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2013-02-26 「コトバから言葉へ移す悪い癖」

商業科2年は、本文で扱われている「文法項目」を二つ。

一つ目は、いわゆる「同等」比較で用いられる、形容詞の原級とasに関して。

まず、「原級」という用語は使っていません。

  • A is as 形容詞 as B. では、 「A ≧ B」 の関係
  • C is not as 形容詞as D. では、「C < D」の関係

という原理原則だけを板書し、あとは実例で。

この教え方は、別に「ドヤ顔」するようなことではなくて、80年代の終わり頃には既に、大学生や公立高校の教師でも知っている内容だったことを付け加えておきます。

に詳しく書いてありますので、是非そちらをご覧下さい。相変わらず、検索でやって来る人が後を絶たないのですが、マジメに読めば分かる人には分かるでしょう。

もう一つは、「過去完了」。

時制と呼ぶか、相と呼ぶかは、教師の好みですかね。私は「助動詞」の意味と働きに着目させるために、「番付表」というシステムで指導しているため、「大関の助動詞 haveの過去形、っていつのことを表すのか?どんなときに使うのか?」というアプローチを用いています。因みに、「現在完了」でのhaveは高1で指導済みですが、「番付表」が定着している生徒は多くありませんので、その復習から。

「達成感」だけでなく「喪失感」も扱えるのが、この<大関のhave+付き人の-ed/en形>の利点、というところは強調しています。

今日は、

  • 金子稔 『早覚え英作文』 (吾妻書房、1975年)

から、該当個所を抜粋して、例文を5つだけ取り上げ、日→英で意味と形を確認。

  • Aした時には、既にBしてしまっていた。

という日本語の記述であれば、どちらが時間の流れの「あとさき」かを確認し、今に近い方の過去に1、そこからさらに上流に遡る方に2、と数字を振る、というところから始めています。それが済んだら、該当する英文へ移行し、英文の中の「動詞」、「助動詞」を見つけて、「とじかっこ」をつける。「意味」を頼りに、どちらが1でどちらが2かを確認して、記号付け完了。で、範読を繰り返し聴かせて、左から右へ読ませます。

「これだけ細分化した手順で進めば、誰も躓かずに、誰でも分かって、出来るはず。」という私の思惑の「はず」を外すことに長けている面々もいますので、机間指導しながら、例文をひとつひとつ。beforeなどの接続詞によって、前後関係が明示されるために「過去完了を用いる必要のない例」との対比などは、後回しで、多分、今年度は扱えないのではないかと思いますが、優先順位がありますからね。

今回、最大のハードルは、

  • 「借りていた本を返しに行った」

という名詞句の限定表現で用いる関係詞節の中での「過去完了」です。

以下、抜粋した「日本文」のみ記します。

  • 会場についた時には、コンサートはもう始まっていた。
  • 前に数回あの人に会っていたのですぐにわかった。
  • ブラウン夫妻は2日前にイギリスに帰っていったという話を聞いた。
  • ホテルについた時にはすっかり暗くなっていた。
  • きのう図書館へ行って、借りていた本を返しました。

進学クラスの高1は、「モノローグ」での「ナラティブ」の振り返り。

こちらのクラスでは、いわゆる「進行形」の<関脇の助動詞 be + 付き人の –ing>を詳述。

  • 黒川泰男監修 早川勇著 『よくわかる新高校英文法』 (三友社出版、1982年)

から資料を提示しています。例えば、

  • The bus is stopping at the stop.
  • The old man is dying.
  • The school-year is coming to an end.
  • The house is falling down.
  • Someone is knocking at the door.

などが、おおまかに分類され、解説されています。衒学的な説明もなければ、ギミックもトリックも、思いつきも、こじつけもありません。至って真っ当な解説です。

この資料も、過去ログにありますので、是非。

この学参、どうして絶版のままなのでしょうかね。

ちなみに、指導にあたって、「基本的には進行形にしない動詞」という伝統的な分類を取る際には、実際に使われている "love" の進行形の用法をどのように扱うか、悩むことがあるかもしれません。ここでも基本は、「点を線に引き伸ばす」「はじめと終わりの設定」ということだとは思うのですが、辞書でも、MEDでは、

[never passive] mainly spoken to like or enjoy something very much

Lucy loves chocolate.

We went to Corfu last year and loved it.

I've been retired for a year now and I'm loving every minute of it.

という定義と用例は、3番目の語義として扱われているものであって、「目的語」は「モノ」であり、

  • 1 [never progressive] to be very strongly attracted to someone in an emotional and sexual way
  • 2 [never progressive] to care very much about someone, especially members of your family or close friends

という「人」を目的語として取る語義では、「進行形不可」という注記があることは2013年現在で、記しておく価値が有ると思います。

その後、私のクラスでは定番となっている、

  • Children are throwing snowballs at each other in the playground.

の絵を描く課題。四角化と番付表の有難味が分かる例文です。

ここまでを踏まえて次回は、エピソードを語る際の過去形と過去進行形との使い分けに、過去完了。

まあ、あまり欲張らずに、近畿から中国地方への旅を続けましょう。

進学クラス高2の「英語II」は、引き続きEvelynとの対話。

前時の最後に扱った、

  • happen to 原形

の語義について、日本語との対比で考える時間。前時は、「日本語でカタカナが定着するのは『名詞』か『形容詞』」という話しから、「ハプニング」に一歩踏み出してから、動詞の happenに戻る、というアプローチを取っていました。同様に、「予定していて顔を合わせるのは?」と問うて、「ミーティング」を引き出し、動詞のmeetへ。ここまで足場が均されれば、『前置詞のハンドブック』の用例とコラムも消化吸収が可能です。以下コラムから抜粋。1993年に作った資料で、現在改訂作業中ですので、記述の古さや、言語事実の不備などはご容赦を。

※LOB corpusによる頻度では、run into 11例、run across 5例、come across 16例であり、同意表現でも頻度にはかなりの差があることがわかる。『偶然会う』意味では、run into, see, happen to meetなどが標準的な表現である。特に、see (過去形のsaw) の頻度が高いことに注意。

※また、入試でしばしば出題される hit onは ideaなどに限って、「偶然・不意に見付ける」→『思い付く』という意味になるのであり安易な書き換え問題での出題は控えたい。米口語では (1) = discoverとなる場合と、(2) 『異性などに言い寄る・つきまとう』となる場合とがあるので、指導に当たっては、提示する文脈に気を付けたい。

[g] Sam hit on Clara and she became enraged.

※ run into では目的語に、old friendなど「旧知のもの」以外には、trouble; difficulty; doubtなどあまり好ましくないものが来るのに対して、come acrossでは好ましいものがくることが多いようだが、これはinto とacrossだけの差というよりは、comeのもつ「好ましい状態」への変化、も働いているためと見た方がよいであろう。

[h] I ran into an interesting problem the other day.

