世間は御用納め

3月末の(財)語学教育研究所主催の春期講習会でライティングに関する講師をすることとなった。
非常に複雑な思いである。いつものように自己表現と自由英作文に関しては警鐘を鳴らすつもりでいるのだが、80分の講座で消化吸収できるテーマとなると相当に具体的に絞っておかねばならない。その反面、「明日の授業ですぐ使える活動」をウリにする研究会や研修会とは一線を画したいという思いが強い。「効果的な活動を紹介する」のではなく、「どうすれば効果的な活動を作ることができるか」という『視点』『方法論』をこそ、一緒に考えたい。「そうは言っても実際に指導した経験がなければ視点もないだろうし、方法論を考える材料がないでしょう?」と考える人には、「人まねであれ、オリジナルであれ、まず自分で試行錯誤をすることが必要なのです」とだけ言っておきたい。教師は誠意を持って失敗を繰り返すのである。新人でもベテランでも同じである。教育は常に「うまくいく」ものではない。「うまくいったりうまくいかなかったり」であればいい方で、「うまくいかなかったりうまくいかなかったり」の繰り返しであることがほとんどであろう。教育は、それを受け入れ、それを踏まえて、その上に積み重ねていくことしかできないだろうと思う。
とはいえ、ライティング指導の講座ということになれば、

  • 「『自己表現』という幻に縛られた稚拙な表現技術」
  • 「マッピング、広げるだけではゴールに着かない」
  • 「和文英訳か自由英作文かの二者択一の先に待つ落とし穴」
  • 「こうすれば失敗する!高校でのパラグラフライティング」
  • 「必ず時間切れになる、こだわりのプロセスライティング」
  • 「教師の自己満足に終わるピアフィードバック活動」
  • 「この失敗からこう学んだ!七転び八起きのライティング指導」

というような、反面教師ネタでは受講者は満足しないのだろうなあ…。
何はともあれ、世間的には今日で御用納めです。