オトコたちのドラマ

今年も昭和の夏が終わる。
そろそろ54次夏隊は昭和基地を離れ「しらせ」へ帰還するみたい。
去年より1週間くらい早い帰還だ。
去年の「しらせ」は帰路もオーストラリアのフリーマントル着だったけど今年はシドニー着予定なので、オーストラリア大陸横断距離ぶん早く出発する必要があるのかな…。

去年なら、越冬交代を終えて53次の仲間達が管理棟に引っ越してきたのが今頃だ。
それまで先輩である52次隊の皆さんの中で多少の緊張感を持ちながら過ごしていた生活がガラリと変わり、すっかりリラックスモードで昭和ライフを満喫していたなぁ…。
2月に入ってからはぐんぐんと気温も下がり、特に風の強い午後の作業は辛かった記憶がある。
今年はぬくぬくと、仕事の合間に職場PCから、通勤の電車内でモバイルから、webカメラ越しの昭和基地を見守っている。

去年は資材が基地まで輸送できず、完成させることができなかった建物が多い。そのため、去年に引き続き54次隊として昭和基地へ向かった隊員の方が多くいる。
今年こそは!というオモイを胸に…。
そんな54次隊のみんなが昭和に到着してから最初にくれた吉報は、デルタアンテナの完成だった。笑顔がステキなK内隊員の満面の笑みが想像でき嬉しかった!

大きな資材はヘリでの輸送が難しいため、船が基地に近づかないと降ろせない。積荷の順番的にも、大きな積荷が降ろせなければ、その奥にある積荷も降ろせないわけで、接岸断念という去年の出来事を教訓に今年は積荷の仕方にもきっと工夫があったのだろう。

自然エネルギー棟も去年完成させることができなかった建物のひとつ。
屋根が基地まで届かないとわかった朝、自然エネルギー棟リーダーだったH川隊員の沈んだ顔が印象に残っている。
「無念」としかいいようがない、そんな表情に胸が痛んだ。
微力ながら私も作業を手伝った一員として、その完成を見ないまま基地を離れることがザンネンでならなかった。
去年に続き今年も「しらせ」が接岸できなかったというニュースを聞き、また今年も無理なのか…と思ってあきらめていたところ、
「なんとか資材をヘリで運びきることができたので残業覚悟でやったるで!」
との頼もしいメールを建築親分HG隊員から受け取り胸が熱くなった!
完成を見ることができなかった仲間達のオモイもちゃんと背負って頑張ってくれている…。
帰還までの残り日数は2週間といったところ…。
2月に入り寒さも厳しくなるだろうに、屋根の上の作業はきっとキツイはず…。
どうせ現地にいたって何の役にもたてないかもしれないけど、それでもすぐに駆け付けたい気持ちでいっぱいになった。
応援しかできないのが歯がゆかった。
がんばってくださーい!!そんなオモイで毎日webカメラを見守った。

そして、そして、、
やっと・・・

みんなの色んなオモイがこもった、自然エネルギー棟がついに完成した!!

ドームふじ基地の天文架台建設のためドーム隊として昭和基地を離れていたH川隊員が約3ヶ月ぶりに昭和基地へ帰ってきたのは、自然エネルギー棟が完成した翌日だった。
「H川隊員に完成した自エネ見せてやろう!」そんな仲間達のアツイ気持ちがニク過ぎる!!
ドラマチックすぎるんぢゃね?ちょっと(笑)

そして、今年もまた運びきれなかった風力発電…。
来年はさらにアツイ風力発電ドラマが繰り広げられることを期待する★