エクセル」の話しから。「エクセルで作った表にある個々の数値は読めても、表そのものを音読するのは難しい。」ということを確認。その後、黒板には、冒頭の2文も含めて計6文のキーワードのみを書き出し、それぞれの可能な組み合わせを線で結び、「図式」化。この「図」で示されているような組み合わせを一つずつ全部ことばにすることはできないから、
- 一般論→具体例→大まかな説明→細かい説明
などのように、書き手と読み手の間での「わかる文章って、こういう風に進んで行くよね」という了解事項に従って書かれていることを説明。読み手は、面倒でも、その「図式」で示された結びつきの一つひとつを、書かれたことばと照らし合わせて歩み直さなければならないという、まどろっこしい「読むこと」との付き合い方を伝授。
その後、音読、裏面のフレーズ順送り日本語訳と行ったり来たり。最後に英語が残るかどうか。
明日は、いよいよ本題の「関係代名詞による後置修飾」の確認へ。
路面が凍る前に帰宅。
水曜日は『相棒』。さあ、あと何回ミッチーを見られるかな。
明日は、寮の当番だから今日はしっかり晩酌しておこう。
このあとは、教材研究やシラバスデザインの資料として「英語教師として」読んできた本の紹介です。
より詳しく知りたい方は「プロフィール欄」からメールを下さい。
本日のBGM: Like me that way (Chris Von Sneidern)
1980年代終わりから、1990年代にかけて通過してきた概説書と文法・語法書。
GDの2は1999年当時受け持っていた高2生と高3生合同のTOEFL講座 (課外ではなく、「学校設定科目」として正規の授業で教えていました) のテキストでした。
テキスト単発では行き詰まるので、理論的背景も。
Gravesを読んでシラバスを作っていた頃、奈良で今井先生と偶然出会いましたね。
1990年代から2000年代にかけてのライティングのネタ本。
ライティングのネタ本その2。
私のライティング指導の土台の一つがこの辺りですね。
現代の日本語表現では何が求められるか、日本語教育からも学べるものは吸収します。
そして今へと繋がります。











































一部加筆。