“Don’t Ask Me Nothin’ About Nothin’”

連休明けの授業を一つひとつ。
商業科2年はスモールトークから。先週はダーレオーエン選手の悲しい出来事。今週も、訃報を受けて準備した写真の拡大コピーでイントロ。雑誌の懸賞で当たったTシャツも見せて、映画にも言及。

  • Maurice Sendak

について、簡単な引き写しの資料を10部ほど用意。
新たな教科書の第一課は、語彙のレベル、構文のレベルを押さえて作ってあるので、語句の仕込みを敢えて外して導入。簡単なことば、であっても「詩」を扱うことによって、ことばの型、形式が果たす役割・意味を考えることが可能となっています。置き換えられないことばの持つ力をもっと信じましょう。「詩」はおまけとか、付録ではダメなのです。
新課程を睨み、御上や学者に「英語の授業は英語で」といわれると、とたんに、

  • Q&Asを含めてインタラクションを英語で行う。
  • 本文を英語で言い換える。
  • 本文を英語で要約する。

というような活動をやらなければならないと思ってしまう人が多いように感じるのですが、今日のこのクラスの授業で、

  • 文を作るのではなく、内容をまとめることができる、括り出すことができるキーワードだけ英語で示す。

ということをやってみて、これだけでも、十分内容理解の確認として機能することを実感しました。表現活動は表現のためにこそ。
「英語の音とリズム」でのフォーカスは、

  • 強勢 (いわゆるアクセント)
  • 母音と子音、母音字と子音字

の練習から。family, from, friend(s), market, across などの語で、原理原則の把握。

  • 綴り字と発音

では、

  • school vs. chore(s)

で、綴り字の-ch-の表す音に注意して、それぞれ、同じ仲間・グループメンバーを書き出す活動。

  • change, chance, champion, chair, check, cheek, China

など、”chore(s)” の仲間は盛りだくさんなのに対して、“school” の類例がなかなか出てこないので、

  • 「学校」って、孤独なんだね。

と振ってみるが、芳しい反応は無し。

  • chorus, Christmas, stomach, headache

などなど、さまざまな類例を振り分けて、どちらが多数派か?と問うて、chore(s) が多数派の住人であることを確認。「発音注意」などと辞書にはあるけれど、子音字の発音さえ確認できれば、母音の方の類例も。

  • more

を板書し、「仲間が思いつくか?」と問うて、

  • store

へ辿り着く。導入で使ったschoolという語に着目させ、「学校で学んでいる知識や技能で本当に大切なものは、お店でお金を出せばすぐに手に入る、というわけではないのですよ。」と締めくくり。
1日空けて、翌日の時間の冒頭では復習を兼ねて類例。

  • much
  • Mach

を辞書で確認。muchは流石に「いくらなんでも、それくらい分かりますよ!」というレベルだが、Machは調べて初めて気づく者が多いであろう語です。その後、

  • 子音の連続 (landとlands、giftとgiftsの違い、など)
  • 子音と母音のつながり (in other lands、with her family など舌先の音と、market, tooなど同一調音点での保持、など)

を解説し練習。
教科書本文の精聴にこのクラスでは初めて、教科書準拠のCDを使った。ただし、BGMは無しにして欲しい。ムダな費用は削るべし。個人読みのために、ポーズありのトラックの方をかけて、ポーズの間に、口パクの練習をさせる。口パクでも上手くいかなかったところが出てくるので、そこを中心に個人練習。
再度、精聴。ポーズの間に、自分が上手く読めるようにせかせかとメモ書き。
メモ書きを確認して、再度2分間個人練習。
ここまでやってから、CDについて、ポーズの間で、次のフレーズが流れる前に読む練習。
本文で出てくる、簡単な文法項目を確認するために、全員が指定で買わされている英和辞典の例文を見つける課題。板書は日本文のみ。ターゲットとなる項目で出てくる語、または、日本文のキーワードに該当する英単語を引けば、お目当ての英文は見つかる、というもの。当然、あっという間に終わってしまう生徒もいますから、そういう人は、ここまでのステップを振り返り復習。
次回は、辞書引きで得た例文の確認から、文法の明示的な指導です。