20年前の自分は至ってマジメだったと思うのですが、最後の※などでの考察は、あまりにナイーブというかご都合主義的ですね。来年度に向けて、使い勝手がよく、言語事実としてもより適切な記述となるよう鋭意改訂中です。

で、授業では何をしているかというと、

  • 「偶然」の対極概念は?

と問い、暫し黙考。「では、類義概念は?そこからひっくり返してみると?」と問うて、頭の体操。「ハプニング」の仲間になれるような他の「概念」は?と歩みを進めて、

  • 「アクシデント」「事故」

このあたりで括って見ても、

  • by accident, by chance

の語義を正しく掴まえるのに格好の機会。

「必然」「運命」などを経て「予定」「計画」まで陣地を拡大。

  • I had to 原形
  • I was doomed to 原形
  • I was designed to 原形
  • I was planned to 原形

と回ってみて、

  • I happened to 原形

の立ち位置の輪郭線をくっきりと。

「学級文庫」にある、子ども向け百科事典やQ&Asの本で、「音の伝達」「聴覚の仕組み」に関して、参考になる記述を抜き出し、白板へ転記しておく「宿題」の確認から。

語義へのフォーカスということで、

  • a kind of crackling sound

の辞書引き大会。

もとになっている動詞の “crackle” を引き出し、綴り字を確認し、語義へ。

英和辞典で「パチパチ」などといった擬音語に飛びつくことを戒めています。

ではどうするか?悩みどころ、迷いどころです。今日の頭の働かせ方は、 “Like what?” “Like when?”で考えるということ。「具体例」の助けを借りるわけです。『智慧3版』でも、

  • <たき火・イヤフォンなどが>

という注記がされていますが、このように、「〜がXXする (時の) ように」で、絞り込みをかけるわけです。

  • make a number of small cracking sounds, as when one walks on dry sticks or when dry sticks or logs burn (ISED)
  • to make a series of short, sharp noises: a crackling fire (Webster’s Essential Learner’s)
  • to make a lot of short, dry noises : A fire crackled in the hearth. (Cambridge Learner’s)
  • to make repeated short sounds like something burning in a fire: logs crackling on the fire (LDOCE)
  • to make continuous short sounds like the sound of wood burning: The radio began to crackle. (MED)

「shortでsharpでdryで単発ではなくて、繰り返されたり、持続したりする小さな音」という、「形容詞」を積み重ねることでは捉えきれない「実感」が、「暖炉で薪が燃えるような音」とか「乾いた棒を踏んだ時の音」というような「状況・場面」を提示されることで湧き上がってくることがあります。その部分をこそ大事に扱って授業をしています。いくら木が燃えるとは言っても、

  • めらめら

とか

  • ぼうぼう

では shortでsharpな感じはしないでしょう。

辞書を引いて、

  • ラジオが crackleし始めて、終いには聞こえなくなった。

などという用例があった時に、

  • ラジオが故障して聞こえなくなる前って「パチパチ」なんて音を立てるかな?

という実感を持てるか、

  • 日本語だったら、「爺爺爺爺」とか「座座座座」などという「音」に聞こえるのではないか?

という言語使用者としての矜持を忘れてほしくはありません。そうしないと、

  • If something crackles, it makes a series of short, harsh noises: The lightbulb suddenly crackled overhead, and for a moment I thought it was laughter. (BBC)

での「 “laughter” と一瞬聞き間違えるほどの、照明からの雑音」のイメージが持てないでしょうから。

「読み」に於ける「擬音語・擬態語」の扱いに関しては、最近だと、

  • 中原道喜 『翻訳の常識』 (聖文新社、2012年)

の 「Part 5 (pp. 141-191)」で実例を踏まえて詳しく扱われていますが、個人的に蒙を啓かれたのは何と言っても、

  • 高橋泰邦 『日本語を磨く翻訳術 翻訳上達の48章』 (バベルプレス、1982年)

で読んだ、「オノマトペ、へたに使えば迷医(やぶ)のサジ」でした。これは、私が高3の冬、G大受験直前に購入して読み耽っていた本の1項目。(当時私が読んでいたのはウグイス色のような表紙だったと記憶していますが旧版にあたります。今手元にあるのは新装版。教員になって自分が最初に作ったプリント教材が、この高橋氏に倣って高校生向けに拵えた『英文解釈・読解いろはがるた』だったくらい、影響を受けています。)

「意味の記述」は、「パラフレーズ」や「要約」だけではなかなか上手く行かないということを弁えてから、自分にできることを増やし、その出来ることの精度を高めていければ、他に言うことはありませんね。

言うは易く行うは難し。

卒業式関連で、授業が変則になっているので、一コマでの進度を欲張らずに、その授業で英語の肝を一つでもいいからしっかりと掴むように、「生き直す」ことを狙いとして、量的に「春期課外」に回せることは回そうと画策しています。

職員会議を終えて帰宅。

天気は下り坂でも、気持ちは上向きに。

晩酌も抜かりなく。

今夜は「本鮪」でのウォーム・アップ。

メインは生姜焼き。

ハウス栽培ながら、無農薬の「紫蘇の葉」を妻が手に入れてきたおかげで、良い香りを堪能できました。深謝。

今、寝る前に読み進めているのは、

  • 西江雅之 『新「ことば」の課外授業』 (白水社、2012年)

西江先生にはG大時代にもお世話になりました。

師の存在の大きさを噛みしめる満月の夜となりました。

生憎の土砂降りですけどね。

「中締め講義」以降の「意味」にこんがらかったまま、お休みなさい。

本日の晩酌: 呉春・特吟・大吟醸・赤磐雄町40%精米 (大阪府)

本日のBGM: 私の世界〜6弦ギターのうた〜 (井上鑑)

tmrowingtmrowing 2013/02/27 09:32 用例と解説など、加筆修正。

2013-02-24 『泣くな、英作文教師』

土曜日は課外講座。

広島での「メソ研」の講師陣と内容も気にはなっていたのだが、参加は断念。

今週の課外は進学クラス高1。

「リスニングテスト制覇の旅」の途中。

静岡県の英文で豊かな学びを経て、三重県から大阪府へ。

原則としてモノローグだけ扱っているのは同じです。都道府県によって英文の質にバラツキがあるのは仕方のないことですが、大阪の出題での「英文」には多々問題があるように思いました。一つ一つあげていくと、ちょっと書ききれないくらいあるので、私が書き直した「修正版」の英文スクリプトで「ライブリスニング」を行う「学年末テスト」が終了する3月中旬位に、再度、問いたいと思います。その頃には、九州地方まで足を踏み入れているでしょうか?

さて、

自分の「呟き」のまとめなどなど。

国公立大の個別試験も目前。

英語の「ライティング」で「意見文」「論証文」が課される大学の志望者は、英文の繋がりと纏まりを、こちらの記事(https://www.benesse-gtec.com/fs/console_bin/wp-content/uploads/2015/03/es_tushin_vol60.pdf) で確認し、

  • 主観的形容の論証責任

と、

  • 指示語・一般名詞での受け継ぎ

をチェックしてみて下さい。これまでの指導経験上、これだけでも、主題への収束が強まり、文と文の繋がりがよくなることが多いです。

「物語文」、「説明文・定義文・描写文」、「意見文・論証文」など、ライティングにおけるテクストタイプ、というものを理解するには、遠回りのようでも、こちらの過去ログにお付き合い頂くのが一番かと思います。(http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20120918)

出題形式だけに目を奪われていると、完成する英文の「質」が疎かになりがちです。

とりわけ、大学入試レベルといえども「ナラティブ」「物語文」は意外に難儀します。

小学生の絵日記のような断片情報の羅列にしないための視点を「高校入試のリスニングテストのモノローグの書き換え」に学んで下さい。過去ログではこちら以外にも幾つかあるのでよろしく。

(http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20111128)

出題校が解答を公表していない場合には、対応は「それなり」にしかできないものですが、「文法のミスがなければ減点されないのだから、中学生レベルの英語で」というアプローチの危うさは、弁えておいて欲しいと思います。過去ログの金沢大の例などで確認して下さい。

(http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20120811)

この点は、受験産業といわれる予備校でも、指導はまちまちのようです。私が好もしく思うのは、次のような指導方針です。

しかしこのただし書きが新たな誤解を生み出したと思う。「内容ではなく作文能力」と言っているのであって、幼稚な表現でも内容がスカスカでも、あからさまな間違いがなければ満点とはどこにも書いていないのである。それで満点にするなら、入試科目に英作文を入れる必要はないと考える。問われているのは「作文能力」と言っているのであって、そこにはもちろん表現の豊かさ、用いる構文のレベル、語彙の量、英語の発想になじむ言いまわし、全体の構成、すべてが問題になっているはずであり、あえて踏み込むなら内容を全く切り離した英文というものがありえない以上、内容の良し悪しも当然重要な要素となってくると著者などは理解した。上記のただし書きは内容がいかに良くても英語の試験である以上、英語そのものが拙劣では話しにならない、という警告であると思う。あくまでも出題意図に沿い、指示を守りながら、英文として指弾されるほどのことのない正確な文法・語法・スペリングという制約の中で、精いっぱいクオリティーの高い作文を書き上げろということであろう。 (p.235)

長い引用になりましたが、これは、

  • 山口紹 『東大英作の徹底研究』 (駿台文庫、2013年)

での「出来事の描写」の項で記されている「考え方」。少し話題になった、東大入試で期間限定で使われた

  • 内容よりも作文能力を問う問題であることに注意せよ。

という「ただし書き」に言及して、山口氏が持論を展開している部分です。共感します。

この新刊は、問題集というよりは、「英作文」「英文ライティング」というものを山口氏がどう捉えているのか、を著した『教科書』『ハンドブック』といった印象を持ちました。

私は1998年の研究社から出ていた問題集を読んでいて、もっと若い講師の方なのかな、と思っていました。大変失礼しました。

本書を貫く、「ナラティブと時制」へのこだわりは、私以上かも知れません。文法・語法を重点的に扱う「書くための英文法 実践講義」の頁で、

  • 8. it, this, that の使い分け (pp. 190-195)

があることは強調してもしすぎということはありません。

できれば、簡単で良いので、索引が欲しかったなという気がしますが、この本を消化吸収できるレベルの人なら、自分で付箋を貼ったりして相互参照の頁は書き込めるでしょう。

内容に関しては細かく引きませんので、是非、店頭で実際に頁をめくって皆さんそれぞれで良し悪しを判断して下さい。

山口氏は「お題」の設定そのものにも、ご自身の見解を述べているところが多々見られるのですが、2010年の出題に関しては「対比」という着眼点以外、何も触れていませんでした。

現在、全世界で約3,000から8,000の言語が話されていると言われている。もしそうではなく、全世界の人々がみな同じ一つの言語を使用しているとしたら、我々の社会や生活はどのようになっていたと思うか。

という「お題」に続いて、書き出しの英文が与えられている問題でした。

  • If there were only one language in the world,

私はこの「お題」を初めて読んだ時に、「難問だ」と頭を抱えたものです。というのは、「仮定法」の習熟が問われるから、ではなく、「仮定における思考の過程」が問われる、と思ったから。

  • 全世界の人々がみな同じ一つの言語を使用しているとしたら

という、このお題に忠実に考えれば、視点は「現在」に置いての仮定。つまり「現在世界中の人々が用いている言語が、たった一つに限られるとしたら」という「現実離れ」となります。

その条件設定で、何が問われているのかと言えば、

  • 我々の社会や生活はどのようになっていたと思うか

なのです。

「人類は他の類人猿とも異なり、進化の歴史の途上で言語を手にしたわけであるが、もしその言語が一つ『だった』としたら、今の社会生活はどのようなものになって『いる』と思うか」という条件設定ではなく、「(現実はそうじゃないけれど) そのように一つの言語のみで意思疎通が全て賄える社会や生活はどのようなものであったはずだろうか?」と、「過去へと遡る」思考の働かせ方だと思ってしまったのです。

その後、気を取り直して、いくら東大とはいえ、そんな難問は出さないはず、と問題を読み直して、「ここでの、『なっていた』は現在へと移行する時の流れに沿った『変化』を表しているのだろう」という理解に基づき、解答に当たっていましたが、やはりずっと気にはなっているのでした。

細かく読んでの感想などは、追って書くかも知れません。

今回、珍しく予備校講師の教材を真っ当に取り上げました。進学対策という観点で見れば、「進学校」と称される高校の英語の先生は「センター試験」の後、英作文の添削などさぞ忙しかったことでしょう。現役生は最後の伸びがスゴイ、と毎年思うかもしれません。

でも、もし、直前ではなく、4月から「ライティング」を教えていたら、読解も文法も、もっと伸びていたかも?とは思いませんか?