進学クラス高1は、「名詞は四角化で視覚化」のドリルを一つずつ。
なんとか「崖の上のポニョ」と「ポニョの上の崖」の区別をよじ登り、あらたな水平線へ。ドリルの6まで漕ぎ着けました。
合間には、私が高校生の頃の英語への取り組みや、前任校の生徒やこの学校の卒業生の取り組みを紹介。
進学クラス高2は、投げ込みとして扱ったボブ・グリーンのコラムのフォローも少々しておきました。翻訳の日本語表現に着目し、英語表現へ直す時の頭の働かせ方のチェックポイントをいくつか。当該箇所の原文を再度読み込むところまでは前時で終了していたので、今週は、いよいよ「ライティング」のコマへ。
商業科2年と同様、故人を偲ぶスモールトークから。
昨日のMaurice Sendakに続いて、今日は Vidal Sassoon。
今月末に東京では映画上映があるのでそのサイトの情報も。引き写しの資料をA4にまとめて、「より美しくなりたい女性」に、と言って女子生徒に配布。

  • 今の時代は、「美しくなりたい男性」や、「女性になりたい男性」もいますからね。

と補足して、「愛する人に美しくなって欲しい男性」にもあげましょう、と言って結局全員に配布。難しい時代になったものです。
「ライティング」の科目とはいえ、この初期段階では、田地野先生の『意味順英作文』を読んで、「意味順ボックス」の枠組みに上手く収まるように、『コーパス口頭英作文』の例文をノートに書いていく作業位しかしていません。
『コーパス口頭英作文』には各ユニット、日・英対照で例文が10セットありますが、そのほとんどは中学レベルの文。ただ、補語・形容詞扱いする名詞句とか、話題の焦点化で文頭へ移動することのできないような副詞句の扱いなど、少数の「悩み所・迷い所」はあるものです。もう一冊、似顔絵の可愛い方の『田地野本』を学級文庫に寄贈して、困ったら参考にしなさい、という指示。生徒は、似顔絵と写真を楽しそうに見ていました。

高3ライティングは、連休中に実施した模試の解説から。
ちょっと頂けない設問があり、手元の辞書や概説書、オンラインコーパスでの検索などバタバタ。
問題の一部に関してはFBでも何人かからコメントをいただきましたが、そんなのはまだ序の口で、「模試」で解答として求めるような設問ではないと感じるものがチラホラ。週明けにでも模試の出題・作問担当者に確認しておきたいと思います。「批判」と「アラ探し」の区別が付かない人には、言うべきことばがないのですが、ダメなものはダメですよ。「では、それに取って代わる肯定とはなんぞや?」ということで、数少ない信頼のおける学参の『金子本』から、抜粋して「類題」というよりも、本来身につけるべき英文を作成できるような練習問題を課しておきました。日本の高校生も、1979年でこの水準にいたはずなのですから、時を経て劣化するのではなく、「より良い英語で、より良い教材」を作り、広め、その上で「問う」ことが大切でしょう。
来年度の学校パンフレットの写真撮影。進学クラスの英語科担当を代表して私が写ることに。
授業風景というのではなく、「英語」だと分かってもらうには、教材を持つことだろう、ということで、小脇に抱えた本は、

  • 『「意味順」英作文のススメ』
  • 『ロジカル・ライティング講座』
  • The Good Grammar Book

の三冊。
今年は「広報」支援で中学校も訪問させていただきますので、よろしくお願いします。

帰路の車中で、若者の紡ぎ出すことばの成長を実感する瞬間。
嬉しいものです。
いつだって、若手には期待しているのですから。

本日のBGM: 世界はまだ君を知らない (阿部真央)