大学入試の「英語」に関してのみいえば、各大学が、解答を公表するだけで、問題点のかなりの部分は「改善」されるように思います。現在、最も明らかでないのが、英作文、ライティングの解答となる「英語」の実態でしょう。

新年度の入学生からは高等学校で、「ライティング」に特化した科目は消滅しますが、「書くこと」の指導が本当の意味で高校の教室に根付くこと、そして、教室内外で「お題」と格闘する生徒と、その英文を添削・評価する教師に幸多かれと願って止みません。

ただ、その幸せを実感するためには、高校段階のどこかで、きちんと「精読」を位置づける必要がある、というのが持論です。

現場教師が心得ておくべきことの「最大公約数」としては、

  • インプットの増量
  • 言語材料の精緻化
  • (自分よりも英語が) 出来る人とのやり取り

をどう実現するか、となるでしょうか。この3つは、SLA研究の知見からも頷けると思います。

ただ、今後「インプット」の量をどのように増やすかを講じる前に、今現在その「インプット」をどう処理させているかを再考することが大切になってきます。見直すのですから、それはそうでしょう。

ところが、いざ、やろうとすると、それは、言うほど簡単ではないのです。

新課程の「コミュニケーション英語」という科目は、「技能統合」が目玉の一つです。そして、「英語は英語で」を牽引する大役を担わされている科目でもあります。教科書で、指示も含めて全てが英語で書かれているものもあります。そうであっても、メインの言語材料は「読解」の素材がデフォルトで用意されていて、「読んだ上で」何かをすることで「技能統合」と謳っているようです。確かに、「読めて」いれば、事前・事後で「話そうが」「書こうが」何をやってもいいのです。

でも、

  • 新課程にも対応できます。

とばかりに、「英語は英語で」の授業をするに当たり、本文の「和訳」を配布して、「インプット増量」を図っているような場合には注意が必要です。「和訳」を読むことによって、生徒が英文の内容理解を深めることを求めているのに、「訳読からの脱却」と胸を張る教師はいないだろうと信じたいものです。それはむしろ「和訳に依存」して、「指導を肩代わり」してもらっているに過ぎないのですから。最近、妙に流行の「サイトラ」や、「クイックレスポンス」も、「日本語」に依存している点では大同小異です。「理解」や「表現」で日本語を援用するのは構わないが、「読解の際に訳読をしてはいけない」などと本気で考えているとは思えません。繰り返しになりますが、是非過去ログの再読を。

私は高2,高3の授業では、一貫して、「意味を読んだ後に言葉を読め」と説いていますし、「ライティング」という科目がなくなり、忘れられても、説き続けるだろうと思います。そうでなければ、自分で書けるようにならないからです。

本日のBGM: Song from the bottom of a well (Kevin Ayers)

2013-02-21 ”I was made that way. I can’t help it.”

日々の実作。

商業科2年は、レビューとしての語句の仕込み<連語>の自己ウォームアップから。

2分で、日→英を確認。

3分で、ペアで、日→英を2題続けて出題。即答できなかったものは、対面リピートで言わせてから、先攻後攻交代。で、最後までを目標に。

2分で、自分の出来不出来を振り返り、スラスラ口をついて出てくるようになった2つのフレーズを選んで、Read & Look up からFlip & Write。

その後、2分以内で3回、縦書き練習の際も、Read & Look up をしてから一気に纏まりを書く。1フレーズ1分で、3回書く訳なので、1回20秒以内で、読んで書くことになります。

仕込みの精度が上がったところで、本文の理解。読解と聴解と両方で。

私の範読を聴きながら、本文を目で追う。まあ、このあたりがもう、簡単すぎて、速く先に進んでよ、と思う人は、「フレーズ順送り訳」を見ながら聴けば良いわけです。私の言い訳です。

インフルエンザなどで1週間授業から離脱していた者などのために、先週終わっていた、「句強勢」「発音と綴り字」の確認。で、今日は、「文の中での調音の精度」。対象英文は、

  • But I believe I can give some beautiful present to people through my performance.

舌先に注意する音と、唇に注意する音とを色を変えたり下線を引いたりして板書。

で、チャンクごとに練習。

  • but I

  • I believe

を足して、

  • but I believe

が適切なリズムで、/b/ が正確な調音で、破裂になるように姿勢と呼吸も確認。

以下、

  • I can give
  • give some beautiful present
  • some beautiful present to people

まで広がっても、唇を閉じるところはしっかり閉じて、舌先が強く天井を支えるところは支えて。

  • performance
  • my performance
  • through my performance

と、切り出しを変えつつ、-th- に気を取られて、/n/ の舌先が弱くならないように調音の精度を要求して練習してから、

  • give some beautiful present to people through my performance

と大きなスパンでgiveという動詞の意味順、<キャッチボール>の確認。

で、「フレーズ順送り訳」で、「ワニ」を確認させて

  • I can give some beautiful present to people through my performance

が、埋め込まれていることを押さえつつも、左から右へと、順送りで、意味を

  • But I believe I can give some beautiful present to people through my performance.

というように音声化。

スラスラ言えるようになったら、Read & Look up。次に、Flip & Writeへ。

進学クラス高1は、「リスニングテスト制覇の旅」で、北信越で長野経由で静岡まで。

原則、モノローグのみを扱っているのですが、高校入試のリスニングテストで出題される英文は、生徒や留学生のスピーチや、ALTの着任離任の挨拶などで自分の体験・思い出を語る「ナラティブ」が多いわけです。では、本当に英語の「ナラティブ」の流儀に適っているか?語彙の制約、構文の制約だけの問題ではないように思えます。

Last month, we had a school trip to Kyoto for 3 days. 160 students joined the trip. The weather was fine on the first day, but it was rainy for the other two days. On the first day, we visited a famous place, Nijo-jo. It was great. On the second day, we went to old temples in small groups. My group was going to walk to a temple, but we changed our plan. We took a bus to get there. That temple was far from our hotel, and we didn’t want to walk a lot in the rain. On the third day, we went to a museum to learn about the culture of Kyoto. We enjoyed the trip very much. (120 words)

Last year I went to a small town in Australia and stayed with the Brown family for two weeks. They had a big farm around their house. They had some kinds of fruits on the farm. Sometimes I saw some Australian animals there. I visited an elementary school four times. My classmates were very kind. I was surprised to know that they had “fruits time” from 10:00 to 10:20 every day, and they could eat some fruits from home, for example, bananas and apples. I enjoyed “fruits time” together with them. (91 words)

どちらが「ナラティブ」として整っているか、明らかです。最初の英文は静岡県での出題、後のは長野県での出題です。30語ほど、長野県の英文は短いわけですが、必ずしも分かりやすくはなっていません。情報の羅列感が出過ぎています。確かに、日本で学ぶ中学生は、このような英文を書きがち、語りがちです。しかしながら、入学試験のリスニングテストで課す英文としては些か問題が多いように思います。

授業では、設問に答えた後、いつものように、私の範読に続いてsentence repetitionをしてから書き取ることにしていますが、生徒は長野県の英文で難儀しました。どの英文だったかわかるでしょうか?当然、一文として異様に長い、

  • I was surprised to know that they had “fruits time” from 10:00 to 10:20 every day, and they could eat some fruits from home, for example, bananas and apples.

は苦労しますが、それよりももっと短い、オープニングの、

  • Last year ….

の文です。設問のトガキに「順子さんがホームステイの思い出についてスピーチします」などという文言があればいいのでしょうが、いきなり、

  • I went to a small town in Australia

で、しかも、

  • stayed with the Brown family for two weeks

ですから、話形に忠実な「マジメ」な生徒ほど主題を掴まえるのに苦労するように思います。

英文が短いから容易で長いから難しいとは一概に言えないことがよくわかる例だと思います。

私の教えているこの高1生も来年度は、「ライティング」のコマがありますから、

  • 「語り」の英文として、学ぶ意味があるのは、静岡県の方。

ということはしっかりと伝えておきました。この後、音読をする中で、スカスカなところに気づき、ギャップを埋めるとしたらどういう言葉が必要か、本当に言いたいことはそれでいいのか、と英文とのやりとりを自分で進めることが「生き直し」にとって必要な作業となります。

昨年度の高1での「生き直し」の様子はこちらなどで。 (http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20111201)

進学クラス高2の「英語II」は、Evelyn Glennie。

過去ログにもあるように、私のクラスでは、ballではなく、bowlに直して読ませています。

生徒にも、この過去ログを印刷して配布。

iPad miniで「画像検索」した、timpani を見せ、さらに “the ball of *” と “the bowl of *” の画像検索も概観。で、本文の読みをきちんと。

語彙で焦点を当てたのは、 『前置詞のハンドブック』では、「等価交換」の for で扱っている例文と確認させた英文

  • Evelyn gives a lot of credit to her elementary school teachers for encouraging her to take drum lessons at the age of 12.

に含まれていた、

  • credit

日本語の片仮名で定着している「クレジット」ではなかなか「実感」が掴めない語なので、学級文庫の辞書引き作業。英英での定義も含めて、「寄れば息遣いが聞こえる」「触れば体温が感じられる」「斬れば血が滲む」用例の採取。

私からは、

  • credit ≠ blame

とだけ書いて、調べてもらいました。

多くの辞書では、

  • praise

を用いて言い換えていますが、類語辞典では、

  • thanks, gratitude
  • respect, tribute

なども見られます。

Oxford 系の学習英英、LDOCEや、Macmillan、Cambridge, Chambers’ などなど、白板に書き記された定義に加えて、最後の生徒が定義説明を書いていく時に、文字通り、ちょっと唸りました。

  • If you get the credit for something good, people praise you because you are

と、be 動詞が書かれて、次の形容詞は何だ?という次の瞬間、

  • responsible for it, or are thought to be responsible for it.

そうです。responsible です。日本語訳の「責任を持つ」という語感ではやはり英語の「肝」は掴みきれないでしょう。しかも、areでの断言と are thought to be での評価との対比。まだまだ英文修業が必要だと思い知らされたのでした。

卒業式に向けて歌の練習もしているので、この時期の歌と言えば、

  • 洋菓子じゃなくて、何?

と振って、

  • 我が師の「恩」

という我々の文化に深く根ざした言葉との対比をして本日は終了。

私が授業を進める言語は基本的に日本語ですし、グローバル時代の英語などということは全く気にしていませんので、参考にはしない方がいいと思いますよ。自分に出来ることの精度を高め、「ことば」というものに誠実に授業をするだけです。


FBからの情報で、Kevin Ayersが亡くなったことを知る。

どうしても、元Soft Machineという形容がつきまとうのだろうが、個人的には、ソロというかその後の楽曲の方が断然馴染みがある。アレックス・チルトンが亡くなった時もかなりショックだったが、今、これを書いている最中にも目頭が熱くなる。

成功や栄光を追い求め、上り詰めるような「志」とは無縁の、純粋に音楽を愛し、歌や演奏を楽しんだ人だったのではないかと思う。合掌。

ジョナサンは大丈夫かなぁ。

本日のBGM: Falling in love again (Kevin Ayers)

D

2013-02-18 ”And go round and round and round”

実作はいつも通り。

自分に出来ることを粛々と。

と思ってはいても、学校全体の動きに合わせて、「短縮授業」。

進学クラス高1は、前時までに扱ったスクリプトのread and look upでウォーム・アップ。

音読を聴いていて音の崩れが気になる生徒がいたので、全員で練習のし直し。

ワイヤレススピーカーで辞書アプリの音声を次々と流して、リピートさせ、その後、

  • 今、自分でリピートした語を書き出して。

と指示して、確認。今日扱ったのは以下の17語。

  • learn, early, girl, shirt, turn, world, word, work, curtain, certain, person, purpose, service, burst, heard, nurse, urban

全て、同じ母音を含む語です。文字から音を導く際には、「フォニクス」で説くルールは有効ですが、その逆の、音から文字へと移行する際には、苦労がつきまといます。地道に地道に。

アプリでは (電子辞書でもできる) 「履歴」の機能を使えば、私のように「思いつき」で次から次に単語を選んでも、後でもっともらしく振り返る活動ができます。「ICTって凄いっ!」、なんて言う前に、もっと「計画的に」授業を組み立てるべし。教師の人力でやっている授業なら、この17語に共通する「母音」のみを取り出してモデルを示したり反復練習させたりができるのですから。

その後の僅かな残り時間で、英語教育先進県である、「福井県」の問題を一気に片づける。

地元だけでなく、全国各地で、この出題内容・形式のリスニング問題に解答が出来るだけでなく、この英語がきちんと聴ける中学3年生が増えるといいなあ…。って、夢想しているだけではダメなので、今、高1の3学期に精度を高めるべくやっているんですけどね。

高2の進学クラスの授業は、『表現ノート』の返却とダメ出し。

まずは、グロサリーで求められている、テーマ関連語彙を、

  • 語彙的連結
  • 文法的連結
  • 英語ならではの発想

という3つの観点からまとめて、

  • 自分が、そのネタで英語で話しをしたり、書く時に、その頁を見て「そうそう、これが言いたかったんだ」と、思い起こさせてくれるようなグロサリーとなっているか?

を問う。読解の意味調べで終わっては意味がないのです。それでは、縦の物を横にするどころか、辞書や資料にある「横のもの」を、自分のノートという、隣の「ヨコのもの」に移しただけなのですから。いつまで経っても「自分のもの」にはなりません。

サマリーもしかり。

自分で使いこなせそうもない英語を「横」→「ヨコ」移動ではダメ。物語文の要約のお手本は学級文庫に沢山あるはずです。だって、商業科の授業で示したクイズの元本 (First Book of Cultural Literacy)はこの教室の学級文庫にあるんだから。

一番強調したのは、

  • テストのための勉強から脱却しなさい。テスト依存、テスト中毒とでもいうような英語学習と決別すること。

「表現ノート」は、英語というもう一つの自分のことばを作るための活動ですから。

まあ、来年度の高3「ライティング」のコマは、

  • 日向清人 『即戦力がつく英文ライティング』 (DHC、2013年)

がテキストなので、英語で書く、という点では久々に充実した授業となりそうな予感・期待はあります。

今回の新刊は、日向先生からお声を掛けて頂いて、下書きの段階で原稿全てに目を通させていただきました。これまで私が高校生に「ライティング」を教えていて、生徒が共通して誤りやすい項目、なかなか指導が浸透せず悩みが尽きない項目に関して、適切な解説を加えるだけでなく、文と文の繋がり、そして文章としての纏まり、というライティングの生命線に関して、「痒いところを掻く」以前の、「ここが痒いはずなんですけど…」という部分に出来る限り光を当てて頂けるように、僅かではありますが協力させていただきました。

「アカデミックライティング」の優れた教材は日本にもありますが、一般人が目指す「ライティング」に関しては、これまでの市販教材にないエポックな教材だと思います。

ここ数年使っていた教材が、ことごとく絶版となる状況で、本当に英語の力がつく教材、いつも言っている、

  • より良い英語で、より良い教材

を手に入れるための、「自分にできること」、の一つです。

「呟き」の方で、「英作文」の教材を写真で連投していましたが、英語の学参マニアの人たちも、英文解釈・読解や英文法に関しては、その評価をメジャーからマイナーまで喧しく持論を展開しますが、こと「英作文」に関しては、「教材」そのものをあまりご存じない方が多いように思っています。これまでに、良い教材が世に出てきました、しかしながらそれらが適切に扱われることのないまま絶版になっています。これは「時代」のせいなどではなく、単に「教える者」と「教わる者」の意識の問題なのではないかと思っています。

こと「読み」「書き」においては native readersもnative writersも存在しません。学び教わることで身につけるものだと思います。

さらに「書くこと」特有の、悩みどころ迷いどころに関して、今風の英語教育理論はあまり役に立ちません。

定型とも言える基本例文はいつ身につくのか?あるテクストタイプに特有の文法事項はいつ身につくのか?生徒の作品を添削しても、次回以降同じ誤りをしないための効果は薄いとするなら、なぜ、研究者の方たちは日々発表する英語論文のチェックをわざわざ英語ネイティブにお願いしているのか?などなど。

昨年夏のELECでは、これまで日本で発行された「英作文教材」のいくつかを概観する資料を作り、実物も含めお見せしていました。著作権の件もありますので、二次配布には気をつけて頂くということで、以下の資料をダウンロードしてご覧下さい。ファイル容量の関係で、資料の前半のみを公開致します。

注意: pdfで約75MB程度の重さがありますので、スマートフォンやタブレットなどでのダウンロードにはくれぐれもお気をつけ下さい。

ELEC2012夏期研修会_松井資料1.pdf 直

本日のBGM: Circle Games (山本精一)

2013-02-14 私が知っているつもりの如月は…

tmrowing2013-02-14

高2商業科は、2歩進んで3歩下がるのか?!というような進捗状況。

記号付けを終えたところで、範読を聴き、意味順での処理ができるところ、と崩れてしまうところの確認。ワークシートの右頁で、「フレーズ順送り訳」の→での合いの手を確認して、再度英文へ戻る。

<動詞+目的語>までを一つのチャンクと捉えて保持できる場合はいいのだけれど、その目的語の名詞に修飾語句がついて長くなったりすると、「腕力」とか、ぶら下がり続けられる「膂力」が足りなくなって、意味が途切れてしまう生徒がまだまだ多い。

時々、気が遠くなるというか、狂いそうになるけれど、まずは、仕込んだ語句が自分のものにならないとね。

今日は「文強勢へと繋がる予定の等時性 (的) タイム感」。

  • not as perfect as before

と板書したフレーズを実演しながら、だんだん靜先生と同じこと言っていることに気づいて笑いそうになった。

発音と綴り字は「母音字」で、

  • au

教科書で出てきたのは、

  • audience
  • applause

類例として補充したのは、

  • Australia
  • Aussie

という片仮名では馴染みのある固有名詞とその派生形。輸入肉の呼称は結構ポピュラーでしょう。私は、外食とかコンビニ弁当くらいでしか口に入れないけど。ちなみに、Aussieの子音は無声音になることも多いので注意。

さらには、動詞の活用形で、

  • taught
  • caught

までを徹底。ただ、この動詞の過去形の北米音はほとんど円唇が薄れているため、「アー」に近く聞こえることが多い。指導に当たっての「範読」「モデルの提示」が悩ましいところ。教材や電子辞書の音源でもナレーターが違うと、今日の授業で扱った音が「同じ音」にならないことがある。

『智慧3版』のアプリで再生してみると、caught, taughtを読んでいる男性ナレーターは非円唇なのに対し、女性ナレーターがaudienceを読んでいるのは円唇だと感じた。同じであろう女性ナレーターが、applauseを読んでいる時や thoughtを読んでいる時、また、先程とは明らかに異なる男性ナレーターが boughtを読んでいる時には、やはり円唇が感じられるので、まあ、外国語の悩みどころと割り切るか、歳を取って私の耳の精度が落ちてきたと諦観するか、またはその両方でしょうね。

一方の進学クラスは高1が「全国縦断公立高校入試リスニングテスト制覇の旅」で、新潟から石川まで。日本海の荒波、というわけではないでしょうが歯ごたえがあります。高校入試問題を解くのは簡単でも、sentence repetitionをきちんとこなして、意味の処理も同時に行うのは結構大変です。前時にdictationから、read & look upで仕上げてあったところを、今日は復習でのlast sentence dictation。私が読み上げていって、止まったところで、その最後の一文を書き出すという結構ポピュラーな手法です。「対面リピート」は汎用性の高い活動ですが、「イカソーメン」は少人数クラスでは、「担当者会議」での仕掛けが作りにくく、グループ内整序後に一列に並ぶところでの盛り上がりに欠けるので、最近は自分のクラスではあまりやっていません。ちょっと淋しいです。

進学クラス高2は「リーディング」のコマ。

この課で扱っている文章のオリジナル、原著は、かなりセンセーショナルな自叙伝とでも言えるものだったが、さすがに授業の中で「女子割礼」について、詳しく解説するのは難しいので、wikiで、著者の頁を見せ、FBの写真を見せるに留めておいた。

今週の目玉は、iPad miniの導入に伴う、「青歯」無線スピーカーの実地検証。

いろいろ情報を集めた結果、

  • etonのRukus solar

という機種に決定。同期も簡単でした。出力は14W。シャリ感もなく弦もまあまあです。低音はブーストあり。充電はソーラーで6時間、ACで4時間で最長8時間の連続使用。

今日の授業で早速使ってみましたが、音に関しては、最大音量でも音割れは感じないので、通常の教室使用であれば全く問題ないでしょう。スピーカーは前向きのデザインで、指向性が高そうですが、筐体がパイプ状に長く、左右にも音が響いて伝わるため、最前列の両端でも明瞭に聞こえます。今日は気温が低く、エアコンがほぼ全開でしたが、送風のノイズにもかき消されることなく、子音もクリアーに聞こえました。10分間操作がなく、信号が送られないと電源がオフになる設定は変えられないようなので、「プレイリスト」で、作業や解説時のインスト音源を用意するのも手かなと思います。でも、私のiPad miniの設定が5分でスリープですからね。

今日1日使って感じた問題点は、唯一、

  • 今現在のボリューム設定を確認するモニターや目盛りがないこと。

です。電源ボタンの外周のライトが点滅することで、ボリュームの最大・最小に達したことはわかるのですが、数値が表示されたりしないので、音源側のデバイスで音量調整をすることを想定して作られているということなのでしょう。その通りに操作して、全く不便はありませんでした。

「リーディング」の授業ですから、肝心の「読み」に関して、いくつかポイントを。

主題を掴む上で、「対比・対照」を英語のまま理解することは大事ですが、最初から英語で処理と保持が出来たら誰も苦労しません。

  • 古今東西老若男女

を思い起こし、手がかりを作り、足がかりを確かめながら進むしかないのです。

  • the sense of history

の話しを始めたばかりで、なぜ「言語」しかも「ソマリ語」の例が出てきたのか、筆者の母語という以上の理由があることは、historyの定義がしっかりできればすぐに分かるもの。学級文庫の辞書を横断的に調べて、定義を精査し、そのなかから自己ベストの定義を作っていきます。

  • a systematic and continuous written account or record of the past events

第一段落は丁寧に読み、その先へと進んで、

  • the skills we needed to survive

というキーワードが、句だけでなく節という形式をもとり、具体例として言い換えられながら展開していくことをしっかりと辿ります。

  • much less

での「遠近感」を確認して、具体例が列挙される時の、個々の具体例の「効き目」には差があることを理解してもらいます。

重点を置いて、辞書引き作業を行ったのは、

  • the rest of my family

でのrestの扱い。私自身、高校生の時からずっと気にし続けている語です。前任校でも、高3の「読解」の授業ではしつこく確認してもらった項目だと思います。例によって、教科書のTMでは全く「痒さ」を感じようという気配すらありません。

  • I was behind the rest of the class.
  • I want to spend the rest of my life here.
  • I took the bus the rest of the way.
  • The rest of the bananas were all rotten.
  • The rest of the meat was all rotten.

というように、全体と部分、母集団とその一員という関係を想定すれば解決する簡単な例はいいのです。

ところが、次のような文では一筋縄では行きません。

  • I don’t know about the rest of you, but I’m hungry.
  • He was standing a bit apart from the rest of us, watching us.
  • Behind the façade they are just like the rest of us.

多くの生徒は、このような例が「一筋縄では行かない」ということに気づかないまま、高校を巣立っていきます。今時の「英語本」はこのような項目にどのように光を当てているのでしょうか?

昭和を代表する名著では、必ず、何らかの視点を与えていたように思います。一例を挙げておきましょう。

Maughamが東洋旅行の途中ハイフォンに立ち寄ったとき、現地の新聞に彼の名前が掲載された。

The editor, doubtless hard pressed for matter, printed the names of the persons … who had arrived at Haiphon or left it, and mine was put in with the rest. ----Mirage

(編集者はおそらくネタにこまったらしく、アイフォンを往来する人名を印刷していた。そしてそれに私の名前ものっていた。)

教室でこの mine was put in with the rest の個所で誤訳、珍訳が続出した。そしてこのrestの使い方は the names of persons … を受けるものとしてはおかしいのではないか、むしろそれ以外の人ではないのか等と質問も多く出た。それにつけて思い出されるのは Thirty have passed, myself among the rest なる一文である。自分がパスしたのか、それとも落第したのかというので、かつで英学界を賑わした問題で、これがまだ今日でも依然として糸を引いているのかと、日本人の発想法と英米人の発想法との違いをあらためて痛感させられたことであった。 (p. 119, 「III. 1. 日英表現の違い」)

これは、

  • 小西友七 『現代英語の文法と背景』 (研究社、1964年)

の一節。私の手元のこの本のこの頁には深く折り目が付いています。

もう一つは、いまだ現役の教材から。

  • 朱牟田夏雄 『英文をいかに読むか』 (文建書房)

では、ハクスリーの英文を用いて、第二編の例題<31>を課しています。(p.123)

Perhaps the men of genius are the only true men. In all the history of the race there have been only a few thousand real men. And the rest of us---what are we? “Teachable animals. Without the help of the real men, we should have found out almost nothing at all. Almost all the ideas with which we are familiar could never have occurred to minds like ours. Plant the seeds there and they will grow; but our minds could never spontaneously have generated them.

この、the rest of us は、その後の課題の<10>でも再度登場し、そこでは、”the ordinary lot of us” 「普通の我々」と注記がついています。

The rest will take care of itself. というわけにはいかないようです。

「呟き」の方で情報を得て、

  • 『したむきな人々---近代小説の落伍者たち---』 (亀鳴屋、2010年)

を購入。限定五百四十四部のうち、 “341” とナンバーがうたれています。

お目当ては、

  • 安久昭男 「君の知らない三月が来る」

大切に読もうと思います。

そうそう、この写真をアップするのを忘れていました。

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本日のBGM: two of us (the Beatles)

D

2013-02-07 I saw her standing there.

日々の実作で悪戦苦闘。

商業科2年は、「仕込み」から「教科書プリント」への橋渡しを経て、「物語や登場人物の説明で用いられる現在時制」を確認するべく、 “First Dictionary of Cultural Literacy” から、お話を二つと、登場人物 (?) を2名 (?) 分、転記して印刷し、クイズ形式で。

[ 1 ] is a fairy tale about a beautiful princess who is put under a curse that makes her sleep for one hundred years. When a handsome prince finds her and falls in love with her, his kiss releases her from the evil spell, and she awakens.

[ 2 ] is a children’s story about three pigs who leave home to make their own way in the world. The first one builds a house of straw, the second a house of twigs, and the third a house of bricks. A wolf comes along and is able to blow the first two houses down, but the third is too strong, so the third little pig lives happily ever after.

[ 3 ] is a toy bear who is the main character in several books for children published in the early 1900s by the British writer A. A. Milne. The author’s son, Christopher Robin, is also a character in the books.

[ 4 ] is a comic book hero who has also appears in television shows and movies. He can fly, run faster than a speeding bullet, and leap tall buildings in a single bound. He uses these superhuman powers to protect people from evil and injustice.

実際に教科書本文で出てきた用例は、

  • She (= Katarina Witt) showed a strong-willed girl, who never gives up her hope.

というものなので、たいていの高校生用教材は、「非制限用法の関係代名詞」に焦点を当てるのだろうけれど、私はそれほど重視していないし、自分でも学べる教材がいくらでもあるから、「どんな時に現在時制を用いるのか」という具体的な「モノ」とか「ネタ」、「ジャンル」や「テクストタイプ」に触れてもらうことを選択。目標はクラスの2割の意識改革。

とはいえ、大多数の生徒は、語句が覚えられない、発音がきちんとできないという段階をクリアーできていないので、とにかくこまめに「仕込み」に戻っては、教科書プリントの活用。この時期は、インフルエンザ対策にも配慮しなければならないので、ペアを次々と替える対面リピートは封印しているため、悩ましさも倍増。

今週の復習では、前時に教科書プリントでの音読を終えたところで、語句の「仕込み」プリントにもどって、自分の達成度・定着度を、 “Read & Look up” などで自己評価させてから、プリント裏面の罫線が印刷された頁を使って、1文のディクテーションへ。

  • She expressed the cruelty and the ugliness of war.

ペンを置いて、3回聴いてから、ペンを取って書き出す。その後、2回同様に聴いて、加筆修正。で、「仕込み」のプリントに戻って、フレーズの纏まりを確認。本文の読み取りに入る以前に、

  • 21.   戦争の残酷さを表現する express the cruelty of war
  • 22.   戦争の残酷さと醜さ the cruelty and ugliness of war

の「日→英」マッチングは終えているにもかかわらず、大半の生徒は、その二つの足し算になるときちんと書くことが出来ていないもの。まあ、平均的な高校生の姿でしょう。ただ、そのままで済ませる訳にはいかないので、仕込みの精度を高めて、足し算や因数分解 (とその展開) を繰り返して、自分がきちんと書けなかったディクテーションの英文へと辿り着く「道筋」を確かめる活動。教科書プリントで折って下になっている隣の頁にも、表面にも、英文は印刷されているので、そこを「チラ見」すれば、自分に書けなかった部分などは、当然すぐ分かる。でも、そんなことをして赤ペンで書き足しても、自分の頭の中の英語表現のストックは整理されないし、意味の順で語を句に、そして句同士を繋ぐ原理原則、並べて文を作る原理原則は身につかない、ということをしつこく説いています。

この点では、進学クラスでもまったく同じで、次のように話すことが多いですね。

  • 頭の働かせ方に不備があるのだから、勝手はいけない。目的地の場所をいくら赤で印を付けたところで、あなたの「ナビ」では、そこまでの「地図」そのものが間違っているのだから、「地図の書き直し」をした上で「ルート」を記録していかないとダメ。コンピュータで「OSのアンインストール」と「再インストール」をするように簡単にリセットというわけにはいかないのです。

理解にも定着にも時間はかかるものですが、「できないから再テスト」を繰り返しても、「テスト」でできない経験を強化するだけの場合が多いので、授業中に時間を取り指示を徹底する、というか、指示を「効かせ」て、実際に私の目の前で活動させ、自分が何をやっているのかを自分でモニターさせることの方が多いです。よく、「Fast learnersをふきこぼさない」などという人がいますが、陸上部の部活を例にとって考えれば、練習のために競技場へ移動するバスには、短距離選手も長距離選手も一緒に乗り込んで、別々に練習しても練習後は一緒に帰ってくるものなんですから、教室での学びで、「速い」「遅い」を気にし過ぎるのも如何なものかと思います。それよりも「教室の真実」を一瞬でも経験させることの方で頑張ろうというのが私のスタンスですね。そこができれば、なんとかなるんじゃないでしょうか。いや、本気で、そう思ってますよ。

進学クラスの高1は、恒例の企画、

  • 公立高校入試問題全国縦断リスニングテスト制覇の旅

昨年度の生徒、つまり現高2生が授業で扱った北海道、青森県、岩手県の2011年の出題例とその書き換え版を用いて、どのような「学び」が求められているか、「英文の繋がりと纏まり」とはどういうことか、そして、今年度、誇張無しに、数百回は言われたであろう、

  • 英文を生き直しなさい。

ということばと向き合うことを求めています。

今年の1年生は、3ヵ月くらい遅れてこの企画に入りましたが、先程も書いたように、速いとか遅いとかを越えたところで、学びに浸れないとね。青森県の出題例を扱っている時に良いセンスを発揮してくれた生徒もいます。

  • Hello. Oh, your dog ….

の部分に聞き取りだけで違和感を覚えられれば、第一関門突破と言えるでしょうか。 (英文は、過去ログ参照→ http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20111128)

岩手県の出題例 (http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/20111129) でも、聞き流してしまいやすく、設問では決して問われることのない、予定調和というか、「ご都合主義」的な文章となっている部分があります。そういったところは、一回自分でその英文内容を引き受けて「生きてみる」段階を経て、初めて丁寧に「生き直して」、ことばとして、そこに命を吹き込むことが可能になるのだと思っています。この出題例の英文で言えば、

  • But I loved the beautiful nature of Iwate the best of all.

と、「自然の美しさ」を絶賛したことが、

  • Since then, working as an English teacher in Iwate has been my biggest dream.

と「岩手での英語教師志望」の理由になるあたりに、胡散臭さが漂っています。確かに、英文が長いと、聞き取りでの集中力が途切れてしまうことでしょう。注をつけることが難しいので、使用できる語彙や構文も限られてしまうことでしょう。でも、その中でも、「生き生きした」英文を紡ぐことを目指したいと思って、自分の実作に励んでいます。

進学クラス高2は、「リーディング」の教科書の英文と、そのオリジナルとを読み比べて、

  • 短く “trim” したからといって、分かりやすくなる訳ではない。むしろ、刈り取られた部分にこそ、重要な情報が伏線として張られていることもある。

という展開。

iPad miniを導入してはみたものの、教室のモニターはHD対応ではないので、映像は流せず、音声だけで、『はじめ人間ギャートルズ』のエンディングテーマを聴いてもらった。机間巡視をこちらがするのではなく、生徒に液晶画面を見せるためにグルグルと回って、登場人物の「外見」を確認してもらって、オリジナルの英文へ戻る。

教科書では刈り取られたが、原文には必要不可欠だったこちらの英文。

Clothes often have an even shorter life span because they’re generally appropriate for just one season of the year, and by the time that same season rolls around in the following year, fashion has changed and the previous year’s outfit doesn’t look quite right.

という前段落での、最重要具体例を刈り取っておきながら、

  • How did we get into this situation? Has the world always been this way?

での、 “this” で具体的内容を纏めて引っ張っていこうというのは無茶。で、 “Of course not.” の後も、重要な情報が抜けてしまっている。

Can you imagine a Stone Age woman looking through a magazine to see what brand of designer animal skins is “in” this year? Or her husband going to the Super Megastore to drool over the latest wooden clubs?

先程、液晶画面で見た登場人物を思い起こして、再度英文を確認。

残り時間が少々余ったので、日本のメジャーなアーチストがライブでカバーしたバージョンも聴いてもらって本日は終了。次回は、新しい課を扱って、「リーディング」は一区切り、ようやくというかとうとうというか、「英語II」の教科書に入ります。

帰宅すると、ステレオで "GHTG" がかかっていた。妻がCDラックで私のCDを発見して気に入ったらしい。良い趣味だと思う。

夕飯は、美味しい豆腐を買ってきてもらえたので、リクエストで、青春の思い出の、あの店の「カツライスの上」と「豚汁」を再現してもらいました。涙腺を刺激する味ですね。

録画してあった『相棒』を見てから、寝ようと思ったところで、NYショック!

ランキングに変動はあるかな…。

すぐには寝られず、Ustで告井延隆さんの「ひとりビートルズ」を見て、いつもよりかなり遅く就寝。

本日のBGM: For no one (告井延隆のひとりビートルズがやってくる via Ustream)

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